個別機能訓練加算での運動プログラムの設定方法

介護保険法

個別機能訓練加算

更新日:2022/11/14

個別機能訓練加算Ⅰとは、デイサービスにおいて所定の要件を満たし、ご高齢者が主体的に選択できるよう複数の機能訓練プログラムを提供することで算定できる加算です。今回は、これから初めて個別機能訓練加算Ⅰを算定しようと考えているデイサービスの方向けに個別機能訓練加算Ⅰの算定要件から機能訓練プログラムまで事例通じてご紹介します。

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本記事は2018年度介護報酬改定に基づいて作成されています。

個別機能訓練加算とは

個別機能訓練加算とは、ご利用者様の「身体機能の維持・向上」を目的として機能訓練を実施した場合にデイサービスで算定できる加算です。

個別機能訓練加算では、常勤専従の機能訓練指導員を配置し、利用者の自立の支援と日常生活の充実に資するように複数メニューから選択できるプログラムの実施を行います。そのプログラムの実施により、各利用者の「座る・立つ・歩く等ができるようになる」といった身体機能の向上を目指します。

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個別機能訓練加算の運動プログラムの内容について

個別機能訓練加算の機能訓練メニューは、主に「身体機能に直接的に働きかけるプログラム」や「疾患・疾病の維持と予防を行うプログラム」があります。
 

体機能に直接的に働きかけるプログラム

  • 筋力トレーニング
  • ストレッチ(関節可動域)
  • 協調性訓練
  • バランス訓練

など

▼疾患・疾病の維持と予防を行うプログラム

  • 咀嚼・嚥下訓練
  • 呼吸訓練
  • パーキンソン体操
  • 関節症予防

など

個別機能訓練計画書の作成について


個別機能訓練加算を算定する場合に必要になる「個別機能訓練計画書」はどのように作成すればよいのでしょうか。

個別機能訓練計画書の作成で必須とされている項目は「長期目標」「短期目標」「プログラム内容・実施時間・担当者名・留意点・頻度」です。こちらを記載していくためには、ケアマネからいただくケアプランや本人・ご家族の希望・要望を聴取しておきましょう。

個別機能訓練加算を算定した事例紹介

ここで、個別機能訓練加算の計画書の記載例としてC子さんの事例をご紹介します。

【事例】
C子さん(86歳)女性。19XX年に左の膝に痛みが出現。20XX年に人工膝関節置換術の手術を受けリハビリにも熱心に取り組んだおかげで杖を使って歩けるようになり、自宅に退院することができました。しかしながら、自宅では運動をする習慣がなく、生活もベッドかリビングが主になっていました。そこで、娘さんがケアマネに相談。デイサービスに通うことになりました。

【ご家族・本人の希望】
ご家族:外に出る機会を作って欲しい。少しでも運動習慣をつけて欲しい。
ご本人:体重が増えてきて膝の違和感が増えてきた。これ以上太りたくない。


このC子さんに、どのような個別機能訓練計画書を書けば良いのでしょうか?
 

計画書の書き方

【長期目標】
運動習慣をつけて膝関節の痛みを予防する


【短期目標】

  1. 屋外に行けるようになる
  2. 集団体操に参加できるようになる

【プログラム内容】

  1. 約50mの屋外歩行訓練を行う
  2. 関節痛予防のために椅子に座ってできるストレッチ体操を行う


このように運動習慣がないC子さんには、個別機能訓練加算として、簡単に取り組める「ストレッチ」や「屋外の散歩」から始めることをご提案しました。


▼個別機能訓練計画書は、厚生労働省より推奨されたフォーマットがあります。個別機能訓練計画書はこちらからダウンロード下さい。

参照:厚生労働省老健局振興課長「通所介護及び短期入所生活介護における個別機能訓練加算に関する 事務処理手順例及び様式例の提示について」

個別機能訓練加算としてストレッチが重要性な理由とは

C子さんの個別機能訓練加算の機能訓練プログラムとして提案した「ストレッチ」には、どのような効果があるのでしょうか?

ご高齢者に限ったことではないですが、運動習慣のない方においては、急に運動を提案しても抵抗があります。まずは、簡単に取り組めるストレッチから「体を動かす習慣」をつけていく必要があります!またストレッチは、「廃用症候群(はいよう)を予防する効果」も期待できます。

C子さんの場合は、手術前と比べて自宅での運動量が少なくなったり、運動習慣も乏しくなっています。筋肉を動かす機会が減ることで血行の循環が悪くなったり、筋肉自体が凝り固まってしまうこともあります。そのため個別機能訓練加算のプログラムとして「ストレッチ」を提案することで、筋肉の萎縮を予防する効果が期待できます。さらに毎日続けることで、生活習慣病の予防やメタボ、ロコモ、フレイル、サルコペニアの予防にも効果が期待できるのです!

