平成30年度の介護報酬改定の論点|通所介護の機能訓練に着目して

来年2018年(平成30年)に介護報酬改定が行われる。この介護報酬改定では、2025年問題と社会保障費の圧迫の問題解決を図るため、大きな改定になることが見込まれている。そんな中、通所介護の介護報酬改定においての論点は「自立支援」のあり方ではないでしょうか?本稿では現在の厚生労働省や各団体が介護報酬改定をどのように考えているかを考察していきます。

平成30年の介護報酬改定と通所介護について

人口変化

2015年度(平成27年)の介護報酬改定にて、通所介護の基本報酬が大幅に下がり、特に小規模デイサービスといわれる事業所では大打撃があったとされます。そのような最中、来年に迫った2018年(平成30年)の介護報酬改定においては、個別機能訓練加算の算定などの加算を取得できない事業所においては、さらなる経営の悪化が起こります。

これは2025年問題と社会保障費の財政難が強く関わっており、日本の超高齢社会の持続可能性を考える上でも、通所介護事業所のあり方を考える上でも、意識して考える必要がありそうです。


では、日本の人口問題について簡単に触れていきましょう。

日本の人口推移

我が国の高齢化は急速に進んでおり、1994年に高齢化率が14%を超え「高齢社会」に突入した。団塊の世代が定年退職を迎えた2007年には21%を超え、諸外国に先駆け「超高齢社会」となった。総務省(2014)によると、2014年時点での高齢者数は3,300万人であり、国立社会保障・人口問題研究所(2012)の日本の将来推計人口によると、今後年々増加し2040年に3900万人弱規模でピークアウトするまで増加基調は続くと見込まれている。

また、同研究所によると、高齢化は都市部で急速に進展するとされており、2005年から2025年までの20年間における高齢者の増加数のうち約60%は東京都、神奈川県、大阪府、埼玉県、愛知県、千葉県、北海道、兵庫県、福岡県の都市部(特に関東圏)で占めるようになると報告されている。この問題解決として日本はCCRC(高齢者を地方に移住させる)などのプロジェクトを行っている。

他方、人口構造の変化のターニングポイントは2025年であり、金の卵として戦後の象徴とされている1947~1949年生まれの「団塊の世代」が75歳以上となる時期である。東京都福祉保健局高齢対策本部(2011)によると、後期高齢者(75歳以上)は前期高齢者(65歳以上~75歳未満)の6.7倍の認定率になると報告し、秋山(2010)は“60代後半から70代前半に加齢による日常生活自立度に変化がみられる”と報告している。

これらの要因もあり、日本は高齢者に対し「介護予防」の取り組みを推進し、かつ地域包括ケアシステムによる段階的な社会システムを構築しようとしているのである。高齢者においても、「元気で老後を暮らしたい」「健康であり続けたい」と思うのは当然であり、国を中心に国民全体でこの問題を考えていかなければならないのです。

通所介護と高齢者

今現在の要介護者と介護保険について見ていこう。
現在、日本の高齢者人口は3,449万人(平成28年9月15日現在推計)で、うち要介護認定を受けている高齢者(65歳以上)は634.3万人で18%の方が受給している。

そのうち3人に1人、約200万人の高齢者が通所介護(デイサービス)を利用しています。かかる状況下で、全国に約43,000事業所(平成27年度)ある通所介護(デイサービス)施設における利用者の約7割は要介護1・2の方であり、日常生活や心身機能の維持向上を図るための機能訓練が求められているのです。


これらの事実から、2018年(平成30年)の介護報酬改定では通所介護の「自立支援」に対する考え方やあり方について、厚生労働省の分科会で検討されているのです。

出典 秋山弘子(2010)「長寿時代の科学と社会の構想,科学」

介護報酬改定における通所介護の機能訓練の動向

厚生労働省は7月3日、都道府県などの介護保険の担当者を都内に集めて政策説明会を開きました。
 

ここでは2018年(平成30年度)の介護報酬改定について取り上げ、利用者の自立支援につながるサービスを積極的に評価していく意思を明確にし、「事業者に対するインセンティブ付与のため、アウトカムなどに応じたメリハリ付けを行う」と報告しています。
 また、エビデンスを重視する「科学的介護」を中期的に実現していく構想も改めて提示し、「介護保険の理念である自立支援・重度化防止をより一層図っていくことが重要」と理解を求めました。
 
