2021年01月27日更新

個別機能訓練計画書の長期目標・短期目標・達成度の記入例

ここでは、個別機能訓練計画書の中でも目標設定に着目し、情報収集のやり方、目標の書き方、記入例を紹介します。個別機能訓練計画書の目標設定は、個別機能訓練加算Ⅰと個別機能訓練加算Ⅱで異なり、長期目標と短期目標に分けて考えます。居宅訪問チェックシートや興味関心チェックシート、身体機能評価などの総合的な情報収集も理解して、よりよい機能訓練を提供していきましょう。

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個別機能訓練計画書とは

個別機能訓練計画書

個別機能訓練計画書とは、通所介護(デイサービス)の加算の中でも個別機能訓練加算Ⅰ、または個別機能訓練加算Ⅱを算定するために必要な書類です。

主に機能訓練指導員が中心となって作成します。計画書の作成は、3ヶ月ごとに1回以上評価を行った上で個別に作成して行きます。

 

個別機能訓練計画書では、本人の身体状況や希望、自宅環境などを考慮して「目標設定」・「プログラムの立案」を行い、本人やその家族への説明、同意をしていただくことでサービスを提供することができます。

本人やご家族の希望に合わない目標設定を行ってしまうと、ケアや機能訓練プログラム自体も異なったものになってしまうのでご注意ください。

 

今回は、個別機能訓練計画書の中でも目標の立て方・書き方をご紹介していきます。

個別機能訓練計画書の目標の立て方について

個別機能訓練計画書における目標の立て方は、「長期目標」と「短期目標」の2項目だけです。

この目標は、基本的にケアマネからいただく「ケアプラン」を大前提として、利用者宅への居宅訪問でご本人・ご家族から情報収集した基本情報の内容、初回評価によって知り得た身体機能を考慮して記載します。

 

長期目標
・ケアプランの長期目標とズレがないように記載します。

短期目標
・長期目標を達成するために段階的に必要となる目標を記載します。
・短期目標は、より具体的にイメージできるものが良いとされています。

 

機能訓練指導員が作成する個別機能訓練計画書は、3ヶ月ごとに1回以上作成することとされているため、2回目の計画書作成で短期目標がクリアしているかを確認すると覚えておきましょう!

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個別機能訓練計画書の目標設定に重要な評価・ICFについて

続いて、個別機能訓練計画書の目標設定についてご紹介します。

まず、目標設定をする場合、本人やその家族の希望に沿ったものでありながら、難しすぎない目標となることが良いとされています。そのため、一人ひとりに合った適切な目標を立案するためには「情報収集」と「評価」が重要になります。

目標設定に重要な情報収集と評価について

(1)ケアプランからの情報収集
ケアマネからいただくケアプランには、本人や家族から情報収集した「デイサービスを利用する目的」が記載されています。その目的に沿った目標を立案します。

(2)本人からの情報収集
本人が興味あること、してみたいこと、していることを「興味・関心チェックシート」を活用して情報収集します。この希望に沿って目標を立案していきます。

(3)居宅訪問での情報収集
日常生活でできないこと、問題となっている生活環境について「居宅訪問チェックシート」を活用して情報収集します。このシートは居宅訪問の際に活用すると良いでしょう。この情報収集に沿って課題となる生活動作を目標として立案します。

(4)身体機能の評価
実際にどのくらいの力があるのか、動けるのかを評価します。主に寝返り、起き上がりといった基本的な動作や日常生活動作、筋力やバランス能力などを評価します。

※理学療法士や作業療法士などの機能訓練指導員が在籍している場合は、身体機能評価を専門家にお任せすることもあります。

情報収集と評価は、なぜ重要なのか

(1)〜(3)の情報収集と(4)身体能力の評価を行うことで、立案した短期目標、長期目標の達成が可能なのかを判断することができます。

この目標設定は、機能訓練のプログラム立案でも重要となりますので、情報収集と評価を行なった上で、一人ひとりに合った目標を立てていけるようになりましょう!

目標設定に重要なICFの考え方について

ICF

個別機能訓練計画書の目標設定をする場合は、「ICF」の考え方を理解しておくこと良いでしょう。ICFとは、人間の「生活機能」と「障害」に関する状況を把握することを目的とした分類で、図のように「健康状態」「心身機能・身体構造」「活動」「参加」「環境因子」「個人因子」から構成され、複雑に絡み合うように人の生活機能と障害を捉えています。

個別機能訓練計画書の目標設定を行う場合においては、「身体機能・身体構造」「活動」「参加」の観点から目標を整理しておくと個別機能訓練加算Ⅰ、個別機能訓練加算Ⅱの目標の違いが明確になります。

■身体機能・身体構造に関する目標の例文

  • 下半身の筋力がアップする
  • バランス能力がアップする
  • 痛みが軽減する など

■活動に関する目標の例文

  • むせなく食事が食べれるようになる
  • 着替えが自分でできるようになる
  • 浴槽を使用して安全に入浴ができるようになる
  • 手すりを使用してトイレが見守りでできるようになるなど

■参加に関する目標の例文

  • 地域のボランティア活動に参加できるようになる
  • 趣味である将棋クラブに参加できるようになる
  • 主婦としての家庭内の役割として家事ができるようになる
  • 仕事に復帰できるようになる など

【出典】

厚生労働省「国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-」より

個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱごとの計画書の長期目標・短期目標の記入例

ここからは個別機能訓練加算Ⅰ・個別機能訓練加算Ⅱのそれぞれの目標設定の書き方と記入例をご紹介していきます。

個別機能訓練加算Ⅰの計画書の目標の書き方について

個別機能訓練加算Ⅰ

まず、個別機能訓練加算Ⅰの目標設定の書き方についてご紹介します。

厚生労働省によると個別機能訓練加算Ⅰの目的は、以下のように提示されています。

個別機能訓練加算Ⅰの目的は、利用者の自立の支援と日常生活の充実に資するよう複数メニューから選択できるプログラムの実施が求められ、座る・立つ・歩く等ができるようになるといった身体機能の向上を目指すことを中心に行われるものである

つまり、個別機能訓練加算Ⅰの目標の立て方は、「身体機能の向上」や「怪我や病気の予防」を目的としたものを記載します!

