2020年07月13日更新

初心者でもわかる個別機能訓練加算Ⅱ【各論】

デイサービスではじめて個別機能訓練加算Ⅱを算定しようとお考えの方はいませんか?個別機能訓練加算Ⅱとは、専従(非常勤)の機能訓練指導員を配置し、ご高齢者の日常生活活動(ADL)や家事動作(IADL)、趣味・余暇活動、社会参加といった目標を個別機能訓練計画書に記載し、機能訓練を行った場合に算定できる加算です。今回は、これから初めて個別機能訓練加算Ⅱを算定する方に算定要件や機能訓練に必要な評価、問題点の抽出、目標設定、プログラム立案まで詳しくご紹介します。

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個別機能訓練加算Ⅱとは

個別機能訓練加算Ⅱとは、ご高齢者が望む豊かな生活が送れるように、日常生活活動(ADL)や家事動作(IADL)、趣味・余暇活動、社会参加といった目標を立案し、その目標達成に必要な機能訓練を提供する高齢者の自立支援のための加算です。

【参考資料】

1.厚生労働省ホームページ,社保審-介護給付費分科会 第141回(H29.6.21) 参考資料3,通所介護及び療養通所介護 (参考資料)

2.厚生労働省老健局振興課長, 通所介護及び短期入所生活介護における個別機能訓練加算に関する事務処理手順例及び様式例の提示について

3.厚生労働省ホームページ,社保審-介護給付費分科会 第128回(H28.3.30) 資料1-3,(3)リハビリテーションと機能訓練の機能分化と その在り方に関する調査研究 (結果概要

 

個別機能訓練加算Ⅱの単位数について

個別機能訓練加算Ⅱでは、当該基準に従い1日につき「56単位」を所定単位数に加算することができます。

 


個別機能訓練加算Ⅱの算定要件について

個別機能訓練加算Ⅱを算定するためには、次の基準にすべて適合することが条件となります。これからはじめて個別機能訓練加算Ⅱを算定していく場合は、自社のデイサービスで算定要件が整っているか確認しておきましょう。

 

個別機能訓練加算Ⅱの人員基準

個別機能訓練加算Ⅱでは、専従機能訓練指導員(理学療法士等)を「1名」以上配置していることが必要になります。

 

※但し、非常勤の機能訓練指導員の配置でも算定可。なお看護職員が当該加算に係る機能訓練指導員の職務に従事する場合は、当該職務の時間帯は看護職員としての人員基準の算定に含めないこと。

<機能訓練指導員の対象資格>

・理学療法士(PT)

・作業療法士(OT)

・言語聴覚士(ST)

・看護師(准看護師含む)

・柔道整復師

・あん摩マッサージ指圧師

・鍼灸師(はり師・きゅう師)

※平成30年度の介護報酬改定より、6ヵ月以上の実務経験を持つ「鍼灸師(はり師・きゅう師)」も機能訓練指導員として働くことが可能

 

個別機能訓練加算Ⅱの計画書作成

個別機能訓練加算Ⅱを算定するためには、ご高齢者の生活機能の維持・向上し、利用者ごとの心身の状況を重視した個別機能訓練計画を作成していることが必要になります。

 

個別機能訓練加算Ⅱの機能訓練

個別機能訓練加算Ⅱを算定するためには、個別機能訓練計画に基づき、理学療法士等がご高齢者の心身の状況、生活の状況に応じた機能訓練を実施していることが必要になります。

 

個別機能訓練加算Ⅱの評価(居宅訪問)

個別機能訓練加算Ⅱを算定するためには、3ヶ月に1回以上、ご高齢者やその家族の居宅訪問した上で、その内容を説明し、見直しを行っていることが必要になります。

 

個別機能訓練加算Ⅱの5つの目標・目的について

機能訓練メニュー

個別機能訓練加算Ⅱの目的は、大きく「基本動作」「日常生活動作」「家事動作」「趣味・余暇活動」「社会参加」の5つの分野があります。
 

個別機能訓練加算Ⅱの5つの目標・目的

1)基本動作の維持・向上

2)日常生活動作の維持・向上

3)家事動作の維持・向上

4)趣味・余暇活動の維持・向上

5)社会参加の維持・向上

個別機能訓練加算Ⅱのサービス提供の流れについて

個別機能訓練加算Ⅱのサービス提供の流れには大きく4つの手順があります。

 

個別機能訓練加算Ⅱの4つ手順

1)評価

2)問題点の抽出

3)計画書の目標設定

4)機能訓練の提供

個別機能訓練加算Ⅱとして、ご高齢者一人ひとりに合わせた目標を立案し、機能訓練を提供していくためには、ご高齢者の身体機能・生活機能・趣味/余暇活動・生活環境を評価し、現状の問題点の抽出、その目標を計画書に記載、目標達成に必要な機能訓練プログラムを提供していかなければなりません。

 

個別機能訓練加算Ⅱの評価方法

個別機能訓練加算Ⅱとして、ご高齢者ごとに合わせて目標を設定していくためには評価が必要になります。評価方法には、大きく「生活機能の評価」と「身体機能の評価」があります。

 

<生活機能の評価>

アセスメントシート

ご高齢者の生活状況の把握には、上記のアセスメントシートを参考に「ADL」「IADL」「興味関心(してみたいこと)」「課題」「転倒歴(過去1年間)」「本人・家族の希望」を確認する方法があります。さらに、厚生労働省から推奨されている「居宅訪問チェックシート」も活用しやすいアセスメントシートです。

 

<身体機能の評価>

アセスメント

個別機能訓練加算では3ヶ月に1回以上のアセスメント・評価が義務づけられていますが、身体機能の評価として何を指標とするかは義務づけられていません。そこでご紹介するのが身体機能の評価です。

