通所介護のADL維持等加算とは 算定要件や申請届出のポイント

ADL維持等加算とは、バーセルインデックス(BI)を用いて一定レベルのADLの維持・改善につながったご利用者様が多いことが算定要件になっている通所介護事業所(デイサービス)を評価するインセンティブ加算です。BI値の報告先は国保連で、報告方法はレセプトの摘要欄に記載です。本稿では平成30年介護報酬改定で新設されたADL維持等加算の算定要件から申請届出までの流れ、厚生労働省のQ&Aまでまとめてご紹介します。

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ADL維持等加算とは

ADL維持等加算とは

ADL維持等加算とは、ADLを維持・改善させた通所介護(デイサービス)の報酬を引き上げるインセンティブ制度です。ADL維持等加算の評価には、バーセルインデックス(BI)を活用しアウトカムを出します。

ADLを達成できればご利用者様から「3単位」または「6単位」を算定することができます。

【画像出典】

厚生労働省 社保審-介護給付費分科会 第158回(H30.1.26)「平成30年度介護報酬改定の主な事項について」

ADL維持等加算の申請届出について

ADL維持等加算の申出については、申し出た年においては、申出の日の属する月から同年12月までの期間を評価対象期間とするため、評価対象利用開始月から起算して6ヶ月を確保するためには、平成30 年7月までに申出を行う必要があります。

例えば、東京都の申出の場合だと、平成30年7月15日とされています。

東京都【通所介護】H31年度ADL維持等加算算定に係る必要書類と提出時期について

ADL維持等加算の算定要件の考え方について

厚労省は今回の解釈通知で、「提出されたデータは国民の健康の保持増進などに資するため適宜活用される」と記載しており、「科学的介護」の展開などにつなげていく考えを改めて明示しています。

 BI を⽤いたアウトカム評価やその改善度を評価する取り組みは厚⽣労働省においても試験運⽤であり、単位数も⼗分とは⾔い難いです。しかし、ご利⽤者様の⽣活課題改善やQOL 改善に間違いなくポジティブであり、国としても「⾃⽴⽀援」に対するアウトカムを求めていることがわかります。

リハ職不在の事業所においても、このBI での評価を通所介護事業所に導⼊することで、通所介護事業所のサービスの質を透明化し、マネジメントし、徹底した運営を⾏うことで評価に値する事業所であることを周知することもできる。

ADL維持等加算の単位数(点数)について

ADL維持等加算の単位数(点数)について

平成30年度の介護報酬改定より通所介護ADL維持等加算は、「ADL維持等加算Ⅰ」と「ADL維持等加算Ⅱ」の2種類があります。

 

  ADL維持等加算Ⅰ ADL維持等加算Ⅱ
点数

1ヶ月あたり3単位

1ヶ月あたり6単位

内容

平成30年度4月から3月までの1年間に、算定要件を満たした場合は、通所介護サービスをご利用中の全ての方を対象に「ADL維持等加算Ⅰ=3単位」の加算が得られます。

 

評価期間の終了後にもバーセルインデックスを測定、報告した場合は、「ADL維持等加算Ⅱ=6単位」の加算が得られることとしています。

※いずれか一方のみ算定が可能です。

対象事業所

平成30年度の介護報酬改定にて新設されたADL維持等加算を算定できる介護サービスはどこか知っていますか?

ADL維持等加算の対象事業所

通所介護(デイサービス)

地域密着型通所介護(デイサービス)

ADL維持等加算の算定要件について

ADL維持等加算の算定要件について

ADL維持等加算の算定要件は、通所介護(デイサービス・地域密着型介護)のご利用者全員に、評価期間(前々年度の1月から12月までの1年間)終了後の4月から3月までの1年間に、以下の要件を満たしたものが算定することが認められています。

利用者数

20名以上であること

利用者の対象

1年間の評価対象利用期間の最初の月において要介護度が3、4または5である利用者が15%以上含まれること。

1年間の評価対象利用期間の最初の月の時点で、初回の要介護・要支援認定があった月から起算して12月以内であった者が15%以下であること。

評価期間

1年間の評価対象利用期間の最初の月と、当該最初の月から起算して6月目に、事業所の個別機能訓練指導員がバーセルインデックスを測定しており、Barthel Indexの結果がそれぞれの月に報告されている者が90%以上であること

BI利得

BI利得(最初の月のBarthel Indexを「事前BI」、6月目のBarthel Indexを「事後BI」、事後BIから事前BIを控除したものを「BI利得」という。)が上位85%(端数切り上げ)の者について、各々のBI利得が0より大きければ1、0より小さけれ ば-1、0ならば0として合計したものが、0以上であること。

