個別機能訓練加算Ⅰの算定要件からプログラムを事例で学ぶ!

個別機能訓練加算Ⅰは、本人が主体的に選択できるよう、複数の運動プログラムを提供することが義務づけられています。そのため、一人ひとりに合った運動を複数作るのは大変と感じる方も多いのではないでしょうか?そこで今回は、個別機能訓練加算Ⅰの算定要件から機能訓練プログラムまでをC子さんという事例を通じてご紹介します。

個別機能訓練加算とは

個別機能訓練加算とは、通所介護事業所(デイサービス)において看護職員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師(以下、機能訓練指導員)が、個別機能訓練計画書を作成し、ご利用者様の身体状況に適した訓練を提供した場合に算定することができる加算です。

この計画書では、機能訓練指導員、看護職員、介護職員、生活相談員等が共同して、目標、プログラムの立案、実施時間、実施者などを記載します。もちろん、ご使用者本人からの情報収集やケアマネから頂いたケアプランに則り計画書は作成します。

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個別機能訓練加算Ⅰの算定要件について

個別機能訓練加算Ⅰの算定要件はご利用者様の「身体機能の維持・向上」を目的として機能訓練を実施した場合に、1日につき「46単位」を算定することができます。

この加算では、機能訓練指導員が中心となり、介護職員、生活相談員など複数の職種と共同して個別機能訓練計画書を作成すれば、実施者が介護職員でも算定できます。

 

具体的な個別機能訓練加算Ⅰを算定要件としては、次の基準にすべてに適合することが条件です。

(1)「常勤専従」の理学療法士等を1名以上配置していること

(2)利用者の自立の支援、日常生活の充実を目的とした機能訓練の項目を「複数」計画し、利用者の「心身状況」に応じた訓練を実施していること

(3)機能訓練指導員、看護職員、介護職員、生活相談員、その他の職種の者が共同し、機能訓練計画書を作成、実施していること

(4)3ヶ月に1回以上、利用者やその家族の「居宅を訪問」した上で、その内容を説明し、見直しを行っていること

個別機能訓練加算Ⅱの算定要件について

個別機能訓練加算Ⅱの算定要件は、心身機能への働きかけだけでなく、「ADL」「IADL」「趣味」「社会参加」を目的とした応用訓練を実施した場合に、1日につき「56単位」を算定することができます。

この加算では、同じ生活目標を持つ方であれば「5名程度以下」の小集団として訓練を行っても算定できます。

 

具体的な個別機能訓練加算Ⅱの算定要件については、次の基準にすべてに適合することが条件です。

(1)「専従」の理学療法士等を1名以上配置していること

※但し、非常勤の機能訓練指導員の配置でも算定可。雇用契約等をクリアすれば同法人内で出向や派遣での対応も可。なお看護職員が当該加算に係る機能訓練指導員の職務に従事する場合は、当該職務の時間帯は看護職員としての人員基準の算定に含めないこと。

(2)利用者の「生活機能の維持・向上」し、利用者ごとの心身の状況を重視した個別機能訓練計画を作成していること

※残存する身体機能を活用して生活機能の維持・向上を図り、ご利用者様が住み慣れた環境で可能な限り自立して暮らしが続けれることを目的とする。

(3)個別機能訓練計画に基づき、理学療法士等が利用者の心身の状況に応じた機能訓練を実施していること

(4)3ヶ月に1回以上、利用者やその家族の居宅を訪問した上で、その内容を説明し、見直しを行っていること


▼個別機能訓練加算ⅠとⅡの違いがよくわからない方はいませんか?違いについては以下の記事で詳しくご紹介していますので参考までにぜひ。

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個別機能訓練加算Ⅰを算定するための手順とは

個別機能訓練加算Ⅰを算定するためには、算定要件をクリアしているか確認した上で、各市区町村に届出を申請します。

さらに、サービス利用者の居宅を訪問し、本人やその家族に情報収集を行なった上で個別機能訓練計画書を作成していきます。この計画書は、本人と家族への説明・同意書としても活用されます。

 

個別機能訓練加算Ⅰを算定するまでの流れ

1 個別機能訓練加算の算定要件を確認する
2 届出に必要な書類の準備
3 利用者様の居宅への訪問(担当者会議)
4 個別機能訓練計画書の作成
5 本人・ご家族へ説明・同意
6 個別機能訓練の実施
7 モニタリング・評価の実施
8 実施記録を記載・保管する

 

▼これから初めて個別機能訓練加算Ⅰを算定していく方はこちらの記事がオススメです。

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個別機能訓練加算Ⅰの訓練内容について

個別機能訓練加算Ⅰでは、身体機能への働きかけを中心に、ご利用者様が主体的に「選択できる複数のグループ活動」を用意しなければなりません。しかしながら、様々な障害を持ったご利用者様に複数の機能訓練を準備するのは一苦労ではないでしょうか?

