FIMの歩行・車椅子移動と階段の採点に必要な知識をご紹介!

FIMの評価項目は、運動項目と認知項目の計18項目があり、ADL評価(日常生活動作)として世界的に活用されている評価方法です。そんなFIMの中でも「歩行・車椅子移動」と「階段」の採点が難しいと感じる方はいませんか?今回は、そんな「移動」の評価項目に着目してFIMの採点基準を詳しくご紹介します。

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FIMの「歩行・車椅子の移動」の採点ポイント

FIMの基本的な採点は、1点〜7点の7段階で評価します。その中でも「移動」の項目である「歩行・車椅子の移動」の採点のポイントをご紹介します。

歩行・車椅子の採点のポイント

1. 移動手段として歩行または車椅子で最も頻繁に行う方で採点する。
2.  FIMで評価する移動距離は「50m」と「15m」で採点する。
※FIM評価は、米国が発祥のため1街区(50m)と家屋内移動(15m)の距離としている。

50m移動が可能な場合の採点基準

7点:介助者なしで自立
6点:杖などの歩行補助具を使用していれば50mの移動が自立
   通常以上の時間がかかる
   安全面の配慮が必要
5点:監視または準備、助言があれば50mの移動が可能
4点:最小介助が必要だが「75%以上」は自分でしている
   手を触れる程度の介助があれば50mの移動が可能
3点:「75%」以上の中等度介助が必要
   しっかりと支えるように介助をすると50mの移動が可能

15m移動が可能な場合の採点基準

5点:15m〜49mは自立して移動が可能
2点:15m以上移動するのに介助が必要だが「25%以上」は自分でしている
1点:介助があっても15m以上移動できない
   15mの移動に2名以上の介助が必要

介助量の目安による採点基準

4点:患者さんに手を添える程度の介助
3点:患者さんをしっかり支え、足の振り出しを介助すれば50mの移動ができる
2点:1名の介助者が最大限介助して15mの移動ができる
1点:1名ないしは2名の介助者が最大限介助しても15m未満しか移動できない。





▶︎FIMを初めて評価する方はこちらの記事がオススメです。

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FIMとは|評価に必要な基礎知識と実践方法(初心者でもわかるFIM総論)
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採点の注意点について

FIMの歩行・車椅子移動の採点では、入院中に「車椅子」を使用していても退院時の移動手段が「歩行」が予測されれば、入院時に歩行のFIMの点数をつけるように注意しましょう!また、移動手段の予想が立たなければ、入院時に両方を評価して、退院時に決定するようにしましょう。


【歩行・車椅子移動の採点例】
移動手段:入院時 | 退院時
◎車椅子: 4点  | 6点
◎歩行 : 1点  | 7点

歩行の場合の採点事例について

FIMの移動項目の中でも「歩行」の採点事例をご紹介します。

 

▶︎事例1
杖やロフストランド杖を使用して50m以上一人で歩いている。
採点:6点
解説:杖を歩行補助具として使用しているため

▶︎事例2
歩行器を使用して50m以上の移動が可能だが、転倒の危険性から監視が必要。
採点:5点
解説:安全面の配慮、監視が必要のため

▶︎事例3
介助者に手を握ってもらえば50m以上の移動が可能。
採点:4点
解説:手を添える程度の最小介助のため

▶︎事例4
足に装具をつけ、介助者に足の振り出しを介助してもらえば50m以上歩ける。
採点:3点
解説:50m以上歩けるが足の振り出しは中等度の介助のため

車椅子の場合の採点事例について

FIMの移動項目の中でも「車椅子」の採点事例をご紹介します。

 

▶︎事例1
15m〜49m範囲内であれば車椅子で自立して移動できる。
採点:5点
解説:車椅子移動は自立しているものの50m以内のため

▶︎事例2
車椅子で50m以上の移動をしているが、敷居を越える時のみ介助が必要。
採点:4点
解説:50m以上の移動を3/4以上自分で自立して可能であるため

▶︎事例3
車椅子で15m〜49mを自分で移動できるが直進しかできず、方向転換と敷居を越える時に介助が必要。
採点:2点
解説:15mの車椅子移動に、1/2以上自分でできるため

