- 1.基本チェックリストとは?
- 2.地域包括支援センターなどの窓口担当者の流れ
- 3.基本チェックリストによる事業対象者認定と要介護認定の違い
- 3-1.基本チェックリストで事業対象者になった場合のサービス利用の特徴
- 3-2.介護予防・日常生活支援総合事業のサービス利用の特徴
- 3-3.要介護・要支援・事業対象者の認定を受けていない場合
- 4.基本チェックリストと事業対象者
- 5.基本チェックリストの項目と判定
- 6.日常生活関連動作についての基本チェックリストの項目と考え方
- 6-1.バスや電車で1人で外出していますか
- 6-2.日用品の買物をしていますか
- 6-3.預貯金の出し入れをしていますか
- 6-4.友人の家を訪ねていますか
- 6-5.家族や友人の相談にのっていますか
- 7.運動器の機能についての基本チェックリストの項目と考え方
- 7-1.階段を手すりや壁をつたわらずに昇っていますか
- 7-2.椅子に座った状態から何もつかまらずに立ち上がっていますか
- 7-3.15分位続けて歩いていますか
- 7-4.この1年間に転んだことがありますか
- 7-5.転倒に対する不安は大きいですか
- 8.低栄養状態かどうかについての基本チェックリストの項目と考え方
- 8-1.6ヵ月間で2~3kg以上の体重減少がありましたか
- 8-2.身長 cm 体重 kg (BMIの値 )
- 9.口腔機能についての基本チェックリストの項目と考え方
- 9-1.半年前に比べて固いものが食べにくくなりましたか
- 9-2.お茶や汁物等でむせることがありますか
- 9-3.口の渇きが気になりますか
- 10.閉じこもりの状態についての基本チェックリストの項目と考え方
- 10-1.週に1回以上は外出していますか
- 10-2.昨年と比べて外出の回数が減っていますか
- 11.認知症についての基本チェックリストの項目と考え方
- 11-1.周りの人から「いつも同じ事を聞く」などの物忘れがあると言われますか
- 11-2.自分で電話番号を調べて、電話をかけることをしていますか
- 11-3.今日が何月何日かわからない時がありますか
- 12.うつについての基本チェックリストの項目と考え方
- 13.まとめ
基本チェックリストとは?
基本チェックリストとは、日常生活関連動作、運動器の機能、低栄養状態かどうか、口腔機能、閉じこもりの状態、うつ傾向などの項目についてご高齢者の本人の状況を確認するツールです。平成18年頃に厚生労働省から様式や判定方法の考え方が示され実用化が周知されました。地域包括支援センターなどで総合事業対象者の認定などに用いられています。
総合事業の開始に伴い、必ずしも要介護認定を受けなくても、必要なサービスを総合事業の枠組みで利用できるよう、本人の状況を確認するツールとして基本チェックリストを用いる方針となっています。なお、基本チェックリストは厚生労働省の作成した書式がありますが、区市町村でオリジナル項目を追加しているなどのケースもあります。
【関連記事】 地域包括支援センターは市町村が設置している施設で、要支援・事業対象者などの介護予防ケアマネジメントを行うこと、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員などが地域で暮らす高齢者の生活や権利をサポートするネットワークを回す役割や、ケアマネージャーの相談役として難しいケースなどについて一緒に考えることなどを行っている施設です。 |
地域包括支援センターなどの窓口担当者の流れ
地域包括支援センターなどの窓口担当者は、介護や介護予防の相談を受けると、サービス事業、要介護認定等の申請、一般介護予防事業についての説明を行います。特に、サービス事業は、その目的や内容、メニュー、手続き等について、十分説明を行います 。
その上で、明らかに要介護認定が必要な場合や予防給付によるサービス(介護予防訪問看護、介護予防福祉用具貸与等)を希望している場合等は、要介護認定等の申請の手続につなぎます。
上の書式は、厚生労働省の示した総合事業対象者の基本チェックリスト様式の例です。この基本チェックリストは、区市町村の職員や、地域包括支援センターの職員がご高齢者に対して行います。
