高齢者のためのセラバンド体操 | 座ってできる上肢トレーニング【全16種】

デイサービスや施設での集団体操に適した高齢者のための座ってできるセラバンド体操「上肢編」をご紹介します。セラバンドはゴムの伸縮性や長さを調整することで運動の初級者〜上級者まで筋力アップを目指すことができる便利な道具です。持ち運びも簡単で、最近では地域の健康教室で介護予防として活用されています。今回はそんなセラバントの体操方法をご紹介していきます。

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セラバンド | Thera-Bandとは

セラバンドとは、ゴムバンドやゴムチューブ、セラチューブなどとも呼ばれるゴム製のトレーニング道具です。

セラバンドを活用したトレーニングは、理学療法士や作業療法士などのリハビリの現場で活用されます。また、フィットネスジムではインナーマッスルのエクササイズとして完備されています。最近では、持ち運びのしやすさや難易度調整のし易さから地域の健康教室やデイサービスなどの介護予防体操としても活用されています。


セラバンドには、持ち手が「ハンドル付き」や「輪っか状」なども販売されています。握力が弱く、握りが不安なご高齢者に握りやすいセラバンドを提供するもの良いでしょう。

■ハンドル付きセラバンドは、チューブの端に取手が付いているのでトレーニングの際に握りやすくなっています。

■輪っか状のセラバンドは、チューブが輪っか状になっているので手足や体全体を入れてトレーニングすることができます。

セラバンドの効果とメリットとは

セラバンドを活用したトレーニングはどのような効果が期待できるのでしょうか?効果とメリットをご紹介します。

【セラバンドの効果・メリット】
① 難易度(負荷)が調整できる
セラバンドの長さを短くしたり、二重にすることで負荷量を高くすることができます。また、ゴムの硬さ(負荷)は色分けされたセラバンドがあるのでご利用者様に適した負荷量を選択することができます。

② 鍛えたい部位を意識できる
セラバンドは、上げるとき下げるとき、引っ張るときなど常にチューブの負荷がかかります。そのため鍛えたい部位を常に意識できるのでトレーニング効果が高まります。

③ 運動初心者が取り組みやすい
セラバンドはバンドの長さを調整できるので非常に低負荷の運動から開始でき運動初心者でも活用しやすい道具です。

④ 持ち運びし易く、場所を取らない
セラバンドは、薄いゴムのバンドです。そのため折りたたんで持ち運ぶこともできます。また、施設でも道具を置く場所に困ることはありません。

⑤ トレーニング中の事故・怪我をしにくい
セラバンドは重量が軽いため落としても怪我をすることはありません。

セラバンドの種類は

セラバンドの種類は製品によって異なりますが、ご紹介する「Thera-Band」は色の違いによって難易度(強度)が区別できるようにしています。

セラバンドは肌色が最も柔らかく難易度が低く、金色が最も硬く難易度が高くなります。

一般的に上半身のトレーニングでは「黄色」「赤色」を使用されていることが多いようです。購入の際に参考にしてみてください。
 

セラバンドの使い方のポイント

セラバンドのトレーニング方法をご紹介する前に、使い方のポイントについてご紹介します。

【セラバンドの使い方】
① セラバンドをしっかり握ろう
負荷を強くする場合や高齢者が利用する場合は、セラバンドが手から抜けないよう注意しましょう。その場合は、手に一周巻きつけるようにすると良いでしょう。

② 胸を張り正しい姿勢を意識しよう
特に背中が丸くなったまま運動を行う方が非常に多くいます。そのため胸を張るように意識して運動を行いましょう。

③ 段階的に強度を調整しよう
初期は負荷の弱い肌色や黄色のセラバンドから始め、徐々に回数を増やしていきましょう。連続で15〜20回程度の回数ができるようになった時点で強度を強くしていきましょう。