こちらの評価は、日本理学療法士協会ガイドラインでも高齢者の身体機能の評価として信頼性、妥当性がある(推奨グレード分類A)とされています。

理学療法士や作業療法士が中心に評価する内容となりますが、看護師や柔道整復師などの機能訓練指導員でも評価することができます。

 

個別機能訓練加算Ⅱの問題点の抽出

ICF

生活状況と身体機能の評価ができたら、次に「問題点の抽出」を行います。

この問題点の抽出では、「ICF」の表を活用すると「心身機能・構造」「活動」「参加」「環境因子」「個人因子」ごとに問題点を列挙することができるので、活動(ADL・IADL)ができない原因は、身体機能の何に原因があるのか、環境は影響していないかなど総合的に問題点を把握することができるようになります。

次に行う個別機能訓練加算Ⅱの目標設定には、この問題点の抽出が重要な作業になりますので頭の整理として必ず行うことをオススメします。
 

【関連記事】

ICF(国際生活機能分類)とはどんな意味?ICIDHとICFの違いもご紹介

ICFの考え方や書き方については下記の記事でご紹介しています。興味がある方はこちらでICFを学んでみましょう!

 

個別機能訓練加算Ⅱの計画書の目標設定

個別機能訓練計画書の目標設定

問題点の抽出ができたら、次に個別機能訓練計画書の「目標設定」を行います。個別機能訓練加算Ⅱの目標設定には「長期目標」と「短期目標」があります。

 

個別機能訓練計画書の目標設定

長期目標 短期目標

個別機能訓練加算Ⅱの長期目標は、基本的にケアプラン(サービス利用計画書)の目標に則り立案します。また、利用者とその家族の希望は、ケアプラン(サービス利用計画書)の目標とされていますが、「アセスメントシート」や「興味関心チェックシート」から情報収集した内容と相違がある場合は、ケアマネに事前に報告し、変更の依頼をすると良いでしょう。

 

短期目標は、長期目標を達成するために段階的に必要となる目標を記載します。アセスメントシートや身体機能評価から抽出した問題点をそのまま記載しないように注意しましょう。                                                              

 

 

【関連記事】

個別機能訓練計画書の長期目標・短期目標・達成度の記入例

個別機能訓練加算Ⅱの目標設定の仕方については下記の記事で詳しくご紹介しています。興味がある方はこちらをご覧ください。

 

個別機能訓練加算Ⅱの機能訓練の提供

個別機能訓練加算Ⅱでは、個別機能訓練計画書に定めた目標を達成するために必要な機能訓練プログラムを提供する必要があります。ここでは、個別機能訓練加算Ⅱの目標に合わせた機能訓練メニューについてご紹介します。


基本動作に対する目標と機能訓練メニュー
①目標:寝返り動作の獲得
 訓練:寝返り動作訓練
②目標:立ち上がり動作の獲得
 訓練:椅子からの立ち上がり訓練
③目標:床からの立ち上がり動作の獲得
 訓練:床上動作訓練
など

日常生活動作に対するプログラム
①目標:一人で食事が食べれるようになる
 訓練:箸の使用訓練、姿勢保持訓練
②目標:トイレが一人でできるようになる
 訓練:ズボンの着脱訓練、立位保持訓練
③目標:手すりを使用して入浴が出来るようになる
 訓練:浴槽またぎ動作訓練、立ち上がり訓練、座り込み訓練
など

家事動作に対するプログラム
①目標:掃除機を使用した掃除ができるようになる
 訓練:立位バランス訓練、掃除機の操作訓練
②目標:洗濯物が干せるようになる
 訓練:立位バランス訓練、洗濯物干し訓練
など

趣味・余暇活動に対するプログラム
①目標:パソコンを使用して孫と会話ができるようになる
 訓練:パソコンの操作訓練、キーボードの操作訓練
②目標:自宅で園芸活動ができるようになる
 訓練:不整地歩行訓練、耐久性訓練、スコップの操作訓練
③目標:カラオケで1曲歌えるようになる
 訓練:座位耐久性訓練、体幹トレーニング
など

社会参加に対するプログラム
①目標:地域のゲートボール大会に参加できるようになる
 訓練:立位バランス訓練、歩行耐久性訓練
②目標:友人と食事会に参加できるようになる
 訓練:公共交通機関の利用訓練、屋外歩行訓練
など

まとめ

今回は、これから初めて個別機能訓練加算Ⅱを算定するデイサービスの方に、個別機能訓練加算Ⅱの算定要件や機能訓練に必要な評価、問題点の抽出、目標設定、プログラム立案までまとめてご紹介しました。

個別機能訓練加算は、ご高齢者の自立を支援するための加算であり、近年の介護報酬改定でも高齢者の自立支援につながる機能訓練を提供している事業所を積極的に評価していくインセンティブ制度(ADL維持等加算)を設けています。

安定したデイサービス経営をするための必要条件となりつつある個別機能訓練加算について、今回の記事がみなさまの参考になれば幸いです。

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著者プロフィール

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大屋 祐貴

リハビリ専門職(作業療法士)として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーションを技術を高めるため研修会を立ち上げ、これまでに100名規模の研修会も開催された。現在は、「職種を越えたリハビリ介護を実現する」をテーマに、リハプランの専属ブロガーとして活躍中。作業療法士の専門性を活かして、介護事業所で算定できる加算・減算の中でも「個別機能訓練加算」について算定要件や計画書の書き方、機能訓練プログラムについて執筆している。

〜筆者の想い〜
通所介護事業所(デイサービス)の約8割は、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が不在のため、看護師や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練を実施しているのが現状です。機能訓練指導員が、高齢者にあった最適な運動を提供するために必要なノウハウをわかりやすく解説します。

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