通所介護(デイサービス)の加算・減算の種類一覧

介護保険法

基本報酬

更新日:2022/08/10

通所介護(デイサービス)で、これから初めて加算を算定しようと考えている方のために、今回は、デイサービスで算定できる加算・減算の種類と算定要件・単位数についてまとめてご紹介します。事業所に合った加算を算定して、売り上げアップを目指していきましょう!

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通所介護(デイサービス)の加算の種類一覧

通所介護 加算 減算 種類

本稿では、通所介護で取得できる加算・減算の種類について一覧でご紹介します。

通所介護(デイサービス)の基本報酬は、平成27年度のマイナス改定、平成30年度の介護報酬改定では微増の改定となりましたが、基本報酬時間区分の見直しなどにより実質的には微増とは言い難い改定内容となっています。

そのため、改めて通所介護で算定できる加算・減算定の種類と算定要件について学び、ご自身の通所介護事業所で取得できる加算を見つけ出すことで「安定した介護経営」を実現し、デイサービスの売り上げアップを目指していきましょう!

まず、通所介護(デイサービス)で取得できる加算の種類一覧をご紹介します。

個別機能訓練加算・個別機能訓練加算Ⅰ | 単位数 46単位/日・個別機能訓練加算Ⅱ | 単位数 56単位/日
入浴介助加算・単位数 50単位/日
栄養改善加算・単位数 150単位/回
口腔機能向上加算・単位数 150単位/回
認知症加算・単位数 60単位/日
若年性認知症利用者受入加算・要介護者 | 単位数 60単位/日・要支援者 | 単位数 240単位/月
サービス時間延長加算        ・9時間以上10時間未満の場合 +50単位/日・10時間以上11時間未満の場合 +100単位/日・11時間以上12時間未満の場合 +150単位/日・12時間以上13時間未満の場合 +200単位/日・13時間以上14時間未満の場合 +250単位/日※上記はあくまでも目安の金額で、費用は時間帯(早朝・深夜)や地域(市区町村)の区分などによって異なります。
サービス提供体制強化加算※要介護者の場合(通所介護・通所リハビリ)・サービス提供体制強化加算 I|イ:18単位/日 ・サービス提供体制強化加算 I|ロ:12単位/日・サービス提供体制強化加算 Ⅱ| 6単位/日
中重度者ケア体制加算・単位数 45単位/日
介護職員処遇改善加算・加算Ⅰ:介護職員1人当たり月額37,000円相当の加算・加算Ⅱ:介護職員1人当たり月額27,000円相当の加算・加算Ⅲ:介護職員1人当たり月額15,000円相当の加算・加算Ⅳ:介護職員1人当たり月額13,500円相当の加算・加算Ⅴ:介護職員1人当たり月額12,000円相当の加算

通所介護(デイサービス)の減算の種類一覧

次に、通所介護(デイサービス)において、減額対象となる減算の種類一覧をご紹介します。

同一建物から通う場合の減算・−94単位/日
送迎を行わない場合の減算・片道で−47単位/日・往復で−94単位/日
定員超過利用時の減算・−30%(3割)/全利用者
人員基準欠如時の減算・−30%(3割)/全利用者

通所介護(デイサービス)の新規加算の種類一覧

次に、平成30年度の介護報酬改定にて新設された通所介護(デイサービス)の新設加算の種類一覧についてご紹介します。

生活機能向上連携加算・生活機能向上連携加算 I|100単位/月・生活機能向上連携加算 Ⅱ|200単位/月
栄養スクリーニング加算・1回につき5単位※ただし、6ヶ月に1回が限度
ADL維持等加算・ADL維持等加算Ⅰ|3単位・ADL維持等加算Ⅱ|6単位
生活相談員配置等加算13単位/日

