送迎業務マニュアル作成 デイサービスでの福祉車両管理と事故対応

デイサービスやデイケアなどの通所介護施設では運営上毎日送迎業務があり、マニュアルを作成できないかお考えの方はいませんか?福祉車両の操作はマニュアル化してみんなが共有すべきです。確認すべき項目を明記した上で、運行管理表などで点検していくと良いです。落ち着いて運転運行ができるよう業務の方法や事故対応、急変や不在の対応なども重要です。介護施設の送迎でご利用者の安全確保、急変、交通事故対応などを職員に伝えるポイントを紹介します。

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デイサービスの送迎マニュアルを作成するために

デイサービスの送迎マニュアルを作成するために

デイサービスでは送迎業務は欠かせない業務です。デイサービスで送迎を行わないご利用者に対しては「送迎減算」という減算の対象になります。通所介護施設では毎日送迎業務があり、計画された時間の中で落ち着いて運転運行ができるよう業務の方法や事故対応などについてマニュアル作成が重要です。

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送迎業務マニュアル作成の手引き

送迎業務はご利用者ごとに個別に対応方法を計画して共有しなければならない部分もありますが、そのほかの多くの送迎に関わる業務はマニュアル的にして従業者に共有した方が働きやすく、事故などの備えることができます。

特に、送迎業務では、介護リーダーや管理者がいない状態で職員が個々に対応する場面が中心で、指示監督が届きません。どのように対応するかを決めていないと、職員の裁量で信じられないことが起きたりします。もちろん送迎業務マニュアルを作成しても事故や想定外の事案は生じますが、そのような時の対応もあらかじめ決めておくことが大切です。この記事では、各施設で送迎業務マニュアルを作成するとき、送迎業務マニュアルを見直す時に手引きとなるように確認して起きたい、送迎車両の操作、送迎車両の点検・管理、交通事故対応の項目を紹介します

 

送迎業務のために福祉車両の操作方法・安全管理マニュアル

送迎業務のために福祉車両の操作方法・安全管理マニュアル

車椅子対応の車両などでは、パワーリフトや車椅子のロック、車椅子用シートベルトなど、特殊な操作が必要になります。車椅子乗車可能な福祉車両を使用していても、シートベルトやロックなどを正しく使用していなければ安全な輸送はできません

福祉車両とご利用者の乗降介助の双方の業務の安全

介護施設の送迎で使われる福祉車両のリフトや乗降用ステップなどは簡単に操作できるような仕様になってはいますが、初めて車椅子の方やステップが難しい方などをお乗せするときにはご利用者のことばかりに注意がいき、車両の安全確認などがおろそかになる可能性があります。福祉車両の正しい操作がわからず毎回心配な気持ちで業務をしていて、さらにご利用者の乗降介助などの心配や焦りも加わるとミスや誤った対応が起きやすくなります。車両の安全な操作、安全なシートベルト着用、乗降介助など、できるだけ安心して安全な対応ができるようにマニュアル化しましょう。

福祉車両の操作マニュアルを作成運用しよう

介護施設ではドライバーから新人ドライバーへ伝言ゲームのように送迎車両やリフトの操作方法が伝えられていくことが多いですが、伝言のみでは業務や操作を共有する限界があります。また、新人職員からしたら「聞いてない」「教わっていない」ということが出てきて不満になります。介護や乗降介助の個別の業務や注意点については、マニュアルとして固定的に定めるというよりは通所介護計画などで情報共有していくべきことですが、例外的なことは後からでも、送迎車両の機能や特徴を確認し、正しい操作方法や固定方法などからマニュアル化をすることをお勧めします。送迎車両の操作などは数枚でさらっと内容をまとめたり、リフトの写真に注釈でメモを入れたりするだけでも最初は良いと思います。明文化し、見える化することが大切です。

福祉車両操作マニュアルに載せたい項目

・車椅子のブレーキや移動介助方法

・昇降リフトやスロープの操作(事故防止のポイント、動かないときの確認事項)

・車椅子等の固定装置の操作

・前席・後部座席などいろいろな座席でのシートベルトの着用方法

・乗車用のステップの操作(手動の場合)

