個別機能訓練加算ⅠとⅡの違いとは?7つのポイントをご紹介

個別機能訓練加算には、個別機能訓練加算Ⅰと個別機能訓練加算Ⅱの2種類の加算があります。これらは類似する点が多く、特に個別機能訓練計画書の作成や機能訓練プログラムなどが混乱しやすいのではないでしょうか?そこで今回は、個別機能訓練加算Ⅰと個別機能訓練加算Ⅱの違いを7つのポイントを踏まえて分かりやすくまとめました。個別機能訓練加算の基礎知識として、まずはその違いを理解していきましょう。

個別機能訓練加算ⅠとⅡの違いとは

個別機能訓練加算ⅠとⅡを算定する場合は、それぞれの加算に対してご利用者様に適した目標を明確に立て、個別機能訓練計画書を作成、訓練を提供する必要があります。そこで、今回は個別機能訓練加算ⅠとⅡの違いを7つのポイントとしてわかりやすくをご紹介します。

個別機能訓練加算ⅠとⅡの7つの違いとは

個別機能訓練加算Ⅰの違い
1. 単位数
当該基準に従い1日につき「46単位」を加算することができます。
2. 人員配置
「常勤」の理学療法士等を1名以上配置していることが義務付けられています。
3. 実施者
必ずしも機能訓練指導員が実施する必要はなく、機能訓練指導員の指導のもとであれば他職種のスタッフでも実施することが可能です。
4. 目的
筋力・バランスなどの心身機能の維持・向上を目指すものとする。
5. 訓練の内容
ご利用者様が主体的に選択でき、生活意欲を増進する訓練項目を複数準備します。
6. 実施範囲
人数の規定はなく、複数の「グループ活動」に分かれて実施することが可能です。
7. 実施環境
指定は特になし。
個別機能訓練加算Ⅱの違い
1. 単位数
当該基準に従い1日につき「56単位」を加算することができます。
2. 人員配置
「専従」の理学療法士等を1名以上配置していることが義務付けられています。非常勤の機能訓練指導員の配置でも算定は可能です。また、雇用契約等をクリアすれば同法人内で出向や派遣での対応も可能です。
3. 実施者
機能訓練指導員が直接実施することが義務付けられています。
4.目的
ご利用者様の身体機能を活用して、食事、排泄、更衣などの日常生活活動や調理、洗濯、掃除など家事動作の獲得を目指したり、趣味活動、町内会などの社会参加を目指すものとする。
5. 訓練の内容
目標にした内容の具体的な動作さやそれを模倣した動作を反復した訓練を提供する。
6. 実施範囲
類似の生活目標をもつご利用者であれば「5名程度以下」の小集団(個別対応含む)に対して実施する。概ね週1回以上実施することを目安とする。
7. 実施環境
浴槽、脱衣所、階段、台所など日常生活に必要な設備を整え実用的な訓練も提供すること。

個別機能訓練加算ⅠとⅡの大きな違い 

個別機能訓練加算ⅠとⅡの大きな違いとして単位数があります。個別機能訓練加算Ⅱでは、身体機能を伴う応用動作の獲得を目的としてしているため指導もより難しく、機能訓練指導員が直接指導することが求められています。そのため、個別機能訓練加算Ⅰの単位数に比べ10単位ほど高い算定ができます。

さらに、実施範囲では、個別機能訓練加算Ⅰでは人数の規定はありませんが、個別機能訓練加算Ⅱは、5名程度以下という規定が設けられています。これは同じような悩みを持つご利用者様同士が少人数の集団の中でお互いに励ましあったり、成功体験を共有しながら機能訓練に取り組むことで、日常生活の動作に自信をつけるきっかけを与えたり、困った時の相談相手や心の支えになるようにとの意味が込められています。


個別機能訓練加算ⅠとⅡの双方に機能訓練指導員の配置が必要になりますが、個別機能訓練加算Ⅱでは、筋力や体力などの身体機能だけでなく、日常生活動作などの獲得を目指したより具体的な機能訓練を提供する必要があります。

そのため機能訓練指導員は、日常生活訓練に必要な設備を整えるだけでなく、同じ目標を持つ仲間を集めて機能訓練を提供することも重要な役割となります!