各種加算・減算の単位数・算定要件について

ここからは、デイサービスの各種加算・減算の単位数や算定要件について詳しくご紹介していきます。

個別機能訓練加算について

個別機能訓練加算Ⅰ・個別機能訓練加算Ⅱの算定要件・配置など

通所介護(デイサービス)の加算・減算の中でも「個別機能訓練加算」について解説していきます。

個別機能訓練加算とは、通所介護(デイサービス)において所定の算定要件を満たし、利用者の状況に応じた個別機能訓練を行った場合に算定される加算のことをいいます。

◎個別機能訓練加算Ⅰ|46単位/日

◎個別機能訓練加算Ⅱ|56単位/日


この加算では、ご利用者様に住み慣れた地域で在宅生活を継続できるように、身体や生活機能の維持または向上を目指します。

個別機能訓練加算は、ケアプランに則ることが非常に重要であり、通所介護事業所に勤務する多職種(機能訓練指導員、介護士、相談員、看護師など)が協同して利用者ごとに評価を行い、適切な目標設定や計画、リハビリ等を実施し、その結果を報告していきます。

個別機能訓練加算の算定要件

⑴ 機能訓練指導員(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護職員、柔道整復師またはあん摩マッサージ指圧師)を1名以上配置していること

⑵ 利用者の心身状況に応じた訓練を実施していること

⑶ 機能訓練指導員、看護職員、介護職員、生活相談員、その他の職種の者が共同し、個別機能訓練計画書を作成、実施していること

⑷3ヶ月に1回以上、利用者やその家族の居宅訪問した上で、その内容を説明し、見直しを行っていること。

【出典】

厚生労働省「通所介護の報酬・基準について(案)」

安全で適切な訓練メニューを考えたり、高齢者一人ひとりに合わせた計画書を作成することはとても大変。とはいえ、個別機能訓練加算の算定は、事業者にとってもメリットは大きい…。
そんなときには「リハプラン」の活用がおすすめ!

入力介助加算について

通所介護の入浴介助加算について

次に、通所介護の加算として「入浴介助加算」について解説していきます。入浴介助加算とは、通所介護を利用中のご利用者様に入浴中の観察や介助を行うことで算定することが可能となる加算です。


◎入浴介助加算:50単位/日


もちろん、実際の介助を行わなかった場合でも、利用者様自身が自立して入浴できるように、指示をしたり、転倒予防のための声かけを行うことで算定が可能です。

また、利用者様側の事情で入浴を実施しなかった場合については、加算を算定することはできません。尚、足浴や清拭、洗髪だけでは加算対象にはなりませんのでご注意ください。

入浴加算の算定について詳しくは「デイサービスで清拭・シャワー浴・足浴だけでも入浴介助加算を算定可能か」で紹介しています。

入浴介助加算の算定要件

⑴ 厚生労働省の入浴の施設基準(入浴介助を適切に行うことができる人員及び設備を有している)を満たしていること。

⑵ 入浴中の利用者さんの観察を含む介助を行う場合に算定できる。

⑶ 通所介護計画上、入浴の提供が位置付けられている場合に、利用者側の事情により入浴を実施しなかった場合については、加算を算定できない。

栄養改善加算について

通所介護の栄養改善加算について

続いての通所介護の加算は「栄養改善加算」です。

栄養改善加算とは、低栄養状態またはそのおそれがあるご高齢者に対して、栄養状態の改善を図る相談や管理といったサービスを提供した場合に算定できる加算です。

栄養改善加算を算定している通所介護事業所は非常に少ない(実際に算定している事業所は1.8%程度_平成25年)のが現状となっています。


◎栄養改善加算:150単位/回

栄養改善加算の算定要件

⑴ 栄養改善加算の算定に係る栄養改善サービスの提供は、利用者ごとに行われるケアマネジメントの一環として行われることに留意すること。

⑵ 管理栄養士を一名以上配置して行うものであること。

⑶ 栄養改善加算を算定できる利用者は、次のイからホのいずれかに該当する者であって、栄養改善サービスの提供が必要と認められる者とすること。
イ BMIが18.5未満である者
ロ 1~6月間で3%以上の体重の減少が認められる者又は「地域支援事業の実施について」(平成18年6月9日老発第0609001号厚生労働省老健局長通知)に規定する基本チ ェックリストのNo.11の項目が「1」に該当する者
ハ 血清アルブミン値が3.5g/dl以下である者
ニ 食事摂取量が不良(75%以下)である者
ホ その他低栄養状態にある又はそのおそれがあると認められる者としています。


