【2021年介護報酬改定】通所介護の個別機能訓練加算の見直しについて

介護保険法

個別機能訓練加算

更新日:2022/08/03

2021年(令和3年度)の介護報酬改定に向けて、通所介護(デイサービス)の個別機能訓練加算ⅠとⅡの統合や人員配置、算定要件などの見直しが検討されています。そこで、今回は、2021年1月時点の社会保障審議会介護給付費分科会の議論内容から個別機能訓練加算の見直しについての動向をご紹介します。

【2021年介護報酬改定対応】個別機能訓練計画書作成のポイント」のお役立ち資料(PDF)を無料プレゼント中!

2021年介護報酬改定での個別機能訓練加算の見直しポイント

2021年(令和3年度)の介護報酬改定に向けて、社会保障審議会介護給付費分科会では個別機能訓練加算ついて議論されています。

具体的に個別機能訓練加算については、利用者の居宅を訪問した上で利用者の居宅での生活状況を把握し、 個別機能訓練加算Ⅰでは主に身体機能の維持又は向上、個別機能訓練加算Ⅱでは、主に生活機能の維持又は向上を目指し機能訓練を実施していますが、①小規模型通所介護ほど人員配置要件を満たすことが難しく、算定率が低い、②それぞれの目的に応じた機能訓練項目を設定することが難しいといった課題が明確になっています。

2021年の介護報酬改定に向けた議論においては、自立支援や重度化防止に向けた取組(機能訓練)の実施や科学的介護の推進、報酬体系の簡素化について検討されている中で、この個別機能訓練加算の算定を進めていきたいことから、これらの2つの課題を踏まえて「個別機能訓練加算ⅠとⅡを統合し、人員配置要件や機能訓練項目の見直しを行う」ことが論点となっています。

ポイント1.個別機能訓練加算ⅠとⅡの統合の見直し

個別機能訓練加算ⅠとⅡに分けていた加算を統合することを議論されています。

利用者の心身の状況に応じて項目設定を行うことができるよう、身体機能向上・生活機能向上のいずれかを目的として設定するのではなく、両者を柔軟に組み合わせて設定できることできるように「機能訓練項目」の見直しが議論されています。

ポイント2.機能訓練指導員の人員要件の見直し(人員要件の緩和)

特に、人員要件が厳しかった常勤雇用を非常勤雇用で算定可能にできないか議論されています。

これまで個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱを両方算定していたデイサービスもあることから、人員配置につき、常勤・ 専従1名以上(サービス提供時間帯を通じて配置)を要件とする「上位区分」と「基本要件」に分ける対応も検討中です。

ポイント3.サービス提供方法の見直し(訓練内容の明確化)

個別機能訓練加算は、利用者一人ひとりに適した機能訓練内容を提供するものであることを踏まえて、個別機能訓練加算Ⅰの身体機能向上目的の機能訓練においても、5人程度以下の小集団、または機能訓練指導員が直接実施することとしてはどうかという「訓練対象者・訓練実施者」の見直しも同時に行われています。

個別機能訓練加算の見直しが検討されている理由

2021年(令和3年度)の介護報酬改定に向けて、社会保障審議会介護給付費分科会では、これまでの通所介護(デイサービス)の個別機能訓練加算について調査を行っており、これまでの個別機能訓練加算ⅠとⅡについて、大きく2つの課題があると報告しています。

課題1.個別機能訓練加算の算定率が低い

1つ目の課題は、小さい事業所である地域密着型通所介護や通常規模型通所介護の個別機能訓練加算の算定率が低いことです。

個別機能訓練加算ⅠまたはⅡを算定しない理由としては、「機能訓練指導員を常勤又は専従により配置することが難しいため」が過半数以上を占めており、機能訓練指導員の人員基準・採用が難しいということがあります。実際、個別機能訓練加算Ⅰの人員配置については、常勤・専従の機能訓練指導員がサービス提供時間帯を通じて1名以上配置する必要があり厳しい基準となっています。

また、小規模型通所介護は、平成30年度の介護報酬改定にて通所介護の基本報酬の引き下げがあったため、基本報酬だけの利益率は小さいので新たに機能訓練指導員を雇用し、配置するのが難しいのではないでしょうか。個別機能訓練加算を算定したとしても加算売上に対して、機能訓練指導員をあたらに雇用する方がコストがかかってしまうため割に合わないという理由も考えられます。

さらに、元々少ないスタッフ人数で業務を行なっているため機能訓練加算に取り組む時間的な余裕がないといったことも考えられます。

参照:厚生労働省,第193回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料【資料7】通所介護・認知症対応型通所介護