▼個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱの算定要件や計画書の作成方法などについては、別記事でもご紹介していますので詳しくはこちらをご覧ください。

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個別機能訓練加算ⅠとⅡの訓練内容の違いとは

個別機能訓練加算個別機能訓練加算の訓練内容

個別機能訓練加算ⅠとⅡで混乱しやすいポイントの1つに訓練内容があります。

訓練内容は、個別機能訓練計画書のプログラムを立案する上で重要なポイントとなります。個別機能訓練加算ⅠとⅡの違いを理解するためには、この訓練内容の違いも必ず理解しておきましょう。

個別機能訓練加算Ⅰの訓練内容

主に「身体機能に直接的に働きかける訓練」や「疾患・疾病の維持と予防を行う訓練」を提供します。

身体機能に対するプログラム

・筋力トレーニング

・ストレッチ(関節可動域)

・協調性訓練

・バランス訓練 など
疾病・疾患予防に対するプログラム
・咀嚼・嚥下訓練

・呼吸訓練

・パーキンソン体操

・関節症予防 など


個別機能訓練加算Ⅱの訓練内容

個別機能訓練加算Ⅱの訓練内容は、「基本動作訓練」「日常生活動作訓練」「家事動作訓練」「趣味・余暇活動」「社会参加」などの5つ生活目標を達成するための段階的な訓練を提供します。

基本動作に対するプログラム
・寝返り訓練

・起き上がり訓練

・立ち上がり訓練

・床からの立ち上がり訓練など


日常生活動作に対するプログラム

・食事動作訓練:箸や自助具の使用、姿勢保持訓練など
・整容動作訓練:歯磨き、洗顔、髭剃りなど
・排泄動作訓練:ズボンの着脱、排尿コントロール、便座からの立ち上がりなど

・更衣動作訓練:上着・ズボンの着脱動作、衣服の準備など
・入浴動作訓練:洗体、洗髪、浴槽のまたぎ動作など
家事動作に対するプログラム


・掃除動作訓練:立位バランス、掃除機の操作など
・洗濯動作訓練:衣服の取り出し、洗濯物干し動作など

・調理動作訓練:買い物、包丁の使用、火の取り扱い、注意機能、記憶など


趣味・余暇活動に対するプログラム

・囲碁・将棋:長時間の座位保持、手指の巧緻性、認知機能や記憶など
・編み物・手工芸:物品の使用、手指の巧緻性、見当識など
・カラオケ:発声、肺活量、姿勢保持、記憶など
・パソコン:パウスの操作、キーボードの操作など
・園芸:不整地での歩行能力、スコップなどの道具操作、見当識など

社会参加に対するプログラム

・町内会の集まりに参加:歩行の耐久性やバランス能力、階段昇降等

・食事会へ参加:
体力やバランス、嚥下など
・社交ダンスに参加:体力やバランス、記憶、反射神経など

 

▶︎個別機能訓練加算Ⅰと個別機能訓練加算Ⅱの具体的な訓練メニューについては下記の記事でご紹介しています。詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

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個別機能訓練加算Ⅰと個別機能訓練加算Ⅱの違いや機能訓練メニューをできるだけ多くご紹介します。


個別機能訓練加算ⅠとⅡの「共通事項」とは

合わせて、個別機能訓練加算ⅠとⅡの共通事項をご紹介します。

個別機能訓練加算の目的

個別機能訓練加算ⅠまたはⅡでは、通所介護(デイサービス)においてご利用者様に住み慣れた地域で在宅生活を継続することができるように、機能訓練指導員(※1)が身体や生活機能の維持または向上を目指し訓練を提供します。

個別機能訓練計画書の作成

個別機能訓練計画書を作成する場合は、ご利用者様の居宅を訪問した上(※2)で、家屋状況やご本人・ご家族の希望を聴取します。また、ケアマネージャからのケアプランに則り計画を作成していきます。その後3月ごとに1回以上、ご利用者様の居宅を訪問した上で、利用者又はその家族に対して、機能訓練の内容と個別機能訓練計画の進捗状況等を説明し、訓練内容の見直し等を行うことが義務付けられています。

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個別機能訓練計画書の書き方について

個別機能訓練計画書を初めて作成する人のための4つの指針をご紹介します。個別機能訓練加算Ⅰと個別機能訓練加算Ⅱを算定するために必要になる個別機能訓練計画書の書き方についてはこちらをご覧ください。

個別機能訓練計画書の記載内容

個別機能訓練加算ⅠとⅡは共に同じ個別機能訓練計画書用紙に訓練内容を記載して構いません。個別機能訓練を実施した際には、次の内容を必須として記録しておくようにしましょう。

 

