機能訓練とリハビリの違いについて

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更新日:2024/04/07

「機能訓練」と「リハビリ」は似たような印象の言葉ですが、定義や前提条件に違いがあります。 介護現場のスタッフが間違った理解をしていると行政の運営(実地)指導や監査でご指摘を受けることになるため、注意が必要です。この記事では、機能訓練とリハビリの定義や基本方針の違い、実施者の違いなどについて、「通所介護」と「通所リハ」の視点からご紹介していきましょう。

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機能訓練とリハビリの定義の違い

リハビリテーションと機能訓練の違いを、介護保険上の定義の違いから解説していきます。運営基準では以下のように示されています。

  • リハビリテーションの定義
    リハビリテーションとは、介護保険上の言葉の定義で「医師の指示に基づき理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などのリハビリ専門職種が「身体機能の維持・回復」を目的に提供する訓練のこと」とされています。
  • 機能訓練の定義
    機能訓練とは、介護保険上の言葉の定義で「理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、 看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師などの機能訓練指導員が「減退防止」を目的に提供する訓練のこと」とされています。

介護保険制度におけるリハビリと機能訓練の大きな違いとしては「医師の指示」にもとづいて訓練を行う必要があるかどうかです。

また、リハビリには定められている専門職種が訓練を行いますが、機能訓練では介護職員をはじめとしたその他職員でも実施が可能です。

リハビリと機能訓練には法律的な違いがあるわけではなく、医療現場・介護現場それぞれのシーンで言葉が分かれるケースが多いです。

参考:厚生労働省「リハビリテーションと機能訓練の機能分化と その在り方に関する調査研究」(2016年3月) (2023年6月4日確認)

通所介護と通所リハビリの違い

機能訓練とリハビリの違いについては、「通所介護」と「通所リハビリ」の基本方針の違いについて理解しておくと、さらに理解が深まります。
基本方針・対象者・実践者の3つの違いから抑えていきましょう。

基本方針

  • 通所介護
    要介護状態でも自宅で自立した日常生活を送れるように、生活上の世話や機能訓練によって、以下を実施しなければいけない。
    ・利用者の社会的孤立感の解消と、心身機能の維持
    ・利用者家族の身体的、精神的負担の軽減
  • 通所リハビリ
    要介護状態でも自宅で自立した日常生活を送れるように、利用者に心身機能の維持・回復を目的としたリハビリテーションを行わなければいけない。

通所介護では利用者の心身機能だけでなく、取り巻く環境に対してもアプローチする必要があります。
一方で、通所リハビリでは心身機能の維持・改善を目的としたリハビリが中心となっています。

対象者

  • 通所介護
    居宅要介護者
  • 通所リハビリ
    居宅要介護者(主治の医師がその治療の必要の程度につき、厚生労働省令で定める基準に適合していると認めたものに限る)
    病状が安定期にあり、施設において、心身の機能の維持回復及び日常生活上の自立を図るために、診療に基づき実施される計画的な医学的管理 の下における理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーションを要すること

どちらも居宅要介護者が対象者ですが、通所リハビリでは医師が治療が必要と診断した場合のみサービスが提供されます。

つまり、通所リハビリの対象者は医師によるリハビリの指示を受けた方のみとなります。

実施者

  • 通所介護
    理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、准看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師
  • 通所リハビリ
    理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のみ

通所介護では、上記の「機能訓練指導員」に当てはまる資格を取得している方であれば実施可能です。
一方で、通所リハビリは理学療法士をはじめとした、リハビリを専門とした資格を取得している方のみに限定されます。

参照:厚生労働省「リハビリテーションと機能訓練の機能分化と その在り方に関する調査研究」(2016年3月) (2023年6月4日確認)

通所介護で実施される内容

ここでは通所介護で実施される内容についてご紹介します。
機能訓練ではどのようなことを行うのか、その具体的な内容についておさえておきましょう。

機能訓練指導員による「機能訓練」とは

通所介護での機能訓練は、機能訓練指導員のもとで行われます。
機能訓練指導員とは先ほど説明した通り、以下のいずれかの資格を持っている方が該当します。

  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 言語聴覚士
  • 看護師
  • 准看護師
  • 柔道整復師
  • あん摩マッサージ指圧師

機能訓練で行われる内容としては、以下の通りです。

  • 体操
  • 歩行練習
  • 筋力トレーニング
  • 基本動作の練習
  • マッサージ
  • レクリエーション

このように、利用者の心身機能を維持するための内容が実施されます。
身体を動かすための体操やレクリエーションなどのプログラムを中心に行われます。

通所リハビリで実施される内容

通所リハビリで実施される「リハビリテーション」は、おもに3種類に分かれます。

  • 理学療法
  • 作業療法
  • 言語聴覚療法

ここではそれぞれの具体的な内容についてご紹介します。

理学療法

理学療法とは、病気やケガなどが原因で身体に障害がある方に対して、基本的な動作能力の回復を図るためのリハビリです。
理学療法として行う内容としては、以下があげられます。

  • 体操
  • 筋力トレーニング
  • 有酸素運動
  • マッサージ
  • 電気刺激や温熱などの物理療法

これらの内容を、「理学療法士」がサポートしながら行います。

作業療法

作業療法士とは、病気や怪我などによって身体・精神に障害を持った方に対して応用的な動作、社会に適応できる能力の回復を図るためのリハビリです。

作業療法では手芸や工作、パソコンの操作など、応用的な動作の練習を中心に行うのが特徴です。

「理学療法=基本的な動作」「作業療法=応用的な動作」というイメージを持つとわかりやすいでしょう。

作業療法は「作業療法士」がサポートしながら行います。

言語聴覚療法

言語聴覚療法とは、言葉や食事、聴覚などに関わる能力に障害を持つ方に対して、それらの機能の維持・向上を図るためのリハビリです。
障害を持った方に必要な検査を行ったうえで、以下のようなリハビリを提供します。

  • 発声の練習
  • 飲み込みの練習
  • 文字を書く練習
  • 会話の練習
  • 代替手段を用いたコミュニケーションの獲得

言語聴覚療法は「言語聴覚士」とともにリハビリを進めていきます。

機能訓練とリハビリの違いは「前提条件」がポイント

介護保険制度における機能訓練とリハビリの違いとしては、「医師の指示」があるかどうかがポイントです。

通所リハビリで行われるのがリハビリで、通所介護で提供するサービスの一部が機能訓練と表現するとわかりやすいでしょう。

また、通所介護をはじめとした介護保険サービスは機能訓練で、医療保険サービスを提供する機関ではリハビリのケースが多いといえます。

これらの前提条件を踏まえたうえで、機能訓練とリハビリの違いについておさえておきましょう。

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この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

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