なお、次のような問題を有する者については、上記イからホのいずれかの項目に該当するかどうか、適宜確認されたい。

・ 口腔及び摂食・嚥下機能の問題(基本チェックリスト の口腔機能に関連する(13)、(14)、(15)のいずれかの項目において「1」に該当する者などを含む。)

・ 生活機能の低下の問題
・ 褥瘡に関する問題
・ 食欲の低下の問題
・ 閉じこもりの問題(基本チェックリストの閉じこもりに関連する(16)、(17)のいずれかの項目において「1」に該 当する者などを含む。)
・ 認知症の問題(基本チェックリストの認知症に関連す る(18)、(19)、(20)のいずれかの項目において「1」に該当す る者などを含む。)
・ うつの問題(基本チェックリストのうつに関連する(21) から(25)の項目において、二項目以上「1」に該当する者 などを含む。)

⑷ 栄養改善サービスの提供は、以下のイからホまでに掲げる手順を経てなされる。
イ 利用者ごとの低栄養状態のリスクを、利用開始時に把握すること。
ロ 利用開始時に、管理栄養士が中心となって、利用者ごとの摂食・嚥下機能及び食形態にも配慮しつつ、栄養状態に関する解決すべき課題の把握(以下「栄養アセスメント」という。) を行い、管理栄養士、看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種の者が共同して、栄養食事相談に関する事項(食事 に関する内容の説明等)、解決すべき栄養管理上の課題等に対し、取り組むべき事項等を記載した栄養ケア計画を作成すること。作成した栄養ケア計画については、栄養改善サービスの対象となる利用者又はその家族に説明し、その同意を得ること。なお、通所介護においては、栄養ケア計画に相当する内容を通所介護計画の中に記載する場合は、その記載をもって栄養ケア計画の作成に代えることができるものとすること。
ハ 栄養ケア計画に基づき、管理栄養士等が利用者ごとに栄養改善サービスを提供すること。その際、栄養ケア 計画に実施上の問題点があれば直ちに当該計画を修正すること。
ニ 利用者の栄養状態に応じて、定期的に利用者の生活機能の状況を検討し、概ね三月ごとに体重を測定する等により栄養状態の評価を行い、その結果を当該利用者を担当する介護支援専門員や主治の医師に対して情報提供すること。
ホ 指定居宅サービス基準第105条において準用する第19条に規定するサービスの提供の記録において利用者ごとの栄養ケア計画に従い管理栄養士が利用者の栄養状態を定期的に記録する場合は、当該記録とは別に栄養改善加算の算定のために利用者の栄養状態を定期的に記録する必要はないものとすること。

⑸ 概ね3月ごとの評価の結果、3のイからホまでのいずれかに該当する者であって、継続的に管理栄養士等がサービス提供を行うことにより、栄養改善の効果が期待できると認められるものについては、継続的に栄養改善サービスを提供する。

【引用文献】

指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービ ス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援 に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について 

口腔機能向上加算について

通所介護の口腔機能向上加算とは

続いて、通所介護の加算の「口腔機能向上加算」について解説します。口腔機能向上加算を算定している通所介護事業所もまだまだ少ないのが現状となっています。


◎口腔機能向上加算:150単位/回

口腔機能向上加算の算定要件

⑴ 口腔機能向上加算の算定に係る口腔機能向上サービスの提供には、利用者ごとに行われるケアマネジメントの一環として行われることに留意すること。

⑵ 言語聴覚士、歯科衛生士又は看護職員を一名以上配置して行うものであること。

⑶ 口腔機能向上加算を算定できる利用者は、次のイからハまでのいずれかに該当する者であって、口腔機能向上サービスの提供が必要と認められる者とすること。
イ 認定調査票における嚥下、食事摂取、口腔清潔の三項目のいずれかの項目において「1」以外に該当する者
ロ 基本チェックリストの口腔機能に関連する(13)、(14)、(15)の三項目のうち、二項目以上が「1」に該当する者
ハ その他口腔機能の低下している者又はそのおそれのある者