④ ゆっくりと動かそう
セラバンドは運動開始時には負荷が弱く、運動最終域に強度が最大になります。トレーニングの際は、反動をつけず深呼吸に合わせてゆっくりとしたスピードで実施しましょう。戻す際にも同様にゆっくりと動かすことを意識することで「遠心性収縮」のトレーニングをすることもできます。

⑤ インナーマッスルを鍛えよう
セラバンドを使用して上半身を鍛える場合は、肩関節のインナーマッスルを前半に鍛えていきましょう。インナーマッスルを鍛えることで肩関節の痛みの予防としても効果が期待できます。

高齢者にセラバンドがオススメな理由とは

筋力トレーニングが介護予防に良いということは言うまでもありません。
地域の健康教室やデイサービスでご高齢者に向けた体操としてセラバンドを活用する場合のメリットについてご紹介します。


【高齢者体操にセラバンドを活用するメリット】
① 持ち運びがしやすい
セラバンドは、非常に軽く折りたたんで持ち運びができるので屋外での活動や自宅でのエクササイズとしても活用しやすい道具です。

② 適度な抵抗がかけられる
セラバンドの色や長さによって運動初心者〜上級者まで簡単に負荷量を調整することができます。

③ 事故や怪我が起こりにくい
セラバンドは軽量のため落としても事故になりにくい道具です。

④ 様々な筋力トレーニングに活用できる
セラバンドは、上げるとき下げるとき、引っ張るとき、戻すときなど常にチューブの負荷がかかります。そのため筋肉に対して様々な収縮を与えることができます。

島田 裕之 東京都老人総合研究所「筋力増強運動による介護予防・リハビリテーション効果」平成29年4月5日アクセス

セラバンド体操(1)「インナーマッスル」を鍛えよう!

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それでは、座ってできるセラバンド体操をご紹介していきます。
こちらのセラバンド体操は、肩関節のインナーマッスルの1つである「棘上筋」のトレーニングです。肩の位置は、やや前方20〜30°程度で運動すると効果的です。上半身のトレーニングの場合は、セラバンドの「黄色」あたりの負荷から始めることをお勧めします。

【運動の注意点】
① 負荷が強すぎてしまうと三角筋の働きが強くなり肩をすくめてしまうことがありますのでご注意ください。
② 腕は上げ過ぎない(90°以内)ようにしましょう。

【回数】
20回程度を目安に行いましょう。

棘上筋トレーニングが棘上筋筋厚に及ぼす効果
平成29年3月29日アクセス

セラバンド体操(2)「インナーマッスル」を鍛えよう!

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こちらの運動も肩関節のインナーマッスルのセラバンド体操です。ご高齢者に多い、五十肩や肩関節の痛みの予防として効果が期待できます。

【運動の注意点】
① インナーマッスルのトレーニングは低負荷で行うことをお勧めします。重たいダンベルなどを使用するとアウターマッスルである三角筋や僧帽筋が過剰に働いてしまいます。
② 肩に痛みの訴えがある方は、無理をせず中断することをお勧めします。

【回数】
20〜30回を目安に行いましょう。

セラバンド体操(3)「二の腕」の筋力アップをしよう!

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こちらのセラバンド体操は、二の腕の筋力アップに効果が期待できます。二の腕に付着する上腕三頭筋は、加齢に伴い筋力が低下しやすい筋であるということも知られています。ご高齢者の場合に廃用が極端に進み、この上腕三頭筋の筋力が低下してしまうとベッドからの起き上がりや椅子から立ち上がる際の補助ができなくなってしまいます。女性の二の腕痩せ目的だけでなく廃用予防としても取り組んでみてはいかがでしょうか?

【回数】
8〜12回を目安に行いましょう。

セラバンド体操(4)「胸」の筋力アップをしよう!

