FIMとは|FIMの評価方法と点数付けで知っておきたい基礎知識【総論】

医療・介護現場で検査するFIMの評価項目・評価方法がわからない、採点が不安な方はいませんか?FIM(機能的自立度評価表)は、日常生活動作(ADL)の介助量を評価するための方法で、運動項目と認知項目の計18項目を7段階で評価します。今回は、FIMを初めて評価する方のために、FIMの特徴や評価項目などの基礎知識から採点方法までかんたんに解説します。

はじめに|FIMによる評価の特徴

FIMとは

FIMとは、「Functional Independence Measure」略語で、1983年にGrangerらによって開発されたADL評価法です。日本語では「機能的自立度評価法」といいます。

FIMの評価内容とは

FIMの評価は、患者様や利用者様の日常生活動作(ADL)の介護量を測定することができ、ADL評価の中で最も信頼性と妥当性があるといわれています。医学的な知識がない方でも採点できるため、医療現場だけでなく介護現場でも活用されています。

FIMの評価項目には

FIMの評価項目は、運動項目と認知項目の計18項目で、各項目を1点〜7点の7段階で評価します。コミュニケーションや社会的認知などの認知項目を含むため、実際に日常生活で行っている動作を評価する、変化を確認するのに最適な評価方法です。

FIMの特徴とは

その他、FIMには以下の特徴があります。
● 日常生活上の「しているADL」を評価する
● 評価項目は、計18項目(運動項目13項目と認知項目5項目)
● 運動項目は、セルフケア、排泄コントロール、移乗、移動の能力を評価
● 認知項目は、コミュニケーション能力と社会的認知の能力を評価
● 日常生活の能力に変動がある場合は、介助量が多い時を採点する
● FIMの採点方法は、1点〜7点の7段階で評価する
● 満点は126点で、最低点は18点とする
● FIM評価の対象年齢は、7歳以上とする
● FIM評価の対象疾患は、全ての病気・障害に対応できる
● FIMの評価者は、医療従事者以外でも評価することができる
● 信頼性と妥当性がある
● 世界共通のADL評価(介助量を判定)
 

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FIMの評価項目は18個

FIMの評価項目は、セルフケア・排泄コントロール・移乗・移動を含めた運動項目、コミュニケーション・社会的認知を含めた認知項目の「計18項目」から構成されています。

 

【FIMの評価項目一覧】 
▶︎ 運動項目(13項目)

セルフケア
(1)食事
(2)整容
(3)清拭
(4)更衣上半身
(5)更衣下半身
(6)トイレ動作

排泄コントロール
(7)排尿管理
(8)排便管理

移乗
(9)ベッド・椅子・車椅子移乗
(10)トイレ移乗
(11)浴槽・シャワー移乗

移動
(12)歩行・車椅子
(13)階段

 

 ▶︎ 認知項目(5項目)

コミュニケーション
(14)理解
(15)表出

社会的認知
(16)社会的交流
(17)問題解決
(18)記憶

FIMにおける評価のメリットとは

医療・介護現場でFIMの評価をするとどのようなメリットがあるのでしょうか?

 

【FIM評価のメリット】

1. 対象者のADLの自立度と介護量を点数で把握することができる

2. ADLの能力について、他職種との共通言語となり情報共有がしやすい

3. 本人や家族にADLの能力を分かりやすく説明できる

4. 現状の生活課題を知ることで治療・ケアの計画の指標となる
5. 現状の能力を知ることで効果判定の指標になる
6. 研究や発表の際にデータの集約として活用しやすい

