よくわかる!ADL維持等加算(通所介護)まとめ【2021年介護報酬改定・算定要件】
介護保険法
2022/03/29
介護保険法
個別機能訓練加算
更新日:2022/02/25
これからはじめて個別機能訓練加算Ⅱを算定しようとお考えの方はいませんか?個別機能訓練加算Ⅱとは、専従の機能訓練指導員を配置し、ご高齢者の日常生活活動や家事動作、趣味・余暇活動、社会参加といった目標を個別機能訓練計画書に記載し、機能訓練を行った場合に算定できる加算です。今回は、これから初めて個別機能訓練加算Ⅱを算定するデイサービスの方向けに、算定要件やサービス提供の流れについてまとめてご紹介します。
この記事の目次
個別機能訓練加算Ⅱとは、高齢者が望む豊かな生活が送れるように、日常生活活動(ADL)や家事動作(IADL)、趣味・余暇活動、社会参加といった目標を立案し、その目標達成に必要な機能訓練を提供する高齢者の自立支援のための加算です。
個別機能訓練加算Ⅱの目的は、高齢者が望む豊かな生活が送れるように、「基本動作」「日常生活動作」「家事動作」「趣味・余暇活動」「社会参加」の5つの分野の維持・向上があります。
個別機能訓練加算には、個別機能訓練加算Ⅰと個別機能訓練加算Ⅱの2種類があります。これから初めて個別機能訓練加算Ⅱを算定しようとお考えの方は、個別機能訓練加算ⅠとⅡの違いについても理解しておきましょう。
個別機能訓練加算Ⅱの単位数は、当該基準に従いサービス提供したご利用者に対して1日につき「56単位」を所定単位数に加算することができます。
デイサービスにおける加算・減算の中でも非常に高い単位数となっています。
ここからは、個別機能訓練加算Ⅱを算定するため算定要件についてまとめてご紹介します。特に初めて個別機能訓練加算Ⅱを算定していく場合、以下の算定要件が自社のデイサービスで整っているかどうかを確認しておきましょう。
個別機能訓練加算Ⅱの算定要件 |
---|
1. 単位数 当該基準に従い1日につき「56単位」を加算することができます。 2. 人員配置 「専従」の理学療法士等を1名以上配置していることが義務付けられています。非常勤の機能訓練指導員の配置でも算定は可能です。また、雇用契約等をクリアすれば同法人内で出向や派遣での対応も可能です。 3. 実施者 機能訓練指導員が直接実施することが義務付けられています。 4.目的 利用者様の身体機能を活用して、食事、排泄、更衣などの日常生活活動や調理、洗濯、掃除など家事動作の獲得を目指したり、趣味活動、町内会などの社会参加を目指すものとする。 5. 訓練の内容 目標にした内容の具体的な動作さやそれを模倣した動作を反復した訓練を提供する。 6. 実施範囲 類似の生活目標をもつご利用者であれば「5名程度以下」の小集団(個別対応含む)に対して実施する。概ね週1回以上実施することを目安とする。 7. 実施環境 浴槽、脱衣所、階段、台所など日常生活に必要な設備を整え実用的な訓練も提供すること。 |
個別機能訓練加算Ⅱでは、専従の機能訓練指導員(理学療法士等)を「1名」以上配置していることが必要になります。
※ただし、非常勤の機能訓練指導員の配置でも算定可。なお看護職員が当該加算に係る機能訓練指導員の職務に従事する場合は、当該職務の時間帯は看護職員としての人員基準の算定に含めないこと。
※平成30年度の介護報酬改定より、6ヵ月以上の実務経験を持つ「鍼灸師(はり師・きゅう師)」も機能訓練指導員として働くことが可能
個別機能訓練加算Ⅱを算定するためには、高齢者の生活機能の維持・向上し、利用者ごとの心身の状況を重視した個別機能訓練計画を作成していることが必要になります。
個別機能訓練加算Ⅱを算定するためには、個別機能訓練計画に基づき、理学療法士等が高齢者の心身の状況、生活の状況に応じた機能訓練を実施していることが必要になります。
■基本動作に対するプログラム
■日常生活動作に対するプログラム
■家事動作に対するプログラム
■趣味・余暇活動に対するプログラム
■社会参加に対するプログラム
個別機能訓練加算Ⅱを算定するためには、3ヶ月に1回以上、高齢者やその家族の居宅訪問した上で、その内容を説明し、見直しを行っていることが必要になります。
個別機能訓練加算Ⅱのサービス提供の流れには、大きく5つの手順があります。
高齢者ごとに合わせて目標を設定していくためには、情報収集(評価)が重要です。評価方法には、大きく「生活機能の評価」と「身体機能の評価」があります。
■生活機能の評価
高齢者の生活状況の把握には、上記のアセスメントシートを参考に「ADL」「IADL」「興味関心(してみたいこと)」「課題」「転倒歴(過去1年間)」「本人・家族の希望」を確認する方法があります。さらに、厚生労働省から推奨されている「居宅訪問チェックシート」も活用しやすいアセスメントシートです。
