2020年02月05日更新

デイサービスでの居宅訪問|5つの手順をご紹介

これから初めて機能訓練指導員としてデイサービスに勤務する方は個別機能訓練加算を算定する上で必要な居宅訪問を高齢者にどのように説明したらいいか、何をチェックしたらいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、居宅訪問の目的、算定要件を整理し、利用者への説明方法や居宅訪問のタイミング、記録方法などを5つの手順でまとめてご紹介します。

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居宅訪問の目的・役割について

平成27年度の介護報酬改定にて、通所介護(デイサービス)で個別機能訓練加算を算定する場合に「利用者の居宅を訪問した上で利用者の居宅での生活状況を確認すること」が新たに要件に加えられました。

 

では、なぜ居宅訪問が必要なのでしょうか。

その目的は「より効果的に機能訓練を実施する観点から実際の利用者の生活状況や問題点、生活能力を把握し、目標としていくため」であり、「高齢者が住み馴れた地域で長く安心して生活を継続できること」が介護事業の意義の一つになっています。

 

デイサービスに来た時に基礎的な運動などを通して体を鍛えることなども必要ですが、介護の専門家として在宅生活に起点を置いてひとりひとりのご様子を見極めていくことが大切になっています。

 

高齢者にもいろいろな疾患・家族構成・ライフスタイルがある中で、適切な運動や機能訓練はひとりひとり違っているのです。

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居宅訪問の算定要件について

まず、居宅訪問の算定要件や評価用紙について整理していきます。

 

居宅訪問の頻度・作成期間

平成27年度の介護報酬改定にて個別機能訓練加算を算定する場合の算定要件に「3月ごとに1回以上、利用者の居宅を訪問して利用者の居宅での生活状況(ADL、IADL等)を確認すること」が追加されました。

デイサービスで個別機能訓練加算を算定する場合は3ヶ月ごとに1回以上の利用者の居宅を訪問し、記録を残す必要があるということになります。

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居宅訪問チェックシート

居宅訪問チェックシートの内容(厚生労働省)

▶︎居宅訪問チェックシート(PDF)のダウンロードはこちらから

デイサービスの個別機能訓練加算を算定する上で必要となった居宅訪問について、どのような点をチェックすべきかを厚生労働省が提示したのが「居宅訪問チェックシート」です。

居宅訪問チェックシートは、いろいろな生活行為に対して、「自立」「見守り」「一部介助」「全介助」、課題の有無、環境(実施場所・補助具等)、状況・生活課題などを細かくチェックして、通所介護計画書や通所介護での機能訓練のニーズや課題の把握の参考にするものです。居宅訪問チェックシートの作成は、初回訪問時が望ましく、その後は生活課題に合わせて継続的に評価を行っていきます。居宅訪問チェックシートは居宅訪問の際のアセスメント項目として推奨されている項目です。

 

居宅訪問の5つの手順

居宅訪問チェックシートの項目を満たせば利用者の生活状況や生活課題が把握できるというわけではなく、個別的な視点で1日の生活を想定して状況や生活行為、居宅での動線、移動方法などを総合的に評価することが望ましいとされています。

課題をより具体的にする場合には、家屋調査を行い、居宅での入浴のための浴槽の高さや、移乗の椅子の高さやテーブルとの位置関係、トイレでの手すりの位置など課題になる部分をより細かく把握することも必要になります。

ここからは、実際のデイサービスで居宅訪問を行う場合を想定し、手順を確認していきます。

1)利用者・家族への説明

居宅訪問を行うことに納得いただくためには、まず個別機能訓練加算の算定についてご理解いただく必要があります。

まずは、個別機能訓練加算Ⅰまたは個別機能訓練加算Ⅱの目的や内容をしっかりと利用者・家族に伝える必要があります。

 

■個別機能訓練加算Ⅰの場合の説明

個別機能訓練加算Ⅰの目的は、筋力・柔軟性・バランスなどの心身機能の維持・向上を目指すことで、利用者が主体的に選択できるように複数の訓練を提供します。そのために、現在の自宅の生活状況を把握させていただきたい身体の状態と生活の状態を教えていただきたいと思います。その把握から最適な目標・訓練プログラムを提案させていただきます。

 