要支援や要介護の認定が出なそうな場合で、「基本チェックリスト」に該当する場合には、事業対象者として認定されて介護予防通所介護(デイサービス)を利用できる場合があります。
基本チェックリストによる事業対象者認定と要介護認定の違い
事業対象者認定と要介護度の認定の違いは、手続きにかかる時間や内容の違いと、認定を受けて利用できるサービスの違いです。
要介護の認定調査では、認定調査員が現地で調査し、その後主治医の意見書なども加味して1ヶ月くらいかけて認定処理が行われますが、事業対象者は地域包括支援センターなどで簡易的にチェックリスト行いその結果を根拠に認定することができます。
地域包括支援センターなどの窓口担当者は、介護や介護予防の相談を受けると、サービス事業、要介護認定等の申請、一般介護予防事業についての説明を行います。特に、サービス事業は、その目的や内容、メニュー、手続き等について、十分説明を行います 。
その上で、明らかに要介護認定が必要な場合や予防給付によるサービス(介護予防訪問看護、介護予防福祉用具貸与等)を希望している場合等は、要介護認定等の申請の手続につなぎます。
介護予防のための住民主体の通いの場など、一般介護予防事業の利用のみを希望する場合は、それらのサービスにつなぎます。
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基本チェックリストで事業対象者になった場合のサービス利用の特徴
総合事業の説明の際には、以下の特徴などをお伝えします。
①サービス事業によるサービスのみ利用する場合は、要介護認定等を省略して基本チェックリストを用いて事業対象者とし、迅速なサービスの利用が可能であること
②事業対象者となった後や、サービス事業によるサ ービスを利用し始めた後も、必要な時は要介護認定等の申請が可能であること
介護予防・日常生活支援総合事業のサービス利用の特徴
介護予防・日常生活支援総合事業の趣旨として以下の特徴などをお伝えします。
①効果的な介護予防ケアマネジメントと自立支援に向けたサービス展開による、要支援状態からの自立の促進や重症化予防の推進をはかる事業であること
②ケアマネジメントの中で、 本人が目標を立て、その達成に向けてサービスを利用しながら一定期間取り組み、 達成後は、より自立へ向けた次のステップに移っていくこと
要介護・要支援・事業対象者の認定を受けていない場合
要介護・要支援・事業対象者の認定を受けていない場合には、まず、地域包括支援センター・市役所の介護保険の窓口・居宅介護支援事業所のいずれかに問い合わせをします。
その際に、サービスの利用の流れとして、以下の3つの対応があります。
・基本チェックリストの活用
・(明らかに)要介護認定等申請が必要
・(明らかに)一般介護予防で対応
基本チェックリストは平成18年頃に厚生労働省から実用化が周知され、地域包括支援センターなどで活用されていました。総合事業の開始に伴い、必ずしも要介護認定を受けなくても、必要なサービスを総合事業で利用できるように本人の状況を確認するツールとして基本チェックリストを用いる方針となっています。なお、基本チェックリストは厚生労働省の作成した書式がありますが、区市町村でオリジナル項目を追加しているなどのケースもあります。
基本チェックリストと事業対象者
一般的な流れとしては、要介護認定に関わる手続きを進めて、介護保険被保険者証(保険証)・事業対象者の認定証を交付される必要があります。
基本チェックリストの場合には、要介護の認定申請を行なって審査結果を待つという時間がなく、
要介護・要支援・事業対象者の認定を受けていない状態で早急にデイサービスを利用する必要がある場合には、要介護認定調査の申請をした状態でサービスの利用を開始することもできますが、ケースに合わせてケアマネージャーやデイサービスの担当者と相談が必要です。
基本チェックリストの項目と判定
厚生労働省の基本チェックリスト様式は、以下の25項目から構成されており、各項目の結果から判定を行います。
- バスや電車で1人で外出していますか
- 日用品の買物をしていますか
- 預貯金の出し入れをしていますか
- 友人の家を訪ねていますか
- 家族や友人の相談にのっていますか
- 階段を手すりや壁をつたわらずに昇っていますか