⑷ 利用者の口腔の状態によっては、医療における対応を要する場合も想定されることから、必要に応じて、介護支援専門員を通して主治医又は主治の歯科医師への情報提供、受診勧奨などの適切な措置を講じることとする。なお、歯科医療を受診している場合であって、次のイ又はロのいずれかに該当する場合にあっては、加算は算定できない。
イ 医療保険において歯科診療報酬点数表に掲げる摂食機能療法を算定している場合。
ロ 医療保険において歯科診療報酬点数表に掲げる摂食機能療法を算定していない場合であって、介護保険の口腔機能向上サービスとして「摂食・嚥下機能に関する訓練の指導若しくは実施」を行っていない場合。

⑸ 口腔機能向上サービスの提供は、以下のイからホまでに掲げる手順を経てなされる。
イ 利用者ごとの口腔機能を、利用開始時に把握すること。
ロ 利用開始時に、言語聴覚士、歯科衛生士又は看護職員が中心となって、利用者ごとの口腔衛生、摂食・嚥下機能に関する解決すべき課題の把握を行い、言語聴覚士、歯科衛生士、 看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種の者が共同して取り組むべき事項等を記載した口腔機能改善管理指導計画を作成すること。作成した口腔機能改善管理指導計画については、口腔機能向上サービスの対象となる利用者又はその家族に説明し、その同意を得ること。なお、通所介護においては、口腔機能改善管理指導計画に相当する内容を通所介護計画の中に記載する場合は、その記載をもって口腔機能改善管理指導計画の作成に代えることができるものとすること。

ハ 口腔機能改善管理指導計画に基づき、言語聴覚士、歯科衛生士又は看護職員等が利用者ごとに口腔機能向上サービスを提供すること。その際、口腔機能改善管理指導計画に実施上の問題点があれば直ちに当該計画を修正すること。
ニ 利用者の口腔機能の状態に応じて、定期的に、利用者の生活機能の状況を検討し、概ね三月ごとに口腔機能の状態の評価を行い、その結果について、当該利用者を担当する介護支援専門員や主治の医師、主治の歯科医師に対して情報提供すること。
ホ 指定居宅サービス基準第105条において準用する第19条に規定するサービスの提供の記録において利用者ごとの口腔機能改善管理指導計画に従い言語聴覚士、歯科衛生士又は看護職員が利用者の口腔機能を定期的に記録する場合は、当該記録とは別に口腔機能向上加算の算定のために利用者の口腔機能を定期的に記録する必要はないものとすること。

⑹ 概ね3月ごとの評価の結果、次のイ又はロのいずれかに該当する者であって、継続的に言語聴覚士、歯科衛生士又は看護職員等がサービス提供を行うことにより、口腔機能の向上又は維持の効果が期待できると認められるものについては、継続的に口腔機能向上サービスを提供する。
イ 口腔清潔・唾液分泌・咀嚼・嚥下・食事摂取等の口腔機能の低下が認められる状態の者
ロ 当該サービスを継続しないことにより、口腔機能が低下するおそれのある者

認知症加算について

通所介護の認知症加算とは

次に、通所介護の加算の「認知症加算」について解説します。

認知症加算とは、厚労省が定める認知症の要介護者に対して基準を上回るサービス行った場合に算定される加算です。


◎認知症加算:60単位/日


この加算では、認知症のご高齢者を積極的に受け入れ「認知症の症状の進行を緩和するケアを実施」することと「その計画」、また「介護職員又は看護職員を指定基準よりも増やす」ことができている事業所について加算として評価されています

若年性認知症利用者受入加算について

通所介護の若年性認知症利用者受入加算とは

次に認知症加算と類似する通所介護の「若年性認知症利用者受入加算」について解説します。

若年性認知症利用者受入加算は、通所介護おいて、若年性認知症の利用者様を受け入れ、個別に担当スタッフを定めた上で、担当スタッフを中心に利用者様の特性やニーズに応じたサービスを行なった場合に算定することができる加算です。ただし、この加算は、認知症加算を算定している場合は算定できません。


◎要介護者の場合は「1日」につき60単位

◎要支援者の場合は「1月」につき240単位

若年性認知症利用者受入加算の算定要件

⑴ 若年性認知症利用者受入加算を算定するためには、事前に各都道府県知事に届ける必要となる。

⑵ 若年性認知症利用者に対して、個別に担当者を定め、その者を中心に、当該利用者の特性やニーズに応じたサービス提供の者を中心に、当該利用者の特性やニーズに応じたサービス提供を行うこと。