FIMの採点ポイントとは

ADLの能力を評価するFIMの採点を行う場合に知っておきたい「3つのポイント」をご紹介します。

FIMの採点ポイント

1. 介助者が必要かどうかを知る
2. 介助量(手助け)がどの程度必要なのかを知る
3. 運動項目の5点は「監視・助言」、認知項目の5点は「10%未満の介助」

FIMの採点基準

この3つのポイントを理解した上で、それぞれの項目を1点~7点で評価していきます。

▶︎ 運動項目の採点基準

◎7点(完全自立)
・補助具または介助なしで「自立」して行える。

◎6点(修正自立)
・時間が掛かる。装具や自助具、服薬が必要。安全性の配慮が必要。

◎5点(監視・準備)
・監視、準備、指示、促しが必要。

◎4点(最小介助)
・手で触れる以上の介助は必要ない。「75%以上」は自分で行う。

◎3点(中等度介助)
・手で触れる以上の介助が必要。「50%〜75%未満」は自分で行う。

◎2点(最大介助)
・「25%〜50%未満」は自分で行う。

◎1点(全介助)
・「25%未満」しか自分で行わない。


▶︎ 認知項目の採点基準

◎7点(完全自立)
・複雑な事項を「自立」して一人でできる。

◎6点(修正自立)
・時間がかかる。投薬している。安全性の配慮が必要。

◎5点(監視・補助)
・監視、準備、指示、促しが必要。簡単な事項に介助が10%未満必要。

◎4点(最小介助)
・「75%以上90%未満」は自分で行う。

◎3点(中等度介助)
・「50%〜75%未満」は自分で行う。

◎2点(最大介助)
・「25%〜50%未満」は自分で行う

◎1点(全介助)
・「25%未満」しか自分で行わない。

FIMの「食事」の評価・採点方法について

ここからは、FIMの各評価項目の採点方法を詳しく解説していきます。まずはセルフケアの「食事」の採点方法です。

【食事の評価範囲】

FIMにおける食事の評価範囲は、食事が適切に用意された状態で①適切な食器・道具を使って、②食べ物を口に運ぶ動作から、③咀嚼し、嚥下するまでの3つの工程を評価していきます。

【食事の採点ポイント】

1. 食事の下膳・配膳は、評価の対象外のため減点しない。
2. 4点〜1点を評価する場合は、①食器・道具の使用、②口に運ぶ、③飲み込むの3つの工程をそれぞれ「33%」と判断し、3項目中○項目が自分でできているかを介助量(○%)として評価する。

【食事の採点基準】

◎7点(完全自立)
・全ての食事形態の食べ物をお皿から口まで運び、咀嚼して嚥下できる。

◎6点(修正自立)
・自助食器や自助具を使用する。
・きざみ食や嚥下食など食事形態で安全面の工夫をしている。

◎5点(監視・準備)
・配膳後に肉を切る、ふたを開けるなど準備が必要。
・食べこぼしや誤嚥しないように監視が必要。

◎4点(最小介助)
・口の中に食べ物が詰まっていないか、手で軽く触れる程度の介助を行う。

◎3点(中等度介助)
・自助具とつけ、スプーンに食べ物を乗せると後は自分で食べれる。

◎2点(最大介助)
・食べ物をスプーンで口元まで運ぶまで介助が必要だが、飲み込みは自分でできる。

◎1点(全介助)
・咀嚼・嚥下は出来るが口に運べない、胃ろうを介助者が管理している


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FIMの「整容」の評価・採点方法について

次にFIMのセルフケアの中でも「整容」の採点方法について解説していきます。

【整容の評価範囲】

整容の評価は、①口腔ケア、②整髪、③手洗い、④洗顔、⑤髭剃り、または化粧の5つの項目を評価していきます。

【整容の採点ポイント】

1. 整容は、あくまで上記の5つの項目で評価する。爪切りや着替え、清拭、入浴などの項目は整容に含めないように注意しましょう!
2. 髭剃りと化粧が必要ない場合は、その他の4項目で評価する。

【整容の採点基準】

◎7点(完全自立)
・5つの整容項目が全て自分でできる。

◎6点(修正自立)
・自助具を使用しているが準備や装着は自分でできる。

◎5点(監視・準備)
・整容動作の準備や監視・助言を要す。
・化粧品のふたを開けるなど、用具準備に介助が必要。

◎4点(最小介助)
・石鹸をつけるなど、5項目すべてに最小介助が必要。
・入れ歯を自分で磨けるが洗浄液につけてもらう必要がある。

◎3点(中等度介助)
・整容の3/5項目は自分でできる。
・麻痺側の歯を磨いてもらう必要がある。

◎2点(最大介助)
・5項目すべてに半分以上の介助が必要。
・前歯のみ磨けるが、その他には介助が必要。

◎1点(全介助)
・5項目全てに介助が必要。

 


