FIMで知っておきたい排泄コントロール(排尿・排便)の採点方法

現場ノウハウ

評価

更新日:2024/04/15

FIMは、患者さんの日常生活動の介護量・自立度を把握できるADL評価です。FIMの評価項目の中でも排泄コントロール(排尿・排便)は、排泄パターンが多種多様であったり、日によって介助量が異なっていたりするため、採点が難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、FIM評価の中でも排泄コントロール(排尿管理・排便管理)に関する採点基準を詳しくご紹介します。

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FIMの基本的な評価(採点基準)とは

FIMの評価項目には運動項目と認知項目の2種類があります。その中でも運動項目の基本的な評価方法(採点基準)をご紹介します。



【FIMの運動項目の採点基準】


それぞれの項目を1点~7点で評価していきます。

● 7点(完全自立)
 補助具または介助なしで「自立」して行える。
● 6点(修正自立)
 時間が掛かる。装具や自助具、服薬が必要。安全性の配慮が必要。
● 5点(監視・準備)
 監視・準備・指示・促しが必要。
● 4点(最小介助)
 手で触れる以上の介助は必要ない。「75%以上」は自分で行う。
● 3点(中等度介助)
 手で触れる以上の介助が必要。「50%〜75%未満」は自分で行う。
● 2点(最大介助)
 「25%〜50%未満」は自分で行う。
● 1点(全介助)
 「25%未満」しか自分で行わない。

▶︎FIMを初めて評価する方はこちらの記事がオススメです。

【関連記事】
FIMとは|評価に必要な基礎知識と実践方法(初心者でもわかるFIM総論)

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FIMの「排泄コントロール」の採点のポイント

FIMの評価項目の中でも採点が難しいとされる排泄コントロール(排尿管理・排便管理)の採点のポイントをご紹介します。

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採点のポイント

  1. 「失敗する頻度」と「介助量」の両方を採点し、低い方の点数をつける。
  2. 日中と夜間で点数が異なる場合は、低い方の点数をつける。

失敗の頻度による採点

7点:失敗しない
6点:失敗しない
5点:月に1回未満の失敗
4点:週に1回未満の失敗
3点:1日に1回未満の失敗
2点:毎日

介助量による採点

7点:介助者なし
6点:道具を使用すれば自立。投薬、内服を使用して自立
5点〜1点:殿程度介助を行ってもらっているかで採点する

採点の注意点について

次に、FIMの排泄コントロールの採点で、知っておきたい注意点を4つご紹介します。

  1. 排泄の前後のズボンの上げ下ろしは評価に含まない。
  2. 空振りは減点しない。
  3. 排尿誘導は介助と判断する。
  4. 失禁をしても自分で片付けて介助が必要がなければ、FIMでは失敗ではないと解釈する。

FIMの「排尿管理」の評価・採点方法

では、FIMの排泄コントロール項目の中でも「排尿管理」の採点方法について解説していきます。

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排尿管理の評価範囲

排尿管理では排尿をしても良い状況で、タイミングよく括約筋を締めるというところを採点します。排尿の前後に衣類を上げ下げすること、お尻を拭く、乗り移りをすることは評価に含みません。

排尿管理の採点基準

●7点(完全自立)

  • 安全かつ随意店に膀胱をコントロールし、決して失禁しない。

●6点(修正自立)

  • 尿びん、カテーテル、オムツ、パットなどの道具を使用して自立。
  • 膀胱抗痙縮剤などの内服、投薬を使用して自立。
  • 準備、装着、使用後の片付けなどを行うことができる。

●5点(監視・準備)

  • 監視または準備、指示・促しが必要。
  • トイレに時間を要す。
  • 失禁するが、月に1回未満。

●4点(最小介助)

  • 排尿動作の「75%」以上を自分で行う。
  • 失禁するが、週に1回未満。

●3点(中等度介助)

  • 排尿動作の「50〜75%」を自分で行う。
  • 失禁するが、1日に1回未満。

●2点(最大介助)

  • 排尿動作の「25〜50%」を自分で行う。
  • 毎日失禁しているが介助者に伝えることができる。

●1点(全介助)