⑶ 若年性認知症利用者に対して指定の通所リハリビテーションまたは指定の通所介護を行なった場合に算定できる。

延長加算について

通所介護・通所リハビリテーションの延長加算とは

通所介護の加算として「延長加算」について解説します。

延長加算とは、通所介護や通所リハビリにおいて適応される加算です。所要時間が7時間以上9時間未満の指定通所介護を行った前後にサービスに連続して日常生活上の世話を行った場合に算定されます。


◎9時間以上〜10時間未満の場合:50単位/日

◎10時間以上〜11時間未満の場合:100単位/日

◎11時間以上〜12時間未満の場合:150単位/日

◎12時間以上〜13時間未満の場合:200単位/日

◎13時間以上〜14時間未満の場合:250単位/日
 

サービス提供体制強化加算について

通所介護の加算の「サービス提供体制強化加算」とは

続いて、通所介護の加算の「サービス提供体制強化加算」について解説していきます。

通所介護の加算の中でもサービス提供体制強化加算は、サービス提供体制を強化し、基準を満たした通所介護事業所に対して算定される加算です。 訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハ、通所介護などで設定されていますが、ここでは通所介護のサービス提供体制強化加算について解説します。


【要介護者の場合(通所介護・通所リハビリテーション)】

◎サービス提供体制強化加算 I|イ:18単位/日 

◎サービス提供体制強化加算 I|ロ:12単位/日

◎サービス提供体制強化加算 II|6単位/日

※要支援者の場合は介護予防通所介護・総合事業通所型サービス、介護予防通所リハビリテーションに基づき単位数が異なります

サービス提供体制強化加算の算定要件

⑴ 人員基準を満たしていること

⑵ 定員超過がないこと

中重度者ケア体制加算について

通所介護の加算「中重度者ケア体制加算」とは

通所介護の加算として「中重度者ケア体制加算」について解説します。

中重度者ケア体制加算は、平成27年の介護報酬改定で新設された加算で、要介護3以上の中重度者が住み慣れた在宅での生活ができるように通所介護の体制を整え、サービスを提供することで利用者全員に対して加算を算定することができます。


◎中重度者ケア体制加算|45単位/日

【中重度者ケア体制加算の算定要件】

⑴ 指定基準に規定する介護職員又は看護職員の員数に加え、介護職員又は看護職員を常勤換算方法で「2名以上」確保していること。

⑵ 前年度又は算定日が属する月の前3ヶ月間の利用者の総数のうち、「要介護3以上」の利用者の占める割合が「100分の30以上」であること。

⑶ 指定通所介護を行う時間帯を通じて、専ら当該指定通所介護の提供に当たる看護職員を「1名以上」確保していること。

⑷ 社会性の維持を図り、在宅生活の維持に必要なケアを計画的に実施するプログラムを作成する必要がある

⑸ 通所介護計画または、別途作成する計画に設定し、通所介護の提供を行う必要がある。
※算定要件も満たす場合は、認知症加算の算定とともに中重度者ケア体制加算も算定できます。

介護職員処遇改善加算について

平成29年4月からの介護職員処遇改善加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴの月額

最後に、通所介護の加算として「介護職員処遇改善加算」について解説します。

通所介護の加算の中でも処遇改善加算は、介護現場で働く介護職員の「処遇の改善」を図るために改定された加算で、介護職員研修や雇用管理の改善などとともに、加算の算定額に相当する賃金改善を実施することで算定することができます。