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FIMの「清拭」の評価・採点方法について

次に、FIMのセルフケア項目の中でも「清拭」の採点方法について解説していきます

【清拭の評価範囲】

清拭の評価は、身体を①胸部、②右上肢、③左上肢、④腹部、⑤右大腿部、⑥左大腿部、⑦右下腿部、⑧左下腿部、⑨陰部、⑩お尻」の10箇所に別けて、身体を洗う、すすぐ、乾かす(拭く)で評価します。

【清拭の採点ポイント】

1. 上記の10箇所を採点し、頭と背中が洗えなくても減点しない。
2. 浴槽、シャワー、ベッド上、スポンジのいずれでも良い。
3. 洗う、すすぐ、乾かす(拭く)では、洗うの採点の比重が重たい。
4. 足先を洗っていない場合でも介助をしていないのであれば減点はされない

【清拭の採点基準】

◎7点(完全自立)
・身体の10箇所を洗う、すすぐ、乾かす(拭く)ことが自分でできる。

◎6点(修正自立)
・柄付きブラシなどの自助具を使用すれば自立している。
・滑り止めマットなど安全性の配慮が必要。

◎5点(監視・準備)
・清拭動作の準備や監視・助言を要す。
・洗剤をタオルにつけてもらう必要がある。

◎4点(最小介助)
・10箇所のうち8/10項目以上は自分でできる。

◎3点(中等度介助)
・10箇所のうち5〜7/10項目は自分でできる。

◎2点(最大介助)
・10箇所のうち3〜4/10項目は自分でできる。

◎1点(全介助)
・清拭の0〜2/10項目しかできない。

 

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FIMの「更衣」の評価・採点方法について

続いてのFIM評価項目は、「更衣」です。更衣の評価は、「上半身」と「下半身」の2つに分けて着脱を評価します。

【更衣の評価範囲】

 FIMにおける更衣の評価範囲は、衣類を「脱ぐ」「着る」を評価します。

【更衣の採点ポイント】

1. 上半身は、衣服を「かぶる」「片袖を通す」「もう一方の袖を通す」「衣服を引きおろす」の4つの動作のうちどれくらい自分でできるか評価する。
2. 下半身は、衣類が「ズボン」「下着」「靴下(ストッキング)」「靴」に変えて採点する。
3. 上肢・下肢装具の着脱も更衣の評価対象となる。
例)ジッパー、ブラジャーの金具、弾性ストッキングも装具と同様に判断
4. 装具は、主な更衣動作ではないので介助で装着しても5点までしか下がらない。

※入浴前後の更衣は、特殊な状態なので評価対象外となります!

【更衣(上半身・下半身)の採点基準】

◎7点(完全自立)
・衣服をかぶる、両腕の袖を通す、衣服を引きおろすことが自立して可能。
・ジッパーやボタンの着脱も自分でできる。

◎6点(修正自立)
・通常の3倍以上の時間がかかる。
・自助具を使用して上半身の更衣が自立している。
例)マジックハンド、ソックスエイド、ボタンエイド

◎5点(監視・準備)
・背中、お尻の衣類がちゃんと着れているか声かけや監視を要す。
・タンスから衣類を出し、片付けて貰えば自分で着替えができる。

◎4点(最小介助)
・更衣の「75%以上」を自分で行う。
・4つの動作のうち3/4項目以上は自分でできる。

◎3点(中等度介助)
・更衣の「50%〜75%未満」を自分で行う。
・4つの動作のうち2/4項目は自分でできる。

◎2点(最大介助)
・更衣の「25%〜50%未満」を自分で行う。
・4つの動作のうち1/4項目は自分でできる。

◎1点(全介助)
・更衣の全て介助が必要。

 

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FIMの「トイレ動作」の評価・採点方法について

次に、FIM項目の中でも「トイレ動作」の評価について解説します。

【トイレ動作の評価範囲】

FIMにおける更衣の評価範囲は、「衣類の着脱」「陰部を清潔にする」までを評価します。トイレを使用せず、尿器を使用してベッド上でトイレを済ませている場合は、ベッド上での動作を評価します。

【トイレ動作の採点ポイント】
1. トイレ動作は、「服を下げる」「服をあげる」「お尻などを拭く」の3つの動作のうちどれくらい自分でできるか評価する。
2. 生理用品の取り扱いも評価対象となる。