FIMの「階段(昇降)」の採点ポイント

続いて、FIMの移動項目の中でも「階段(昇降)」の採点ポイントをご紹介します。

階段の採点ポイント

1. 階段は12〜14段または4〜6段で評価する
※12〜14段は米国の1階分、4〜6段は屋内のスキップフロアに相当するため
2. 登り、降りの両方を対象とする
3. 登りと降り、朝と夕で差がある場合は、低い点を採用する

12〜14段の階段を昇降している場合の採点基準

7点:介助者なしで自立
6点:杖や手すり、装具などの補助具を使用して自立
   通常以上の時間がかかる
   安全面の配慮が必要
5点:監視または準備、助言があれば12〜14段の階段を昇降できる
4点:「25%以下」の最小介助があれば可能
    手を触れる程度の介助があれば12〜14段の階段を昇降できる
3点:「25%以上」の中等度の介助があれば可能。
   足の運びの介助があれば12〜14段の階段を昇降できる

4〜6段の階段を昇降している場合の採点基準

5点:4〜6段の階段を自分で昇降できる
2点:「75%以下」の介助があれば昇降できる
1点:全介助
   昇降に2人介助が必要となる

採点の注意点について

FIMの階段の採点では、病院や施設に階段がない場合や評価の対象者が日常的に階段昇降をしない場合があります。このような場合は、評価を行う時だけの「できるADL」で採点しても構わないとされています。もちろん、その他のFIMの評価項目は、日常的に「しているADL」で採点することに注意してください!

また、エレベーターの使用は評価対象外となるため車椅子使用者などの評価は注意してください。

ちなみに、12〜14段の階段が足りない場合は、階段を往復して評価しても良いとされているので、3・4段の階段で往復して評価するようにしましょう。

階段の場合の採点事例について

FIMの「階段」の採点事例をご紹介します。

 

▶︎事例1
義足を使用しており、12〜14段の階段昇降を一人で行なっている
採点:6点
解説:義足は補助具になるため

▶︎事例2
4段の階段を自立して昇降できるが、息切れのため12〜14段はできない
採点:5点
解説:4段が自立して昇降できるため

▶︎事例3
8段の階段を最小限の介助または監視があれば昇降できる
採点:2点
解説:最小限の介助が必要となるため

▶︎事例4
階段昇降は、危険性が高いため行わなかった
採点:1点
解説:未実施のため

▶︎事例5
車椅子を使用している方がエレベーターを使用して自立している
採点:1点
解説:エレベーターは評価対象外のため

まとめ

今回はFIMの評価項目の中でも「歩行・車椅子移動」と「階段」の採点方法についてご紹介しました。

FIMの評価は、2016年度の診療報酬改定で回復期リハビリテーション病棟(以下、回復期リハ病棟)において「アウトカム評価」として導入されることになりました。これは、回復期リハ病棟の各患者に対し、しているADLの評価であるFIMをアウトカムとして数値化し、病棟・病院の実績として数値化できるようにという狙いです。

もしかすると将来的に、介護現場においてもアウトカムとしてもFIMの評価が指定される日が来るかもしれません。

今回の記事を参考に医療・介護現場で働くみなさんが自信を持ってFIMを評価できるようになっていただければ幸いです。

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著者プロフィール

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リハビリ専門職(作業療法士)として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーションを技術を高めるため研修会を立ち上げ、これまでに100名規模の研修会も開催された。現在は、「職種を越えたリハビリ介護を実現する」をテーマに、リハプランの専属ブロガーとして活躍中。作業療法士の専門性を活かして、介護事業所で算定できる加算・減算の中でも「個別機能訓練加算」について算定要件や計画書の書き方、機能訓練プログラムについて執筆している。

〜筆者の想い〜
通所介護事業所(デイサービス)の約8割は、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が不在のため、看護師や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練を実施しているのが現状です。機能訓練指導員が、高齢者にあった最適な運動を提供するために必要なノウハウをわかりやすく解説します。

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