ADL維持等加算の計算方法は?バーセルインデックス(BI)や利得の計算式を解説

介護保険法

ADL維持等加算

更新日:2023/01/05

【令和3年報酬改定対応】ADL維持等加算は、バーセルインデックス(BI)を用いて一定水準ADLの維持・改善につながった利用者が多い通所介護事業所が評価されるインセンティブ加算です。本記事ではADL利得の計算方法などをご紹介します。  

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利用者の自立支援や重度化防止を事業所に促すADL維持等加算は、一見複雑そうで算定をためらう介護事業者もいるのではないでしょうか。この記事では、加算の基準となるADL利得やADL値の計算方法について表などを使いわかりやすく解説します。LIFE上で計算してくれるので、事業所ごとにこれらの数値を計算する必要はないものの、判定基準や判定値は抑えておきたいものです。

ADL維持等加算の計算方法とは?

ADL維持等加算の計算は、以下のように2段階に分かれています。

  1. ADL利得の対象者を調べて利得を計算
  2. 平均値を計算

今回の記事ではそれぞれの計算方法を流れに沿って解説します。

また、最初に計算するADL利得の計算にはBarthel Index(BI:バーセルインデックス)が必要です。BI値について知っておく必要がありますので、まずはそこから解説していきます。

関連記事:よくわかる!ADL維持等加算の算定要件【2021年介護報酬改定】

バーセルインデックスとは?

バーセルインデックスとは、病気や障がいを持つ方、要介護者などのADL(日常生活動作)を評価する簡易的な指標の一つ。アメリカの理学療法士であるバーセル氏によって開発されたので、氏の名前を冠した評価名となっています。評価指標が細かくないため、誰でもすぐに評価が可能です。そのため、利用者の全体像の把握も容易にできます。「できるADL」を評価する点が特徴で、世界共通のADL評価手法です。

バーセルインデックスを計測・評価するのは誰?

ADL維持等加算は、2021年の介護報酬改定前まではバーセルインデックスを計測できる者を機能訓練指導員に限っていましたが、今回の改定で、計測するのは“適切に評価できる者”に変更になりました。

“適切に評価できる者”とは、具体的にはバーセルインデックスの測定方法に係る研修を受講したり、厚生労働省が作成予定のマニュアル及びバーセルインデックスの測定についての動画等を用いて測定方法を学習したりした者です。

厚労省が以下のQ&Aを出しているので、詳細を知りたい方はご確認ください。

(問5) ​​ ADLの評価は、一定の研修を受けた者により、Barthel Index(以下「BI」と いう。)を用いて行うとあるが、「一定の研修」とはなにか。

(答)

・ 一定の研修とは、様々な主体によって実施されるBIの測定方法に係る研修を受講する ことや、厚生労働省において作成予定のBIに関するマニュアル(https://www.mhlw. go.jp/stf/shingi2/0000198094_00037.html)及びBIの測定についての動画等を用いて、 BIの測定方法を学習することなどが考えられる。

 ・ また、事業所は、BIによる評価を行う職員を、外部・内部の理学療法士、作業療法士、 言語聴覚士から指導を受ける研修に定期的に参加させ、その参加履歴を管理することな どによりBIの測定について、適切な質の管理を図る必要がある。加えて、これまでBI による評価を実施したことがない職員が、はじめて評価を行う場合には、理学療法士等の 同席の下で実施する等の対応を行わねばならない。

引用:「令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.5)(令和3年4月9日)」(介護保険最新情報Vol.965)

バーセルインデックスの評価表

ADL維持等加算のアウトカム指標には、バーセルインデックスを活用することが決められています。

バーセルインデックスの評価表は10項目で構成されています。内訳は食事・移乗・整容・トイレ・入浴・歩行(移動)・階段昇降・更衣・排便・排尿です。自立度合いに応じて各項目を15点・10点・5点・0点で評価します。

採点の合計は100点満点なのでとても把握しやすいです。満点の100点で全自立、85点以下で介助を必要とするが程度が少ない、60点以下だと起居動作に介助が必要、40点以下はほとんどの動作に介助が必要、20点以下で全介助が必要という基準になっています。

関連記事:バーセルインデックスとは ADLの評価表

【2021年介護報酬改定】ADL利得の計算方法・計算式を解説

要介護者の1年間のADL値を集計した評価結果で加算の可否が決まるのがADL維持等加算です。

維持、あるいは改善している結果が得られた場合は評価期間終了後の1年間、要介護者の全利用者に対して加算が可能です。2021年の介護報酬改定で、算定要件が緩和され、単位数も10倍に引き上げられました。ここではADL利得の計算対象者、計算方法や計算式を解説します。

1.ADL利得の計算対象者を調べる

ADL利得の計算対象者は休んでいる期間を除き6ヵ月以上サービスを利用している方のみです。また、ADL利得の計算の対象になるかわからない場合でも、必ず決められたタイミングで情報を提出しなければなりません。決められたタイミングとは、利用開始月と開始月から起算して7ヵ月目(7ヵ月目にサービスの利用がない場合は利用があった最終月)です。

では、下記の表で具体的に計算対象になるケースと、対象にならないケースをそれぞれ見てみましょう。利用者A,B,C,Dは計算対象者になります。一方、E,F,G,H,I,Jは対象外です。詳細は以下に記載していますので、ご確認ください。