こうした大きなうねりの中で通所介護は今後どうなっていくのか考えていく必要があります。

厚生労働省はすでに、機能訓練の強化を次期改定の論点の1つに据える考えを明かしており、審議会などでは「レスパイトのみの事業所は減算を」との声も出ており、今後の大きな焦点となる見通しとなっています。
では具体的にどのような声が出ているかについて、見ていきましょう。

◎財務省
「自立支援・重度化防止に向けたサービスがほとんど行われていない場合には、基本報酬の減算措置も含めた適正化を図るべき」と提言

◎健康保険組合連合会の本多伸行理事
「このままいけば介護の費用はどんどん増えていき、やがて20兆円を超えるだろう。本当に負担していけるのか? 制度を続けられなくなってしまう」と問題を提起し「介護サービスの重要性は分かるが、それを持続させるには給付にメリハリをつけないといけない。しっかり機能訓練を行っていないところは減算する方向を考えるべき」と要請した。

◎日本医師会の鈴木邦彦常任理事
「レスパイトケアのみの事業所は評価を抑え、自立支援の取り組みを評価していくことが必要」と指摘

◎協会けんぽの小林剛理事長
「利用者の社会的孤立の解消や家族負担の軽減という要素も分かるが、制度の持続性を考慮すると機能訓練にリソースを重点化していくべき」と指摘

◎日本看護協会の齋藤訓子副会長
「レスパイトケアも重要だが、介護保険サービスである以上は生活機能の維持・改善に力を入れて欲しい。機能訓練を加算で評価する形が良いのではないか」と述べた

◎民間介護事業推進委員会の稲葉雅之代表委員
「社会的孤立の解消やレスパイトケアだって通所介護の本来の機能。日頃から日常生活圏域に根ざし、その機能をしっかり果たしてくれている事業所も数多く存在する」

◎認知症の人と家族の会の田部井康夫理事
「レスパイトケアがないと家族は介護を続けられなくなる。どうしてレスパイトケアを低く評価するのか、非常に納得がいかない」と抗議。「レスパイトケアは質の高いサービスではない、というように論じるのはどうかやめて欲しい。家族の会としては切にそう願う」


このようにレスパイトケアの重要性は認識しつつ、機能訓練による自立支援の強化を委員の多くは肯定的に捉えているようです。「報酬にメリハリをつけるべき」「リソースを重点化していくべき」こうした意見が続出し、「しっかり機能訓練を行っていないところは減算を」という厳しい意見や主張も飛び出しています。 具体的には既存の「個別機能訓練加算」のさらなる拡充や要件の緩和を提案する委員もいます。

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介護報酬改定に向けた論点|個別機能訓練加算

事業所比較

通所介護については、規模が小さいほど、個別機能訓練加算の取得率が低くなる一方で、サービス提供1回当たりの単位数は高くなる傾向にあり、規模が小さい事業所に通う利用者にとっては、機能訓練などの質の高いサービスを受ける割合が低いにもかかわらず、高い費用を支払う結果となっている。

このような結果を受けて、2018年度(平成30年)の介護報酬改定では、機能訓練などの自立支援・重度化防止に向けた質の高いサービス提供がほとんど行われていないような場合には、事業所の規模にかかわらず、基本報酬の減算措置も含めた介護報酬の適正化を図るべきなどという声が上がっています。

小規模デイサービスが個別機能訓練加算を算定できない、機能訓練を提供できない理由として、機能訓練を提供するスタッフ(機能訓練指導員)の多くが看護師と兼務であることが考えられます。もともと看護学校時代には運動の勉強はしていません。そのため、ご高齢者に適切な運動方法がわからなかったり、機能訓練に必要な計画である個別機能訓練計画書の書き方がわからないといった問題があるようです。

平成30年の介護報酬改定では、リハビリ専門職と連携した機能訓練を実施する通所介護事業所の報酬が手厚くなり、"自立支援"に繋がる介護を充実していく考えとなっています。

