社会福祉主事とは|任用資格と仕事内容について

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更新日:2024/04/07

社会福祉主事とは「任用資格」とも呼ばれ、試験に合格して得るものではなく、国で設定された科目を履修することで得られる資格です。厚生労働省が配信している社会福祉主事任用資格である3科目主事の指定履修科目の読み替え検索システムのリンクも。通所介護(デイサービス)では生活相談員の人員配置にも必要な資格要件であることから、仕事内容や履修科目、資格要件について詳しく見ていきましょう。

社会福祉主事とは

社会福祉主事とは、社会福祉法第18条および第19条において、その資格が定義づけられている任用資格です。福祉事務所現業員として任用される者に要求される資格(任用資格)であり、福祉事務所には必置義務があります(福祉事務所のない町村には任意設置)。

社会福祉主事は、社会福祉士や精神保健衛生士などの有資格者は任用資格を有しており、国家資格等がなくても大学などで福祉等に関する科目を履修していることを確認することにより任用資格の要件となります。


任用資格とは

任用資格とは、公務員が特定の業務に任用される時に必要となる資格のことで、社会福祉主事として公務員として福祉事務所等に勤務するために必要な資格です。

福祉事務所現業員として任用される者に要求される資格であり、社会福祉施設職員等の資格に準用されています。

通所介護などの介護施設においては、社会福祉主事の任用資格は生活相談員の資格要件となり、通所介護の人員基準を満たすことができるようになります。主に福祉系の大学やリハビリテーションの大学を卒業している方、社会福祉士精神保健福祉士の資格をお持ちの方が生活相談員を担うことができます。

【関連記事】
通所介護の人員基準とは|運営に必要な指定基準の基礎知識
通所介護の指定基準についてもっと知りたい方はこちら。

社会福祉主事任用資格の取得方法

社会福祉主事任用資格の取得方法の図
(出典)厚生労働省ホームページより 社会福祉主事の任用資格を取得するための養成校について

社会福祉主事になるための資格取得方法について見ていきましょう。

  1. 大学、短期大学において、厚生労働大臣の指定する社会福祉に関する科目を3科目以上修めて卒業したもの
  2. 厚生労働大臣の指定する養成機関又は講習会の課程を修了した者
  3. 厚生労働大臣の指定する社会福祉事業従事者試験に合格した者
  4. 上記①~③に掲げる者と同等以上の能力を有すると認められる者として厚生労働省令で定めるもの

大学で指定の3科目を履修したことにより社会福祉主事任用資格を有することを証明するには、大学の卒業証明書と履修証明書(または成績証明書)が必要になります。
採用の際に大学を卒業している方であれば、どのような科目を履修しているかをチェックすることも重要となります。

社会福祉主事は国家資格?

社会福祉主事任用資格は、行政の福祉担当部署や福祉事務所に勤める公務員が専門的な相談業務をおこなうために設けられたものであり、その点でいえば国家資格に近いという言い方もできますが、国家資格として厚生労働大臣等からの資格証が渡されたりするわけではないので国家資格というわけではないと解釈できます。

一方、社会福祉士は国家資格です。

社会福祉主事任用資格の資格取得年月日とは

社会福祉主事任用資格を持っていると、福祉事務所、介護施設、障害者施設などで相談員などとして働くことができますが、その際に履歴書に資格取得日などを記入しないとなりません。しかし、社会福祉主事任用資格は資格証があるわけではないので履歴書の資格取得日をいつにしたら良いのか悩むことがあります。

社会福祉主事任用資格は資格取得日は、所定の単位を取得した上で大学を卒業した日など、資格の取得情報に記載した要件を満たした日を取得日として問題ありません。

社会福祉主事の仕事とは

社会福祉主事の仕事とは、

福祉事務所等|社会福祉各法に定める援護、育成などのケースワーカー
社会福祉施設|施設長
通所介護施設|生活相談員
社会福祉協議会|福祉活動専門員

高齢者や障がいを持っている方などの生活の相談にのり、必要に応じて医療機関や養護施設などの関連機関と連携を図りながら、必要な援助を行います。民間企業であれば通所介護事業所の生活相談員として活躍されている方も多く、現場の管理職候補としても期待されています。

【参考文献】
通所介護における生活相談員の資格要件と配置基準について
生活相談員についてもっと知りたい方はこちらをご参照ください。

社会福祉主事に必要な履修科目について

社会福祉主事に必要な科目は、「3科目」以上を学んだ者となります。

「社会福祉概論、社会福祉事業史、社会福祉援助技術論、社会福祉施設 経営論、社会福祉行政論、社会保障論、公的扶助論、児童福祉論、家庭 福祉論、保育理論、身体障害者福祉論、知的障害者福祉論、精神障害者 福祉論、老人福祉論、医療社会事業論、地域福祉論、法学、民法、行政 法、経済学、社会政策、経済政策、心理学、社会学、教育学、倫理学、 公衆衛生学、医学一般、リハビリテーション論、看護学、介護概論、栄養学及び家政学」