【参考資料】

厚生労働省老健局振興課長老人保健課長「ADL維持等加算に関する事務処理手順及び様式例について」

評価方法(バーセルインデックスの評価用紙と採点)

バーセルインデックスの評価用紙

ADL維持等加算のアウトカム指標にはバーセルインデックス(BI;Baethel Index)を活用することが決まっています。

バーセルインデックスとは、ご利用者様の食事や着替えなどの日常生活(ADL)の能力を把握するための評価です。全10項目を「0点・5点・10点・15点」で採点し、100点満点となります。

バーセルインデックスのそれぞれの評価項目の採点方法については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。これから初めてADL維持等加算を算定しようとお考えの方はこちらをご覧ください。

【関連記事】

バーセルインデックス(BI)の評価と採点方法で知っておきたい基礎知識

ADL維持等加算の注意点について

ADL維持等加算の注意点について

ADL維持等加算を算定する場合の注意点について、詳しくご紹介します。

注1)評価が複数ある場合には最初の月が最も早いものとする。

注2)評価対象利用期間中、5時間以上の通所介護費の算定回数が5時間未満の通所介護費の算定回数を上回るものに限る。

注3)ADLの評価にあたり、食事、車椅子からベッドへの移動、整容、トイレ動作、入浴、歩行、階段昇降、着替え、排便コントロール、排尿コントロール の計10項目を5点刻みで点数化し、その合計点を100点満点として評価するものとする。

注4)最初の月のBarthel Indexを「事前BI」、6月目のBarthel Indexを「事後BI」、事後BIから事前BIを控除したものを「BI利得」という。

注5)端数は切り上げとする

ADL維持等加算の届出の流れ(平成30年度に算定する場合)

ADL維持等加算の届出の流れ

平成30年度にADL維持等加算を届出する場合を具体的に説明します。

届出の流れ

【事業所】

1)ADL維持等加算の体制届出の申請をする

【指定権者】

2)ADL維持等加算を算定可能か判断し、事業所台帳へ登録をする

※当該加算の要件を全て満たしているかどうか、1)の書面を基に判断する。 

3)事業所台帳 データを連携する

※1)におけるADL維持等加算の体制届出が「あり」であっても2)の結果により、 3)の国保連合会に連携される台帳データでは「なし」となることも想定される。 

【国保連合会】

4)事業所台帳データを登録する

【事業所】

5)通所介護費(ADL維持等加算含む)を請求する

【国保連合会】

6)審査する

7)審査結果を事業所へ返却する 

ADL維持等加算の年間スケジュール 

ADL維持等加算の年間スケジュール

これらの事業手続きの流れを終えた後に、平成31年度4月より介護事業所は、ADL維持等加算を算定することができます。

 

つまり、平成30年度4月~12月の評価期間にバーセルインデックスをふまえた算定要件を満たした事業所が、平成31年度4月よりADL維持等加算を算定することができるということです。

厚生労働省「ADL維持等加算に関する事務処理手順及び様式例について 」

平成30年度5月31日アクセス

バーセルインデックスのBI値の報告先は国保連

バーセルインデックス(BI値)を介護給付費摘要欄に記載し報告

機能訓練指導員が利用者に個別にバーセルインデックスを測定して求めたADL値の提出は、評価対象期間において連続して6月利用した期間(複数ある場合には最初の月が最も早いもの)の最初の月と、当該最初の月から起算して6月目に、事業所の機能訓練指導員がバーセルインデックスを測定した結果をそれぞれの月のサービス本体報酬の介護給付費明細書の摘要欄に記載することによって行います。

摘要欄へのバーセルインデックスの値(BI値)の報告記載例

摘要欄への記載例としては、利用者に個別に評価したバーセルインデックスの値が75点だった場合 75 と記載とされています。

サテライト事業所である場合には、 ST/75 と記載とされています。

記載方法については、指定事業者に確認することをお勧めします。

 

【関連記事】

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ADL維持等加算のQ&Aについて(厚生労働省より)

ADL維持等加算のQ&Aについて(厚生労働省より)

ここでは、通所介護で新設されたADL維持等加算について、厚生労働省より報告されているQ&Aについて、まとめてご紹介します。

 

(問)

平成30年度の ADL 維持等加算の算定の可否を判断する場合、平成29年1月 から12月が評価対象期間となるが、この時期に、加算を算定しようとする指定通所 介護事業所が指定介護予防通所介護事業所と一体的に運営されていた場合、指定居宅 サービス基準第 16 条の2イ(1)の「利用者」には、当該指定介護予防通所介護事 業所の利用者も含まれるか。 