ICFの項目で言うと「身体機能・身体構造」が個別機能訓練加算Ⅰの目標に値します。

【出典】

厚生労働省老健局振興課長「通所介護及び短期入所生活介護における個別機能訓練加算に関する 事務処理手順例及び様式例の提示について」
平成29年11月21日アクセス

 

個別機能訓練加算Ⅰの長期目標の記入例

長期目標期間

  • 集団体操に参加することで運動習慣を身につける
  • 歩行の耐久性をアップすることで移動範囲の拡大する
  • パーキンソン体操に参加して転倒を予防する など

個別機能訓練加算Ⅰの短期目標の記入例

短期目標期間

  • 午前、午後の集団体操に参加する
  • 手すりを使用して立ち上がりができるようになる
  • 歩行器で屋内の移動が安定して可能になる
  • マシントレーニングに取り組んで下肢筋力をつける
  • 全身の柔軟性を維持、向上する など

 

個別機能訓練加算Ⅱの計画書の目標の書き方について

居宅

厚生労働省によると個別機能訓練加算Ⅱの目的は、以下のように提示されています。

利用者が居宅や住み慣れた地域において可能な限り自立して暮らし続けることができるよう、身体機能の向上を目的として実施するのではなく、「①体の働きや精神の働きである心身機能」、「②ADL・家事・職業能力や屋外歩行といった生活行為全般である活動」、「 ③家庭や社会生活で役割を果たすことである参加」といった生活機能の維持・向上を図るために、機能訓練指導員が訓練を利用者に対して直接実施するものである。


個別機能訓練加算Ⅱの目標の立て方は、「身の回りの動作」や「日常生活動作」「家事動作」「趣味・余暇活動」「社会参加」を目的としたものを記載します。

ICFの項目で言うと「活動」「参加」が個別機能訓練加算Ⅱの目標に値します。

実際に、個別機能訓練計画書に記載する個別機能訓練加算Ⅱの長期目標・短期目標の記載例をICFの活動レベルである「入浴」に着目してご紹介します。

【出典】

厚生労働省老健局振興課長「通所介護及び短期入所生活介護における個別機能訓練加算に関する 事務処理手順例及び様式例の提示について」

平成29年11月21日アクセス

 

個別機能訓練加算Ⅱの長期目標の記入例

長期目標期間

  • 自宅の浴槽で入浴できるようになる

個別機能訓練加算Ⅱの短期目標の記入例

短期目標期間

  • ⑴ 浴槽移乗の獲得のために60cmのまたぎ動作が手すりを使用して可能になる
  • ⑵ 浴槽移乗の獲得のために床への座り込みが安定してできるようになる
  • ⑶ 浴槽移乗の獲得のために床からの立ち上がりが手すりを使用して可能になる


このように個別機能訓練加算Ⅱの目標は、長期目標を達成するために必要な段階的な短期目標を立案します。

さらに、居宅訪問で情報収集した具体的な高さや距離などが記載されていると通所介護での機能訓練がより具体的に提案できるようになります。

 

個別機能訓練計画書の目標達成度の書き方

個別機能訓練計画書の目標達成度を記載する場合は、個別機能訓練加算Ⅰまたは個別機能訓練加算Ⅱで立案した長期目標・短期目標について、その達成度を「達成」「一部達成」「未達成」のどれかをチェックします。

また、個別機能訓練計画書に記載した目標を達成した場合は、次の長期目標と短期目標を設定し直す必要があります。

達成度に応じて目標設定を変更することを覚えておきましょう!

まとめ

以上のように、個別機能訓練計画書の目標設定をする場合、「(1)ケアプランからの情報収集」「(2)本人から情報収集」「(3)居宅訪問での情報収集」「(4)身体機能の評価」を行った上で、本人やその家族の希望に沿い、難しすぎない目標を設定する必要があります。

さらに、個別機能訓練加算Ⅰの場合は、身体機能の向上または、怪我や病気の予防を目的としたものを記載していきます。

個別機能訓練加算Ⅱの場合は、身の回りの動作や日常生活動作、家事動作、趣味・余暇活動、社会参加を目的としたものを記載する必要があります。


上記を参考に、利用者様一人ひとりに合わせた的確な目標を設定した個別機能訓練計画書を作成できれば幸いです。

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著者プロフィール

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大屋 祐貴

リハビリ専門職(作業療法士)として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーションを技術を高めるため研修会を立ち上げ、これまでに100名規模の研修会も開催された。現在は、「職種を越えたリハビリ介護を実現する」をテーマに、リハプランの専属ブロガーとして活躍中。作業療法士の専門性を活かして、介護事業所で算定できる加算・減算の中でも「個別機能訓練加算」について算定要件や計画書の書き方、機能訓練プログラムについて執筆している。

〜筆者の想い〜
通所介護事業所(デイサービス)の約8割は、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が不在のため、看護師や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練を実施しているのが現状です。機能訓練指導員が、高齢者にあった最適な運動を提供するために必要なノウハウをわかりやすく解説します。

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