そこで、個別機能訓練加算Ⅰの機能訓練メニューをご紹介します。

個別機能訓練加算Ⅰの機能訓練メニューは、主に「身体機能に直接的に働きかけるプログラム」や「疾患・疾病の維持と予防を行うプログラム」があります。



 

身体機能に対する機能訓練


1)筋力トレーニング

2)ストレッチ(関節可動域)

3)協調性訓練

4)バランス訓練など



疾病・疾患予防に対する機能訓練


1)咀嚼・嚥下訓練

2)呼吸訓練

3)パーキンソン体操

4)関節症予防など

 

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C子さんの事例から個別機能訓練計画書を作成方法しよう!

個別機能訓練加算Ⅰを算定する場合に必要になる「個別機能訓練計画書」はどのように作成すればよいのでしょうか?
個別機能訓練計画書の作成で必須とされている項目は「長期目標」「短期目標」「プログラム内容・実施時間・担当者名・留意点・頻度」です。こちらを記載していくためには、ケアマネからいただくケアプランや本人・ご家族の希望・要望を聴取しておきましょう。

個別機能訓練加算Ⅰを算定した事例紹介

ここで、個別機能訓練加算Ⅰの計画書の記載例としてC子さんの事例をご紹介します。

【事例】
C子さん(86歳)女性。19XX年に左の膝に痛みが出現。20XX年に人工膝関節置換術の手術を受けリハビリにも熱心に取り組んだおかげで杖を使って歩けるようになり、自宅に退院することができました。しかしながら、自宅では運動をする習慣がなく、生活もベッドかリビングが主になっていました。そこで、娘さんがケアマネに相談。デイサービスに通うことになりました。

【ご家族・本人の希望】
ご家族:外に出る機会を作って欲しい。少しでも運動習慣をつけて欲しい。
ご本人:体重が増えてきて膝の違和感が増えてきた。これ以上太りたくない。


このC子さんに、どのような個別機能訓練計画書を書けば良いのでしょうか?
 

個別機能訓練加算Ⅰの計画書の書き方

【長期目標】
運動習慣をつけて膝関節の痛みを予防する


【短期目標】
1. 屋外に行けるようになる

2. 集団体操に参加できるようになる


【プログラム内容】

1. 約50mの屋外歩行訓練
を行う

2. 関節痛予防のために椅子に座ってできるストレッチ体操
を行う


このように運動習慣がないC子さんには、個別機能訓練加算Ⅰとして、簡単に取り組める「ストレッチ」や「屋外の散歩」から始めることをご提案しました。


▼個別機能訓練計画書は、厚生労働省より推奨されたフォーマットがあります。個別機能訓練計画書はこちらからダウンロード下さい。

厚生労働省老健局振興課長「通所介護及び短期入所生活介護における個別機能訓練加算に関する 事務処理手順例及び様式例の提示について」

個別機能訓練加算Ⅰとしてストレッチが重要性な理由とは

C子さんの個別機能訓練加算Ⅰの機能訓練プログラムとして提案した「ストレッチ」には、どのような効果があるのでしょうか?

ご高齢者に限ったことではないですが、運動習慣のない方においては、急に運動を提案しても抵抗があります。まずは、簡単に取り組めるストレッチから「体を動かす習慣」をつけていく必要があります!またストレッチは、「廃用症候群(はいよう)を予防する効果」も期待できます。

 

C子さんの場合は、手術前と比べて自宅での運動量が少なくなったり、運動習慣も乏しくなっています。筋肉を動かす機会が減ることで血行の循環が悪くなったり、筋肉自体が凝り固まってしまうこともあります。そのため個別機能訓練加算Ⅰのプログラムとして「ストレッチ」を提案することで、筋肉の萎縮を予防する効果が期待できます。さらに毎日続けることで、生活習慣病の予防やメタボ、ロコモ、フレイル、サルコペニアの予防にも効果が期待できるのです!

 

個別機能訓練加算Ⅰの訓練メニュー (1)胸・肩のストレッチ

機能訓練メニュー⑴
機能訓練メニュー⑵
 
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ここからは、具体的なC子さんの個別機能訓練加算Ⅰの訓練メニューをご紹介していきます。



C子さんの場合、杖を使用していることもあり椅子に座ってできる安全な体操をご提案します。こちらの2種類の機能訓練メニューは、「肩や胸のストレッチ」をすることで上半身を動かしやすくしていきます。さらに、胸や肩の柔軟性を高めることで着替えや体を洗う、頭を洗うなどの動きをスムーズにすることができます。



【運動のポイント】

1. まずはゆっくりと行いましょう。

2. 可能な範囲で腕を降ろし、胸を広げます。

個別機能訓練加算Ⅰの訓練メニュー (2)背中のストレッチ

機能訓練メニュー⑶
機能訓練メニュー⑷
 

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次に、個別機能訓練加算Ⅰの機能訓練メニューとして「肩や肩甲骨を中心としたストレッチ」をします。こちらの運動も背中や肩甲骨の柔軟性を高めることで姿勢を改善することができます。声を出しながら行うと、発声トレーニングの効果も期待できます。


