居宅訪問の5つの手順 デイサービスの個別機能訓練加算算定

デイサービス(通所介護)で個別機能訓練加算を算定する場合、3ヶ月に1回以上の頻度でご利用者の居宅を訪問してご利用者の生活状況(ADLやIADLなど)を把握する居宅訪問が算定要件です。ご利用者やご家族に居宅訪問の必要性について納得してもらうための説明、居宅訪問チェックシートの評価頻度・作成期間、送迎時など業務の中での居宅訪問のタイミング、必要な記録などを厚生労働省Q&Aなども参考に解説します。

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この記事の目次
 

デイサービスで個別機能訓練加算を算定する場合の居宅訪問の目的

平成27年度介護報酬改定で、通所介護(デイサービス)で個別機能訓練加算を算定する場合に、より効果的に機能訓練を実施する観点から、利用者の居宅を訪問した上で利用者の居宅での生活状況を確認することを新たに加算の要件に加えられました。

ご利用者やご家族に居宅訪問の必要性について納得してもらうには

個別機能訓練加算の算定では居宅訪問が算定要件の一つとなっていますが、居宅訪問と機能訓練の関係性について密接な関係であることを理解しているご利用者は少ないと思います。

デイサービスで体操や運動するのに、なぜ居宅訪問をして家の中まで見に来るの?」と考える方々に、どのように伝えると良いでしょうか?

デイサービスの事業の目的から居宅訪問の大切さを伝える説明

デイサービスなどの介護保険の居宅サービスは、地域包括支援システムの中で、住み馴れた地域で長く安心して生活を継続できることが事業の意義の一つになっています。デイサービスに来た時に基礎的な運動などを通して体を鍛えることなども必要ですが、介護の専門家として在宅生活に起点を置いてひとりひとりのご様子を見極めていくことが大切になっています。

ご高齢者にもいろいろな疾患・家族構成・ライフスタイルがある中で、適切な運動や機能訓練はひとりひとり違っているのです。

「国の方針で、デイサービスはご自宅でずっと安心して生活するために必要なリハビリや予防を行う方針となりました。デイサービスに来ていただき一緒に体を動かしたりするに当たり、私たちとしてもお家でどんなところに困っているのかや、段差などのお家の構造で今後体が弱らないように気をつけなければならないところを把握して、参考にさせていただきたいのです」というような感じで伝えてみると良いかもしれません。

 

ご利用者の個別のお悩みや心配事から居宅訪問の必要性をご理解いただく

ご利用者はケアマネージャーの適正なケアマネジメントのもと、解決すべき課題が設定されてデイサービスを利用し始めます。ケアプランのニーズは、多くの場合在宅生活での解決すべき課題や望む生活などが設定されます。

「自宅内は手伝いをもらいことなく、歩きたい」

「自分でトイレへまで行き、用を足したい」などが設定されていると思います。

「私たちデイサービスでは、ケアマネージャーさんが色々考えて作っているケアプランに沿って、〇〇さんに必要なことを行なっていきます。〇〇さんの、お家の中は手伝いなく歩きたいという気持ちに少しでも効果的なお手伝いができるように、お家の中でとくに歩きにくいところがないかなどを一緒に考えさせてもらいたいのです」というような感じで伝えてみると良いかもしれません。

こちらの「居宅訪問チェックシートから個別機能訓練計画書への情報活用の具体例」の記事で、個別機能訓練加算を算定するにあたり居宅訪問してよかったこと・効果的な取り組みになったことについて紹介していますのでご参考にしてください。

 

居宅訪問チェックシートの内容とは

居宅訪問チェックシートの内容(厚生労働省)

デイサービスの個別機能訓練加算を算定する上で必要となった居宅訪問について、どのような点をチェックすべきかを厚生労働省が提示したのが「居宅訪問チェックシート」です。居宅訪問チェックシートは、いろいろな生活行為に対して、「自立」「見守り」「一部介助」「全介助」、課題の有無、環境(実施場所・補助具等)、状況・生活課題などを細かくチェックして、通所介護計画書や通所介護での機能訓練のニーズや課題の把握の参考にするものです。居宅訪問チェックシートの作成は、初回訪問時が望ましく、その後は生活課題に合わせて継続的に評価を行っていきます。居宅訪問チェックシートは居宅訪問の際のアセスメント項目として推奨されている項目です。