- 椅子に座った状態から何もつかまらずに立ち上がっていますか
- 15分位続けて歩いていますか
- この1年間に転んだことがありますか
- 転倒に対する不安は大きいですか
- 6ヵ月間で2~3kg以上の体重減少がありましたか
- 身長 cm 体重 kg (BMI= )(注)
- 半年前に比べて固いものが食べにくくなりましたか
- お茶や汁物等でむせることがありますか
- 口の渇きが気になりますか
- 週に1回以上は外出していますか
- 昨年と比べて外出の回数が減っていますか
- 周りの人から「いつも同じ事を聞く」などの物忘れがあると言われますか
- 自分で電話番号を調べて、電話をかけることをしていますか
- 今日が何月何日かわからない時がありますか
- (ここ2週間)毎日の生活に充実感がない
- (ここ2週間)これまで楽しんでやれていたことが楽しめなくなった
- (ここ2週間)以前は楽にできていたことが今ではおっくうに感じられる
- (ここ2週間)自分が役に立つ人間だと思えない
- (ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする
日常生活関連動作についての基本チェックリストの項目と考え方
バスや電車で1人で外出していますか
基本チェックリストの「バスや電車で1人で外出していますか」では、質問項目の趣旨として、家族等の付き添いなしで、1人でバスや電車を利用して外出しているかどうかを尋ねています。バスや電車のないところでは、それに準じた公共交通機関に置き換えて回答して下さい。なお、1人で自家用車を運転して外出 している場合も含まれます。
日用品の買物をしていますか
基本チェックリストの「日用品の買い物をしていますか」では、自ら外出し、何らかの日用品の買い物を適切に行って いるかどうか(例えば、必要な物品を間違いなく購入し ているか)を尋ねています。頻度は、本人の判断に基づ き回答して下さい。電話での注文のみで済ませている 場合は「いいえ」となります。
預貯金の出し入れをしていますか
基本チェックリストの「預貯金の出し入れをしていますか」では、質問項目の趣旨として、自から預貯金の出し入れをしているかどうかを尋ねています。銀行 等での窓口手続きも含め、本人の判断により金銭管理を行ってい る場合に「はい」とします。家族等に依頼して、預貯金の出し入 れをしている場合は「いいえ」となります。
友人の家を訪ねていますか
基本チェックリストの「友人の家を訪ねていますか」では、友人の家を訪ねているかどうかを尋ねています。電話による交流 や家族・親戚の家への訪問は含みません。
家族や友人の相談にのっていますか
基本チェックリストの「家族や友人の相談にのっていますか」では、家族や友人の相談にのっているかどうかを尋ねています。面談せずに電話のみで相談に応じている場合も「はい」とします。
運動器の機能についての基本チェックリストの項目と考え方
階段を手すりや壁をつたわらずに昇っていますか
基本チェックリストの「階段を手すりや壁をつたわらず に昇っていますか」では、階段を手すりや壁をつたわらずに昇っているかどうかを尋ねてい ます。時々、手すり等を使用している程度であれば「はい」とし ます。手すり等を使わずに階段を昇る能力があっても、習慣的に手すり等を使っている場合には「いいえ」となります。
椅子に座った状態から何もつかまらずに立ち上がっていますか
基本チェックリストの「椅子に座った状態から何もつかまらずに立ち上がっていますか」では、椅子に座った状態から何もつかまらずに立ち上がっているかどうかを尋ねています。時々、つかまっている程度であれば「はい」 とします。
15分位続けて歩いていますか
基本チェックリストの「15 分位続けて歩いていますか」では、15 分位続けて歩いているかどうかを尋ねています。屋内、屋外等 の場所は問いません。
この1年間に転んだことがありますか
基本チェックリストの「この1年間に転んだことがありますか」では、この1年間に「転倒」の事実があるかどうかを尋ねています。
転倒に対する不安は大きいですか
基本チェックリストの「転倒に対する不安は大きいですか」では、現在、転倒に対する不安が大きいかどうかを、本人の主観に基づ き回答してください。
