高齢者のリハビリ向けの棒体操をご紹介!

高齢者は加齢とともに全身の筋力が落ちたり、バランス能力が低下することがあります。放っておくと転倒や入院、場合によっては寝たきりになることだってあります。まずは、導入として棒体操などの簡単なリハビリから始めてみてはいかがでしょうか。

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高齢者の棒体操の目的と効果とは

高齢者においても取り組みやすい棒体操。

主な目的は廃用症候群(はいよう)の予防です。廃用症候群とは、本来使えるはずの体を使わないことによって、どんどん体が弱くなってしまう状態をいいます。単に筋肉だけでなく、骨や内臓の機能までも低下し、高齢者を寝たきりの状態にまでしてしまう恐ろしいものです。

私たちスタッフが行う棒体操やリハビリ体操には、これらを防ぐ効果がある立派な活動の一つです。自信を持って取り組んでいただきたいと思います。


今回ご紹介する棒体操は「立ってできる棒体操」と「座ってできる棒体操」の2種類をご紹介します。ご利用者様の能力に合わせて姿勢を選択して取り組んでいただければと思います。

棒体操×立位|上半身編①

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この運動では手首、前腕、上腕、肩、肩甲骨のストレッチやトレーニングにリハビリ効果が期待できます。

高齢者は上半身の動きが悪くなったり、筋力が低下することで、食事・整容・洗体・更衣動作などの日常生活に大きく影響を与えます。簡単な動きではありますが、すべての生活行為に前腕(腕)の動きは非常に重要なため、しっかりと取り組んでいきましょう。

【運動のやり方】
① まずはゆっくりと行います
② 棒の長さはご利用者様の身長や上肢長に合わせて選択しましょう

※肩関節や手関節に対し、ある程度の負荷がかかります。利用者の既往歴や疼痛の評価を行った上で行いましょう。また、紹介している棒体操は立位で行っているものがありますが、座位でも同様ですので、気にせず行って頂いて構いません。

棒体操×立位|上半身編②

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こちらの棒体操は、肘の運動に見えるかもしれませんが、運動のポイントは「肩」です。

実際に試していただけるとわかりますが、この棒体操は肩の内旋(ないせん)外旋(がいせん)という動きになります。ご高齢者や五十肩などがある方は、この運動ができない方が非常に多くなります。肩の痛みの原因としてあげられるものも、この動きが悪くなっている方が非常に多いのも特徴の一つです。

【運動のやり方】
① 棒の中心を持ち、肘を90度の位置に固定します
② 脇を閉じたまま、腕を内側・外側に動かします

ご高齢者の場合、肩の動きが少しでもよくなることで生活の活動範囲が広がったり、自分でできることが多くなります。小さいことの積み重ねを徹底していきましょう。

棒体操×立位|上半身編③

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こちらの棒体操は、上着の着脱動作に重要な肩の柔軟性を高めるストレッチです。

ご利用者様から「最近、肩が回りにくくなった」などとお聞きしませんか?こちらの運動で肩をねじったり、後方へ伸ばすなどの柔軟性を高めていきましょう。

【運動のやり方】
① 棒の両端を持ちます
② 棒を水平にするように意識しながら棒を回します

日常生活の中でも「着替え」は毎日行う行為です。その多くは特に肩の柔軟性が影響します。高齢者の生活状況を想定し、日常生活に必要な基礎トレーニングとして取り組んでみてください。

棒体操×立位|上半身編④

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こちらの棒体操は、ズボンの着脱動作に重要な肩の柔軟性を高めるエクササイズです。

ご高齢者の方がズボンの着脱をする際に腕が回りにくいのは、この肩を後方に動かす柔軟性が乏しいからです。棒を使用して肩の伸展の柔軟性を保っておきましょう。

【運動のやり方】
① お尻の後ろで棒を持ちます
② 棒を逆手で保つように意識しましょう
③ 棒を水平にするように意識しながら棒を持ち上げます

【運動の注意点】
肩に痛みがある方は無理をしないようにしましょう

棒体操×立位|上半身編⑤

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こちらの棒体操は、洗体動作に必要な肩の柔軟性を高めるエクササイズです。

ご高齢者の中には体を洗うとき、特に背中が洗えない方が多いのではないでしょうか?背面をタオル等で洗うためには、肩の可動性が必要です。棒体操で肩の柔軟性を保ち、安全に安定した日常生活が送れるように支援して行きましょう!

