2018年の介護報酬改定を大予想|サービス別の改定ポイントを解説

2018年には3年ぶりに介護報酬の改定が行われます。前回の改定では、介護報酬の大幅な引き下げが行われた影響もあり、介護事業所の倒産数が過去最多となりましたが、今回の介護報酬改定においても通所介護と訪問介護ではマイナス改定が続きそうです。そこで今回は、2018年の介護報酬改定のポイントを各介護サービスごとにまとめてご紹介します。

2018年の介護報酬改定の注目ポイント

前回の2015年の介護報酬改定では、介護サービス全体で「マイナス2.27%」となっており、すでに痛手をおっている事業所も多いとは思いますが。まもなく行われる2018年の介護報酬改定ではどのような改定が行われるのでしょうか?


2018年の介護報酬改定に向けた議論は、平成29年4月か26日から社会保障審議会の介護給付費分科会で、本格的にスタートしました。この議論は、12月中旬に介護報酬に関する基本的な方針が取りまとめられる予定で、最終的な改定が行われるのは2018年4月です。

介護報酬について財務省の審議会では「引き続き適正化・効率化すべきことは実施しつつ、質の高いサービス提供を促す改定をを検討すべき」としており、この流れは2018年の介護報酬改定でも続くと思われます。

(参考資料)

厚生労働省「平成27年度介護報酬改定について」


そんな2018年度の介護報酬改定では、3つの注目ポイントがあります!

ポイント1|医療・介護報酬のダブル改定

医療と介護の連携がテーマとなり、双方の連携に重きをおき「居宅系サービスを中心に医療連携にかかる加算・基準が充実」「医療リハの算定制限により介護リハへのスムーズな移行」「介護医療院の誕生により介護保険で提供される医療の範囲が拡大」などが議論のテーマとなっている。

ポイント2|重度化防止に向けた科学的介護

自立支援に向けたインセンティブ制度の導入を検討し、自立促進や重度化防止の効果が実証されたケアを提供し、「ADLの改善」や「褥瘡の予防」「排泄にかかる機能の向上」が実現できた場合に加算を行うなどが議論のテーマとなっている。

ポイント3|介護ロボット・ICT活用による評価

介護業務を効率化したり、介護負担を軽減することを目的として、介護ロボットやICTを活用している事業者に対して、「介護報酬や人員基準の緩和する」ことが議論のテーマとなっています。

 

▼介護報酬改定の動向と合わせて介護保険制度の改定の経緯についても学んでおきましょう。詳しくは下記の記事をご覧ください。

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介護報酬のマイナス改定は通所介護と訪問介護!?


2018年の介護報酬改定で一番に注目されるのが、各介護サービスの「基本報酬の改定」ではないでしょうか?


2015年の介護報酬のマイナス改定は、2018年の布石といわれており、2018年の介護報酬改定では、「通所介護」と「訪問介護」がマイナス改定となることが予想されています。


これは、各介護サービスにおける収支差率を見てみる予想ができます。
 
平成27年度の介護報酬のマイナス改定によって、介護サービス事業全体の平均収支差率は「約4%」だったのに対して、居宅サービスの中でも、訪問介護は「5.5%」、通所介護は「6.3%」と収支率が高いのが現状です。
平成27年度に小規模型通所介護(デイサービス)の大幅なマイナス改定が行われましたが、介護サービス全体からみると依然として高い収支率を維持しているのです。



これらのことから平成30年度の介護報酬改定では、「訪問介護」と「通所介護」が中心にマイナス査定となる可能性考えられます。

(参考資料)

厚生労働省 「資料1 平成28年度介護事業経営概況調査結果のポイント」

ちなみに、これまでその他の介護サービスもマイナス改定の見込みでしたが、「2015年のマイナス改定による事業所の経営悪化」「介護スタッフの人手不足」「関係団体による署名活動」の影響により、政府はその他の介護サービスの介護報酬は「若干の引き上げる」方向で調整を続けています(2017年12月の時点)。

通所介護(デイサービス)の介護報酬改定のポイント

では、ここからは各介護サービスにおける2018年度の介護報酬改定のポイントをご紹介していきます。


まず、通所介護の介護報酬改定のポイントは「機能訓練」と「評価」です!