処遇改善加算

◎加算Ⅰ:介護職員1人当たり月額37,000円相当の加算

◎加算Ⅱ:介護職員1人当たり月額27,000円相当の加算

◎加算Ⅲ:介護職員1人当たり月額15,000円相当の加算

◎加算Ⅳ:介護職員1人当たり月額13,500円相当の加算

◎加算Ⅴ:介護職員1人当たり月額12,000円相当の加算

処遇改善加算の算定要件

処遇改善加算の各区分を取得するためには「キャリアパス要件」と「職場環境等要件」の算定要件を満たす必要があります。詳しくは下記の記事をご覧ください。

同一建物から通う場合の減算について

通所介護 同一建物 減纂

通所介護の加算と合わせて確認していただきたいのが「減算」です。

通所介護の減算は、主に4種類ありますがその中でも、まず「同一建物から通う場合の減算」について解説します。


◎同一建物から通う場合の減算:−94単位/日


同一建物から通う場合の減算は、事業所と同一の建物に居住するご利用者様、または同一建物から通うご利用者様に通所介護を提供する場合、通所介護の基本料から「94単位/日」を減算します。

送迎減算定について

送迎を行わない場合の減算とは(減算)

平成27年度の介護報酬の見直しで新設された通所介護の減算のが、ご利用者様の送迎が実施されない場合の「送迎減算」です。


送迎を行わない場合の減算

◎片道で−47単位/日

◎往復で−94単位/日


具体的には、通所介護においてご利用者様が自ら介護事業所に通う場合や介護事業所が送迎を行わない場合に、片道につき「−47単位/日」、往復で「−94単位/日」の介護報酬が減算されます。ただし、「同一建物から通う場合」の減算の対象となっている場合には、当該の減算の対象とはなりません。

定員超過利用減算について

定員超過利用減算とは(減算)

通所介護の減算として「定員超過利用減算」についてご紹介します。

定員超過利用減算は、介護事業所が厚生労働大臣の定める利用者数の基準を上回る利用者を通所させている場合など、いわゆる定員数オーバーの場合に対して、介護給付費から減額されます。


◎定員超過利用時の減算:−30%(3割)/全利用者


具体的には、定員超過利用に至った月までご利用者の全員について、所定単位数が通所介護費等の算定方法に規定する算定方法に従って70%を減算され、定員超過利用が解消されるに至った月の翌月から通常の所定単位数が算定されます。

人員基準欠如減算について

通所介護の減算の人員基準欠如の減算とは

通所介護の減算の4つ目に「人員基準欠如の減算」についてご紹介します。

人員基準欠如減算は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員もしくは介護職員などの定員数が厚生労働大臣の定める人員基準に達していない場合など職員数が基準を満たさない場合に、介護給付費から減額されます。


◎人員基準欠如時の減算|−30%(3割)/全利用者


具体的には、人員基準上必要とされる看護師などの職員数から一割を超えて減少した場合に、その翌月から人員基準欠如が解消されるに至った月まで、利用者全員について所定単位数が通所介護費等の算定方法に規定する算定方法に従って30%を減算する。

生活機能向上連携加算について

通所介護の生活機能向上加算とは

ここからは、平成30年度の介護報酬改定において通所介護で新設された加算について3つご紹介します。まず、「生活機能向上加算」についてご紹介します。

生活機能向上連携加算とは、ご利用者様の自宅を訪問する際に「サービス提供責任者」と「訪問リハビリテーション」または「通所リハビリテーション」の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が同行し、共同して行ったアセスメント結果に基づき計画を作成した場合に取得できる加算です。

◎生活機能向上連携加算(I)100単位/月

◎生活機能向上連携加算(Ⅱ)200単位/月

【生活機能向上連携加算の算定要件】

生活機能向上連携加算(Ⅰ)

・ 訪問リハビリテーション若しくは通所リハビリテーションを実施している事業所又はリハビリテーションを実施している医療提供施設(原則として許可病床数200床未満のものに限る。)の理学療法士・作業療法士・ 言語聴覚士・医師からの助言(アセスメント・カンファレンス)を受けることができる体制を構築し、助言を受けた上で、サービス提供責任者が生活機能の向上を目的とした訪問介護計画を作成(変更)すること 

 ・ 当該理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師は、通所リハビリテーション等のサービス提供の場において、又はICTを活用した動画等により、利用者の状態を把握した上で、助言を行うことを定期的に行うこと 

生活機能向上連携加算(Ⅱ) 

現行の訪問リハビリテーション・通所リハビリテーションの理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が利用者宅を訪問して行う場合に加えて、リハビリテーションを実施している医療提供施設(原則として許可病床数200床未満のものに限る。)の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師が訪問して行う場合 