 

居宅訪問チェックシートの評価頻度・作成期間

個別機能訓練加算を算定する場合の算定要件に、3月ごとに1回以上、利用者の居宅を訪問して利用者の居宅での生活状況(ADL、IADL等)を確認することとされています。

必ず居宅訪問チェックシートを用いて居宅訪問の記録を残さなければならないというわけではありませんが、個別機能訓練加算を算定する場合は3月ごとに1回以上の居宅訪問の記録を残す必要があります。

 

個別機能訓練加算のための居宅訪問・家屋調査・住環境評価の工夫

居宅訪問チェックシートの項目を満たせば利用者の生活状況や生活課題が把握できるというわけではなく、個別的な視点で1日の生活を想定して状況や生活行為、居宅での動線、移動方法などを総合的に評価することが望ましいです。課題をより具体的にする場合には、家屋調査を行い、居宅での入浴のための浴槽の高さや、移乗の椅子の高さやテーブルとの位置関係、トイレでの手すりの位置など課題になる部分をより細かく把握することも必要になります。

それでは実際にデイサービスで個別機能訓練加算を算定するための要件である居宅訪問を行う時の手順を確認してみましょう。

 

ステップ1 居宅訪問を行うことをご利用者に伝え、ご納得いただくには

居宅訪問を行うことにご納得いただくためには、まず個別機能訓練加算の算定についてご理解いただく必要があります。個別機能訓練加算を算定するに当たっては、利用者の日常生活や人生の過ごし方についてのニーズを把握するとともに、利用者の居宅での生活状況(ADL、 IADL等)を居宅訪問の上で確認するものとされています。

個別機能訓練加算Ⅰの目的と内容

個別機能訓練加算Ⅰの目的は、筋力・柔軟性・バランスなどの「心身機能の維持・向上」を目指すことで、ご利用者様が主体的に選択できるように「複数の訓練」を提供します。

個別機能訓練加算Ⅱの目的と内容

個別機能訓練加算Ⅱの目的は、利用者が居宅や住み慣れた地域において可能な限り自立して暮らし続けることが第一の目的です。そのため、身体機能の向上を目的として実施するのではなく、①体の働きや精神の働きである「心身機能」、②ADL・家事・職業能力や屋外歩行といった生活行為全般である「活動」、 ③家庭や社会生活で役割を果たすことである「参加」といった生活機能の維持・向上を図るために、機能訓練指導員が訓練を利用者に対して直接実施するものとされています。

 

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個別機能訓練加算ⅠとⅡの違いとは?7つのポイントをご紹介

ステップ2 デイサービスの業務の中での居宅訪問のタイミング

個別機能訓練加算の算定にあたり、居宅訪問を業務の中でどのようなタイミングで実施して行くかについて紹介します。実際にデイサービスの業務を考えると以下の3種類になるかと思います。

新規契約時に個別機能訓練加算の要件の居宅訪問を兼ねて実施する

新規で契約するご利用者の場合には、担当者会議や契約などで居宅を訪問することが多いです。個別機能訓練加算の算定に関する居宅訪問については、契約や担当者会議、アセスメントの時に生活状況(ADL、 IADL等)をチェックしてくることも要件として認められます

この場合には、個別機能訓練計画作成に関わる職員である必要があり、生活相談員や管理者でも生活状況(ADL、 IADL等)をチェックして、個別機能訓練計画作成を多職種共同で行えれば可能となっています。

利用契約を結んではいないが、利用見込みがある者について、利用契約前に居宅訪問を行い利用者の在宅生活の 状況確認を行い、利用契約に至った場合、個別機能訓練加算の算定要件を満たすことになるか。

【平成27年4月1日Q&A(Vol.1)_問43】 (答)利用契約前に居宅訪問を行った場合についても、個別機能訓練加算の居宅訪問の要件を満たすこととなる。

ご利用に当たっては通所介護計画を作成するためにアセスメントシートを作成したり、利用目的を明確にしてデイサービスで提供するための情報収集を行う必要があります。新規の方の場合には、デイサービスでの機能訓練の趣旨や居宅訪問の必要性などもご理解いただきやすいため、合わせて居宅訪問チェックシートの項目などをチェックさせていただくとスムーズかと思います。

