介護予防・日常生活支援総合事業とは?対象者や運営基準を解説

コラム

介護スタッフの基礎知識

更新日:2023/06/15

デイサービスには通常の通所介護と介護予防・日常生活支援総合事業の2種類があります。介護予防とは要介護状態を防ぐことを目指すことを意味する言葉です。本記事では、介護予防の定義と要支援対象者向けの介護予防・日常生活支援総合事業の概要や人員、設備、運営基準などを紹介します。  

介護予防の定義と意義

介護予防とは、高齢者一人ひとりの生活機能や参加レベルを高め、QOL(生活の質)の向上を図るためのものです。

厚生労働省によると、介護予防の定義と意義は以下の通りです。

介護予防とは「要介護状態の発生をできる限り防ぐ(遅らせる)こと、そして要介護状態にあってもその悪化をできる限り防ぐこと、さらには軽減を目指すこと」と定義される。

引用 :介護予防マニュアル改訂版(2023年5月7日確認)

介護予防は基本的に自立した健康な高齢者、要支援1〜2の認定を受けている高齢者を対象としています。

参考:介護予防マニュアル改訂版 (2023年5月7日確認)

介護予防・日常生活支援総合事業について

介護予防・日常生活支援総合事業(以下総合事業)とは、市町村が主体の多様なサービスによって、高齢者の効率的なサポートを目指すものです。

総合事業では全国一律の介護保険サービスとは異なり、各市区町村の特徴にあわせた内容を実施するのが大きな特徴です。

また介護度に関係なく、要介護認定の申請を行わなくてもサービスの利用が可能です。

総合事業の中には「介護予防・生活支援サービス事業」という事業があり、以下のサービスを展開しています。

  • 訪問型サービス
  • 通所型サービス
  • その他の生活支援サービス
  • 介護予防ケアマネジメント

詳細については下記の厚生労働省のサイトを参考にしてください。

参照:厚生労働省「介護事業所・生活情報関連検索」 (2023年5月8日確認)

介護予防通所介護(介護予防型通所サービス)とは

介護予防通所介護とは、要支援認定された利用者に提供する通所型サービスのことです。
「要介護1〜5」の方が利用できる通常の通所介護とは異なり、介護予防通所介護は「要支援1、2」の方が対象です。

こちらのサービスは、平成29年4月の段階で総合事業へと完全に移行しました。

この移行によって、各市町村の実態にあわせた事業の展開が可能となり、人員や運営基準などを定めたうえで、柔軟に事業者を指定できるようになりました。

参考:(5)介護予防給付(訪問介護・通所介護)の見直しと地域支援事業の充実等 (2023年5月9日確認)

参考:介護予防通所介護(デイサービス) (2023年5月11日確認)

介護予防・日常生活支援総合事業の対象者

総合事業は「介護予防・生活支援サービス事業」と「一般介護予防事業」の2種類に分かれています。
「介護予防・生活支援サービス事業」における対象者は要支援者ですが、介護認定を受けていない方も利用が可能です。

その際は「基本チェックリスト」によって、サービス提供の有無を判断します。
基本チェックリストとは、身体機能の低下がみられているかを確認するためのリストです。
基本チェックリストで一定の基準を満たした場合に、サービスの利用が可能となります。

一方で「一般介護予防事業」によるサービスは、すべての高齢者が対象です。

介護予防・日常生活支援総合事業の目的

利用者が過ごしている居宅において、自立した日常生活を営むことができるように地域がサポートするのが総合事業の目的です。

日常生活上の支援および機能訓練を行うことにより、利用者の心身機能の維持・回復を図り、より良い生活を目指します。

総合事業の通所サービス(通所介護相当)の人員について

ここでは総合事業の通所サービス(通所介護相当)の人員について解説します。

管理者

常勤の管理者は1人必要です。
業務の支障がなく、同じ敷地内であれば、対象の事業所以外の施設で仕事をしていても問題ありません。

生活相談員

事業所ごとに、サービスを提供している時間帯に専従の生活相談員が1人以上必要です。

介護職員

介護職員は利用者の数によって人員基準が変化します。
利用者が15名までの場合は、1人以上の介護職員が必要です。

利用者が16名以上の場合、人数が1人増えるごとに「0.2」を加えた数の介護職員が必要です。
(例:利用者が20名の場合、2人以上の介護職員が必要)

また、最低でも1人以上は常勤を配置しなければいけません。

看護職員

看護職員は専従で1人以上必要です。

機能訓練指導員

以下の資格を保有している機能訓練指導員は専従で1人以上必要です。

  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 言語聴覚士
  • 看護職員(准看護師)
  • 柔道整復師
  • あん摩マッサージ指圧師
  • はり師・きゅう師(半年以上機能訓練指導に従事した経験が必要)

利用者が10名以下の人員基準について

利用者が10名以下、定員が10名以下の場合、看護職員または介護職員いずれか1人のみの配置でも可能です。

参考:通所介護及び療養通所介護 (参考資料) (2023年5月9日確認)

総合事業の通所サービス(通所介護相当)の設備基準

ここでは総合事業所通所サービス(通所介護相当)の設備基準について解説します。

食堂及び機能訓練室

食堂と機能訓練室は、それぞれの合計が3㎡×利用定員以上の面積とする必要があります。

面積に関わらず食事の提供、及び機能訓練の実施に支障がない広さを確保し、支障がない場合は食堂も機能訓練室も同一の場所にできます。

静養室

静養室に定められた基準はないため、各自治体の施設基準について確認してください。

相談室

相談室は遮蔽物の設置をして、相談内容が周囲に漏れないように配慮する必要があります。

消火設備その他の非常災害に際して必要な設備

こちらの設備も設置が必要です。
詳細については、各自治体の決まりを確認しましょう。

参考:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 (2023年5月9日確認)

介護予防・日常生活支援総合事業の運営基準

総合事業の運営基準は、人員基準と施設基準よりも多くの取り決めがあります。
運営基準を満たすためにも、必ず所属している自治体に確認しましょう。

介護予防は高齢者の自立支援に重要

介護予防や日常生活支援につながる総合事業は、高齢者が自立した生活を送るための重要なサービスです。
総合事業は市町村が中心で進められているので、地域の特性やニーズにあわせたサービスの提供が可能です。

一方で、総合事業を展開するには人員や施設などの基準を満たす必要があります。
指定された基準を満たすには、厚生労働省はもちろん、所属している自治体にも確認をしましょう。

今後も地域に住む高齢者がより良い生活を送れるように、ぜひ総合事業を活用してみてください。

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この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

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