通所介護における栄養スクリーニング加算の算定要件から様式について|厚労省Q&Aまで網羅

介護保険法

口腔・栄養スクリーニング加算

更新日:2022/02/25

栄養スクリーニング加算 を通所介護(デイサービス)で算定するときの算定要件、単位数、様式・書式、厚生労働省のQ&A、栄養改善加算との違いや同時算定について紹介します。平成30年度(2018年)介護報酬改定で新設され理由も。栄養スクリーニング加算は、通所介護の他、通所リハビリ、小規模多機能、グループホーム、特定施設などで算定することができます。安定した介護経営を実現するために新設加算について学んでいきましょう。

栄養スクリーニング加算とは

栄養スクリーニング加算 厚生労働省栄養改善の取り組み評価

栄養スクリーニング加算とは、管理栄養士以外の介護スタッフでも、ご高齢者の栄養に関するスクリーニングを行い、対象者の栄養状態をケアマネジャー(介護支援専門員)に文書で共有した場合に算定することができる加算です。

栄養スクリーニング加算は、平成30年度の介護報酬改定で新設された加算で、ご利用者様が1回につき単位数「5単位」を算定することができます。

参照:厚生労働省(2018)平成30年度介護報酬改定における各サービス毎の改定事項について

栄養スクリーニング加算を算定できる事業所

平成30年度(2018年)の介護報酬改定で新設された栄養スクリーリング加算は、以下の事業所で算定することができます。

  • 通所介護(デイサービス)
  • 通所リハビリ(デイケア)
  • 小規模多機能
  • グループホーム
  • 特定施設など

栄養スクリーニング加算の単位数(点数)

栄養スクリーニング加算の単位数(点数)

栄養スクリーニング加算の単位数(点数)は、1回につき5単位となっています。

※ただし、6ヶ月に1回が限度です。

栄養スクリーニング加算が新設された理由とは

栄養スクリーニング加算が新設された理由

平成30年度の介護報酬改定にて、栄養スクリーニング加算が新設された理由について知っていますか?

日本の75歳以上のご高齢者の「約22%」は、低栄養状態(サルコペニア)といわれており、低栄養状態の方がそのまま運動や日常生活動作を行うと、さらに骨格筋量が低下する危険性があります。そこで、平成30年度の介護報酬改定では、栄養スクリーニング加算が創設されることとなりました。

【関連記事】
平成30年度の介護報酬改定の論点|通所介護の機能訓練に着目して
平成30年度(2018年)の介護報酬改定では、改定率0.54%と若干の引き上げ改定になります。
こちらの記事では、通所介護における介護報酬改定のポイントをまとめてご紹介します。

その他の新設加算

平成30年度の介護報酬改定では、「栄養スクリーニング加算」以外にも通所介護(デイサービス)において「生活機能向上連携加算(200単位/月)」、「ADL維持等加算(3単位/月)」が新しい新設加算として算定できるようになりました。

  • 生活機能向上連携加算とは、外部のリハ職と連携して機能訓練を行うことで算定できる加算です。
  • ADL維持等加算とは、ご利用者様のADLの維持・改善に着目したアウトカム評価です。

参照:厚生労働省「第158回社会保障審議会介護給付費分科会資料」(平成30年6月4日アクセス)

栄養スクリーニング加算の算定要件について

栄養スクリーニング加算の算定要件

栄養スクリーニング加算を算定するために必要な算定要件についてご紹介します。

1)栄養スクリーニングの算定に係る栄養状態に関するスクリーニングは、利用者ごとに行われるケアマネジメントの一環として行われることに留意すること。

2)栄養スクリーニング加算の算定に当たっては、利用者について、次に掲げるイ)からニ)に関する確認を行い、確認した情報を介護支援専門員に対し、提供すること。  イ)BMIが18.5未満である者  ロ)1~6月間で3%以上の体重の減少が認められる者または「地域支援事業の実施について」(平成18年6月9日老発第0609001号厚生労働省老健局長通知)に規定する基本チェックリストのNo.11の項目が「1」に該当する者  ハ)血清アルブミン値が3.5g/dl以下である者  ニ )食事摂取量が不良(75%以下)である者 

3)栄養スクリーニング加算の算定を行う事業所については、サービス担当者会議で決定することとし、原則として、当該事業所が当該加算に基づく栄養スクリーニングを継続的に実施すること。 

4)栄養スクリーニング加算に基づく栄養スクリーニングの結果、栄養改善加算に係る栄養改善サービスの提供が必要と判断された場合は、栄養スクリーニング加算の算定月でも栄養改善加算を算定できること。

引用元:厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護 支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」

栄養状態の評価の一つであるBMIの計算方法はこちらの「高齢者の平均体重から分かる肥満や低体重!BMIの計算方法と標準値|デイサービスで使える評価」で詳しく紹介しています。