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▼生活相談員や、個別機能訓練加算(Ⅰ)を算定するため機能訓練指導員が外出するときの注意点

なお、生活相談員や、個別機能訓練加算(Ⅰ)を算定するため機能訓練指導員が居宅訪問などご利用者の生活援助業務で事業所外での業務にあたることについては認められていますが、事業所外で必要な業務を行なっていた根拠として、業務日報などで配置基準を満たせる業務で外出していたことを記録しておく方が良いと思います。生活相談員や個別機能訓練加算(Ⅰ)を算定するため機能訓練指導員はサービス提供時間内の配置基準があり、例えば研修や出張などで不在の場合には別の生活相談員を配置するなどの対応をしないと配置基準を満たせないルールになっているためです。

居宅を訪問している時間は、人員基準上、必要な配置時間に含めて良いか。

【平成27年4月1日Q&A(Vol.1)_問48】

(答)個別機能訓練加算(Ⅰ)で配置する常勤・専従の機能訓練指導員は、個別機能訓練計画におけるプログラム に支障がない範囲において、居宅を訪問している時間も配置時間に含めることができる。 生活相談員については、今回の見直しにより、事業所外における利用者の地域生活を支えるための活動が認 められるため、勤務時間として認められる。

送迎に合わせて個別機能訓練加算の要件の居宅訪問を実施する

デイサービスで個別機能訓練加算算定をするにあたり、実際に3ヶ月の1回以上の頻度で居宅訪問を行うとなると送迎の時に生活状況を確認するということが現実的な実施方法の一つになります。例えば、普段は複数名のご利用者を大型車などで送迎しているところを、居宅訪問の時には機能訓練指導員などが単発で1名だけお乗せして

居宅を訪問するのは、利用者宅へ送迎をした後そのまま職員が残り、生活状況を確認することでも認められるか。

【平成27年4月1日Q&A(Vol.1)_問45】 (答)認められる。

その他の時間で居宅訪問を実施する

デイサービスでは業務の時間に限りがあり、送迎なども余裕なく組んでしまっていて、別の時間に居宅訪問を行うという場合もあります。居宅訪問については、必ずしも同一人物が行わなければならないというものではなく、個別機能訓練計画を多職種共同で作成するメンバーならば良いことになっています。

個別機能訓練計画の作成及び居宅での生活状況の確認について、「その他の職種の者」は、機能訓練指導員、看護職員、介護職員又は生活相談員以外に、どのような職種を想定しているのか。また、個別機能訓練計画作成者と 居宅の訪問者は同一人物でなくてもよいか。さらに、居宅を訪問する者が毎回変わってしまってもよいのか。

【平成27年4月1日Q&A(Vol.1)_問46】

(答)個別機能訓練計画については、多職種共同で作成する必要がある。 このため、個別機能訓練計画作成に関わる職員であれば、職種にかかわらず計画作成や居宅訪問を行うことができるため、機能訓練指導員以外がこれらを行っても差し支えない。 なお、3月に1回以上、居宅を訪問し、生活状況を確認する者は、毎回必ずしも同一人物で行う必要はない。

 

ステップ3 デイサービスの職員が居宅訪問を行うときの進め方

個別機能訓練加算の算定にあたり、居宅を訪問する場合には、居宅訪問チェックシートなどに沿ってご利用者の生活状況を把握していきます。目的はご利用者の生活を把握することで効果的な機能訓練に活かすことであり、機能訓練の進捗などもこの際に確認することなども含めると3ヶ月ごとに毎回まっさらな状態から居宅訪問チェックシートで全項目やり直すというわけではないと解釈できます。

個別機能訓練加算の要件としての居宅訪問を行う前の準備

ご利用者・ご家族への訪問の確認

居宅訪問を行うときには、事前にご利用者とご家族にご自宅内を見させていただき、生活状況について伺いたい旨を事前にアポを取っておくようにしましょう

たとえば、帰りの送迎のときに個別機能訓練加算の要件としての居宅訪問をさせていただく時には、遅くともその日の朝の送迎の時などに「訪問してお家での生活についてお伺いしたいので少しお時間いただけませんか」と確認を取っておきましょう。

