特養における個別機能訓練加算の計画書や厚労省の発表について解説!

特養などの地域密着型介護老人福祉施設のリハビリ加算である個別機能訓練加算の算定率は49.38%(厚生労働省2014)とされ、約半数がリハビリを行っています。本稿では特養の個別機能訓練加算について算定要件から計画書作成、厚労省Q&Aまで解説していきます。

特養における個別機能訓練加算とは

個別機能訓練加算とは、特別養護老人ホーム(以下、特養)において所定の要件を満たし、入居者様の身体状況に応じた機能訓練を行った場合に算定される加算のことをいいます。
 

特養の個別機能訓練加算の単位

12単位/日

当該基準に従い1日につき所定単位数に加算することができます。

 

特養の機能訓練指導員の配置基準

個別機能訓練加算を算定するためには、次の基準にすべてに適合することが条件です。

⑴ 専ら機能訓練指導員の職務に従事する「常勤」の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師(以下、機能訓練指導員)を1名以上配置していること。ただし、入所者の数が100名を超える場合は、以下の計算に当てはめて機能訓練指導員の配置を行う必要があります。

常勤専従の機能訓練指導員を1名以上配置+機能訓練指導員として常勤換算法で入所者の数を100で除した数値以上配置しているもの。

厚労省、常勤換算換算の計算方法

⑵ 指定介護老人福祉施設として都道府県知事に届け出をすること。

⑶ 機能訓練指導員、看護職員、介護職員、 生活相談員その他の職種の者が共同して、入所者ごとに個別機能訓練計画を作成すること。

⑷ 当該計画に基づき、計画的に機能訓練を行っていること。

【参考文献】

指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成十二年厚生省告示第二十一号)【平成二十七年四月一日施行】平成29年7月28日アクセス

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特養における個別機能訓練加算の特徴とは

厚生労働省(平成26年4月審査分)によると、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)及び地域密着型介護老人福祉施設における個別機能訓練加算の算定率(推計)は「49.38%」と報告されており、最近では特養でも機能訓練を提供していることが分かります。

同じように個別機能訓練加算の算定が可能な通所介護(デイサービス)に比べ、特養の入居者様は比較的介護度の高い方(要介護3〜5)が対象となります。そのため、積極的に運動を提供するというよりも着替えやトイレなどの個々の生活に即した訓練を提供していることがその特徴です。

厚生労働省「平成27年度介護報酬改定に向けて (介護福祉施設サービスについて)」平成29年7月28日アクセス

特養の個別機能訓練加算に重要な「機能訓練指導員」とは

特養における個別機能訓練加算を取得する場合は機能訓練指導員の配置が必須となります。そこで機能訓練指導員について解説します。

機能訓練指導員とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師(2018年の改正からは鍼灸師も含まれる予定)の6つの職種を合わせた職種を指します。

機能訓練指導員は、本人や家族のニーズを聞いたりケアマネージャーから提供されるケアプランに従ってご利用者様が求めている目標を達成するために必要な訓練を提案します。訓練には筋力アップやストレッチなどの運動だけでなく、着替えやトイレなど日常生活訓練や手芸やカラオケ、囲碁などの趣味活動にもコミットしていきます。

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特養の個別機能訓練加算の計画書

特養において個別機能訓練加算の計画書には、個別機能訓練計画書を記載することが必要です。

個別機能訓練計画書とは、機能訓練指導員が中心となって作成する書類でご利用者様の身体状況や希望、自宅環境などを考慮して目標設定・プログラムの立案をしていきます。また、ご本人やご家族への説明、同意書としても活用する大切な書類です。

個別機能訓練計画書を作成する場合は、ご利用者様の身体状況や希望、自宅環境などを考慮して機能訓練指導員や看護職員、介護職員、生活相談員、その他のスタッフがカンファレンスやミーティングを行い、協働して目標設定や実施時間、実施方法などの個別機能訓練計画を立案していきます。

 