  • 排尿動作の「25%未満」しかできない。
  • 毎日失禁しており、介助者に伝えることができない。

尿道カテーテル・集尿器の採点事例

FIMの排尿管理の中でも「尿道カテーテル・集尿器」を使用している場合の採点ポイントと事例をご紹介します。

【採点のポイント】

  • カテーテルの挿入や集尿器の装着
  • 集尿袋やチューブの管理(尿の廃棄、洗浄)
  • 膀胱洗浄やガーゼ交換

▶︎事例1
集尿器、カテーテルの処理が全て自立している
採点:6点

▶︎事例2
週1回以下の頻度で導尿(カテーテル膀胱留置)してもらう。尿の廃棄などは自分で行なっている。
採点:5点

▶︎事例3
バルーンカテーテルを1ヶ月4回替えてもらい、週1回膀胱洗浄してもらうが、蓄尿袋を自分で失敗せずに交換する。
採点:4点

尿器・オムツの採点事例

FIMの排尿管理の中でも「尿器・オムツ」を使用している場合の事例をご紹介します。

▶︎事例1
パットを使用して、失敗なしに自立している

  • 採点:6点

▶︎事例2
ポータブルトイレを使用して自立しているが、尿を捨ててもらう必要がある

  • 採点:5点
  • 解説:失敗はなく、準備・片付けのみのため

▶︎事例3
2〜3日に1回は失敗し、介助者がオムツを交換、周囲を片付けている

  • 採点:3点
  • 解説:1日に1回未満の失敗のため

▶︎事例4
オムツに排尿し、看護師に変えてくれるように頼んでいる。

  • 採点:2点

▶︎事例5
オムツに排尿し、交換を頼むこともできない

  • 採点:1点

FIMの「排便管理」の評価・採点方法

続いて、FIMの排泄コントロール項目の中でも「排便管理」の採点方法について解説していきます。

排便管理の評価範囲

排便管理では、排便ををしても良い状況で、タイミングよく括約筋を緩めるというところを採点します。

排便管理の採点基準

●7点(完全自立)

  • 安全かつ随意店に膀胱をコントロールし、決して失禁しない。

●6点(修正自立)

  • 器具、道具、薬剤を使用して自立している。
    例)差し込み便器、簡易便器、オムツ、指による刺激、便軟化剤、緩下剤、座薬、整腸剤

●5点(監視・準備)

  • 監視または準備、指示・促しが必要。
  • トイレに時間を要す。
  • ときどき失敗するが、月に1回未満。

●4点(最小介助)

  • 排便動作の「75%」以上を自分で行う。
  • 座薬、浣腸、器具を用いるなど最小限の介助が必要となる。
  • ときどき失敗するが、週に1回未満。

●3点(中等度介助)

  • 排便動作の「50〜74%」を自分で行う。
  • 座薬、浣腸、器具を用いるなど最小限の介助が必要となる。
  • ときどき失敗するが、1日に1回未満。

●2点(最大介助)

  • 排便動作の「25〜49%」を自分で行う。
  • 毎回失敗するためオムツ、その他のパットを使用しているが介助者に伝えることができる。

●1点(全介助)

  • 排便動作の「25%未満」しかできない。
  • オムツ、パットなどを使用しており毎回失禁するが介助者に伝えることができない。

※ちなみに排便での介助とは、座薬挿入、浣腸、腹圧援助、摘便などがあります。

座薬による排便管理の採点事例

FIMの排便管理の中でも座薬を活用している場合の採点はどうすれば良いのでしょうか?座薬の場合の評価事例をご紹介します。

【評価事例】
▶︎事例1
自分で座薬(下剤)を使っている(1回/週程度の頻度)

  • 採点:6点
  • 解説:座薬は器具の使用と判断するため

▶︎事例2
座薬を週2回以下の頻度で挿入してもらう

  • 採点:5点
  • 解説:座薬の挿入の介助をしているが1回/3日以上の頻度であれば5点となるため

▶︎事例3
座薬を隔日または毎日挿入してもらう

  • 採点:4点
  • 解説:座薬ができないように押さえたりも最小介助として判断するため

※ちなみに座薬は、最大でも4点までしか下がりません。

なんども採点を経験して点数の誤差をなくしていこう

今回はFIMの評価項目の中でも採点方法が難しいと感じる方も多い「排泄コントロール(半尿・排便)」について基本的な採点基準から注意点を踏まえてご紹介しました。

排泄の評価は、パターンが様々あったり、日によっても介助量が異なりやすいので採点も難しいのではないでしょうか?そのような方のために尿道カテーテル・集尿器の場合、尿器・オムツの場合、座薬の場合の事例もご紹介していますので採点に迷った時は、改めてこちらの記事で確認してください。

何度も採点すること、他職種と相談・検討することで点数の誤差がなくなりますよ。

▼FIMの評価で難しい項目に社会的認知(社会的交流・問題解決・記憶)があります。排泄コントロールの採点方法をマスターしたらこちらの内容も合わせて理解しておきましょう。

【関連記事】
FIMの社会的認知(社会的交流・問題解決・記憶)の採点方法【各論】

デイサービス運営において必要な「評価・測定」について、一挙にまとめていますので、必要に応じて活用していただければと思います。

→→ 【完全保存版】デイサービスで活用できる評価・測定に関する記事まとめ|随時更新

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この記事の著者

作業療法士  大屋 祐貴

作業療法士として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーション技術を高めるために研修会の立ち上げ等を行う。

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