バーセルインデックスの評価と採点で知っておきたい基礎知識【総論】

ADLを評価するバーセルインデックス(BI:Barthel Index)の評価項目や採点方法がわからない方はいませんか?バーセルインデックスは、日常生活動作を把握するための評価で、全10項目を100点満点で採点します。平成30年度の介護報酬改定では、通所介護のアウトカム評価指標としても活用されるバーセルインデックスについて、評価の特徴から評価項目、採点方法までかんたんに解説します。

バーセルインデックスとは

Barthel Index(BI:バーセルインデックス)とは、食事や着替えなどの日常生活の能力を評価する検査方法で、病院や介護現場で活用されています。Barthel Indexの頭文字から「BI」と略されることもあります。

評価項目について

バーセルインデックスの評価項目は、全10項目で構成され、各項目を自立度に応じて15点・10点・5点・0点で採点します。採点方法もかんたんで、100点満点で採点できるので見た目にも分かりやすい評価方法です。

バーセルインデックスでは、本人が日常生活の中で「できるADL」を評価します。

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バーセルインデックスの特徴について

バーセルインデックス(BI:Barthel Index)の評価指標の特徴やメリット、デメリットについて簡単にご紹介します。

特徴

1. 評価項目は、全10項目
2. 「できるADL」を評価する
3. 採点は、各項目を0点〜15点で評価する
4. 満点は100点で、最低点は0点とする
5. 移動・移乗の項目の配点が高い

メリット

1. 採点が簡便で時間がかからない
2. 満点100点のため、分かり易い
3. 世界共通の評価法

デメリット

1. FIMに比べて点数が大まか
2. 細かいADL能力を把握しにくい
3. 採点の根拠が明らかではない

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バーセルインデックスの評価は10項目

ADLを評価するバーセルインデックス(BI:Barthel Index)の項目には、どのようなものがあるのでしょうか?

バーセルインデックスの10つの評価項目


(1)食事


(2)移乗(車椅子からベッドへ) 


(3)整容


(4)トイレ動作


(5)入浴


(6)歩行


(7)階段昇降


(8)着替え


(9)排便コントロール


(10)排尿コントロール

では次章より、バーセルインデックスの各項目の採点方法について詳しく解説していきます。

バーセルインデックスの「食事」の評価・採点方法について

ADLの評価であるバーセルインデックス(BI:Barthel Index)の採点方法は、日常生活の自立度(自立・部分介助・全介助など)に応じて15点・10点・5点・0点で評価され、10項目を100点満点で採点します。こちらでは、「食事」の採点方法について解説します。


 

【食事の採点基準】


◎自立(10点)

・適当な時間内に自分で食事をとって食べることができる。
・自助具を自分で装着して食事を食べることができる。

◎部分介助(5点)

・食べ物を細かく切ってもらうなどの介助が必要となる。
・自助食器など配置して、取りこぼしがないように一部介助が必要となる。

◎
全介助(0点)

・全介助

バーセルインデックスの「移乗」の評価・採点方法について

次に、バーセルインデックス(BI:Barthel Index)の中でも「移乗」の採点方法についてご紹介します。

移乗は、車椅子からベッドに移乗するまでを評価の対象とします。具体的には、車椅子でベッドに近づく、ブレーキをかける、フットレストを上げる、ベッドに乗り移る、ベッドに横になることから、ベッドから起き上がり、ベッドに座る、車椅子に乗り移るまでを評価します。

 

【移乗の採点基準】

◎
自立(15点)

・車椅子またはベッドの移乗が全て自分でできる。

◎
部分介助(10点)

・移乗動作のいずれかに介助が必要だが、あとは自分でできる。

◎部分介助(5点)

・ベッドからの起き上がり座っていることはできるが、乗り移りに介助が必要となる。

◎全介助(0点)

・全介助

バーセルインデックスの「整容」の評価・採点方法について

次に、バーセルインデックス(BI:Barthel Index)の中でも「整容」の採点方法について解説します。整容動作は、手洗い、洗顔、歯磨き、髭剃り、化粧の準備や動作が自分でできるかを「自立」か「全介助」かで評価します。


【整容の採点基準】
◎
自立(5点)

・全ての整容動作が自分でできる。

◎全介助(0点)

・整容動作に介助が必要となる。

バーセルインデックスの「トイレ動作」の評価・採点方法

次に、バーセルインデックス(BI:Barthel Index)の「トイレ動作」の採点方法についてご紹介します。トイレ動作は、トイレの出入り、ズボン・下着の上げ下げ、お尻を拭く、流すなどが自分でできるかを評価します。

 

【トイレ動作の採点基準】


◎自立(10点)