【トイレ動作の採点基準】

◎7点(完全自立)
・服を下げる、お尻を拭く、服をあげることが自立して可能。

◎6点(修正自立)
・通常の3倍以上の時間がかかる。
・自助具を使用すればトイレ動作は自分でできている。
・尿器を使用しているが失敗はない。
例)手すり、トイレ用アームレストなど

◎5点(監視・準備)
・ズボンの着脱時に安全面の配慮のため見守りが必要となる。
・トイレットパーパーを取って貰えばあとは自分でできる。

◎4点(最小介助)
・トイレ動作の「75%以上」を自分で行う。
・ズボンの上げ下げの際に、お尻を支える程度の介助が必要となる。

◎3点(中等度介助)
・トイレ動作の「50%〜75%未満」を自分で行う。
・3つの動作のうち2/3項目は自分でできる。

◎2点(最大介助)
・トイレ動作の「25%〜50%未満」を自分で行う。
・3つの動作のうち1/3項目は自分でできる。

◎1点(全介助)
・トイレ動作の全て介助が必要。

 

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FIMの「排泄コントロール」の評価・採点方法について

FIMの評価の中でも採点が難しいとされる、排泄コントロールの「排尿管理」「排便管理」の2つの項目の採点方法について解説します。


【排泄コントロールの採点ポイント】

1.「失敗する頻度」と「介助量」の両方を採点し、低い方の点数をつける。

2. 日中と夜間で点数が異なる場合は、低い方の点数をつける。

 

▶︎失敗の頻度による採点
◎
7点
・失敗しない

◎6点
・失敗しない

◎5点
・月に1回未満の失敗

◎4点
・週に1回未満の失敗

◎3点
・1日に1回未満の失敗
◎2点
・毎日



▶︎介助量による採点

◎7点
・介助者なし
◎6点
・道具を使用すれば自立。投薬、内服を使用して自立

◎5点〜1点
どの程度介助を行ってもらっているかで採点する

 

【排泄コントロールの採点の注意点】

1. 排泄の前後のズボンの上げ下ろしは評価に含まない。

2. 空振りは減点しない。

3. 排尿誘導は介助と判断する。

4. 失禁をしても自分で片付けて介助が必要がなければ、FIMでは失敗ではないと解釈する。


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FIMの「移乗」の評価・採点方法について

FIMの評価項目の中でも「移乗」の3項目の採点方法を解説します。

【移乗の3項目】

1. ベッド・椅子・車椅子の移乗
2. トイレの移乗
3. 浴槽・シャワーの移乗

【移乗の評価範囲】

FIMにおける移乗の評価範囲は、ベッド・トイレ・浴槽(シャワー)のそれぞれの「座面から立ち上がる」「方向転換」「座る」までの乗り移ることを評価していきます。

例えば、トイレの場合であればトイレに近づく、離れる、ドアを開ける、ズボンを下ろす、お尻を拭くなどは評価対象外となるため注意して採点してください。

【移乗の採点ポイント】

1. 往復で点数が異なる場合は、低い方で採点する。
2. 立って移乗する場合は、立ち上がり動作も評価対象とする。
3. ベッドからの起き上がり動作も比重は少ないが評価対象とする。

【移乗の採点基準】

◎7点(完全自立)
・車椅子のアームレストを自分で外して、自立している。

◎6点(修正自立)
・補助具を使用する。
例)移乗の補助具とは手すり、装具、義肢、杖、スライディングボード、リフト、ポータブルトイレなど

◎5点(監視・準備)
・介助者の指示、促しがあれば自力で移乗ができる。
・移乗の準備があれば自力で移乗ができる。
例)移乗の準備とは、車椅子の位置を直す、車椅子のフットレストを上げたりやブレーキをする、スランディングボードを設置するなど

◎4点(最小介助)
・立ち上がる時にお尻を軽く支えてもらうが、その他は自分でできる。
・「25%未満」の介助が必要となる。

◎3点(中等度介助)
・立ち上がるときに軽く引き上げてもらえばあとは自分で移乗できる。
・「25%〜50%未満」の介助が必要となる。

◎2点(最大介助)
・身体をしっかりと引き上げ、方今転換させてもらえばあとば自分で移乗できる。
・「50%〜75%未満」の介助が必要となる。

◎1点(全介助)
・二人がかりで移乗を介助する必要がある。
・「75%以上〜全介助」の介助が必要となる。


▶︎FIMの移乗の3項目「①ベッド・椅子・車椅子の移乗」「②トイレの移乗」「③浴槽・シャワーの移乗」について事例を通して学んでみませんか?採点方法をもっと詳しく知りたい方はこちらの記事がオススメです。