【引用】

厚生労働省「平成30年度介護報酬改定における 各サービス毎の改定事項について」社保審-介護給付費分科会 第158回(H30.1.26)

栄養スクリーニング加算について

通所介護の栄養スクリーニング加算とは

続いて、通所介護の新設加算として「栄養スクリーニング加算」についてご紹介します。

栄養スクリーニング加算とは、管理栄養士以外の介護スタッフでも、利用開始時およびサービス利用中の6ヶ月ごとに、ご高齢者の栄養に関するスクリーニングを行い、対象者の栄養状態をケアマネジャー(介護支援専門員)に文書で共有した場合に算定することができる加算です。

◎栄養スクリーニング加算:1回につき5単位

※ただし、6ヶ月に1回が限度です。

【栄養スクリーニング加算の算定要件】

1)栄養スクリーニングの算定に係る栄養状態に関するスクリーニングは、利用者ごとに行われるケアマネジメントの一環として行われることに留意すること。

2)栄養スクリーニング加算の算定に当たっては、利用者について、次に掲げるイ)からニ)に関する確認を行い、確認した情報を介護支援専門員に対し、提供すること。 

 イ)BMIが18.5未満である者 

 ロ)1~6月間で3%以上の体重の減少が認められる者または「地域支援事業の実施について」(平成18年6月9日老発第0609001号厚生労働省老健局長通知)に規定する基本チェックリストのNo.11の項目が「1」に該当する者 

 ハ)血清アルブミン値が3.5g/dl以下である者 

 ニ )食事摂取量が不良(75%以下)である者 

3)栄養スクリーニング加算の算定を行う事業所については、サービス担当者会議で決定することとし、原則として、当該事業所が当該加算に基づく栄養スクリーニングを継続的に実施すること。 

4)栄養スクリーニング加算に基づく栄養スクリーニングの結果、栄養改善加算に係る栄養改善サービスの提供が必要と判断された場合は、栄養スクリーニング加算の算定月でも栄養改善加算を算定できること。

【引用】

厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護 支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」

ADL維持等加算について

通所介護の加算のADL維持等加算とは

最後に、平成30年度の介護報酬改定で新設された通所介護の加算として、「ADL維持等加算」についてご紹介します。

ADL維持等加算とは、ご利用者様のADLを維持・改善させた通所介護事業所の報酬を引き上げるインセンティブ制度の加算です。評価には、バーセルインデックス(BI)を活用します。

◎ADL維持等加算Ⅰ:3単位

◎ADL維持等加算Ⅱ:6単位

【ADL維持等加算の算定要件】

ご利用者全員に、評価期間(前々年度の1月から12月までの1年間)終了後の4月から3月までの1年間に、以下の要件を満たしたものが算定することが認められています。

① 利用者総数が20名以上であること。

② ①について、以下の算定要件を満たすこと。

 a)1年間の評価対象利用期間の最初の月において要介護度が3、4または5である利用者が15%以上含まれること

 b)1年間の評価対象利用期間の最初の月の時点で、初回の要介護・要支援認定があった月から起算して12月以内であった者が15%以下であること。

 c)1年間の評価対象利用期間の最初の月と、当該最初の月から起算して6月目に、事業所の個別機能訓練指導員がバーセルインデックスを測定しており、Barthel Indexの結果がそれぞれの月に報告されている者が90%以上であること

 d)cの要件を満たす者のうちBI利得(最初の月のBarthel Indexを「事前BI」、6月目のBarthel Indexを「事後BI」、事後BIから事前BIを控除したものを「BI利得」という。)が上位85%(端数切り上げ)の者について、各々のBI利得が0より大きければ1、0より小さけれ ば-1、0ならば0として合計したものが、0以上であること。

生活相談員配置等加算について

生活相談員配置等加算とは、生活相談員やサービス管理責任者を配置し、かつ、地域交流や認知症カフェなどを実施している場合に評価する加算を設定するようになります。

また、通所介護事業所に係る加算は、各加算の算定要件を満たした場合に算定できるようになります。

単位数障害福祉制度の生活介護事業所が、要介護者へのデイサービスを行う場合基本報酬 所定単位数に93/100を乗じた単位数(新設) 生活相談員配置等加算 13単位/日(新設)
算定要件共生型通所介護事業所について、生活相談員(社会福祉士等)を配置し、かつ、地域に貢献する活動(地域交流の場の提供、認知症カフェ等)を実施していること。 