・全てのトイレ動作が自分でできる。
・ポーターブルトイレや尿器を使用して洗浄などもできる。
・手すりや福祉用具を使用しているが自分で全てできる。


◎部分介助(5点) 

・ズボンのお尻の部分を一部介助する必要があるが、その他は自分でできる。
・トイレットペーパーをとってあげる必要があるが、その他は自分でできる。
・バランスが不安定なため、支える程度の介助が必要となる

◎全介助(0点)

・全介助

バーセルインデックスの「入浴」の評価・採点方法について

次に、バーセルインデックス(BI:Barthel Index)の中でも「入浴」の採点方法についてご紹介します。入浴は、浴槽に入る、シャワーを使う、体を洗う、頭を洗うといった動作が自分でできるかを2段階で評価します。

 

【入浴の採点基準】


◎自立(5点)

・全ての入浴動作が自分でできる
・シャワー浴で入浴できる
・浴槽内に自分で入浴できる


◎全介助(0点)

・入浴に介助が必要となる

バーセルインデックスの「歩行」の評価・採点方法について

続いて、バーセルインデックス(BI:Barthel Index)の6つ目の評価項目である「歩行」の採点方法について解説します。歩行の評価では、平地の歩行または車椅子の移動ができるかを4段階で評価します。


【歩行の採点基準】

◎自立(15点)

・見守りまたは介助なしに45m以上歩ける。
・装具、義足、杖、松葉杖、歩行器(車輪付きは除く)を使用して45m以上歩ける。
・装具の場合は、継手のロックが自分できる。


◎部分介助(10点)

・見守りまたはわずかな介助があれば45m以上歩ける


◎部分介助(5点)

・車椅子を自分で操作して45m以上移動ができる
・車椅子で角を曲がること、方向転換、テーブル・ベッド・トイレなどを含めた45m以上の移動ができる

◎全介助(0点)

・歩行または車椅子での移動に全介助が必要となる

バーセルインデックスの「階段昇降」の評価・採点方法について

7つ目のバーセルインデックス(BI:Barthel Index)の評価項目は「階段昇降」です。階段昇降では、階段を安全に昇り降りができるかを3段階で評価します。階段の段数はとくに問われてはいません。

 

【階段昇降の採点基準】


◎自立(10点)

・見守りまたは介助なしで安全に階段の昇降ができる
・手すりや松葉杖、杖を利用して階段の昇降ができる


◎部分介助(5点)

・見守りまたはわずかな介助があれば安全に階段の昇降ができる


◎全介助(0点)

・階段昇降に全介助が必要となる

バーセルインデックスの「着替え」の評価・採点方法について

8つ目のバーセルインデックス(BI:Barthel Index)の評価項目は「着替え」です。着替えでは、上衣・下衣・下着・靴・装具などを着脱できるかを3段階で評価します。

 

【着替えの採点基準】


◎自立(10点)

・全ての衣類や靴、装具やコルセットの着脱ができる。


◎部分介助(5点)

・着替えに介助を必要とするが、作業の半分以上は自分でできる。


◎全介助(0点)

・着替えに全介助が必要となる。

バーセルインデックスの「排便」の評価・採点方法について

9つ目のバーセルインデックス(BI:Barthel Index)の評価項目は「排便コントロール」です。排便コントロールでは、便失禁がないかを3段階で評価します。

 

【排便コントロールの採点基準】


◎自立(10点)

・失禁がなく排便コントロールが可能。
・脊髄損傷者などは坐薬や浣腸を使っても良い。


◎部分介助(5点) 

・坐薬や浣腸に介助が必要となる。
・たまに便失禁がある。


◎全介助(0点)

・常に便失禁がある。


バーセルインデックスの「排尿」の評価・採点方法について

最後に10つ目のバーセルインデックス(BI:Barthel Index)の評価項目である「排尿コントロール」をご紹介します。排尿コントロールでは、失禁がなくおしっこがないかを3段階で評価します。

 

【排尿コントロールの採点基準】


◎自立(10点)

・失禁がなく排尿コントロールが可能。
・脊髄損傷者などは収尿器の着脱や清掃管理ができていること。


◎部分介助(5点) 

・たまに尿器やトイレに行くまで間に合わず尿失禁することがある。
・収尿器の着脱や管理に介助が必要となる。

◎全介助(0点)

・常に尿失禁がある。
・全介助が必要となる。

バーセルインデックスとFIMの具体的な違いとは?

「できるADL」を評価するバーセルインデックス(BI:Barthel Index)の採点方法はご理解いただけましたか?