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FIMの「移動」の評価・採点方法について

次に、FIM評価の中でも「移動」の採点方法を解説します。

【移動の評価範囲】

FIMにおける移動の評価範囲は、「歩行」または「車椅子」で評価していきます。

【移動の採点ポイント】

1. 移動手段として歩行または車椅子のどちらかで最も頻繁に行う方で採点する。
2. FIMで評価する移動距離は「50m」と「15m」で採点する。
※FIM評価は、米国が発祥のため1街区(50m)と家屋内移動(15m)の距離としている。
3. 入院時と退院時の移動手段は統一する。

【移動の採点基準】

▶︎50m移動が可能な場合の採点
◎7点(完全自立)
・介助者なしで自立

◎6点(修正自立)
・杖などの歩行補助具を使用していれば50mの移動が自立
・通常以上の時間がかかる
・安全面の配慮が必要

◎5点(監視・準備)
・監視または準備、助言があれば50mの移動が可能

◎4点(最小介助)
・最小介助が必要だが「75%以上」は自分でしている
・手を触れる程度の介助があれば50mの移動が可能

◎3点(中等度介助)
・「75%以上」の中等度介助が必要
・しっかりと支えるように介助をすると50mの移動が可能

 

▶︎15m移動が可能な場合の採点
◎5点(監視・準備)
・15m〜49mは自立して移動が可能

◎2点(最大介助)
・15m以上移動するのに介助が必要だが「25%以上」は自分でしている

◎1点(全介助)
・介助があっても15m以上移動できない
・15mの移動に2名以上の介助が必要


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FIMの「階段」の評価・採点方法について

基本的にFIMの評価は「しているADL」で採点を行いますが、階段は、病院や施設に階段がない場合や評価の対象者が日常的に階段昇降をしない場合があります。このような場合は、評価を行う時だけの「できるADL」で採点しても構わないとされています。

【階段の採点ポイント】

1. 階段は12〜14段または4〜6段で評価する
2. 登り、降りの両方を対象とする
3. 登りと降り、朝と夕で差がある場合は、低い点を採用する

【階段の採点基準】

12〜14段の階段を昇降している場合

◎7点
・介助者なしで自立


◎6点
・杖や手すり、装具などの補助具を使用して自立

・通常以上の時間がかかる

・安全面の配慮が必要


◎5点
・監視または準備、助言があれば12〜14段の階段を昇降できる

◎4点
・「25%以下」の最小介助があれば可能

・手を触れる程度の介助があれば12〜14段の階段を昇降できる

◎3点
・「25%以上」の中等度の介助があれば可能。

・ 足の運びの介助があれば12〜14段の階段を昇降できる




4〜6段の階段を昇降している場合

◎5点
・4〜6段の階段を自分で昇降できる


◎2点
・「75%以下」の介助があれば昇降できる

◎
1点
・全介助

・昇降に2人介助が必要となる


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FIMの「コミュニケーション」の評価・採点方法について

次に、FIM評価のコミュニケーションの項目である「理解」「表出」の採点方法を解説します。

【理解の評価範囲】

・理解の評価範囲は、相手の指示や会話が「①どのくらい分かっているか」「②どのくらい介助(配慮)が必要か」で評価します。
・理解の介助(配慮)とは、ゆっくり話す、繰り返す、分かりやすい言葉を選ぶ、特定の語句を強調する、間を置く、視覚またはジェスチャーによる手がかりを利用すること。

【表出の評価範囲】

・表出の評価範囲は、自分の欲求や考えを相手に「①どのくら伝わっているか」「②聞き取るためにどのくらい配慮が必要か」で評価します。
・表出の介助(配慮)とは、ゆっくり話させる、繰り返させる、わかりやすく言い直させる、間を置かせる、視覚またはジェスチャーなどを利用すること。