社会福祉主事任用資格である 3科目主事の科目の読み替え

社会福祉主事任用資格は、大学や短期大学において厚生労働大臣が指定する科目のうち3つ以上を履修して卒業した場合にも取得することができ、指定された3科目を履修して社会福祉主事任用資格を得ている人のことを通称3科目主事と呼んでいます。

この指定科目は、時代の変遷とともに科目名の変更を行っています。このため、自分が大学等を卒業した年度において規定されていた指定科目名に基づいて該当するか確認することになります

確認をする際は、大学などでで履修した科目の名称と、指定科目名とが原則一言一句同じでなければ指定科目を履修したものと認められません。

社会福祉主事指定科目読み替え検索システム

厚生労働省は、指定科目名称以外であっても指定科目として認められる範囲を「科目の読替え」と規定しており、この読替えの範囲としてあげられている科目名と同じ名称の科目を履修されていれば、この場合も指定科目を履修したこととなります。自分の卒業年度と、履修した科目名を入力することで厚生労働省が3科目主事として認める科目を履修しているかを調べることができるエクセルのファイルを配信しています。

通所介護(デイサービス)の生活相談員の職種の資格要件があるかどうかなどを確認したい時には、「厚生労働省の社会福祉主事任用資格の取得方法」のページにある「社会福祉主事指定科目読み替え検索システム(エクセルファイル)」をダウンロードして結果を確認すると良いと思います。

【参考文献】
社会福祉について学んだ者とは
教育科目について、読み替えが可能となっており、もっと詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。

社会福祉主事のQ&A|厚生労働省回答

Q.社会福祉主事任用資格の「証明書」はありますか。
A.社会福祉主事任用資格には、国や自治体が発行する「資格証明書」はありません。なお、一部の大学では、学生向けサービスとして独自に、履修した科目のうち、指定科目のみを抽出した履修証明書などを発行している場合があります。

Q.社会福祉主事任用資格を有していることは、どのように証明したらよいでしょうか。
A.社会福祉主事の任用条件を満たしているかについては、履修済科目が記載された大学の成績証明書及び卒業証明書により証明します。

Q.専門学校において、指定科目と同一名称の科目を3科目以上履修しましたが、社会福祉主事任用資格がありますか。
A.社会福祉主事任用資格は有しません。
社会福祉主事任用資格を有するのは、学校教育法に定める大学(短期大学を含む)において、指定科目を履修して卒業した場合であり、専門学校は含まれません。

Q.複数の大学を卒業しており、A大学で2科目、B大学で1科目、指定科目を履修しました。社会福祉主事任用資格を有しますか。
A.社会福祉主事任用資格は有しません。
 つの大学の中で3科目以上指定科目を履修して卒業することが必要です。ただし、後から入学したB大学が、先に卒業したA大学で履修した科目を、B大学における取得単位として認定した場合には、社会福祉主事任用資格を有する場合があります。

Q.科目等履修制度によって履修した科目は、社会福祉主事任用資格に該当しますか。
A.該当しません。1つの大学の中で3科目以上指定科目を履修して卒業した場合に、社会福祉主事任用資格を有します。

Q.履修した科目の名称が、指定科目の名称と僅かに異なります。指定科目の名称と完全に一致しなければならないのでしょうか。
A.原則として、指定科目の名称と完全に一致する必要があります。
 ただし、「科目の読み替えの範囲」をお示ししており、この範囲であれば、指定科目に該当します。具体的な読み替えの範囲については、「社会福祉法第19条第1項第1号に基づく厚生労働大臣の指定する社会福祉に関する科目の読替えの範囲等の一部改正について」(平成25年3月28日社援発第0328第3号厚生労働省社会・援護局長通知)を確認して下さい。
 また、読み替えの範囲に含まれない名称の科目であっても、大学等からの申請により、指定科目に該当する科目として個別認定されている場合があります。個別認定の有無については、大学等に確認して下さい。
 なお、この取扱いは、従来は平成11年度以降に大学等を卒業した方々に限り適用されていましたが、平成25年3月28日の制度改正により、平成10年度以前に大学等を卒業した方々も適用されます。

Q.卒業した大学は福祉系の大学ではありませんが、指定科目を履修していれば社会福祉主事任用資格を有するのでしょうか。
A.学校教育法に定める大学であれば、大学の種類や学部は問いません。

Q.科目名の末尾に「I」、「II」がついており、複数の科目に区分されている科目があります。(例:社会福祉概論I、社会福祉概論II)いずれか一方しか履修していませんが、指定科目を履修したことになりますか。
A.複数の科目に区分されている科目のいずれか一方しか履修していない場合には、指定科目を履修したことにはなりません。 

参照:厚生労働省「社会福祉主事に関するよくあるご質問について 」

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この記事の著者

作業療法士  大久保 亮

リハビリ養成校を卒業後、作業療法士として、通所介護事業所や訪問看護ステーションにて在宅リハビリテーションに従事。働きながら法政大学大学院政策学修士を取得。その後、要介護者、介護現場で働く人、地域住民まで、介護に関わるすべての人が安心していきいきと活躍し続けられる世界の実現を目指して2016年6月株式会社Rehab for JAPANを創業。また、日本介護協会関東支部局副支部長を務める。

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