通所介護(デイサービス)における加算の算定状況について

通所介護における加算の算定状況(厚生労働省資料)

ここまで通所介護の加算・減算について一覧でご紹介してきました。

実際に、全国のデイサービスではどの加算を算定できているのでしょうか。ここでは厚労省から報告されている加算の算定率についてご紹介します。
 

○ 入浴介助加算|90.2%○ サービス提供体制強化加算(Ⅰ)|33.1%○個別機能訓練加算(Ⅱ)|24.9%

これらが加算の上位3つとなっていますが、驚くほど加算を算定できていない通所介護事業所が多いことがわかるのではないでしょうか?

平成27年度の介護報酬改定にて基本報酬が減額された中でも、まだまだこれらの加算の算定が取得できていない状況です。その原因として、通所介護で算定できる加算はさまざまありますが、人員配置や算定要件が厳しく加算の算定が難しいということが考えられます。人員配置の規制緩和も行われていますが、この算定要件や人員配置の知識を深めて、ご自身の通所介護事業所が算定可能な加算をピックアップしておきましょう!
【出典】厚生労働省  「平成27年度介護報酬改定に向けて」

まとめ

介護報酬上のサービスの質の評価一覧


現在、小規模デイサービス(通所介護)は、加算の算定が厳しく、レスパイトケア目的のデイサービスでは経営状態が厳しくなっています。

厚生労働省による社会保障審議会では、「サービスの質の評価を踏まえたこれまでの介護報酬導入の取組と並行して、中長期的な観点から介護サービスの質の評価のあり方について継続的な検討を進めている」と報告されています。

1.ストラクチャー:構造 
(人材の配置など)
2.プロセス:過程
(事業者と利用者間の相互作用など(訓練等の実施))
3.アウトカム:結果
(サービスによりもたらされた利用者の状態変化など(在宅復帰))

通所介護全体の動向を考えると、通所介護における介護報酬(基本報酬)は、減算されていく一方で、介護サービスの質を踏まえて、それぞれの特性に応じた加算(インセンティブ)が導入されていることが分かります。

通所介護の加算(インセンティブ)においては、このサービスの質の向上の考え方こそが、今後の運営においては重要になるのではないでしょうか。

平成30年介護報酬改定を控えた今、通所介護事業所の運営を安定的に行っていくためには、本稿で紹介した加算等を取得していくことは非常に重要かつ生き残りをかけた戦いです。一つ一つ問題解決し、利用者様にもスタッフにも愛されるデイサービスを作っていきましょう。

【参考資料】

厚生労働省「介護サービスの質の評価・自立支援に向けた事業者へのインセンティブ」
平成29年8月30日アクセス

ICTの利活用でサービスの質と業務効率を同時に高める

2024年の医療介護同時改定では、団塊世代の高齢化を見据え、自立支援を中心とした科学的介護の実現、そしてアウトカムベースの報酬改定に向けて変化しようとしています。

このような時流だからこそ、より一層利用者さまの自立支援に向けた取り組みが重要になります。しかし、個別機能訓練加算をはじめとした自立支援系の加算やLIFE関連加算の算定は、売上アップも見込めるとはいえ、リハビリ専門職の不在や現場負担の問題で取り組みが難しいと考える事業所も多いのではないでしょうか?

その解決策の1つが「介護現場におけるICTの利用」です。業務効率化の意味合いが強い昨今ですが、厚生労働省の定義では「業務効率化」「サービスの質向上」「利用者の満足度向上」の達成が目的であるとされています。

業務効率化だけでなく、利用者一人ひとりの生活機能の課題を解決する『デイサービス向け「介護リハビリ支援ソフト」』を検討してみませんか?

この記事の著者

作業療法士  大屋 祐貴

作業療法士として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーション技術を高めるために研修会の立ち上げ等を行う。

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