ADLの評価では「しているADL」であるFIMの評価も忘れてはなりません。両者ともに国際的なADL評価という共通点がありますが、FIMの評価項目は18項目と多く、採点方法が細かく規定されているため病院などのADL評価としてよく活用されています。

 

【FIM評価の特徴】

1. 評価項目は、計18項目
2. しているADLを評価する
3. 採点は、1点〜7点で評価する
4. 満点は126点で、最低点は18点とする
5. コミュニケーション能力と社会的認知能力の認知項目も評価できる

【FIM評価のメリット】

1. 採点方法が細かく規定されている
2. ADLの自立度と介護量を点数で把握することができる
3. 世界共通の評価のため研究や発表の際にデータの集約として活用しやすい

 

BIの評価方法を理解した方は、合わせてFIMの評価方法も覚えておくことをお勧めです。「しているADL」を評価するFIMの評価・採点方法についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

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FIMとは|FIMの評価方法と点数付けに必要な基礎知識【総論】

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バーセルインデックスはどこでよく活用されているのか?

ADLの評価指標として活用されているバーセルインデックス(BI:Barthel Index)とFIMは、どのような現場で活用されているのでしょうか?

厚生労働省(平成27年度)の調査結果を見てみると、バーセルインデックス(BI:Barthel Index)の評価は、介護現場の中でも通所リハの「59,1%」、通所介護の「10,8%」がADLの評価指標として活用されていることが分かります。

一方で、FIMの評価は、通所リハの「14,3%」、通所介護の「9,7%」がADLの評価指標として活用されています。

医療現場では患者様のADL評価は必須となっていますが、介護現場の中でも通所介護(デイサービス)の「27,3%」 しか評価指標を活用できていないのが現状です。

【画像出典】

厚生労働省「リハビリテーションと機能訓練の機能分化とその在り方に関する調査研究事業 報告書」

平成29年10月21日アクセス

バーセルインデックスが通所介護のアウトカム指標になる!?

通所介護(デイサービス)においてバーセルインデックスの評価指標の活用は、まだまだ少ない状態です。 しかしながら、厚生労働省(平成29年11月29日)は審議会において、高齢者の自立支援や重度化防止につながる取り組み「アウトカムの導入」を来年度から通所介護の報酬の多寡に反映させる方針を固めました。

このアウトカム指標には「バーセルインデックス(BI:Barthel Index)」を活用することが決まっています。

平成30年度の介護報酬改定では、このインセンティブ制度を「ADL維持等加算」と名付けられ、ご利用者のADLを維持・改善させた介護事業所には「ADL維持等加算Ⅰは、1ヶ月あたり3単位」「ADL維持等加算Ⅱは、 1ヶ月あたり6単位」の報酬額が与えられます。

【画像出典】

厚生労働省 第153回社会保障審議会介護給付費分科会資料「介護サービスの質の評価・ 自立支援に向けた事業者へのインセンティブ について」

平成29年11月30日アクセス

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平成30年度の介護報酬改定の論点|通所介護の機能訓練に着目して

平成30年度介護報酬改定では、インセンティブ制度や生活機能向上連携加算など、自立支援を本軸に据えた改定となります。こちらではそのポイントを絞ってご紹介致します。

おわりに

今回は、バーセルインデックス(BI:Barthel Index)を初めて評価・採点される方に向けて、全10項目の評価・採点方法をまとめてご紹介しました。

バーセルインデックス(BI:Barthel Index)は、FIMに比べて採点方法が簡易のため評価がしやすく、100点満点でかんたんに評価することができるADL評価です。平成30年度の介護報酬改定でのインセンティブ制度の方針も踏まえて、通所介護(デイサービス)を中心にこれからぜひ活用してみてください。

 

【最後に筆者より】
リハプランでは、今回紹介したバーセルインデックスの評価方法以外にも介護現場で取り組める身体機能評価の方法や計画書の作成方法についてご紹介しています。ぜひその他の評価もご覧ください。

著者プロフィール

author

大屋 祐貴

リハビリ専門職(作業療法士)として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーションを技術を高めるため研修会を立ち上げ、これまでに100名規模の研修会も開催された。現在は、「職種を越えたリハビリ介護を実現する」をテーマに、リハプランの専属ブロガーとして活躍中。作業療法士の専門性を活かして、介護事業所で算定できる加算・減算の中でも「個別機能訓練加算」について算定要件や計画書の書き方、機能訓練プログラムについて執筆している。

〜筆者の想い〜
通所介護事業所(デイサービス)の約8割は、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が不在のため、看護師や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練を実施しているのが現状です。機能訓練指導員が、高齢者にあった最適な運動を提供するために必要なノウハウをわかりやすく解説します。

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