理学療法士や作業療法士などリハビリ専門職が不在の通所介護事業所にオススメのサービスに「リハプラン」があります。こちらのサービスは、個別機能訓練加算の算定に必要な「個別機能訓練計画書」がカンタンに作成することができます。さらに、どんな運動をしたらいいのか?などの機能訓練のお悩みをリハビリの専門家がサポートしてくれます。

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個別機能訓練加算を徹底サポートするリハプラン

ご利用者様の自立支援のためにも、スタッフの業務効率化のためにも、事業所の収益アップのためにも個別機能訓練加算は重要な加算。クラウド型介護ソフト「リハプラン」を活用することで、面倒な管理業務を一切無くし、コンプライアンスを意識した計画書の作成が可能になります。

介護報酬改定に向けた論点|通所介護の提供時間

通所介護におけるサービス提供時間区分の見直しは、「3時間以上5時間未満」「5時間以上7時間未満」といった2時間ごとをやめ、来年度から「5時間以上6時間未満」「6時間以上7時間未満」といった1時間ごとに細分化することが決まった。
 

参考資料

平成30年度介護報酬改定に関する審議報告の概要(案)

介護報酬改定に向けた論点|大規模型の基本報酬引き下げで調整

事業所推移

平成30年の介護報酬改定では規模ごとにメリハリをつけ、大規模型の引き下げに踏み切ってはどうか −− このような考えを示し、年末にかけてこの方向で調整を進めていく構えをみせています。
通所介護の基本報酬は大規模型の事業所はスケールメリットが働き、事業規模が大きいほど経営状況は安定しているとされています。

今年度の実態調査によると、利用者1人あたりの管理的経費は通常規模型より11%から12%程度低く、大規模型(I)が7.9%、大規模型(II)が10.0%であると示されています。小規模型(2.0%)や通常規模型(3.4%)、全サービスの平均(3.8%)とは大きく異なっていることがわかります。

平成30年度の介護保険改正のポイント

通所介護における平成30年介護保険改正まで残り3ヶ月となりました。これまでの審議会(厚生労働省)で決まった介護保険改正のポイントについて整理してお伝えします

 生活機能向上連携加算の創設

小規模通所介護事業所でも個別機能訓練加算を算定することができるようになるためにも、国の方針である「自立支援」を推進するためにも、「生活機能向上連携加算」を創設する方針を固めた。

連携先
  1. 1.訪問リハ・通所リハを実施している事業所
  2. 200床未満の医療機関のPT、OT、ST、医師
業務内容 通所介護の職員と協働でアセスメントを行い、個別機能訓練計画を作成する

 心身機能の維持に関するアウトカム評価の創設

利用者のADLを維持・改善させた度合いが一定のレベルを超えている事業所が、その後の一定期間にわたって高い対価を得られるようにする。

指標 Barthel Index(バーセルインデックス)
事業所の条件
  1. 1.要介護3以上が一定割合を超えている
  2. 2.機能訓練に偏ることのないよう、利用者の求めに応じて食事・入浴の介助を行っていることも前提にする。
  3. 3.利用者の人数が一定以上に達しているところのみを対象

 機能訓練指導員の確保の促進

機能訓練指導員の対象資格(PT、OT、ST、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師)に、6ヵ月以上の実務経験を持つはり師・きゅう師を追加となりました。個別機能訓練加算における機能訓練指導員の要件についても、同様の対応となっています。

 栄養改善の取組の推進

栄養改善加算については管理栄養士1名以上の配置が要件から、外部の管理栄養士の実施でも算定を認めることとなりました。管理栄養士以外の介護職員などでも実施可能な栄養スクリーニングを行い、ケアマネジャーに栄養状態に関する情報を文書で共有した場合の評価を創設となります。

 基本報酬のサービス提供時間区分の見直し

通所介護の基本報酬は2時間ごとの設定としているが、事業所のサービス提供時間の実態を踏まえ、サービス提供時間区分を1時間ごとに細分化します。

 大規模通所介護の基本報酬の見直し

通所介護の基本報酬は大規模型の事業所はスケールメリットが働き、事業規模が大きいほど経営状況は安定しているとされ、大規模型の引き下げの考えを示し、調整を進めていく構えをみせています。