居宅訪問するスタッフの準備

居宅訪問を行う時には、事前にそのご利用者の生活状況について把握していることは予習してから向かいましょう。明らかに自立している点については聞き取りで済ませたり、現時点で生活課題として機能訓練に取り組んでいる点についてはよく確認するなどメリハリをつけることで機能訓練を効果的にするための情報をしっかりと収集しましょう

 

ステップ4 居宅訪問チェックシートへの記録

居宅訪問では、居宅訪問チェックシートなどを参考にご利用者の生活状況を把握していきます。このチェックシートは厚生労働省が様式として提示していますが、絶対にこのシートを埋めていないといけないというものではありません。

ご利用者の生活状況について実態を把握するとなると、時間をかければいくらでも時間がかかります。そのため、優先順位をつけて確認すべきところを明確にして望むようにしましょう。特に確認すべきところは、ケアプランで課題として上がっている点や、ケアマネージャーから個別機能訓練について特に必要性を伝えられている点です

また、居宅訪問は3ヶ月に1回以上という頻度であり、毎回居宅訪問チェックシートの内容を全て確認できれば理想ではありますが現実的には難しいですので、2回目の居宅訪問以降は機能訓練の目標に挙げて実際に取り組んでいる点や機能訓練の効果、情報収集した中で心配に思う点などを中心に確認しましょう

居宅訪問チェックシートのIADLの項目

居宅訪問チェックシートのIADLの項目は、食事、排泄、入浴、更衣、整容、移乗となっています。

居宅訪問チェックシートのIADLの項目

居宅訪問チェックシートのIADLの項目は、屋内移動、屋外移動、階段昇降、調理、洗濯、掃除となっています。

居宅訪問チェックシートの起居動作の項目

居宅訪問チェックシートの起居動作の項目は、起き上がり、座位、立ち上がり、立位となっています。

 

【関連記事】

居宅訪問チェックシートの実施頻度やを書き方 個別機能訓練加算の基礎知識

 

ステップ5 居宅訪問の情報を個別機能訓練計画作成に関わる職員で意見交換し記録

個別機能訓練加算の算定の要件の居宅訪問は、個別的で効果的な個別機能訓練計画を作るための情報収集です。そのため、居宅訪問で得た情報は、機能訓練指導員をはじめ個別機能訓練計画書を作るときの他職種で情報共有しましょう。

ひとりひとりの個別機能訓練計画について話し合う時間を設けて、情報を持ち寄って計画しましょう。

例えば、夕方などにその日の振り返りや夕礼を行なっているデイサービスなどでは、居宅訪問の概要の報告を行い、他職種から意見交換を行うなどの仕組みができると良いと思います。ここで話した内容を記録にとっておくことで他職種共同で機能訓練計画を策定した根拠とできます

機能訓練指導員などに業務が偏る傾向がありますが、個別機能訓練計画については、他職種共同が算定要件になっているため居宅訪問と合わせて取り組んでいきましょう。

 

まとめ

個別機能訓練加算の算定の要件の居宅訪問は大変な業務の一つではありますが、実際に機能訓練の成果や、機能訓練の感想を確認できるよい機会でもあります。

デイサービスは居宅サービスですが、送迎は原則玄関までであり、居宅訪問をしないとご利用者の生活状況の実態は見えてこないものです。

よりよい機能訓練のために、居宅訪問の方法を考えるきっかけになれば幸いです。

 

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著者プロフィール

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Rehab for JAPAN代表取締役社長。法政大学大学院(CSR専攻)卒業し、政策学修士を取得。作業療法士として、在宅介護(通所介護・訪問看護)や医療機関(救急)など現場経験をした後、株式会社Rehab for JAPANを創業した。主な書籍として『幸せな職場の作り方』ラグーナ出版、2014(共著)などがある。

~筆者の想い~
介護報酬マイナス改定や職員不足など介護経営は厳しい時代です。介護事業所を強くし、安定した介護経営をしていくためには業務効率化のためのIT導入や集客アップのための営業戦略、他社サービスとの差別化などが重要です。介護経営者様・管理者様向けに「介護経営のノウハウ」や「介護マネジメント」についてわかりやすく解説します。

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