デイサービススタッフが理解しておくべき「サルコペニア」と「フレイル」について

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更新日:2022/02/24

デイサービス利用者は高齢者であることから、デイサービススタッフはサルコペニアやフレイル、ロコモなどの理解が必要です。そこで今回は「サルコペニア」と「フレイル」にフォーカスをあてて、サルコペニア・フレイルとはどんなものなのか、どういう対策をしていったらいいのかをご説明していきます。

サルコペニアとフレイル

サルコペニアとは、ギリシャ語で「Sarco」・「Penia」の2つを合わせた造語です。サルコは筋肉を意味し、ペニアは喪失や不足を意味します。つまり、サルコペニアは「筋肉の喪失」や「筋肉の不足」を表します。

フレイルとは、高齢者の身体機能や認知機能の低下を表し、「虚弱な状態」を意味します。日本老年医学会が2014年に提唱した概念であり、介護業界では要介護の予備軍として非常に注目を浴びています。

40歳を境に人の筋肉量は減少してきます。そして、高齢になるにつれて筋肉量は減少していき、単純に筋肉量が減少していけば運動機能の低下が起こるため、人は動かなくなっていきます。日常生活で動く機会が減ってきてしまうと生活不活発病という、いわゆる「廃用症候群」が起こってしまいます。

この運動機能低下に加えてうつ病や認知症などの「認知機能の低下」、寝たきり・閉じこもりなどの要素が加わることでフレイルが加速していきます。また、この状態には低栄養の関連性が強いと厚生労働省も発表しています。

脳卒中を始めとする疾病予防の重要性は言うまでもないが、後期高齢者が要介護状態になる原因として無視できないものとして、「認知症」や「転倒」と並んで「高齢による衰弱」がある。「恒例による衰弱」とはまさしく老年医学で言う「虚弱:フレイルティ(frailty)」を含んでおり、低栄養との関連が極めて強い

また、高齢者の身体機能障害のリスク因子、転倒リスク因子として加齢に伴う筋肉の減少、又は老化に伴う筋肉量の減少(以下、サルコペニア)も注目されている。この病態は栄養障害、虚弱(以下、フレイルティ)とも関連が強く、転倒予防や介護予防の観点からも重要である。

引用元:高齢者の低栄養防止・重症化予防等の推進について

サルコペニアとフレイルについてを簡単にまとめると、以下のようなことがポイントになります。

  • 筋肉量の減少及び不足
  • 低栄養
  • 生活不活発病(廃用症候群)
  • 虚弱

より詳しくサルコペニアのことを知りたい方は、下記関連記事をお読みください。
 

【関連記事】
サルコペニアとは 評価方法とご高齢者の栄養・運動の基礎知識

サルコペニアとフレイルを予防するには

サルコペニアとフレイル

サルコペニアは筋肉の減少のため、筋肉を増やすことが必要です。そのためには、まず「栄養をしっかり摂ること」が重要で、特にタンパク質を摂取することが重要視されています。

牛ヒレ肉や豚ヒレ肉などのお肉の摂取や、赤みのマグロやかつお、いわしなどの魚の摂取もタンパク質を多く含む食品として知られています。

栄養がしっかり摂れた上で、次に重要なのが適度な運動を行うことです。

話が少しそれますが、栄養状態が悪い中で運動を行っても全く意味がありません。むしろ逆効果だったりするので、栄養状態が良いということが基本です。このあたりのことは、外部サイトになりますが、以下の記事が非常にまとまっているので参考になると思います。

【関連記事】外部サイトリンク
『リハビリテーション栄養』低栄養でリハビリをしても効果はなく、むしろ逆効果である。
『栄養ケアなくしてリハビリなし』栄養とリハビリテーションについて誰でも分かるように解説します。
 

デイサービスでサルコペニア・フレイルを予防するための体操全集

ここまで説明してきましたが、デイサービス利用者の中にはサルコペニア・フレイルという状態の方が多くいらっしゃいます。

デイサービスで使える体操方法について、弊社理学療法士・作業療法士がまとめていますので、以下の記事を参考に、状況に合わせてうまくご活用していただけると嬉しいです。

まとめ

デイサービススタッフが理解しておくべき「サルコペニアとフレイル」についてご説明しましたが、いかがでしたでしょうか。

デイサービスは通所サービスなので、比較的元気な方も多いと思います。しかしながら、一見元気に見えても実は栄養状態が悪かったりすることもありますし、少なくともサルコペニアの状態の方は非常に多いとご理解ください。

ここで紹介した体操をうまく活用していただけたら幸いです。

ICTの利活用でサービスの質と業務効率を同時に高める

2024年の医療介護同時改定では、団塊世代の高齢化を見据え、自立支援を中心とした科学的介護の実現、そしてアウトカムベースの報酬改定に向けて変化しようとしています。

このような時流だからこそ、より一層利用者さまの自立支援に向けた取り組みが重要になります。しかし、個別機能訓練加算をはじめとした自立支援系の加算やLIFE関連加算の算定は、売上アップも見込めるとはいえ、リハビリ専門職の不在や現場負担の問題で取り組みが難しいと考える事業所も多いのではないでしょうか?

その解決策の1つが「介護現場におけるICTの利用」です。業務効率化の意味合いが強い昨今ですが、厚生労働省の定義では「業務効率化」「サービスの質向上」「利用者の満足度向上」の達成が目的であるとされています。

業務効率化だけでなく、利用者一人ひとりの生活機能の課題を解決する『デイサービス向け「介護リハビリ支援ソフト」』を検討してみませんか?

この記事の著者

作業療法士  大屋 祐貴

作業療法士として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーション技術を高めるために研修会の立ち上げ等を行う。

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