 

デイサービスの送迎業務マニュアル 車両運行管理表(運行日報)の記入方法

デイサービスの送迎業務マニュアル 車両運行管理表(運行日報)の記入方法

デイサービスの送迎では、予定された時間に沿って車両の運転を行い、運行管理表や運行日報などで記録に残し管理することが多いです。デイサービスの場合には、送迎表でご利用者の送迎ルートや到着時刻などを別途管理していることが多いですが、車両の管理や運転者ごとの管理も行なって置くことをお勧めします。
 

車両運行管理表の目的

車両運行管理表で管理する目的は、車両の異常や不正な使用に気づくための安全管理と、運行時間や距離についての確認です。デイサービスでは送迎表でご利用者の自宅への到着時刻や乗降介助時に確認することなどを管理していることが多いですが、車両そのものを管理する必要もあります。
 

運行管理表で管理すると良い項目

車両管理表では、車両の異常や不正使用の対策、安全管理のために、以下のような項目を記録することが多いです。

・車両を運転する日付・曜日

・車両の運転を開始する時刻、場所

・車両の運転を終了する時刻、場所

デイサービスなどでは、施設での滞在時間が基本報酬を決める根拠になります。原則通所介護計画書で定めた時間に合わせて算定となりますが、特別な理由なく常に滞在時間が不足している場合には返戻等の対象になります。

・車両の安全点検(車両の外部、内部の異常がないか)

車両を運転していると気づかぬうちにこすってしまっていたり、車内の異常があったりします。例えば外部に傷があったとしたら、どこかで物損事故を起こしている可能性が高いです。その場での事故対応が最重要ですが、本当に気づかなかった場合には早期に気づき、相手方の調査や車両の修理などの対応を行うときに重要です。

・走行距離メーター・給油

・特記

走行中に何か変わったことがあったら記録する欄を用意しておくと良いです。

・運転担当者・添乗者

送迎の運行管理を行う管理表には、運転者の記入は必須です。運転中の出来事について何かあった時にはその人に確認せざる得ないためです。また、添乗者も記入しておいた方が後から振り返る時便利です。
 

日常点検(運転前点検)の手順と項目

以前の法律では、1日1回車両の運転前点検が義務となっていましたが、車両の性能向上や使用形態の多様化に対応し緩和され、日常点検として適切な時に運転者に点検するということで義務付けられています。運転前点検は義務ではなくなりましたが、業務上共用で車両を使う場合には運転前点検を行うことをお勧めします。

国土交通省が勧める車両の日常点検項目

国土交通省では、日常点検で15項目について点検することを勧めています。点検方法などについて詳しくは「安全な自動車に乗ろう!自動車総合安全情報」のページで紹介されています。

  • ブレーキペダル
  • 駐車ブレーキ
  • エンジンのかかり
  • エンジンの低速・加速の状態
  • ウィンド・ウォッシャの噴射状態
  • ワイパーの拭き取りの状態
  • ブレーキ液の量
  • 冷却水の量
  • エンジン・オイルの量(汚れ)
  • バッテリ液の量
  • ウィンド・ウォッシャ液の量
  • ランプ類の点灯
  • タイヤの空気圧
  • タイヤの亀裂・損傷
  • タイヤの溝の深さ

 

交通事故対応マニュアルを運営に活かす

交通事故対応マニュアル

送迎業務を行うときにもっとも懸念されることは交通事故です。車両を運行する上で交通事故の対応方法を明確にすることは最重要です。

交通事故には大きな事故から小さな事故までありますが、初期対応が重要です。もし事故を起こしてしまった場合には、怪我をする場合もありますし、本人は混乱してしまったり、乗車しているご利用者がパニックを起こしてしまうことなども間がられます。

送迎業務中の交通事故の初動(初期対応)