課題2.個別機能訓練加算ⅠとⅡの目的に応じたサービス提供が行えていない

2つ目の課題は、個別機能訓練加算ⅠとⅡの目的は異なるのに、目的に応じた機能訓練のプログラム内容が提供ができていないことです。

実際に、個別機能訓練加算Ⅰの目的は、筋力・バランスなどの心身機能の維持・向上を目指すものです。また、個別機能訓練加算Ⅱの目的は、食事、排泄、更衣などの日常生活活動や調理、洗濯、掃除など家事動作の獲得を目指したり、趣味活動、町内会などの社会参加を目指すものです。しかしながら、個別機能訓練加算ⅠとⅡを両方算定している利用者の機能訓練の内容にほとんど差がない状態でした。また、個別機能訓練加算Ⅱを算定している場合においても、生活機能に関する訓練はほとんど実施されていませんでした。

2021年度介護報酬改定の個別機能訓練加算の進捗情報(2021年2月時点)

令和3年度の介護報酬改定では、これまでの個別機能訓練加算Ⅰと個別機能訓練加算Ⅱを統合し、個別機能訓練加算(Ⅰ)・イとなります。さらに、報酬改定前に個別機能訓練加算Ⅰと個別機能訓練加算Ⅱを併算定している事業所には、人員配置に上位区分を設ける個別機能訓練加算(Ⅰ)・ロを新設する方針となりました。

さらに、CHASE(科学的介護データベース)へのデータ提出を行うことに対して、新たに個別機能訓練加算Ⅱを新設し、上乗せ算定できるようになります。

参照:第199回社会保障審議会介護給付費分科会(Web会議)資料【参考資料1】令和3年度介護報酬改定における改定事項について

報酬改定後の個別機能訓練加算の①売上②サービス提供時間③事務時間の変化

これまで個別機能訓練加算Ⅰや個別機能訓練加算Ⅱを算定していた事業所において、①売上②サービス提供時間③事務時間の変化をまとめる以下のように変化することになります。

■Aパターン:旧)個別機能訓練加算Ⅰのみを算定していたデイサービス

売上アップ、機能訓練指導員が直接指導のため提供時間が増える予想です。

■Bパターン:旧)個別機能訓練加算Ⅱのみを算定していたデイサービス

目標・訓練内容の縛りが緩和される予想です。

■Cパターン:旧)個別機能訓練加算ⅠとⅡを両方算定していたデイサービス

売上ダウン・兼務の機能訓練指導員の時間提供時間に空きがでる予想です。

まとめ

今回は、2021年の介護報酬改定に向けた通所介護の個別機能訓練加算の見直しの議論ポイントについてまとめてご紹介しました。

2021年の個別機能訓練加算は、人員要件は緩和することで算定がしやすくなる一方で、サービス提供については個別機能訓練加算Ⅱの要件が中心となり、今まで以上に利用者一人ひとり個別性を求められていきそうです。

社会保障審議会では、現在「科学的介護の実現を目指し、CHASEなどのアウトカム評価による質の高い介護に対するインセンティブを拡充する」ことが議論されており、アウトカム評価を用いた介護サービスの質の向上の波が急激に押し寄せています。

リハビリを提供しただけで報酬がもらえる時代は終わり、リハビリの効果に対する報酬がもらえる時代に突入します。だからこそ今、効果的なリハビリを実現する仕組みを構築し、効果を出せるデイサービスとして実績をつくることが重要になってきます。

ICTの利活用でサービスの質と業務効率を同時に高める

2024年の医療介護同時改定では、団塊世代の高齢化を見据え、自立支援を中心とした科学的介護の実現、そしてアウトカムベースの報酬改定に向けて変化しようとしています。

このような時流だからこそ、より一層利用者さまの自立支援に向けた取り組みが重要になります。しかし、個別機能訓練加算をはじめとした自立支援系の加算やLIFE関連加算の算定は、売上アップも見込めるとはいえ、リハビリ専門職の不在や現場負担の問題で取り組みが難しいと考える事業所も多いのではないでしょうか?

その解決策の1つが「介護現場におけるICTの利用」です。業務効率化の意味合いが強い昨今ですが、厚生労働省の定義では「業務効率化」「サービスの質向上」「利用者の満足度向上」の達成が目的であるとされています。

業務効率化だけでなく、利用者一人ひとりの生活機能の課題を解決する『デイサービス向け「介護リハビリ支援ソフト」』を検討してみませんか?

この記事の著者

作業療法士  大屋 祐貴

作業療法士として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーション技術を高めるために研修会の立ち上げ等を行う。

関連記事