■個別機能訓練加算Ⅱの場合の説明

個別機能訓練加算Ⅱの目的は、利用者が居宅や住み慣れた地域において可能な限り自立して暮らし続けることです。身体機能の向上を目的として実施するのではなく、①体の働きや精神の働きである「心身機能」、②ADL・家事・職業能力や屋外歩行といった生活行為全般である「活動」、 ③家庭や社会生活で役割を果たすことである「参加」といった生活機能の維持・向上を目指し、機能訓練指導員が直接訓練をさせていただきます。そのために、現在の自宅の生活状況を把握させていただきたいと思います。その把握から最適な目標・訓練プログラムを提案させていただきます。

2)居宅訪問のタイミング

個別機能訓練加算の算定にあたり、居宅訪問を業務の中でどのようなタイミングで実施して行くかについて紹介します。実際にデイサービスの業務を考えると以下の3種類があります。

 

1)デイサービス利用の新規契約時に居宅訪問を実施する

新規で契約するご利用者の場合には、担当者会議や契約などで居宅を訪問することが多いです。個別機能訓練加算の算定に関する居宅訪問については、契約や担当者会議、アセスメントの時に生活状況(ADL、 IADL等)をチェックしてくることも要件として認められます。

この場合には、個別機能訓練計画作成に関わる職員である必要があり、生活相談員や管理者でも生活状況をチェックして、個別機能訓練計画作成を多職種共同で行えれば可能となっています。

【平成27年4月1日厚生労働省Q&A(Vol.1)_問43】

(質)利用契約を結んではいないが、利用見込みがある者について、利用契約前に居宅訪問を行い利用者の在宅生活の 状況確認を行い、利用契約に至った場合、個別機能訓練加算の算定要件を満たすことになるか。

(答)利用契約前に居宅訪問を行った場合についても、個別機能訓練加算の居宅訪問の要件を満たすこととなる。

▼注意点

なお、個別機能訓練加算(Ⅰ)を算定するため機能訓練指導員が居宅訪問などご利用者の生活援助業務で事業所外での業務にあたることについては認められていますが、事業所外で必要な業務を行なっていた根拠として、業務日報などで配置基準を満たせる業務で外出していたことを記録しておく方が良いです。

生活相談員や個別機能訓練加算(Ⅰ)を算定するため機能訓練指導員はサービス提供時間内の配置基準があり、例えば研修や出張などで不在の場合には別の生活相談員を配置するなどの対応をしないと配置基準を満たせないルールになっているためです。

【平成27年4月1日厚生労働省Q&A(Vol.1)_問48】

(質問)居宅を訪問している時間は、人員基準上、必要な配置時間に含めて良いか。

(答)個別機能訓練加算(Ⅰ)で配置する常勤・専従の機能訓練指導員は、個別機能訓練計画におけるプログラム に支障がない範囲において、居宅を訪問している時間も配置時間に含めることができる。 生活相談員については、今回の見直しにより、事業所外における利用者の地域生活を支えるための活動が認められるため、勤務時間として認められる。

2)デイサービス送迎時に居宅訪問を実施する

実際に 3ヶ月の1回以上の頻度で居宅訪問を行うとなるとデイサービスの送迎時に生活状況を確認するということが現実的な実施方法の一つになります。

例えば、普段は複数名の利用者を大型車などで送迎しているところを特定の利用者の居宅訪問の時には機能訓練指導員などのスタッフが利用者を2〜3名だけ乗車していただき、送迎の最後に利用者の居宅訪問を実施するという方法です。

【平成27年4月1日厚生労働省Q&A(Vol.1)_問45】

(質問)居宅を訪問するのは、利用者宅へ送迎をした後そのまま職員が残り、生活状況を確認することでも認められるか。

 (答)認められる。

3)その他の時間帯に居宅訪問を実施する

デイサービスでは業務の時間に限りがあり、送迎も余裕なく組んでしまっている場合に、別の時間に居宅訪問を行うという場合もあります。

居宅訪問については、必ずしも機能訓練を提供する人物が行わなければならないというものではなく、個別機能訓練計画を多職種共同で作成するメンバーならば良いことになっています。

【平成27年4月1日Q&A厚生労働省(Vol.1)_問46】

(質問)個別機能訓練計画の作成及び居宅での生活状況の確認について、「その他の職種の者」は、機能訓練指導員、看護職員、介護職員又は生活相談員以外に、どのような職種を想定しているのか。また、個別機能訓練計画作成者と 居宅の訪問者は同一人物でなくてもよいか。さらに、居宅を訪問する者が毎回変わってしまってもよいのか。

