5m歩行テストの評価方法とカットオフ値について解説!

5m歩行テストとは、対象者の移動・歩行能力を評価する簡易なテストで、日本理学療法士協会ガイドラインでも信頼性、妥当性のあるもの(推奨グレード分類A)として推奨されています。今回は、5m歩行テストの評価方法やカットオフ値についてまとめて解説します。ご高齢者の身体能力評価を初めて行う方はぜひご覧ください。

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5m歩行テストとは|どんなテスト?

5m歩行テストとは

5m歩行テストとは、5mの距離を何秒で歩けるか歩行速度を測定するテストで、通常歩行時間(いつも歩いているように歩く)と最大歩行時間(できるだけ速く歩く)を測定します。

歩行テストである10m歩行テストと同様に、ご高齢者の移動能力・歩行能力を測定する代表的な評価方法で、日本理学療法士協会ガイドラインでも信頼性、妥当性のある(推奨グレード分類A)評価として推奨されています。

5m歩行テストで分かること

この歩行速度では、横断歩道などの移動の能力があるかを判断することができます。横断歩道を渡り終える早さは「1m/秒以上」とされています。

つまり、5m歩行テストであれば、「5秒」より遅いものは横断歩行が渡りきれないと判断できます。

ちなみに、5m歩行テストは、大規模調査として活用されているデータが多いですが、病院などでは10m歩行テストを活用されていることが多いようです。

【参考資料】

身体的虚弱(高齢者)理学療法診療ガイドライン

平成29年9月18日アクセス

5m歩行テストのカットオフ値|何がわかるの?

5m歩行テストでは、移動や歩行能力を測定するだけでなく、その速度から「転倒リスク」や「横断歩道が渡れるか」などを判断することができます。これらを判断するための指標となる「5m歩行のカットオフ値」と「歩行速度のカットオフ値」をご紹介します。

5m歩行のカットオフ値

⑴横断歩道を渡りきれない:5秒以上(1.0m/秒)
(村永 信吾 高齢者の運動機能と理学療法 PTジャーナル2009.10)

⑵転倒リスクが高くなる: 6.2秒以上(0.806m/秒)
(大田尾 浩 要介護高齢者における一年間の転倒予測因子 第50回日本理学療法学術大会)

歩行速度のカットオフ値

⑴転倒リスクが1.51倍高まる:1年間で歩行速度が1.0秒(0.25m/秒)低下
(大田尾 浩 要介護高齢者における一年間の転倒予測因子 第50回日本理学療法学術大会)

⑵転倒リスクが高くなる:1年間で歩行速度が0.75秒(0.15m/秒)低下
(Lien Quach, M.P.H, M.S(2011)The Non-linear Relationship between Gait Speed and Falls: The MOBILIZE Boston Study)

【関連記事】

大田尾 浩「要介護高齢者における一年間の転倒予測因子」第50回日本理学療法学術大会

平成29年9月17日アクセス

5m歩行テストの測定方法|どうやって検査するの?

では、実際に5m歩行テストの測定方法をご紹介します。

事前準備

〇直線で11mをとれるスペースを準備
(5mの測定用の歩行路と前後に3mの補助路)
○5mの測定用の歩行路の開始位置と終了位置に2箇所にテープを貼る

測定方法

(1) 開始位置の3m前より歩き始め、開始地点のテープを足部が越えた時点から計測する
(2) 終了位置を両足が越えるまでの所要時間を測定する
※小数点第 2 位まで
(3) 測定は2回実施する
(4) 通常歩行時間の測定は「いつも歩いているように」と指示する
(5) 最大歩行時間の測定は「走らないようにできるだけ速く歩く」と指示する

5m歩行テストの注意点|気をつけることは?