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こちらのセラバンド体操は、胸の筋力に効果が期待できます。ボクシングを行うようにリズムよく行いましょう。体にひねりを加えたり、腕を斜め上に動かすことで、胸筋や体幹筋(腹斜筋)も鍛えることができます。ご高齢者の体操として活用する場合は回数を数えたり、音楽をかけてリズムよく運動すると楽しみながら取り組むことができますよ。

【回数】
8〜12回を目安に行いましょう。
※回数を増やすことで体力アップの効果も期待できます。

セラバンド体操(5)「肩甲骨周囲」の筋力アップをしよう!

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こちらのセラバンド体操は、肩を90度に固定した状態で胸を開くことで肩甲骨の内側の菱形筋を鍛えることができます。ご高齢者の場合は、年齢を重ねごとに円背姿勢になることがあります。セラバンドを使用して胸を張るエクササイズも合わせて行っていきましょう!

【回数】
8〜12回を目安に行いましょう。

セラバンド体操(6)「肩」の筋力アップをしよう!

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こちらのセラバンド体操は、肩の代表的な筋肉でもある三角筋を鍛えるダイナミックなエクササイズです。運動のポイントは、息をしっかりと吐きながら上半身を倒していくことです。ご高齢者の場合は洗濯物を干したり、高いところへ布団を収納するなどに重要な運動です。腕が耳に当たるようにしっかりと動かしていきましょう!

【回数】
左右共に8〜12回を目安に行いましょう。

セラバンド体操(7)「肩〜首」の筋力アップをしよう!

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こちらのセラバンド体操はシュラッグと呼ばれる肩をすくめる運動です。肩から首周りに付着する僧帽筋を刺激することで「肩こり」だけでなく、ご高齢者が気になる「円背姿勢」の改善にも効果が期待できます。運動は、肩をできる限りすくめた状態で1秒間保持し、その後、力を緩めて肩を下ろしていきましょう。

【回数】
10回×2セットを目安に行いましょう。

セラバンド体操(8)「背中」の筋力アップをしよう!

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こちらのセラバンド体操は、ローイングといわれる背中や肩甲骨に付着する広背筋や大円筋、菱形筋の筋力アップに効果が期待できます。胸を貼り、肩甲骨を意識することで姿勢の改善に効果が期待できます。
※セラバンドを手すりなどに結び固定する必要があります。結ぶ場所がない場合はペアトレーニングとして対面に座り、運動することもできます。

【回数】
10回×2セットを目安に行いましょう。

セラバンド体操(9)「体幹〜腕」の筋力アップをしよう!

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こちらのセラバンド体操は、セラバンドを活用して体幹を捻ることで体幹筋や腕の筋肉を鍛えることができます。背もたれや肘掛けがないと椅子に座るのがきついご高齢者には、この体幹筋を鍛えることで椅子に座った姿勢を安定させる効果も期待できます。
※セラバンドを手すりなどに結ぶか、ペアトレーニングとしてパートナーと運動することもできます。

【回数】
10回×2セットを目安に行いましょう。

セラバンド体操(10)ペアトレで「肩甲骨」の筋力アップをしよう!

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こちらのセラバンド体操は、二人組みで行うペアトレーニングをご紹介します。こちらの運動は、ローイングと呼ばれる運動で、肩甲骨に内側に付着する菱形筋を鍛えることができます。ご高齢者の猫背や円背の予防運動としてお勧めです。ペアトレーニングは相手に合わせて運動を行うため、運動習慣の乏しい方でも比較的楽しみながら取り組むことができますよ。

【運動の注意点】
① バンドの長さで負荷量を調整しましょう。
② 肩をすくめないように意識しましょう。

【回数】
左右交互に8〜12回程度行いましょう。

セラバンド体操(11)ペアトレで「肩」の筋力アップをしよう!

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こちらのセラバンド体操は、肩の上下運動です。肩の上下運動を行うことによって肩甲骨や背中の血流量が増加し、肩こりの予防としても効果が期待できます。肩の上下運動は、着替えや洗濯物干しなどの日常生活にも重要です。ご高齢者の健康体操として取り組んでみてはいかがでしょうか。

【運動の注意点】
2人で息を合わせてリズムよく行いましょう。

【回数】
交互に20回を目安に行いましょう。

セラバンド体操(12)ペアトレで「体幹」の筋力アップをしよう!