【運動のポイント】

1. 痛みに応じてゆっくり行います

2. 可能な方は範囲を広げます

3. 肩をすくめたり、背中を丸めたり等の代償動作が入らないように注意します



個別機能訓練加算Ⅰの訓練メニュー (3)腕のエクササイズ

機能訓練メニュー⑸
機能訓練メニュー⑹
 

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続いて、個別機能訓練加算Ⅰの機能訓練メニューとして「腕のエクササイズ」をしていきます。こちらの運動では、手首を内側・外側にリズムよく動かします。腕の動きは食事や整容、着替えなどの様々な日常生活動作に関係します。こちらも合わせて動かしていきましょう。

【運動のポイント】
1. 手首の動きを徐々にスピードアップすると難易度が上がります

2. 足踏み運動を合わせて行うことで脳機能の賦活にも効果が期待できます

個別機能訓練加算Ⅰの訓練メニュー (4)肩のストレッチ

機能訓練メニュー⑺
機能訓練メニュー⑻

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続いての機能訓練メニューは、「肩甲骨や肩の柔軟性を高めるストレッチ」です。

肩の局所的なストレッチというよりも肩の全体をストレッチしていくことができるので運動初心者に導入しやすいエクササイズです。腕ではなく肩を回すように意識しましょう。

【運動のポイント】
1. 大きな円を描くように動かしていきましょう。

個別機能訓練加算Ⅰの訓練メニュー (5)腰のストレッチ

機能訓練メニュー⑼
機能訓練メニュー⑽

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こちらの個別機能訓練加算Ⅰの機能訓練メニューは、体幹の要となる「腰や腹筋群のストレッチ」です。

体幹筋の強化はバランス能力はもちろん、姿勢を保持する力や歩行の安定性、心肺機能の維持・向上に重要な要素となります。しっかりと伸ばしていきましょう。


【運動の注意点】

1. 体幹の捻りは腰に負担がかかるのでご利用者様の既往歴を確認しましょう。

個別機能訓練加算Ⅰの訓練メニュー (6)太もものストレッチ

機能訓練メニュー(11)
機能訓練メニュー(12)

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最後に、こちらの機能訓練メニューは、ハムストリングスといわれる「膝裏の柔軟性と内ももの柔軟性を高めるストレッチ」です。椅子に座った姿勢が長くなるとハムストリングスの柔軟性が低下しやすくなります。また、変形性膝関節症の手術をされたC子さんの場合は、このハムストリングスが硬くなってしまいます。腰痛予防のためにも念入りにストレッチしていきましょう。

【運動のポイント】
1. できる限り膝を伸ばしましょう。

まとめ

今回は、個別機能訓練加算Ⅰの算定要件機能訓練メニューとして「座ってできるストレッチ」をC子さんの事例を通してご紹介しました。

個別機能訓練加算には、その他人も日常生活や家事活動、趣味活動、社会参加の促しを目的にした「個別機能訓練加算Ⅱ」もあります。

 

個別機能訓練加算Ⅱの実践プログラムとしてを詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてみてください。

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個別機能訓練加算Ⅱの算定要件から実践プログラムまで解説します。

最後に筆者より

今回は、C子さんという架空の人物を想定し、書かせていただきました。

個別機能訓練加算はご高齢者の方々を元気にする加算ですので、運動がマンネリ化しないようにしていきたいものです。こちらの記事が個別機能機能訓練加算Ⅰの訓練メニューの参考になれば幸いです。

また、さまざまが病気や怪我を抱えているご高齢者に対して安全で適切な訓練メニューを考えるのは一苦労です。そこでそのような問題を解決すべく弊社では、「職種を超えたリハビリ介護を実現する」というミッションを掲げ、ITを活用して機能訓練メニュー作成するサービスを提案しております。是非、ご興味ありましたら気軽にご連絡ください。あなたの事業所のスタッフの皆様と利用者様にとってより良いサービスをご提案させていただきます。

著者プロフィール

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大屋 祐貴

リハビリ専門職(作業療法士)として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーションを技術を高めるため研修会を立ち上げ、これまでに100名規模の研修会も開催された。現在は、「職種を越えたリハビリ介護を実現する」をテーマに、リハプランの専属ブロガーとして活躍中。作業療法士の専門性を活かして、介護事業所で算定できる加算・減算の中でも「個別機能訓練加算」について算定要件や計画書の書き方、機能訓練プログラムについて執筆している。

〜筆者の想い〜
通所介護事業所(デイサービス)の約8割は、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が不在のため、看護師や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練を実施しているのが現状です。機能訓練指導員が、高齢者にあった最適な運動を提供するために必要なノウハウをわかりやすく解説します。

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