個別機能訓練計画書を作成する6つの手順

  1. 1. 生活の情報収集(ケアプランからの情報収集を含む)
  2. 2. 評価(アセスメント)
  3. 3. 個別機能訓練計画書の作成
  4. 4. ご利用者様又はご家族への説明と同意
  5. 5. 個別機能訓練の実施
  6. 6. 評価、目標の見直し、変化の記載(3ヶ月ごとに1回以上)

個別機能訓練計画書の作成方法として、厚生労働省から通達されている指針があります。これらは個別機能訓練加算を算定する上で必須の項目です。計画書を作成する上では必ず目を通しておきましょう。

個別機能訓練計画書を作成する4つの注意点

1.個別機能訓練を行うにあたっては機能訓練指導員、看護職員、介護職員、生活相談員、その他の職種の者が協働して、ご利用者様ごとにその目標・実施時間・実施方法などを内容とする個別機能訓練計画を作成し、これに基づいて行った個別機能訓練の効果・実施時間・実施方法について評価などを行う。

2.個別機能訓練を行う場合は、開始時及びその後3ヶ月ごとに1回以上、ご利用者様またはそのご家族に対して個別機能訓練計画の内容(評価を含む)を説明し、記録する。また、評価内容や目標の達成度合いについて、当該利用者を担当する介護支援相談員らに適宜報告、相談し、必要に応じてご利用者様またはご家族の以降を確認の上、当該利用者のADL及びIADLの改善状況を踏まえた目標の見直しや訓練内容の変更など適切な対応を行うこと。

3.個別機能訓練に関する記録(実施時間・訓練内容・担当者など)は、ご利用者様ごとに保管され、常に当該事業所の個別機能訓練の従事者により閲覧が可能であるようにすること。

4.個別機能訓練計画書の目標設定については、適切な事後アセスメントを経てご利用者様の身体機能及びADL、IADLの状況を把握し、日常生活における生活機能の維持・向上に関する目標をご利用者ごとに適切に設定する必要がある。
 

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特養の個別機能訓練加算Q&A|計画書の作成方法について

ここまで個別機能訓練計画書の書き方についてご紹介しましたが、ここで1つ疑問が浮かびます。それは、特養で個別機能訓練加算の算定する場合の計画書は、「施設サービス計画とは別に作成する必要があるか?」ということです。

特養で個別機能訓練加算を算定する場合は、機能訓練指導員の人員配置とともに個別に計画を作成し、機能訓練を行うことを評価することとしたものです。そのため特養での「施設サービス計画」に個別の機能訓練計画が記載されていれば別に計画書を作成する必要はありません。

別計画書として作成する場合は、個人情報などを再度入力する手間がかかります。そのため施設サービス計画書に追加して「機能訓練計画」を記載することをオススメします!

特養の個別機能訓練加算Q&A|平成27年度の改定部分について part1

特養の個別機能訓練加算において、平成27年度の介護報酬改定に関する厚労省のQ&Aをご紹介します。
【質問】
短期入所生活介護事業所を併設している特別養護老人ホームにおいて、個別機能訓練加算を特別養護老人ホームで算定し、併設の短期入所生活介護事業所では機能訓練指導員の加算を算定し、新設の個別機能訓練加算を短期入所生活介護事業所で算定しようとする場合、特別養護老人ホームと短期入所生活介護事業所を兼務する常勤専従の機能訓練指導員を1名配置し、それとは別に専従の機能訓練指導員を短期入所生活介護事業所に1名配置すれば、短期入所生活介護においては、機能訓練指導員の加算と新設の個別機能訓練加算の両方が算定できるということでよいか。
【回答】
短期入所生活介護の「機能訓練指導員の加算」は、常勤・専従の機能訓練指導員を配置した場合に評価されるものであるが、「個別機能訓練加算」は利用者の生活機能の維持・向上を目的として、専従の機能訓練指導員が利用者に対して直接訓練を実施するものである。このため、常勤・専従の機能訓練指導員とは別に専従の機能訓練指導員を短期入所生活介護事業所に1名配置すれば、いずれの加算も算定することができる。
平成27年度介護報酬改定に関するQ&A問75(Vol.1)より