(答)個別機能訓練計画については、多職種共同で作成する必要がある。 このため、個別機能訓練計画作成に関わる職員であれば、職種にかかわらず計画作成や居宅訪問を行うことができるため、機能訓練指導員以外がこれらを行っても差し支えない。 なお、3月に1回以上、居宅を訪問し、生活状況を確認する者は、毎回必ずしも同一人物で行う必要はない。

 

3)居宅訪問の事前準備

個別機能訓練加算として利用者の居宅を訪問する場合にどのような事前準備が必要になるのでしょうか。

 

1)利用者・家族への訪問の確認

居宅訪問を行うときには、事前にご利用者とご家族にご自宅内を見させていただき、生活状況について伺いたい旨を事前にアポを取っておくようにしましょう。

たとえば、帰りの送迎のときに個別機能訓練加算の要件としての居宅訪問をさせていただく時には、遅くともその日の朝の送迎の時などに「訪問してお家での生活についてお伺いしたいので少しお時間いただけませんか」と確認を取っておきます。

 

2)居宅訪問するスタッフの準備

居宅訪問を行う時には、事前にそのご利用者の生活状況について把握していることは予習してから向かいましょう。明らかに自立している点については聞き取りで済ませたり、現時点で生活課題として機能訓練に取り組んでいる点についてはよく確認するなどメリハリをつけることで機能訓練を効果的にするための情報をしっかりと収集しましょう。

 

4)居宅訪問の記録

居宅訪問では、居宅訪問チェックシートを参考に利用者の生活状況を把握していきますが、絶対にこのシートを埋めていないといけないというものではありません。

利用者の生活状況について実態を把握するとなると、時間をかければいくらでも時間がかかります。そのため、優先順位をつけて確認すべきところを明確にして望むようにしましょう。

特に確認すべきところは、ケアプランで課題として上がっている点やケアマネージャーから個別機能訓練について特に必要性を伝えられている点です。

また、2回目の居宅訪問以降は機能訓練の目標に挙げて実際に取り組んでいる点や機能訓練の効果、情報収集した中で心配に思う点を中心に確認すると効率的です。

 

5)居宅訪問後のスタッフ共有

個別機能訓練加算における居宅訪問は、個別的で効果的な個別機能訓練計画を作るための情報収集です。そのため、居宅訪問で得た利用者の生活情報は、機能訓練指導員をはじめとした個別機能訓練加算に携わる他スタッフと情報共有しましょう。

ひとりひとりの個別機能訓練計画書について話し合う時間を設けて、情報を持ち寄って計画しましょう。

 

例えば、夕方などにその日の振り返りや夕礼を行なっているデイサービスなどでは、居宅訪問の概要の報告を行い、他職種から意見交換を行うなどの仕組みを作りましょう。ここで話した内容を記録にとっておくことで他職種共同で機能訓練計画を策定した根拠にできます。

まとめ

デイサービスでの居宅訪問で行う5つの手順はいかがでしたか。

個別機能訓練加算において居宅訪問は大変な業務の一つではありますが、実際に機能訓練の成果や、機能訓練の感想を確認できるよい機会でもあります。

デイサービスは居宅サービスですが、送迎は原則玄関までであり、居宅訪問をしないとご利用者の生活状況の実態は見えてこないものです。

よりよい機能訓練のために、居宅訪問の方法を考えるきっかけになれば幸いです。

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著者プロフィール

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大屋 祐貴

リハビリ専門職(作業療法士)として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーションを技術を高めるため研修会を立ち上げ、これまでに100名規模の研修会も開催された。現在は、「職種を越えたリハビリ介護を実現する」をテーマに、リハプランの専属ブロガーとして活躍中。作業療法士の専門性を活かして、介護事業所で算定できる加算・減算の中でも「個別機能訓練加算」について算定要件や計画書の書き方、機能訓練プログラムについて執筆している。

〜筆者の想い〜
通所介護事業所(デイサービス)の約8割は、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が不在のため、看護師や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練を実施しているのが現状です。機能訓練指導員が、高齢者にあった最適な運動を提供するために必要なノウハウをわかりやすく解説します。

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