財務省は、介護サービス全体から見ると通所介護の収支差率は「6.3%」と高い割合にあると指摘し、引き続き適正化・効率化が必要としています。また、規模が小さい事業所ほど個別機能訓練加算の取得率が低くなる一方で、サービス提供あたりの単価数は高くなる傾向になることを指摘しており、機能訓練などに力を入れていない事業所に対して基本報酬の減算措置などが提案されています。


さらに、要介護度やADLを改善させた通所介護事業所の報酬を引き上げる「インセンティブ制度」を設けていく方針を決めており、厚生労働省(平成29年11月29日)は審議会において、高齢者の自立支援や重度化防止につながる取り組みとして、バーセルインデックス(Barthel Index)を活用したアウトカム評価の導入を平成30年度から通所介護の報酬の多寡に反映させる方針を固めています。


加えて、ほどんど算定されていなかった栄養改善加算の要件を緩和し、外部の管理栄養士と連携する形でも取得できるようにすると方針を固めており、BMI(体格指数)や体重の変化、食事の摂取量などを定期的にチェックしてスクリーニングすることも新たに評価していく方針です。
 

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平成30年度の通所介護の介護報酬改定について、厚生労働省や各団体が現在どのように考えているか詳しく見てみませんか?議論の内容については以下の記事で詳しく解説しています。興味がある方はぜひご覧ください。

通所・訪問リハビリの介護報酬改定のポイント

医療・介護報酬のダブル改定の影響を大きく受けるのが通所リハビリ・訪問リハビリです。


2018年の通所リハビリ・訪問リハビリの介護報酬改定では、「医療機関が介護保険によるリハビリを提供する場合はさらに基準を緩和」「医療職との情報共有や早期の介入に対応できるだけのリハビリ専門職の配置・時間区分の見直し」「リハビリテーションマネジメント加算の見直し」などが議論されています。


厚生労働省(平成29年11月8日)は審議会において、2015年度の介護報酬の目玉となった通所リハビリ・訪問リハビリのリハビリテーションマネジメント加算を見直し、「一部要件を緩和」「評価を細分化」することを提案しています。

具体的には、リハビリテーションマネジメント加算(II)において「医師の会議の参加はICTを活用しても構わない」「医師の指示を受けたPT、OT、STが、計画の内容などを利用者・家族へ説明することを認めるが、単価を引き下げる」などが議論されています。
 
また、国が推奨している科学的介護の実現に向けてデータ収集システム(VISIT)を通じて、データ入力に協力すれば、より高い対価を支払う考えも示されている。
 

2018年の介護報酬改定で介護報酬の適正化の対象となった場合は、リハビリテーションマネジメント加算を取得しなければ通所リハビリ・訪問リハビリの経営は厳しくなるでしょう。

(参考資料)

厚生労働省「リハビリテーションマネジメント加算等に関する基本的な考え方並びにリハビリテーション計画書等の事務処理手順及び様式例の提示について」

訪問介護・訪問看護の介護報酬改定のポイント

2018年の訪問介護の介護報酬改定のポイントは「基本報酬の引き下げ」と「資格要件の緩和」です!


財務省は、介護サービス全体からみると訪問介護の収支差率は「5.5%」と高い割合にあると指摘し、引き続き適正化・効率化を指摘しています。さらに、生活援助における資格要件を緩和することも議論されています。


訪問看護の介護報酬改定では、2015年に新設された看護体制強化加算を算定できている事業所が「10%程度」のため、この加算を多様化して取得しやすい区分あるいは、より高い加算区分を設けるなどが考えられます。

さらに、注目されているのが訪問看護からのリハビリの提供が制限がかかる可能性があるという点です。

訪問看護ステーションにおいては、中重度者対応の強化を図る国の重点化策を考えると、2018年の介護報酬改定においても基本報酬は現状を維持できる可能性が高いと思われます。

(参考資料)

厚生労働省「第150回社会保障審議会介護給付費分科会資料」

短期入所生活介護の介護報酬改定のポイント

2018年度の短期入所生活介護の介護報酬改定のポイントは「個別機能訓練の提供」と「医療連携強化加算」です!


短期入所生活介護では、2015年の介護報酬改定で基本報酬が引き下げられた上、長期間の利用者へのサービス提供がマイナス30単位となりました。

一方で、個別機能訓練加算(56単位)と医療連携強化加算(58単位)が新設されました。


短期入所生活介護における介護報酬改定では、短期入所生活介護の加算・減算をさらに拡充して国の政策に沿った自立支援の強化や重い療養ニーズの受け入れなど、質の高いサービスの促進を図ることが重要になります。


さらに、厚生労働省(平成29年11月29日)は審議会において、見守り機器を導入している特養・短期入所生活介護(ショートステイ)を対象に、加算の要件を緩和して取りやすくすることなどが議論されています。

(参考資料)

厚生労働省「第151回社会保障審議会介護給付費分科会資料」

特別養護老人ホームの介護報酬改定のポイント

特養の介護報酬改定

特養における2018年の介護報酬改定のポイントは「看取りの体制づくり」と「褥瘡予防や排泄介助でのインセンティブ制度の設立」です。

 