低栄養状態かどうかについての基本チェックリストの項目と考え方
6ヵ月間で2~3kg以上の体重減少がありましたか
基本チェックリストの「6ヵ月間で2~3kg以上の体重減少がありましたか」では、6ヵ月間で2~3㎏以上の体重減少があったかどうかを尋ねています。6ヵ月以上かかって減少している場合は「いいえ」となります。
身長 cm 体重 kg (BMIの値 )
身長、体重は、整数で記載してください。体重は1カ月以内の値 を、身長は過去の測定値を記載して差し支えありません。体重と身長の値からBMIを算出して記録します。
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口腔機能についての基本チェックリストの項目と考え方
半年前に比べて固いものが食べにくくなりましたか
基本チェックリストの「半年前に比べて固いものが食べ にくくなりましたか」では、半年前に比べて固いものが食べにくくなったかどうかを尋ねています。半年以上前から固いものが食べにくく、その状態に変化が生じていない場合は「いいえ」となります。
お茶や汁物等でむせることがありますか
基本チェックリストの「お茶や汁物等でむせることがあ りますか」では、お茶や汁物等を飲む時に、むせることがあるかどうかを、本人の主観に基づき回答してください。
口の渇きが気になりますか
基本チェックリストの「口の渇きが気になりますか」では、口の中の渇きが気になるかどうかを、本人の主観に基づき回答してください。
閉じこもりの状態についての基本チェックリストの項目と考え方
週に1回以上は外出していますか
基本チェックリストの「週に1回以上は外出していますか」では、週によって外出頻度が異なる場合は、過去1ヵ月の状態を平均してください。
昨年と比べて外出の回数が減っていますか
基本チェックリストの「昨年と比べて外出の回数が減っていますか」では、昨年の外出回数と比べて、今年の外出回数が減少傾向にある場合は「はい」となります。
認知症についての基本チェックリストの項目と考え方
周りの人から「いつも同じ事を聞く」などの物忘れがあると言われますか
基本チェックリストの「周りの人から『いつも同じ事を聞く』などの物忘れがあると言われますか」では、本人は物忘れがあると思っていても、周りの人から指摘されることがない場合は「いいえ」となります。
自分で電話番号を調べて、電話をかけることをしていますか
基本チェックリストの「自分で電話番号を調べて、電話をかけることをしていますか」では、何らかの方法で、自ら電話番号を調べて、電話をかけているかど うかを尋ねています。誰かに電話番号を尋ねて電話をかける場合や、誰かにダイヤルをしてもらい会話だけする場合には「いいえ」 となります。
今日が何月何日かわからない時がありますか
基本チェックリストの「今日が何月何日かわからない時がありますか」では、今日が何月何日かわからない時があるかどうかを、本人の主観に基づき回答してください。月と日の一方しか分からない場合には 「はい」となります。
うつについての基本チェックリストの項目と考え方
うつについての基本チェックリストの項目では、ここ2週間の状況を、本人の主観に基づき回答してください。
・(ここ2週間)毎日の生活に充実感がない
・(ここ2週間)これまで楽しんでやれていたことが楽しめなくなった
・(ここ2週間)以前は楽にできていたことが今ではおっくうに感じられる
・(ここ2週間)自分が役に立つ人間だと思えない
・(ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする
まとめ
この記事では、高齢者の状態を把握するための「基本チェックリスト」について詳しくご紹介しました。基本チェックリストは歴史があり、厚生労働省の基本チェックリスト様式は平成18年から存在しており、活用されています。介護予防通所介護などが総合事業に移行されることにより、事業対象者という枠組みを選定するために基本チェックリストの新たな活用方法が注目されています。
主に地域包括支援センターの職員が高齢者の状態把握に使用する書式になりますが、どのような点をみているかの参考になるかと思います。
こちらの記事もご参考にどうぞ
・介護予防通所介護の運営基準(総合事業における通所介護相当サービス)まとめ