【理解・表出の採点ポイント】

1. 7、6点は複雑な課題で評価する。
※複雑な課題とは集団会話、テレビや新聞などの話題、金銭や宗教などの話題
2. 5点〜1点は簡単な課題(基本的な欲求)で評価する。
※簡単な課題とは食事、排泄、睡眠、痛み、体調などの話題
3. 5点〜1点の採点をする場合は、10回中何割がスムーズに会話の理解・表出できるかで評価する。
4. 2点の採点は「単語レベル」「ジェスチャー」「YES/NO」で伝えることができるかで評価する。

【理解・表出の注意点】

・理解の評価では、物事を正しく判断するかは評価対象外とします。
・表出の評価では、伝えようとする内容の良し悪しは評価対象外とします。



【理解・表出の採点基準】

◎7点(完全自立)
・複雑な課題を理解・表出できる

◎6点(修正自立)
・複雑な会話に通常以上の時間がかかる。
・複雑な会話に投薬している。
・複雑な会話に安全性の配慮が必要となる。

◎5点(補助・最小介助)
・日常の会話に補助・促しが必要となる。
・簡単な課題に「10%未満」の配慮が必要となる。

◎4点(最小介助)
・簡単な課題の理解・表出に「10%〜25%未満」の配慮が必要となる。
・短い文章で伝えれば理解する
・短い文章で表出する

◎3点(中等度介助)
・簡単な課題の理解・表出に「25%〜50%未満」の配慮が必要となる。
・短い言葉の強調によって理解する
・短い句で表出する

◎2点(最大介助)
・簡単な課題の理解・表出に「50〜75%未満」の配慮が必要となる。
・「はい」「いいえ」で回答する質問を理解する
・単語、ジェスチャーで表出する

◎1点(全介助)
・簡単な課題の理解・表出に「75%以上」の配慮が必要となる。


▶︎FIMの理解・表出の採点事例はこちらの記事でご紹介しています。詳しくはこちらをご覧ください。

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難聴や失語症の場合のFIMの採点事例もご紹介します

FIMの「社会的交流」の評価・採点方法について

続いて、FIM項目の中でも「社会的交流」の採点方法について解説します。

【社会的交流の評価範囲】

社会的交流では、家族やスタッフ、他の患者様と適切に交流しているか、集団へ参加しているかを評価します。

【社会的交流の採点ポイント】

1. 他者と適切に関わっているかを評価する
2. 周囲がどの程度の配慮(介助)が必要かを評価する
3. 7〜5点は不慣れな環境で評価、4〜1点は慣れた環境での交流を評価する
4. 1つの交流場面だけでなく、全体像を評価することが重要

【社会的交流の採点基準】

◎7点(完全自立)
・不慣れな環境でも問題なく関わっている

◎6点(修正自立)
・不慣れな環境でもほどんどの場面でスタッフ、他患者と適切に交流する 
・慣れが必要なため通常以上の時間がかかる
・内服薬を飲めば、問題なく関われる

◎5点(監視・補助・最小介助)
・不慣れな環境での交流に見守り、指示、促しなどがあれば「90%以上」の場面で適切に交流する
・緊張するため交流に見守り、指示、促しなどがあれば「90%以上」の場面で適切に交流する

◎4点(最小介助)
・慣れた環境でも「75%以上90%未満」の場面で適切に交流する

◎3点(中等度介助)
・慣れた環境でも「50%以上75%未満」の場面で適切に交流する
・慣れた環境で汚い言葉を使うが頻度は少ない

◎2点(最大介助)
・慣れた環境でも「25%以上50%未満」の場面で適切に交流する
・親しいスタッフにしばしば非協力的な態度や汚い言葉を向ける

◎1点(全介助)
・慣れた環境でも「25%未満」の場面でしか交流できない
・夜間せん妄があり、同室者が眠れない
・全く交流しない


▶︎FIMの社会的交流の採点事例をチェックしたい方はこちらの記事をご覧ください。

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FIMの「社会的交流」の採点事例

FIMの「問題解決」の評価・採点方法について

続いて、FIM評価の中となる「問題解決」の採点方法についてご紹介します。

【問題解決の評価範囲】

FIMの問題解決では、日常生活上の金銭的、社会的、個人的な問題を解決できるかを評価します。

【問題解決の採点ポイント】

1. 問題を解決できるかは点数に影響せず、問題を認識して決断を下し、行動することができるかを評価する
2. 減点対象は、問題に対して「的外れな行動」「危険な行動をとる」「行動しない」場合
3. 7〜5点は複雑な問題に対して、5〜1点は日常の問題に対して採点する
4. 問題解決では、1つの場面だけでなく全体像を評価することが大切となる


