サルコペニアの評価と栄養の基礎知識|ご高齢者の運動指導者へ

サルコペニアとは、加齢や疾患により全身の筋肉量が減少することを指します。人の骨格筋量は、40歳前後から徐々に減少していきますが、特に高齢者においては、年間に5%以上も減少するとも言われています。この現象を「サルコペニア」と呼びます。実は日本の75歳以上の方の約22%は、サルコペニアといわれています。今回は、高齢者の運動を指導する上で大切な「サルコペニアと栄養」の評価方法など基本的な知識をご紹介します。

サルコペニアと栄養の評価方法とは

サルコペニアとは

サルコペニアとは、加齢や疾患により全身の筋肉量が減少することを指します。また、歩行速度が遅くなる、杖や手すりが必要になるなど身体機能の低下が起こることを指します。

サルコペニアの評価基準とは

NILS-LSA(国立長寿医療研究センター)老化に関する長期縦断疫学研究では、このサルコペニアの簡易基準として、以下の方法を規定しています。

 

(1)普通歩行速度1 m/s未満、もしくは握力が男性25 kg未満、女性20kg未満である場合
(2)BMI 18.5 未満もしくは下腿周囲長30 cm未満(脆弱高齢者と判断脆弱高齢者のうち)である場合

 

※この評価方法は10m歩行速度や握力、下腿周径の測定が必要なため、リハビリスタッフが不在の場合などは、評価できないことが多くあります。

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簡単にできるサルコペニアと栄養の評価とは

実は、サルコペニアの評価方法には、誰でも容易に判定できる簡便判定法(案)も提案されています。こちらの評価方法は、簡易でありながらもサルコペニアの可能性を「81,9%」という高い値で評価できます。

【評価方法】

(1)BMI < 21  
※BMI=体重(kg)/身長(m)×身長(m)
(2)Age ≧ 75
(3)以前と比べて手足が細くなってきたと感じる

【結果】

2つ以上:項目該当でサルコペニアに該当する可能性 81.9%
1つ  :項目該当でも予備具として扱うべき
0つ  :項目該当ではサルコペニアの該当者なし

参考文献:山田 実 京都大学大学院 医学研究科 人間健康科学系専攻 サルコペニアと介護予防

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BMIとのさまざまな関係性について

日本肥満学会による肥満を判定するための基準では、BMIは普通体重(非肥満型)は「 18.5 ≦ BMI < 25」とされています。 

※BMI = 体重(kg)/身長(m)×身長(m)

近年の研究結果では、「22 ≦ BMI < 24」では転倒やADL制限、要介護認定率、死亡率、医療費の全てに低い数値を示していることが分かってきています。そのため、BMIを指標として目標体重を保つことは非常に重要です。

一般社団法人 日本肥満症予防協会「肥満症診断のフローチャート」

2016年9月20日アクセス

サルコペニアとビタミンDの関係性には

Fulster Sらによると、ビタミンD濃度(血中 25-ヒドロキシ ビタミンD濃度)の減少は、身体機能、筋力低下、筋量低下との関連性が有意にあるとされています。

※686 人の高齢者(Age:62±7)の調査

また、サルコペニア高齢者はそうでない高齢者と比べて、「1.81倍」転倒しやすいと言われています。

 

つまり、サルコペニアのご高齢者には「ビタミンD」の摂取が重要となります。

ちなみに、ビタミンDは食品100g当たり、きくらげ(440μg)鮭(25.6μg)や秋刀魚(11.4μg)に多く含まれています。

サルコペニアとタンパク質の関係性には

タンパク質は、筋肉増強にもっとも必要となる栄養素です。そのためサルコペニアの改善にはタンパク質の摂取が重要です。

タンパク質は、しらす(40.5g)やささみ(23.0g)などに多く含まれています。

ご高齢者の場合、食事摂取量が減ってしまうため多くのたんぱく質を摂取出来ないなどのお声もよく耳にします。そのため、現在では「栄養補助食品」などで必要栄養素を補うことも出来ますので参考にされてみてください。

運動と栄養の関係性には

ご高齢者の運動を指導する場合は、闇雲にトレーニングするのではなく、まずは栄養状態を把握しておくことが重要となります。

サルコペニアの方の指導をする場合は、「ビタミンD」「タンパク質」の摂取を促しながらトレーニング進めていきます。この運動と栄養を進めていくことで、運動のみの場合と比較して、筋量増加や歩行速度改善を認める報告がされています。

推奨する筋力トレーニングは、10RM(1RMの80%以上)×10回×3セットを2〜3回/週を3ヶ月以上継続するとよいとされています。但し、要介護高齢者の場合は、緩やかで6ヶ月以降に徐々に増加する傾向が示唆されているので長い目を見て取り組むことも大切です。

厚生労働省健康局長(2013)「健康づくりのための身体活動基準」

平成28年12月5日アクセス

まとめ

今回は「サルコペニアの評価と栄養の基礎知識」についてご紹介しました。運動を指導する際は、闇雲にトレーニングするのではなく、栄養状態を把握しておくことが最も重要になります。高齢者のサルコペニアと栄養について理解した上で、少しでも根拠のある運動を選択し、運動指導をして頂ければ幸いと思います。

著者プロフィール

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大屋 祐貴

リハビリ専門職(作業療法士)として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーションを技術を高めるため研修会を立ち上げ、これまでに100名規模の研修会も開催された。現在は、「職種を越えたリハビリ介護を実現する」をテーマに、リハプランの専属ブロガーとして活躍中。作業療法士の専門性を活かして、介護事業所で算定できる加算・減算の中でも「個別機能訓練加算」について算定要件や計画書の書き方、機能訓練プログラムについて執筆している。

〜筆者の想い〜
通所介護事業所(デイサービス)の約8割は、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が不在のため、看護師や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練を実施しているのが現状です。機能訓練指導員が、高齢者にあった最適な運動を提供するために必要なノウハウをわかりやすく解説します。

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