利用者A,B,C,D:計算対象者

・初月と7ヵ月目に情報を提出済

・6ヵ月以上サービスを利用している

利用者E:計算対象外

・7ヵ月目にBI値の評価・提出がない

利用者F:計算対象外

・評価期間中に6ヵ月のサービス利用がない

利用者G,H,I,J:計算対象外

・7ヵ月目にBI値の評価・提出がない

・評価期間中に6ヵ月のサービス利用がない

※注:下記厚生労働省の表の赤枠内では利用者E,G,H,I,Jが「6月目にBI値の評価・提出がない」となっていますが、本記事では開始月から起算しているため「7ヵ月目」と表記しております。

引用:ケアの質の向上に向けた科学的介護情報システム(LIFE)利活用の手引き(厚生労働省)

2.対象者のADL利得を計算する

続いてADL利得の計算方法について解説します。計算方法は「7ヵ月目のBIの合計値ー初月のBIの合計値+調整係数」です。ここでの計算は初回の要介護認定があった利用者ではない1(2以外の者)を想定しています。

初めに一人ひとりの利用者ごとに「7ヵ月目のBIの合計値」から「初月のBI値」を差し引いた値を出してください。続いて、上記の調整係数表の条件を踏まえて、それぞれの利用者の初月のADL値がどれに当てはまるかを確認しましょう。最後に該当している調整係数(0〜3いずれか)を加えると利用者ごとのADL利得が算出されます。

イメージが掴みやすいように具体的な計算例を紹介します。

例)7ヵ月目             初回    調整係数    ADL利得

   70点   ー  60点  +  2     =   12 

  7ヵ月目             初回    調整係数

   10点   ー  10点  +  1     =  1  

初回と7ヵ月目でADLの評価結果が同じだった利用者のケースでもADL利得の平均値は1以上です。ADL維持等加算では、ADLを維持した事業者も評価する仕組みとなっています。

3.ADL利得の平均値を計算する

ADL維持等加算を算定するためには、全利用者のADL利得を出し、その上で全体の平均値を算出する必要があります。

ここでは、全利用者20人のケースで全体の平均値、ADL利得の出し方を解説します。

  1. 全利用者20人(A〜T様)個別のADL利得を出す
  2. 上位と下位それぞれ1割を除く
  3. 上位と下位のそれぞれ1割を除いた利用者16人の合計ADL利得(91)の平均が算定対象。
  4. 91(16人のADL利得の合計値)÷16=5.6  ※小数点以下は切り捨て
  5. ADL利得の全体の平均値は5.6

ご自身で計算をしなければいけないと不安に感じた方もいるかと思いますが、LIFEに提出をすることで計算は自動で行なわれるので、ご安心ください。

4.ADL利得が算定できる条件に該当しているか確認する

評価対象利用者のADL利得の平均値加算算定
→1未満ADL維持等加算 算定できず
→1以上ADL維持等加算(Ⅰ) 30単位/月
→2以上ADL維持等加算(Ⅱ) 60単位/月

全利用者(上位と下位のそれぞれ1割を除く)のADL利得の平均が算定条件を満たしているかどうかの確認方法を解説します。条件に当てはまる場合は、その後1年間全ての要介護の利用者に対して算定が可能です。再度にはなりますが、ご自身で計算しなくともLIFE上で確認ができるので、ご安心ください。

前述のADL利得の全体の平均値は「5.6」でした。上記の表に記載されている加算算定条件「2以上」に該当しています。ADL維持等加算(Ⅱ)に該当しているので、利用者1人につき60単位/月が1年間算定可能です。初月と7ヵ月目のバーセルインデックスに変化があまり見られなかったり、維持されていたりする場合でもADL利得の平均が2以上になることもあります。

ADL維持等加算の計算方法で算定できるのか見極めよう

今回は、ADL維持等加算の具体的な計算方法についてご紹介しましたが、実際の計算や集計作業はLIFEのシステム内で行います。そのため、介護事業者が集計作業をする必要はありません。

前提として、ADL利得の計算対象者は6ヵ月以上サービスを利用している方と、利用開始月と開始月から起算して7ヵ月目に情報を提出している方に限られます。初月と7ヵ月目のバーセルインデックスに変化がない場合でも、ADL利得を得られるので積極的に算定することをおすすめします。

ADL維持等加算は事業所の成果を大きく評価する加算なので、ケアマネジャー様への営業や、利用者様や利用者様のご家族との関係性構築にも有用です。加算を検討されている方はぜひこの記事を参考にしてみてください。

ICTの利活用でサービスの質と業務効率を同時に高める

2024年の医療介護同時改定では、団塊世代の高齢化を見据え、自立支援を中心とした科学的介護の実現、そしてアウトカムベースの報酬改定に向けて変化しようとしています。

このような時流だからこそ、より一層利用者さまの自立支援に向けた取り組みが重要になります。しかし、個別機能訓練加算をはじめとした自立支援系の加算やLIFE関連加算の算定は、売上アップも見込めるとはいえ、リハビリ専門職の不在や現場負担の問題で取り組みが難しいと考える事業所も多いのではないでしょうか?

その解決策の1つが「介護現場におけるICTの利用」です。業務効率化の意味合いが強い昨今ですが、厚生労働省の定義では「業務効率化」「サービスの質向上」「利用者の満足度向上」の達成が目的であるとされています。

業務効率化だけでなく、利用者一人ひとりの生活機能の課題を解決する『デイサービス向け「介護リハビリ支援ソフト」』を検討してみませんか?

この記事の著者

リハプラン編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

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