■身体機能の評価
個別機能訓練加算では3ヶ月に1回以上のアセスメント・評価が義務づけられていますが、身体機能の評価として何を指標とするかは義務づけられていません。そこでご紹介するのが身体機能の評価です。
こちらの評価は、日本理学療法士協会ガイドラインでも高齢者の身体機能の評価として信頼性、妥当性がある(推奨グレード分類A)とされています。
理学療法士や作業療法士が中心に評価する内容となりますが、看護師や柔道整復師などの機能訓練指導員でも評価することができます。
評価を踏まえて情報収集が終わったら、情報から問題点の抽出を行い、個別機能訓練計画書を作成していきます。
■問題点の抽出
生活状況と身体機能の評価ができたら、次に「問題点の抽出」を行います。
この問題点の抽出では、「ICF」の表を活用すると「心身機能・構造」「活動」「参加」「環境因子」「個人因子」ごとに問題点を列挙することができるので、活動(ADL・IADL)ができない原因は、身体機能の何に原因があるのか、環境は影響していないかなど総合的に問題点を把握することができるようになります。
次に行う個別機能訓練加算Ⅱの目標設定には、この問題点の抽出が重要な作業になりますので頭の整理として必ず行うことをおすすめします。
■個別機能訓練計画書の作成
問題点の抽出ができたら、次に個別機能訓練計画書の目標設定を行います。個別機能訓練加算Ⅱの目標設定には「長期目標」と「短期目標」があります。
個別機能訓練加算Ⅱの長期目標は、基本的にケアプラン(サービス利用計画書)の目標に則り立案します。また、利用者とその家族の希望は、ケアプラン(サービス利用計画書)の目標とされていますが、「アセスメントシート」や「興味関心チェックシート」から情報収集した内容と相違がある場合は、ケアマネに事前に報告し、変更の依頼をすると良いでしょう。
短期目標は、長期目標を達成するために段階的に必要となる目標を記載します。アセスメントシートや身体機能評価から抽出した問題点をそのまま記載しないように注意しましょう。
個別機能訓練計画書の作成が完了したら、次に利用者またはその家族への説明と同意を行います。説明と同意ができたらサインをいただき、個別機能訓練計画の写しを交付します。
個別機能訓練加算Ⅱでは、個別機能訓練計画書に定めた目標を達成するために必要な機能訓練プログラムを提供する必要があります。ここでは、個別機能訓練加算Ⅱの目標に合わせた機能訓練メニューについてご紹介します。
【基本動作に対する目標と機能訓練メニュー】
など
【日常生活動作に対するプログラム】
など
【家事動作に対するプログラム】
など
【趣味・余暇活動に対するプログラム】
など
【社会参加に対するプログラム】
など
個別機能訓練加算のサービス提供の1~4までの流れは、3か月ごとに1回以上、見直しを行い、個別機能訓練計画を利用者またはその家族に説明・同意を得なければなりません。
その際に、利用者の心身や生活状況に変化がある場合は、計画の見直しが必要となるので理解しておきましょう。
「リハプラン」なら、確かなリハビリに必要な機能が充実! 簡単クリックで評価、計画書、報告書が作成できます!![]() |
---|
今回は、これから初めて個別機能訓練加算Ⅱを算定するデイサービスの方向けに、算定要件やサービス提供の流れについてまとめてご紹介しました。
個別機能訓練加算は、高齢者の自立を支援するための加算であり、近年の介護報酬改定でも高齢者の自立支援につながる機能訓練を提供している事業所を積極的に評価していくインセンティブ制度(ADL維持等加算)を設けています。
安定したデイサービス経営をするための必要条件となりつつある個別機能訓練加算について、今回の記事がみなさまの参考になれば幸いです。
2024年の医療介護同時改定では、団塊世代の高齢化を見据え、自立支援を中心とした科学的介護の実現、そしてアウトカムベースの報酬改定に向けて変化しようとしています。
このような時流だからこそ、より一層利用者さまの自立支援に向けた取り組みが重要になります。しかし、個別機能訓練加算をはじめとした自立支援系の加算やLIFE関連加算の算定は、売上アップも見込めるとはいえ、リハビリ専門職の不在や現場負担の問題で取り組みが難しいと考える事業所も多いのではないでしょうか?
その解決策の1つが「介護現場におけるICTの利用」です。業務効率化の意味合いが強い昨今ですが、厚生労働省の定義では「業務効率化」「サービスの質向上」「利用者の満足度向上」の達成が目的であるとされています。
業務効率化だけでなく、利用者一人ひとりの生活機能の課題を解決する『デイサービス向け「介護リハビリ支援ソフト」』を検討してみませんか?