 運営推進会議の開催方法の緩和(小規模通所のみ)

現在認められていない複数の事業所の合同開催について、以下の要件を満たす場合に認める。

利用者・家族は匿名とするなど個人情報やプライバシーを保護すること。
同一の日常生活圏域内に所在する事業所であること。

 設備に係る共用の明確化

通所介護と訪問介護が併設されている場合に、利用者へのサービス提供に支障がないようであれば、基準上両方のサービスに規定がある事務室または基準上規定がない玄関、廊下、階段などの設備についても共用が可能としました。その際、併設サービスが訪問介護である場合に限らず、共用が可能であることを明確にし、認知症対応型通所介護では通所介護と同じ時間帯・場所で実施することが禁止されているサービスのみ例外とする。

 共生型通所介護・生活介護

介護保険と障害福祉、どちらかの制度のもとでデイサービスを提供している事業所が希望すれば、基本的に全て共生型サービスの指定を受けられるようになります。介護保険の基準のみを満たす事業所の障害報酬は、現行の基準該当サービスを参考にします。一方で、障害福祉の基準のみを満たす事業所の介護報酬は、65歳を迎えた障害者の介護保険への移行に支障をきたさないように、おおむね障害報酬の水準を担保する。また、生活相談員やサービス管理責任者を配置し、かつ、地域交流や認知症カフェなどを実施している場合に評価する加算を設定するようになります。また、通所介護事業所に係る加算は、各加算の算定要件を満たした場合に算定できるようになります。

平成30年度の介護報酬改定に向けた今後のスケジュール

スケジュール

2018年の介護報酬改定までの今後のスケジュールをご紹介しておきます。それぞれの時期に厚生労働省より議論の内容や案について開示がありますのでみさなんもアンテナを立てて、今後の動向をチェックしておきましょう。

【2017年(平成29年)】
・4月~夏頃:各介護サービス等の主な論点について議論、事業者団体ヒアリング
・秋頃~12月:各介護サービス等の具体的な方向性について議論
・12月中旬:報酬・基準に関する基本的な考え方の整理・取りまとめ
【2018年(平成30年度)政府予算編成】
・1~2月頃:介護報酬改定案 諮問・答申
・3月上旬:単位や要件など公表(官報告示)   
・3月下旬:厚労省改定Q&A          
・4月:介護報酬改定

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これまでの介護保険制度改定の経緯と今後の介護報酬改定の動向

合わせて介護報酬改定に至るまでの経緯について振り返ってみませんか?

まとめ

2018

介護保険が創立して18年目に突入することになりますが、2025年に向け高齢化率が進む日本において、社会保障費をどのようにしたら削減できるかが課題となっています。そのような中で、平成27年度から通所介護の介護報酬もマイナス改定が進んでいます。そのため、介護サービス事業所も今までのやり方での運営を変えていく必要があるのではないでしょうか?

どの介護事業所を運営している方も「人材不足の問題を解決する介護ロボットの活用」「適切な加算の算定」「書類業務にかかる時間を解消するIT(クラウドサービス)の活用」など、時代に合わせて「変化する」ことも重要な要素の一つです。

平成30年度の介護報酬改定まで考えている暇はありません。「収益のアップ」や「業務効率化」に向けて今から取り組んで行きましょう!

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著者プロフィール

author

藤本 卓

作業療法士として大手救急病院に入職。救急医療や訪問リハビリ、回復期リハビリテーション病院の管理職として従事。現在は、通所介護事業所(デイサービス)を中心に介護の経営および現場指導に取り組んでいる。作業療法士、呼吸療法認定士、住環境福祉コーディネーター1級、メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種、生活習慣病アドバイザーの専門的な資格を生かし、高い技術を介護現場に普及している。機能特化型デイサービスでは、2ヶ月で「稼働率72%から95%に」アップさせた実績の持ち主。

〜筆者の想い〜
平成27年度の介護報酬マイナス改定から介護保険制度は大きく変化しようとしています。特に、平成30年度の介護報酬改定後は、行政の実地指導・監査が厳しくなることが予想されます。そこで、介護経営の基本となる「介護保険法」と「介護サービスの種類」「介護報酬改定の動向」について解説します。

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