  • ● 実施時間
  • ● 訓練内容
  • ● 担当者



(※1)機能訓練指導員とは次の資格を持ち、業務に携わっている職員を指します。
● 理学療法士
● 作業療法士
● 言語聴覚士
● 看護師
● 柔道整復師
● あん摩マッサージ指圧師

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(※2)平成27年4月の介護報酬改定により、居宅への訪問が要件として追加されました。居宅訪問でのチェックポイントについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

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個別機能訓練加算ⅠとⅡに関するQ&A

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厚生労働省のQ&Aをもとに個別機能訓練加算ⅠとⅡに関連する注意事項をご紹介します。

【質問1】
個別機能訓練加算ⅠとⅡは並行して行っていいのか。
【回答】
並行して行っても差し支えありません。個別機能訓練加算Ⅰについては、身体機能の向上を目指すことを中心として行われるものですが、個別機能訓練加算Ⅰのみを算定する場合であっても、並行して生活機能の向上を目的とした訓練を実施することを妨げるものではありません。個別機能訓練加算Ⅰを算定している者であっても、別途個別機能訓練加算Ⅱに係る訓練を実施した場合は、同一日であっても個別機能訓練加算Ⅱを算定できますが、この場合にあっては、個別機能訓練加算Ⅰに係る常勤専従の機能訓練指導員は、個別機能訓練加算Ⅱに係る機能訓練指導員として従事することはできず、別に個別機能訓練加算Ⅱに係る機能訓練指導員の配置が必要です。また、それぞれの加算の目的・趣旨が異なることから、それぞれの個別機能訓練計画に基づいた訓練を実施する必要があります。

【質問2】
個別機能訓練加算Ⅰと個別機能訓練加算Ⅱを併算定する場合、1回の居宅訪問でいずれの要件も満たすことになりますか。
【回答】
個別機能訓練加算Ⅰと個別機能訓練加算Ⅱを併算定する場合、それぞれの算定要件である居宅訪問による居宅での生活状況の確認は、それぞれの加算を算定するために別々に行う必要はありません。なお、それぞれの加算で行うべき機能訓練の内容は異なることから、両加算の目的、趣旨の違いを踏まえた上で、個別機能訓練計画を作成する必要があります。

まとめ

個別機能訓練加算

個別機能訓練加算Ⅰと個別機能訓練加算Ⅱの違いはご理解いただけましたか?


平成26年度の個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱのプログラムの提供内容を見ていると「関節可動域訓練」や「筋力増強訓練」「歩行練習」が多くを占めており、本来利用者様の生活機能の維持・向上を目的とする個別機能訓練加算Ⅱとの違いが定かではないことが分かります。

まだまだ通所介護の現場ではこの違いの理解が不十分となっており、市区町村からの実施指導でも指摘があっているようです。

今回の記事を参考に、今のうちから個別機能訓練加算Ⅰと個別機能訓練加算Ⅱの違いをしっかりと理解し、利用者様により良い機能訓練を提供できるように心がけていきましょう!



▼個別機能訓練加算Ⅱのプログラムの立案が難しいと感じている方は合わせてこちらの記事がオススメです。事例を通して個別機能訓練加算Ⅱを学ぶことができますよ。

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個別機能訓練加算の目標としてカラオケの獲得を目指した訓練プログラムを事例を通してご紹介します。

【終わりに筆者より】

平成30年度介護報酬改定では、ご高齢者がその人らしく暮らせる「自立支援」へと大きく舵を切ろうとしています。

介護経営者専門サイト「リハプラン」では、これからも安定的な介護経営を実現するために必要な「個別機能訓練加算」についてのノウハウをご紹介します。個別機能訓練加算の算定にお悩みがあれば、ご気軽にご相談ください。

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著者プロフィール

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大屋 祐貴

リハビリ専門職(作業療法士)として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーションを技術を高めるため研修会を立ち上げ、これまでに100名規模の研修会も開催された。現在は、「職種を越えたリハビリ介護を実現する」をテーマに、リハプランの専属ブロガーとして活躍中。作業療法士の専門性を活かして、介護事業所で算定できる加算・減算の中でも「個別機能訓練加算」について算定要件や計画書の書き方、機能訓練プログラムについて執筆している。

〜筆者の想い〜
通所介護事業所(デイサービス)の約8割は、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が不在のため、看護師や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練を実施しているのが現状です。機能訓練指導員が、高齢者にあった最適な運動を提供するために必要なノウハウをわかりやすく解説します。

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