栄養スクリーニング加算の様式・書式について

栄養スクリーニング加算 栄養スクリーニング・アセスメント・モニタリング(通所・居宅)様式例

栄養スクリーニング加算を算定するためには、「栄養状態のスクリーニングを行い、対象者の状態をケアマネジャー(介護支援専門員)に文書で共有」しなければなりません。そこで、栄養スクリーニング加算に必要となる様式(例)をご紹介します。この様式は「栄養スクリーニング・アセスメント・モニタリング(通所・居宅)(様式例)」と呼ばれています。

▼栄養スクリーニング加算の様式については、こちらからダウンロードください。

参照:栄養スクリーニング (通所・居宅) (様式例)

栄養スクリーニング加算の注意点について

栄養スクリーニング加算の注意点について

栄養スクリーニング加算を算定する場合は、当該事業所以外で既に算定している場合は、算定しないこと。また、当該利用者が栄養改善加算の算定に係る栄養改善サービスを受けている間および当該栄養改善サービスが終了した日の属する月は、算定しないことに注意が必要です。

栄養スクリーニング加算のQ&Aについて

栄養スクリーニング加算のQ&A

栄養スクリーニング加算のQ&Aについて「2種類」ご紹介します。

栄養改善加算と栄養スクリーニング加算は同時に算定できるか?

問1)栄養改善加算と栄養スクリーニング加算は同時に算定できるか。
答1)当該利用者が栄養改善加算の算定に係る栄養改善サービスを受けている間及び当該 栄養改善サービスが終了した日の属する月は、算定しない。 ただし、栄養スクリーニング加算に基づく栄養スクリーニングの結果、栄養改善加算にかかる栄養改善サービスの提供が必要と判断された場合は、栄養スクリーニング加算の算定月でも栄養改善加算を算定できる。 なお、定員超過、人員基準欠如により減算となる場合には算定できません。

参照:茨城県保健福祉課「栄養スクリーニング加算について」

複数の介護サービスを利用している場合は算定できるのか?

問30) 当該利用者が、栄養スクリーニング加算を算定できるサービスを複数利用している場合、栄養スクリーニング加算の算定事業者をどのように判断すればよいか。
答30) サービス利用者が利用している各種サービスの栄養状態との関連性、実施時間の実 績、栄養改善サービスの提供実績、栄養スクリーニングの実施可能性等を踏まえ、サービス担当者会議で検討し、介護支援専門員が判断・決定するものとする。

参照:厚生労働省「平成 30 年度介護報酬改定に関する Q&A(Vol.1)」

その他の栄養関連の加算とは

その他の栄養関連の加算とは

栄養スクリーニング加算と類似する加算に「栄養改善加算」があります。平成30年度(2018年)の介護報酬改定では、栄養改善加算の人員基準が緩和され、外部の管理栄養士と連携することでも算定できるようになりました。

栄養改善加算と栄養スクリーニング加算の違い

栄養改善加算は、低栄養状態または、そのおそれがあるご高齢者に対して、栄養状態の改善を図る相談や管理といったサービスを提供した場合に1回につき「150単位」を算定することができます。

▼栄養改善加算については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

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▼その他の栄養関連の加算については、こちらがオススメです。

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まとめ

栄養スクリーニング加算 まとめ

今回は、栄養スクリーニング加算について算定要件からQ&Aまでまとめてご紹介しました。

類似する加算である栄養改善加算に比べ、栄養スクリーニング加算は、介護スタッフでも、利用開始時およびサービス利用中の6か月ごとにご高齢者の栄養に関するスクリーニングを行い、栄養状態を報告することで算定できる簡易なものです。

ご利用者様の栄養状態に問題がないかを定期的に把握・記録することで、低栄養のリスクのある方を早期に見つけるための施策です。

自立支援・重度化防止につながる取り組みのひとつである「栄養スクリーニング加算」について学び、ご高齢者がいつまでも住み慣れた地域で元気に生活できるように応援して行きましょう!

ICTの利活用でサービスの質と業務効率を同時に高める

2024年の医療介護同時改定では、団塊世代の高齢化を見据え、自立支援を中心とした科学的介護の実現、そしてアウトカムベースの報酬改定に向けて変化しようとしています。

このような時流だからこそ、より一層利用者さまの自立支援に向けた取り組みが重要になります。しかし、個別機能訓練加算をはじめとした自立支援系の加算やLIFE関連加算の算定は、売上アップも見込めるとはいえ、リハビリ専門職の不在や現場負担の問題で取り組みが難しいと考える事業所も多いのではないでしょうか?

その解決策の1つが「介護現場におけるICTの利用」です。業務効率化の意味合いが強い昨今ですが、厚生労働省の定義では「業務効率化」「サービスの質向上」「利用者の満足度向上」の達成が目的であるとされています。

業務効率化だけでなく、利用者一人ひとりの生活機能の課題を解決する『デイサービス向け「介護リハビリ支援ソフト」』を検討してみませんか?

この記事の著者

作業療法士  大屋 祐貴

作業療法士として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーション技術を高めるために研修会の立ち上げ等を行う。

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