5m歩行テストの測定方法として注意しておかなければならないことを2つご紹介します。

【注意点】

(1) 最大歩行時間の測定では、走らないように声かけをする。

(2) 杖や歩行器など歩行補助具を使用している場合は、歩行補助具ありとできれば使用しない場合の2種を測定する。

5m歩行テストで準備するもの|何を準備すればいいの?

5m歩行テストを測定する場合は、以下の物品を事前に準備しておくとすぐに検査を始めることができます。

【5m歩行テストで準備するもの】

(1) ストップウォッチ

(2) ラインテープ(歩行開始地点から3mと歩行開始地点から8mにラインテープを貼る)

(3) 紙と鉛筆(検査者の記載用)
※直線距離で11mをとれるスペースを準備する。部屋で無理な場合は廊下を利用する。

5m歩行テストからわかること|他に何がわかるの?

5m歩行テストは、5mの距離を何秒で歩けるか「歩行時間」や「歩行速度」を測定することで転倒リスクを予測するだけではありません。


NILS-LSA(国立長寿医療研究センター)の長期縦断疫学研究によると、サルコペニアの簡易基準として以下の方法を規定しています。


【サルコペニアの簡易基準】


(1) 普通歩行速度1m/s未満、もしくは握力の測定結果が男性25kg未満、女性20kg未満である場合

(2) BMI18.5kg/m2未満もしくは下腿周囲長30cm未満である場合


つまり、5m歩行テストで通常歩行速度を測定することで全身の筋力の低下が起こっている虚弱高齢者「サルコペニア」を判断することができるのです。

骨格
筋量は、40歳前後から徐々に減少していきますが、特に高齢者においては、年間に5%以上も減少するといわれています。さらに、日本の75歳以上の「約22%」はサルコペニアとされています。私たちスタッフが定期的に歩行速度を測定してサルコペニアの早期発見につとめていきましょう!

 

▼サルコペニアについてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事がオススメです。

【関連記事】

サルコペニアと栄養の評価の基礎知識

ご高齢者の運動指導者に必ず読んでいただきたい内容です。

まとめ

5m歩行テストの測定方法やカットオフ値はご理解いただけたでしょうか。

5m歩行テスト10m歩行テストは、その歩行速度から「転倒リスク」や「横断歩道が渡れるか」などを判断したり、虚弱高齢者であるサルコペニアを判断することができます。歩行速度は、要介護状態を引き起こす要因としても重要な項目です。そのため、医療現場でのリハビリテーション評価としてだけでなく、介護現場において高齢者の評価として定期的に測定することも大切になります。

高齢者の機能評価の1つとして医療・介護現場で働くスタッフの皆さんの参考になれば幸いです。

【参考資料】

牧迫 飛雄馬「後期高齢者における新規要介護認定の発生と5m歩行時間との関連 : 39ヵ月間の縦断研究」

平成29年10月13日アクセス

【最後に筆者より】
リハプランでは、今回紹介した5m歩行テスト以外にも医療・介護現場に役立つ身体機能評価の仕方についてご紹介しています。ぜひその他の評価もご覧ください。

 

デイサービス運営において必要な「評価・測定」について、一挙にまとめていますので、必要に応じて活用していただければと思います。

→→ 【完全保存版】デイサービスで活用できる評価・測定に関する記事まとめ|随時更新

 

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著者プロフィール

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リハビリ専門職(作業療法士)として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーションを技術を高めるため研修会を立ち上げ、これまでに100名規模の研修会も開催された。現在は、「職種を越えたリハビリ介護を実現する」をテーマに、リハプランの専属ブロガーとして活躍中。作業療法士の専門性を活かして、介護事業所で算定できる加算・減算の中でも「個別機能訓練加算」について算定要件や計画書の書き方、機能訓練プログラムについて執筆している。

〜筆者の想い〜
通所介護事業所(デイサービス)の約8割は、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が不在のため、看護師や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練を実施しているのが現状です。機能訓練指導員が、高齢者にあった最適な運動を提供するために必要なノウハウをわかりやすく解説します。

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