(答) 

含まれない。本件加算は、指定通所介護及び指定地域密着型通所介護が対象である。 なお、指定居宅サービス基準第 16 条の2イ(3)に「要支援認定」とあるのは、「利 用者」に要支援者を含むとの意味ではなく、初回の要支援認定の後、評価対象利用開 始月までの間に要介護認定を受ける場合を想定したものである。

(問)

ADL 維持等加算について、評価対象利用期間は指定通所介護事業所又は指定地域 密着型通所介護事業所を連続して6月以上利用した期間とされているが、1)この「連 19 続して利用」とは、毎月1度以上利用していることを指すのか。2)この「連続して 6月以上利用」は評価対象期間内である必要があるのか。3)6月より多く連続して 利用している場合、当該連続しているすべての月を評価対象利用期間とするのか。

(答) 

1)貴見のとおりである。 2)貴見のとおりである。評価対象利用期間は、評価対象期間の一部であることを想 定している。つまり、その最初の月から最後の月まで、評価対象期間に含まれてい る必要がある。 3)連続しているすべての月ではなく、その中に最初の月が最も早い6月の期間を評 価対象利用期間とする。例えば、2月から11月まで連続利用がある場合は、2月 から11月までではなく、2月から7月までを評価対象利用期間とする。

(問)

ADL 維持等加算(Ⅰ)及び(Ⅱ)は、算定しようとする月の5時間未満の通所介 護の算定回数が5時間以上の通所介護の算定回数以上の利用者でも算定できるのか。 

(答) 

できる。

【参考資料】

厚生労働省「平成 30 年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)」 (平成 30 年3月 23 日) 

 

さらに、平成30年5月29日「平成30年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.4)」が通達されました。こちらでもADL維持等加算のQ&Aについてご報告されています。

(問)

平成31年度からADL維持等加算を算定する場合、申出はいつまでに行う必要があ るか。 

(答) 

申し出た年においては、申出の日の属する月から同年12月までの期間を評価対象期間とするため、評価対象利用開始月から起算して6ヶ月を確保するためには、平成30年7月までに申出を行う必要がある。

【引用】

公益社団法人 全国老人保健施設協会

厚生労働省老健局高齢者支援課「平成30 年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.4)(平成30年5月29日)の送付について」

まとめ

今回は、平成30年度の介護報酬改定にて新設された、ADL維持等加算の算定要件単位数注意点、届出、評価期間についてまとめてご紹介しました。

こちらの加算の評価対象となるのは、通所介護サービスを6ヵ月以上続けて利用したご利用者様です。つまり、ADL維持等加算では、6ヵ月間以上バーセルインデックスが測定できるかが重要になってきます。

 

3単位または6単位というまだまだ少ない報酬額ですが、介護サービス全体の基本報酬がマイナスに向かっている中で、インセンティブ評価として「ADL維持等加算」が新設されたのには、通所介護(デイサービス)においても結果が求められる時代が到来していると考えられるのではないでしょうか。

ご高齢者の「自立支援」に取り組むデイサービスが運営できるように、さまざまな加算・減算について一緒に学んで行きましょう!

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加算の基礎知識

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栄養スクリーニング加算とは【新設加算】

個別機能訓練加算とは

口腔機能向上加算とは

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入浴介助加算とは

介護職員処遇改善加算とは

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若年性認知症利用者受入加算とは

認知症加算と中重度者ケア体制加算の違いとは

特定地域加算と中山間地域等に居住する方へのサービス提供加算とは

延長加算とは

運動器機能向上加算とは

● 通所介護の加算・減算の種類

減算の基礎知識

通所介護の送迎減算について

人員基準欠如減算について

定員超過利用減算とは

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著者プロフィール

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リハビリ専門職(作業療法士)として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーションを技術を高めるため研修会を立ち上げ、これまでに100名規模の研修会も開催された。現在は、「職種を越えたリハビリ介護を実現する」をテーマに、リハプランの専属ブロガーとして活躍中。作業療法士の専門性を活かして、介護事業所で算定できる加算・減算の中でも「個別機能訓練加算」について算定要件や計画書の書き方、機能訓練プログラムについて執筆している。

〜筆者の想い〜
通所介護事業所(デイサービス)の約8割は、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が不在のため、看護師や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練を実施しているのが現状です。機能訓練指導員が、高齢者にあった最適な運動を提供するために必要なノウハウをわかりやすく解説します。

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