送迎業務中に交通事故が起きた場合、初期対応が重要なので明記しましょう。

事故が起きてしまったらすぐにすべきこと

・乗車中の方、お相手の状況把握

・乗車中の方、お相手の安全確保

・救急車、警察連絡→事業所へ連絡

事故が起きてしまったら、状況を把握して、二次災害を防ぐために安全を確保した上で、迅速に救急・警察へ連絡します。これらがスムーズに行えるように、フローチャートなどを車内の見えるところにおいておくと良いです。
 

警察や救急への連絡の時は、場所を伝えるための目印

交通事故が起きた場所に目印がなかったとき、どのように救急に電話で場所を伝えたらよいかわからないことがあります。そのような時には、このようなもので伝えるとスムーズに位置を伝えられます。

  • 自動販売機の住所表示ステッカー
  • 信号機の地名表示
  • 信号機の制御機の管理番号
  • 電柱の街区表示板
  • 電柱番号(NTT電柱番号、電力会社電柱管理番号)

 

事故の現場の写真・損害を受けたものの写真を撮影

焦ってしまうと忘れがちになりますが、事故がどんなものだったかを振り返るためにも、スマホや携帯でもいいので事故の現場、事故での物損や車両の損壊の写真を撮影することを忘れないでください

事故の写真は、事故報告書を書くときの資料として、また保険会社への提出、事故についての裁判や示談などのときの資料など、様々な用途で役立ちます

ドライブレコーダーをつけている場合には、事故の瞬間からその後まで記録し、保管して起きます。

 

事故の状況を管理者・施設待機スタッフへ連絡

交通事故にも、自損事故、対人事故、対物事故がありますが、いずれの場合も原則警察への連絡が必要です。状況を把握して、初期対応を行なった上で管理者や施設で待機しているスタッフに状況を説明し、乗車中の方の送迎のサポートなどに入ってもらうことや、タクシーで施設への送迎などの依頼をします。

管理者は事故の状況を把握して、適切に指示が出せるように備えて置く必要があります。保険会社への連絡が第一と考えている方もいますが、これらの初期対応を行なって落ち着いてからにしましょう

交通事故対応は、何よりも人命が第一で、二次災害を防ぐことが優先です。相手方が悪い事故でも、お相手には誠意を持って対応した上で、事実を警察に伝えましょう。
 

車両事故報告と関係者への情報共有

送迎中の交通事故の場合には、最低でも乗車していたご利用者の家族、ケアマネージャーには状況を把握した上でご連絡を入れます。交通事故ということを伝えるのは躊躇したい気持ちになるかもしれませんが、ご利用者の状態や経過、初期対応・現状わかっている事実を伝えましょう。

ケースによっては、当事者からの詳細な事故報告書の提出を受けてから関係者に連絡を入れる場合もありますが、事故については第一報は早い方が良いケースが多いかと思います。

 

事故報告書の書き方マニュアル

交通事故対応マニュアル 事故報告書画像

介護施設では業務に関わる事故については、事故の記録を残すことが義務となっています。送迎中の業務についても、事故でどんなことがあったのかや、初期対応、経過などについて事故報告書を作り、情報を共有します。

車両事故報告書で必要な情報と雛形

介護事故報告とは別に、車両事故報告書のフォーマットを作っている事業者も多くあります。車両事故の場合には、乗車中のご利用者の情報や、相手方の情報、事故車両の状況など、状況や経過を記録すべきことが多いからです。

医療機関受診などのレベルの事故は区市町村への報告義務があるため、各自治体で事項報告書の様式を用意しています。通常事故ではそれらの項目をベースにした事故報告書を使い、交通事故の場合には相手方の情報や、相手・同乗者への対応、車両の状態や修理見積もりなども含めて記載するような雛形が良いと思います。

自動車保険の会社が、保険手続きや業務中の事故も想定した事故報告書の雛形を用意しているケースもあります。

事故報告書の記入をすることにも業務マニュアルに明記

事項報告書は、事故を起こした職員記入することが基本になりますが、事故を起こしてショックを受けている職員にさらに負担を与えるものではあります。

事故報告は業務の一部として認識してもらうこともマニュアルの意義です。

詳細に記入してもらうことに越したことはないですが、事故報告の記入に慣れていない職員は言語化することが難しいことがあります。マニュアルや指導がない状態で運転業務に従事していた場合、自分の責任という気持ちよりも、「何も教わっていないし、事故報告を確認て聞いてもいない!」という怒りが職員さんに湧くこともあります。そのためにも、事故が起きた時には責任を取らせるという身ではなく、事案と対応を記録しておき情報共有する必要があることを送迎業務マニュアルでも伝えて起きましょう。事故報告書がどこにあり、どのように保管されているか、書き方の例についてもマニュアルに明記しておきましょう。