まず、特養の看取りの体制づくりにおいては、重度化した入居者様のフォローできる配置医師の積極的な関わりや外部の医師、歯科医師、薬剤師、看護師が関わりやすい報酬体系が議論されています。

これは、2015年の改定で「新規の入所要件が原則要介護3以上」となり、「看取り体制にかかる加算が手厚く」なったものの、今後入居者が重度化してしまうことが予想されるための施策といえます。

 

次に、特養において「褥瘡の予防」と「排泄」に関わる機能の向上を目的として多職種で計画を作り、それに沿って適切なサービス提供をしている事業所に高い対価を支払う「インセンティブ制度」を設けることが議論されています。

具体的には、3ヵ月に1度以上モニタリング指標を用いて個々のリスクをチェックすることなどを新たな評価の要件にすると説明しています。

これらは国が推奨している「自立支援介護」につながるサービスを提供するための施策で、特養だけでなく、老健も対象とする方針です。

(参考資料)

第153回社会保障審議会介護給付費分科会資料

有料老人ホーム・サ高住の介護報酬改定のポイント

有料の介護報酬改定

有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)における2018年度の介護報酬改定のポイントは「過剰サービスの規制」です。

 

有料老人ロームやサ高住では、財務省から「建物の設置者と同じ法人のサービスを入居者に強要している」「支援限度額ギリギリまでの過剰なサービス提供がされている」などの指摘があっています。

そのため今回の改定では、居宅サービスなどの報酬・運営基準改定でも「入居者に対するケアプランの点検を強化する」など何らかの規制が定めるよう議論されています。

福祉用具貸与の介護報酬改定のポイント

福祉用具の介護報酬改定

福祉用具貸与における2018年度の介護報酬改定のポイントは、以下の4つです。

 

(1)平均貸与をホームページで公表する

国が商品ごとに全国平均貸与価格を把握し、ホームページなどを通じて公表する

(2)福祉用具専門相談員が機能や価格帯の異なる複数の商品を提示する

利用者の1つのニーズに対して福祉用具専門相談員が機能や価格帯の異なる複数の商品を提示する

(3)福祉用具専門相談員が商品の特徴、価格などを利用者に説明する

(4)平均貸与価格をもとに上限額を設置

 

これらは、相場より高額なレンタル価格の取引ができない仕組みをつくるために設けられ、2018年の4月と10月より開始する予定となっています。

 介護報酬改定の今後のスケジュール

改定率決定 2017年12月下旬
諮問~答申 2018年1月中旬以降
単位や要件など公表(官報告示) 2018年3月上旬
厚労省改定Q&A:平成30年3月下旬 2018年3月下旬

 

まとめ

2016年度の時点で、日本の社会保障給付費は「約118兆円」を上回っており、国民医療費は「約40兆円超」、介護保険給付費は「約10兆円」となっています。

2025年には「団塊の世代」が75歳以上を迎え、超高齢化率が急速に高まり、国民医療費「約60兆円」、介護保険給付費は「約21兆円」に膨らむ予測です。

 

このような中、2015年の介護報酬改定では9年ぶりの介護報酬のマイナス改定となり、介護事業所の倒産件数は、2015年は「76件」、2016年は「108件」と過去最多数となっています。

 

しかしながら、2018年の介護報酬改定では、さらに厳しい制度が設けれることが予想されます。

介護経営も厳しくなる時代だからこそ、ご高齢者の自立支援を応援する仕組みづくりをしていきませんか?
 

最後に筆者より

リハプランでは、今回ご紹介した「2018年度の介護報酬改定の動向」以外にも国の方針でもある「自立支援」を応援する個別機能訓練加算について算定要件から訓練メニューなどをご紹介しています。介護現場の機能訓練に困ったらご気軽にご相談ください。

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著者プロフィール

author

藤本 卓

作業療法士として大手救急病院に入職。救急医療や訪問リハビリ、回復期リハビリテーション病院の管理職として従事。現在は、通所介護事業所(デイサービス)を中心に介護の経営および現場指導に取り組んでいる。作業療法士、呼吸療法認定士、住環境福祉コーディネーター1級、メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種、生活習慣病アドバイザーの専門的な資格を生かし、高い技術を介護現場に普及している。機能特化型デイサービスでは、2ヶ月で「稼働率72%から95%に」アップさせた実績の持ち主。

〜筆者の想い〜
平成27年度の介護報酬マイナス改定から介護保険制度は大きく変化しようとしています。特に、平成30年度の介護報酬改定後は、行政の実地指導・監査が厳しくなることが予想されます。そこで、介護経営の基本となる「介護保険法」と「介護サービスの種類」「介護報酬改定の動向」について解説します。

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