【運動のやり方】
① 背中の後ろで棒を縦に持ちます
② できる限り棒を前後に動かします

【運動の注意点】
肩に痛みがある方は無理をしないようにしましょう

棒体操×立位|上半身編⑥

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こちらの棒体操は、洗頭動作に必要な肩の柔軟性を高めるエクササイズです。

棒を活用した上半身のストレッチでは一度は試したことのあるストレッチではないでしょうか?棒を上げ下げする際は、頭の後ろを通すように意識することで襟足や頭頂部をスムーズに動かすことができるようになります。

【運動のやり方】
① 頭の後ろで棒を持ちます
② できる限り棒を上方に持ち上げます

【運動の注意点】
頭の後ろが難しい方は顔の前で運動を行っても構いません。

棒体操×立位|体幹編①

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こちらの棒体操は、洗濯物干しなど腕を高く上げるために役立つ胸のストレッチです。

物干し竿などに洗濯物を干すためには、腕を120°程度あげる能力が必要とも言われています。腕を120度まであげるためには肩の柔軟性だけでなく胸椎の柔軟性も重要なポイントです!

※紹介している運動は分かりやすく腰を反っていますがここまで行う必要はありません。転倒に注意して、大きく胸を開くことを意識して行いましょう。

【運動のやり方】
① 背中と肘の間に棒を挟みます
② 棒を中心に、できる限り上半身を後方に倒します

棒体操×立位|体幹編②

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こちらの棒体操は、前屈をしやすくするための腰と太もものストレッチです。

前屈の柔軟性は、靴下をはく場合など日常生活の中でも着替えの動作に重要です。ご高齢者の方は、特にこのつま先までの手を伸ばす能力が乏しくなります。足先までの手を伸ばす動作(リーチ)は、ハムストリングスや腰の柔軟性が重要になります。こちらのエクササイズで日頃から柔軟性を保っておきましょう。

【運動のやり方】
① 棒の両端を持ちます
② できる限り、つま先まで手を伸ばします

【運動の注意点】
① 膝が曲がらないように意識しましょう
② 腰や膝に痛みがある方は注意しましょう

棒体操×立位|体幹編③

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こちらの棒体操は、脇腹や腰のストレッチとしての効果だけでなく、体を起こす筋肉を鍛えることができます。横方向への動きは日常生活ではなかなか鍛えることができない部位ですのでご高齢者の体操として取り組んではいかがでしょうか。

【運動のやり方】
① 棒の両端を持ち、両手をあげます
② できる限り上半身を真横に倒していきます

ただし、腰の痛みが強い方や背骨のお病気がある方は専門家の指導のもと、取り組む必要があります。

棒体操×立位|体幹編④

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こちらの棒体操は、横っ腹に付着する腹斜筋のストレッチとトレーニングの効果が期待できます。日常生活では振り向き動作などに重要な部位ですので、振り向き動作に不安があるご高齢者にオススメの体操です。

【運動のやり方】
① 両手または背中に棒を挟みます
② 棒を水平に意識したまま、上半身を捻ります

ただし、腰回りへのストレスがさらに増しますので、痛みが出現しないかなどの配慮が必要です。腰痛の有無や脊系疾患などの有無を確認し、提供してください。

棒体操×立位|応用編

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こちらの棒体操は、前方ランジと言われる太ももの筋力とバランス能力のアップが期待できるトレーニングです。

運動習慣のない方やご高齢者がスクワットやランジトレーニングをすると上半身が前方に倒れてしまったり、背中が丸まってしまうことがあります。そこで、棒を活用することで胸を張ることができるため正しい姿勢でランジトレーニングを行うことができます。

【運動のやり方】
① 頭の後ろで棒を持ちます
② 背筋を伸ばしたまま、片足を前方に出していきます

膝回りのストレスが高い運動ですの痛みが出現しない範囲で転倒に配慮してトレーニングを提供してください。

棒体操×座位|体幹編①

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ではここからは椅子に座ってできる棒体操をご紹介していきます。椅子に座った姿勢での運動は、バランスが不安定なご高齢者も安全に取り組むことができる体操です。立った姿勢での体操に不安がある方にはこちらの棒体操をお勧めします。

こちらの棒体操は、上半身の前屈のエクササイズです。日常生活では、座った姿勢で靴や靴下の着脱をする場合、椅子からの立ち上がりなどに重要な動作となります。棒を活用してエクササイズしていきましょう。

【運動のやり方】
① 棒の両端を持ちます
② できる限り、つま先まで手を伸ばします

【運動の注意点】
腰に痛みのある方やバランスが不安定な方は無理をしないようにします

棒体操×座位|体幹編②

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猫背姿勢のご高齢者にオススメの上体そらしの棒体操です。

棒を背中に通し、両脇で挟むことで胸の柔軟性を高めることができます。背中が曲がった姿勢になると肩が上がりにくくなります。そのため肩だけでなく胸郭から姿勢の改善に取り組みましょう。