個別機能訓練加算の運動メニュー

(1)胸・肩のストレッチ

機能訓練メニュー⑴

機能訓練メニュー⑵

ここからは、具体的なC子さんの個別機能訓練加算Ⅰの訓練メニューをご紹介していきます。

C子さんの場合、杖を使用していることもあり椅子に座ってできる安全な体操をご提案します。こちらの2種類の機能訓練メニューは、「肩や胸のストレッチ」をすることで上半身を動かしやすくしていきます。さらに、胸や肩の柔軟性を高めることで着替えや体を洗う、頭を洗うなどの動きをスムーズにすることができます。

【運動のポイント】

  1. まずはゆっくりと行いましょう。
  2. 可能な範囲で腕を降ろし、胸を広げます。

(2)背中のストレッチ

機能訓練メニュー⑶

機能訓練メニュー⑷



次にの機能訓練メニューとして「肩や肩甲骨を中心としたストレッチ」をします。こちらの運動も背中や肩甲骨の柔軟性を高めることで姿勢を改善することができます。声を出しながら行うと、発声トレーニングの効果も期待できます。

【運動のポイント】

  1. 痛みに応じてゆっくり行います
  2. 可能な方は範囲を広げます
  3. 肩をすくめたり、背中を丸めたり等の代償動作が入らないように注意します

(3)腕のエクササイズ

機能訓練メニュー⑸

機能訓練メニュー⑹


続いての機能訓練メニューとして「腕のエクササイズ」をしていきます。こちらの運動では、手首を内側・外側にリズムよく動かします。腕の動きは食事や整容、着替えなどの様々な日常生活動作に関係します。こちらも合わせて動かしていきましょう。

【運動のポイント】

  1. 手首の動きを徐々にスピードアップすると難易度が上がります
  2. 足踏み運動を合わせて行うことで脳機能の賦活にも効果が期待できます

(4)肩のストレッチ

機能訓練メニュー⑺

機能訓練メニュー⑻

続いての機能訓練メニューは、「肩甲骨や肩の柔軟性を高めるストレッチ」です。肩の局所的なストレッチというよりも肩の全体をストレッチしていくことができるので運動初心者に導入しやすいエクササイズです。腕ではなく肩を回すように意識しましょう。

【運動のポイント】

  1. 大きな円を描くように動かしていきましょう。

(5)腰のストレッチ

機能訓練メニュー⑼

機能訓練メニュー⑽


こちらの機能訓練メニューは、体幹の要となる「腰や腹筋群のストレッチ」です。体幹筋の強化はバランス能力はもちろん、姿勢を保持する力や歩行の安定性、心肺機能の維持・向上に重要な要素となります。しっかりと伸ばしていきましょう。

【運動の注意点】

  1. 体幹の捻りは腰に負担がかかるのでご利用者様の既往歴を確認しましょう。

(6)太もものストレッチ

機能訓練メニュー(11)

機能訓練メニュー(12)


最後に、ハムストリングスといわれる「膝裏の柔軟性と内ももの柔軟性を高めるストレッチ」です。椅子に座った姿勢が長くなるとハムストリングスの柔軟性が低下しやすくなります。また、変形性膝関節症の手術をされたC子さんの場合は、このハムストリングスが硬くなってしまいます。腰痛予防のためにも念入りにストレッチしていきましょう。

【運動のポイント】
1. できる限り膝を伸ばしましょう。

ICTの利活用でサービスの質と業務効率を同時に高める

2024年の医療介護同時改定では、団塊世代の高齢化を見据え、自立支援を中心とした科学的介護の実現、そしてアウトカムベースの報酬改定に向けて変化しようとしています。

このような時流だからこそ、より一層利用者さまの自立支援に向けた取り組みが重要になります。しかし、個別機能訓練加算をはじめとした自立支援系の加算やLIFE関連加算の算定は、売上アップも見込めるとはいえ、リハビリ専門職の不在や現場負担の問題で取り組みが難しいと考える事業所も多いのではないでしょうか?

その解決策の1つが「介護現場におけるICTの利用」です。業務効率化の意味合いが強い昨今ですが、厚生労働省の定義では「業務効率化」「サービスの質向上」「利用者の満足度向上」の達成が目的であるとされています。

業務効率化だけでなく、利用者一人ひとりの生活機能の課題を解決する『デイサービス向け「介護リハビリ支援ソフト」』を検討してみませんか?

この記事の著者

作業療法士  大屋 祐貴

作業療法士として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーション技術を高めるために研修会の立ち上げ等を行う。

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