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こちらのセラバンド体操は、上半身の捻りを意識した運動です。相手に引っ張り負けないようにしっかりと体を捻ることで腹斜筋などの体幹の筋力アップに効果が期待できます。体の捻り運動は、着替えや調理動作などに重要です。ご高齢者の介護予防体操としてパートナーと鍛えて行きましょう。

【運動の注意点】
① 腕は胸の高さに保ち、肘を伸ばしたまま行いましょう。
② お腹を意識して体を捻りましょう。

【回数】
8〜12回×2セットを目安に行いましょう。

セラバンド体操(13)ペアトレで「インナーマッスル」を鍛えよう!

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こちらのセラバンド体操は、肩のインナーマッスルのトレーニングです。2人で息を合わせて、手を内側に引っ張り合うことで肩甲下筋や大円筋を鍛えることができます。もちろん、胸筋の筋肉の筋力アップにも効果が期待できます。肩のインナーマッスルは、日頃なかなか鍛えることができません。セラバンドを活用して意識的に鍛えることで五十肩や肩の拘縮を予防して行きましょう。

【運動の注意点】
① 肩に痛みがある方は、セラバンドを長くしましょう。
② 脇が開かないように意識しましょう。

【回数】
8〜10回×2セットを目安に行いましょう。

セラバンド体操のまとめ

本稿では、デイサービスや施設でも取り組める「座ってできるセラバンド体操」をご紹介しました。

ご高齢者の方は加齢に伴い、身体的な衰えを感じるだけでなく気分が落ち込みことも多くなります。私たちスタッフがそうさせない!

セラバンド体操は、衰えがちな筋力を効果的に鍛える効果があるので道具さえあれば明日からでも取り組めます。セラバンドを活用していつまでも元気で活き活きと生活できる体づくりを応援していきましょう。


セルフボックスでは、アクティブなご高齢者にオススメの「立ってできるセラバンド体操」もご紹介しています。セラバンドは軽量で折りたたんで持ち運ぶこともできる道具です。座ってできるセラバンド体操ができる方は、立ってできるセラバンド体操にもチャレンジしてみましょう!

【関連記事】高齢者にお勧めのセラバンド体操|上半身編【11選】
セラバンドを使用した上半身の体操を部位別にご紹介します。

【終わりに】
いかがでしたか。集団体操などでも取り組める座ってできるセラバンド体操をご紹介しました。効果的にトレーニングを行うためにはセラバンドが持つ特徴を理解していくことが重要です。ご紹介したエクササイズが参考になれば幸いです。

 

デイサービス・機能訓練指導員が活用できる「リハビリ体操・運動」関連の記事を一挙にまとめました。状況に合わせてうまく活用していただけたら嬉しく思います。記事が増えていけば随時更新していきます。

→→ 【完全保存版】デイサービス・機能訓練指導員が活用できる高齢者のためのリハビリ体操・運動まとめ|随時更新

 

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著者プロフィール

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リハビリ専門職(作業療法士)として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーションを技術を高めるため研修会を立ち上げ、これまでに100名規模の研修会も開催された。現在は、「職種を越えたリハビリ介護を実現する」をテーマに、リハプランの専属ブロガーとして活躍中。作業療法士の専門性を活かして、介護事業所で算定できる加算・減算の中でも「個別機能訓練加算」について算定要件や計画書の書き方、機能訓練プログラムについて執筆している。

〜筆者の想い〜
通所介護事業所(デイサービス)の約8割は、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が不在のため、看護師や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練を実施しているのが現状です。機能訓練指導員が、高齢者にあった最適な運動を提供するために必要なノウハウをわかりやすく解説します。

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