※紹介している運動は、分かりやすく腰を反っていますが、ここまで行う必要はありません。大きく胸を開くことを意識して行いましょう。

【運動の注意点】
① 骨粗鬆症や脊椎疾患をお持ちの方は運動を控えるようにしましょう
② 胸を大きく張り、胸郭の動きを出していきましょう。

棒体操×座位|肩編①

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こちらは、シュラッグと呼ばれる棒体操です。

主に肩や首周りの筋力アップや肩こり改善の効果が期待できます。胸を張り、背筋を伸ばした状態で運動することで、ご高齢者の円背予防の効果も期待できます。

【運動の注意点】
① 両手は棒の中心を持つように意識しましょう
② 両肘をあげるように意識しましょう

棒体操×座位|肩編②

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こちらは、リーバスシュラッグと呼ばれる棒体操です。

主に肩や肩甲骨周辺の筋力強化を行うことができます。ご高齢者の場合は、ズボンの着脱などにも重要な体操です。更衣動作のリハビリとして取り組んでみてはいかがでしょうか。

※ご紹介している運動は、わかりやすく伝えるために背もたれに向かって座っていますが、実際の運動では必要ありません。

【運動の注意点】
肩や肘に痛みがある方は無理をしないようにします

棒体操を個別機能訓練加算として算定するためには…

ご高齢者は「洗濯物が干しにくい」「背中を洗うのが難しい」などと感じることも多くなります。これまでご紹介した棒体操を提案することで体の柔軟性を高めて動かしやすい体づくりを応援することができます。

このようにご高齢者の身体や生活を豊かにする活動は、個別機能訓練加算として算定することが認められています。

個別機能訓練加算はご高齢者を元気にする加算です。デイサービスでお勤めの方は是非一度ご覧いただければと思います。


▼個別機能訓練加算ついて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェック!

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ご高齢者に棒体操を継続してもらうにはどうしたらいいの?

私たちスタッフは誰しも「ご高齢者にいつまでも元気で生活していただきたい」と想い、レクリエーションや体操を提案しています。しかしながら、身も心も老化を感じていたり、意欲が減退している方々に「自宅でも運動しましょう」と提案してもなかなか継続できません。

ではどのように提案すると運動を継続していただくことができるのでしょうか?そのポイントをご紹介します。


1.パンフレットを準備しましょう
ご高齢になると目が見えにくくなったり、物忘れが多くなってしまいます。そこで、パンフレットを作成し、ご高齢者の運動を支援しましょう。

2.回数や時間は自分で設定してもらいましょう
他人から言われたことは、なかなか継続しません。「どのくらいの回数ならできそうか?」「何分程度ならできるか?」などご自身の能力や生活リズムに合わせて設定してもらうようにしましょう。

3.定期的にチェックをしましょう
誰でも一人で運動を続けるのは難しいです。ご家族や知人、スタッフなどの強い信頼関係は、運動を継続する励みになります。運動のチェックリストを作成して、スタッフや家族と定期的にチェックしていきましょう。運動ができていない場合でもとにかく褒めて、励ましましょう!その言葉かけ一つが大きな励みになり「次も頑張ろう」と思えるのです。
 

介護経営者のための情報サイト「リハプラン」では、これからも安定的な介護経営を実現するために必要な「個別機能訓練加算」についてのノウハウをご紹介します。個別機能訓練加算の算定にお悩みがあれば、ご気軽にご相談ください。

 

デイサービス・機能訓練指導員が活用できる「リハビリ体操・運動」関連の記事を一挙にまとめました。状況に合わせてうまく活用していただけたら嬉しく思います。記事が増えていけば随時更新していきます。

→→ 【完全保存版】デイサービス・機能訓練指導員が活用できる高齢者のためのリハビリ体操・運動まとめ|随時更新​

 

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著者プロフィール

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リハビリ専門職(作業療法士)として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーションを技術を高めるため研修会を立ち上げ、これまでに100名規模の研修会も開催された。現在は、「職種を越えたリハビリ介護を実現する」をテーマに、リハプランの専属ブロガーとして活躍中。作業療法士の専門性を活かして、介護事業所で算定できる加算・減算の中でも「個別機能訓練加算」について算定要件や計画書の書き方、機能訓練プログラムについて執筆している。

〜筆者の想い〜
通所介護事業所(デイサービス)の約8割は、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が不在のため、看護師や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練を実施しているのが現状です。機能訓練指導員が、高齢者にあった最適な運動を提供するために必要なノウハウをわかりやすく解説します。

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