【問題解決の採点基準】

◎7点(完全自立)
・複雑な問題に対して内容を認識して、決断し、実行できる

◎6点(修正自立) 
・複雑な課題に対して多少の時間がかかる場合もあるが認識して、決断し、実行できる

◎5点(監視・補助・最小介助)
・複雑な課題に対して必ずしも自立で認識して、決断し、実行できるとは言えない
・日常の課題に対して的外れな行動、危険な行動をとる、行動しない場合が「10%未満」

◎4点(最小介助)
・日常の課題に対して的外れな行動、危険な行動をとる、行動しない場合が「10〜25%未満」

◎3点(中等度介助)
・日常の課題に対して的外れな行動、危険な行動をとる、行動しない場合が「25〜50%未満」

◎2点(最大介助)
・日常の課題に対して的外れな行動、危険な行動をとる、行動しない場合が「50〜75%未満」

◎1点(全介助)
・日常の課題に対して、的外れな行動、危険な行動をとる、行動しない場合が「75%以上」


▶︎FIMの問題解決の採点を事例を通して学んでみませんか?採点事例はこちらをご覧ください。

【関連記事】

FIMの「問題解決」の採点事例

FIMの「記憶」の評価・採点方法について

FIM評価の最後の項目となる「記憶」の採点方法についてを解説します。

【記憶の評価範囲】

記憶では、「頻繁に出会う人」「毎日の日課」「他人からの依頼」の3つの課題を覚えているかを評価します。



【記憶の採点ポイント】

1. 3つの課題が1/3ずつの比重を占めていると考え、採点する
2. 3つの課題での記憶・再生している割合を平均して採点する
3. 記憶の介助には助言、道具の使用(手帳・タイマーなど)依頼を繰り返すなどがある


【記憶の注意点】

・頻繁に出会う人の名前が思い出せなくても顔や自分との関係性が分かれば良い
・毎日の日課は手帳(スケジュール表)やタイマーなど補助具が必要な場合は減点する
・他人からの依頼では3つ程度までは覚えていないと減点する



【記憶の採点基準】

◎7点(完全自立)
・「頻繁に出会う人」「毎日の日課」「他人からの依頼」の3つの課題を他人の配慮なしに記憶、再生できる

◎6点(修正自立) 
・3つの課題を手帳やタイマーなど使用、管理することで記憶、再生できる
・3つの課題を記憶しているが、通常以上の時間がかかる

◎5点(監視・補助・最小介助)
・3つの課題を手帳やスケジュール帳などを記載、管理するために他者が補助すれば記憶、再生できる
・3つの課題が「10%未満」で記憶・再生できない

◎4点(最小介助)
・3つの課題が「10〜25%未満」で記憶・再生できない

◎3点(中等度介助)
・3つの課題が「25〜50%未満」で記憶・再生できない

◎2点(最大介助)
・3つの課題が「50〜75%未満」で記憶・再生できない

◎1点(全介助)
・3つの課題が「75%以上」または「全く」記憶・再生できない



▶︎FIMの評価ができるようになるためには事例を通して算定することが一番です。FIMの記憶の事例はこちらをご覧ください。

【関連記事】

FIMの「記憶」の採点事例

FIM評価が学べる研修会をご紹介

ここまでFIMの特徴や評価・採点方法について解説しましたが、FIMの採点方法の技術を高めるためには、本稿や関連書籍で基礎知識を学んだ後に患者様や利用者様の様々な事例を採点することが必要不可欠です。

さらに、FIMの評価方法について詳しく知りたい、もっと正しく採点できるようになりたいとお考えの方は以下のFIM講習会に参加するのも良いでしょう!