平成27年度介護報酬改定に関するQ&A問75(Vol.1)平成29年7月31日アクセス

 

特養の個別機能訓練加算Q&A|平成27年度の改定部分について part2

【質問】

一部ユニット型施設・事業所が、ユニット型部分とユニット型以外の部分それぞれ別施設・事業所として指定されることとなった場合について、専従要件や利用者の数などの加算の算定条件についてどのように考えればよいか。

【回答】

従来、「一部ユニット型」として指定を受けていた施設が、指定更新により、ユニット型施設とユニット型以外の施設とで別の指定を受けている場合を含め、同一建物内にユニット型及びユニット型以外の介護老人福祉施設(又は地域密着型介護老人福祉施設)が併設されている場合については、「個別機能訓練加算」や「常勤医師配置加算」など常勤職員の専従が要件となっている加算について、双方の施設を兼務する常勤職員の配置をもって双方の施設で当該加算を算定することは認められないものとしてきたところである。 しかしながら、個別機能訓練加算については、「専ら機能訓練指導員の職務に従事する」 ことが理学療法士等に求められているものであり、一体的な運営が行われていると認められる当該併設施設において、双方の入所者に対する機能訓練が適切に実施されている場合で、常勤の理学療法士等が、双方の施設において、専ら機能訓練指導員としての職務に従事しているのであれば、今後、当該加算の算定要件を双方の施設で満たすものとして取り扱うこととする。

平成27年度介護報酬改定に関するQ&A 問130より

厚生労働省老健局老人保健課 高齢者支援課 振興課「平成27年度介護報酬改定に関する Q&A(平成27年4月1日)」の送付について」
平成29年8月10日アクセス

個別機能訓練加算は他の事業所でも算定ができるのか?

個別機能訓練加算は、特養だけでなく通所介護(デイサービス)事業所でも算定が可能です。
通所介護の個別機能訓練加算には、「個別機能訓練加算I:46単位」と「個別機能訓練加算II:56単位」の2種類がありますので、詳しくは「関連記事」を閲覧下さい。

【関連記事】

個別機能訓練加算とは|算定要件から実践プログラムまで徹底解説!

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この記事のまとめ

これまで特養は、ご高齢者が最後を迎える場所として考えられがちでしたが、現在の特養では機能訓練を提供することで「ご高齢者がいつまでの元気で生活できるように」「現状の生活能力を維持できるように」といった考えも増えてきています。

平成30年の介護報酬改定では厚生労働省は「自立支援」の指針を示し、益々個別機能訓練加算のニーズは高くなります。

今回の記事を参考に、皆さまの特養でも個別機能訓練加算が算定できるようになると幸いです。
 

デイサービス運営では、個別機能訓練加算の算定は売上の貢献にも非常に重要な要素だと言えます。「個別機能訓練加算・個別機能訓練計画書」に関する記事を一挙にまとめた記事をご用意していますので、必要に応じて活用していただけたら嬉しいです。

→→ 【完全保存版】デイサービス経営者必見!個別機能訓練加算・計画書まとめ|随時更新

 

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著者プロフィール

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大屋 祐貴

リハビリ専門職(作業療法士)として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーションを技術を高めるため研修会を立ち上げ、これまでに100名規模の研修会も開催された。現在は、「職種を越えたリハビリ介護を実現する」をテーマに、リハプランの専属ブロガーとして活躍中。作業療法士の専門性を活かして、介護事業所で算定できる加算・減算の中でも「個別機能訓練加算」について算定要件や計画書の書き方、機能訓練プログラムについて執筆している。

〜筆者の想い〜
通所介護事業所(デイサービス)の約8割は、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が不在のため、看護師や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練を実施しているのが現状です。機能訓練指導員が、高齢者にあった最適な運動を提供するために必要なノウハウをわかりやすく解説します。

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