事故や急変が起きてしまったスタッフを責める訳ではないということをよく伝えた上で、管理者として必要な情報を集めるために話を聞きながら一緒に事項報告を作るなどの配慮も必要かもしれません。

 

送迎中の急変対応マニュアル

送迎中の急変対応マニュアル

施設内であれば急変時の判断は一人でなく看護職員や管理者に委ねることもできますが、送迎中の急変については送迎を担当したスタッフが判断をしなければなりません。そのため、救急車を呼ぶ条件や、異変が起きたときの対応方法についても確認しておきましょう。

送迎運行中の急変に備えて

高齢者や要介護者を送迎している中で、運行中に急に体調が悪くなったり、意識不明になったり、痙攣が起きたり、嘔吐をしてしまったりというケースに遭遇することがあります。

意識不明や呼吸停止などでは安全な場所に車を停車して救急車を呼ぶなどの対応になりますが、例えば嘔吐などでは感染予防などの観点も含めた対応が必要になります。嘔吐した時の感染対応グッズを車に載せておき、その手順をマニュアル化しておくことも必要です。

送迎先のご自宅で倒れていた場合・出てこなかった場合に備えて

デイサービスのご利用者には独居の方もいて、送迎先で倒れている場合や、チャイムを押しても出てこない場合もあります。ケースバイケースで何かあったらご家族連絡の場合や、近所の親戚に声をかけるなどのケースもあります。

また、もともと居宅内での介護を計画しているケースなどもあるためその場合には状況を装置して事前に対応を決めて置く必要があります。

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マニュアル化するかはそれぞれですが、玄関先で出てこなかったとき、そのまま帰ってきてしまうという形にはならないようなことを共有することは大切です。送迎で迎えに行って出てこなかった場合には、施設に連絡を入れるなどをあらかじめ決めて置くことは大切です。初めて送迎業務を行なった職員の場合には、このようなときにどうするかも決めておくことが大切です。

 

送迎業務マニュアルを考えるときのまとめ

送迎業務マニュアルを考えるときのまとめ

いかがでしたか?

介護施設の送迎業務は通所施設では基本的に提供するものとなっていますが、実際の業務は想定外のことが色々と起きます。しかし、基本の業務や車両の安全な取り扱いについてはマニュアル化が可能な部分です。特にシートベルトや福祉車両のリフト操作などは使い方を間違っていたら過失に問われるような事案です。送迎業務に関わる職員には、車の運転だけが送迎業務ではないということを伝えた上で、安心して業務に当たれるように業務や手順を明確にしましょう。介護業界には業務のマニュアル化に否定的な意見がある一方で、責務として知っておくべきことはみんなが共通でわかるようにしておくことは必要です。送迎業務は職員に負担がかかりやすい仕事です。安全で働きやすい職場を整えるために、業務の手順や確認事項は共有する仕組みを整えていきましょう。

 

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著者プロフィール

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リハビリ専門職(作業療法士)として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーションを技術を高めるため研修会を立ち上げ、これまでに100名規模の研修会も開催された。現在は、「職種を越えたリハビリ介護を実現する」をテーマに、リハプランの専属ブロガーとして活躍中。作業療法士の専門性を活かして、介護事業所で算定できる加算・減算の中でも「個別機能訓練加算」について算定要件や計画書の書き方、機能訓練プログラムについて執筆している。

〜筆者の想い〜
通所介護事業所(デイサービス)の約8割は、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が不在のため、看護師や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練を実施しているのが現状です。機能訓練指導員が、高齢者にあった最適な運動を提供するために必要なノウハウをわかりやすく解説します。

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