こちらの講習会では「初心者コース」と「経験者コース」を選択することができます。ちなみに私はFIMの経験者コースに参加していますが、FIMの採点でも特に難しいとされる「排泄コントロール」と「認知項目」の理解が深まる内容となりました。

 

◎FIM講習会 初心者コース

FIMの基本を学ぶための講習会です。
初心者がこの講習会を受けることでFIMを採点できるようになります。

 

◎FIM講習会 経験者コース

FIMの応用を学ぶための講習会です。
実際に現場でFIMを使用している方が対象です。


【FIMの講習会一覧】

北海道:旭川医科大学病院リハビリテーション科
東 北:東北大学大学院リハビリテーション医工学研究分野
関 東:慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
    NPO法人東京多摩リハビリ・ネット
    杏林大学医学部リハビリテーション医学教室共催
中 部:藤田保健衛生大学リハビリテーション部門
近 畿:兵庫医科大学リハビリテーション医学教室
中国・四国:川崎医科大学リハビリテーション医学教室
九 州:産業医科大学医学部リハビリテーション医学講座

▼興味がある方は是非こちらをご覧ください。

リハビリテーション機能評価研究会「ADL評価法FIM講習会意見交換会」
平成29年度10月4日アクセス

最近増えてきているFIMの活用場面とは

FIMの評価は、患者様の「しているADL」を把握するために病院などで使用されていますが、未だリハビリスタッフが中心に採点している現状です。

近年、2016年度の診療報酬改定で、回復期リハビリテーション病棟(以下、回復期リハ病棟)のアウトカム評価として「FIM評価」が導入されました。これは、質の高いリハビリテーションの提供や患者様の早期回復・早期退院を目的として、回復期リハ病棟の各患者に対し、しているADLの評価であるFIMをアウトカムとして数値化し、成果を出している回復期リハ病棟を評価するために設けられています。

このことから2016年以降、回復期リハビリテーション病院の看護師や介護士などもFIMの評価ができるように勉強会や研修会が行われています。

もしかするとこれからの未来、介護現場のアウトカムとしてもFIMの評価が指定される日が来るかもしれません。

おわりに|FIMを正しく評価するためには

今回は、FIMを初めて評価・採点される方に向けてFIMの18項目全ての採点方法をご紹介してきました。

いくら座学を学んだからといっても患者様や利用者様の状態はさまざまなため、FIMの点数にズレが出てしまったり、現場で採点に悩むこともあります。FIMを正しく評価できるようになるためには、座学だけでなく以下の手順でFIMを活用していくようにしましょう!

【FIMを正しく評価するための手順】

1. FIMの各項目の採点方法を理解する
2. 実際の現場の症例で点数をつける
3. 他のスタッフの採点をチェックする
4. 他のスタッフとの採点の違いを話し合う
5. FIMの採点基準を振り返る

これらの手順を繰り返すことが、FIMの評価が正しく行えるようになる近道です。皆様も現場のスタッフ同士で話しながら積極的にFIMを活用していきましょう!

医療・介護現場で働くみなさんが自信を持ってFIMを評価できるようになっていただければ幸いです。


▼FIMと合わせて読みたい「できるADL」の評価方法はこちら

【関連記事】

Bl(バーセルインデックス)を初めて評価・採点する方の基礎知識 

介護現場で活用されることの多いBIの評価方法を詳しくご紹介します

【最後に筆者より】
リハプラン では、FIMの評価方法以外にも介護現場で取り組める評価方向や計画書の書き方についてご紹介しています。「評価はどのようにしたらいいの?」「運動方法は?」などお悩みがありましたら専門家に直接相談することもできます。ぜひ一度ご相談ください♬

著者プロフィール

author

大屋 祐貴

リハビリ専門職(作業療法士)として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーションを技術を高めるため研修会を立ち上げ、これまでに100名規模の研修会も開催された。現在は、「職種を越えたリハビリ介護を実現する」をテーマに、リハプランの専属ブロガーとして活躍中。作業療法士の専門性を活かして、介護事業所で算定できる加算・減算の中でも「個別機能訓練加算」について算定要件や計画書の書き方、機能訓練プログラムについて執筆している。

〜筆者の想い〜
通所介護事業所(デイサービス)の約8割は、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が不在のため、看護師や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練を実施しているのが現状です。機能訓練指導員が、高齢者にあった最適な運動を提供するために必要なノウハウをわかりやすく解説します。

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