姿勢別で考える!個別機能訓練(デイサービスで使える運動)に取り組もう【座位編】

機能訓練

全身

更新日:2022/02/25

様々な運動方法がある中で、デイサービスや通所リハビリのご利用者様に個別に適切な運動を選択するのは大変な作業です。リハビリ専門職ではない機能訓練指導員の方もこれを見れば使える!というものをご紹介します。そこで今回は座って出来る個別機能訓練の運動方法をご紹介させていただきます。 

座ってできる個別機能訓練を行おう|胸郭のエクササイズ

デイサービスで使える運動|胸郭エクササイズ
デイサービスで使える運動|胸郭エクササイズ

 この運動では肩関節や胸郭の関節可動域の拡大を図ることで、更衣動作や洗体動作、洗髪動作などのADLを向上させることを目的としています。

【運動のポイント】

  1. まずはゆっくりと行いましょう。
  2. 可能な範囲で腕を降ろし、胸を広げます。

ただし、肩関節周囲炎(五十肩・四十肩)やインピンジメント症候群などの整形疾患の有無に十分注意しましょう。 

座ってできる個別機能訓練を行おう|肩のエクササイズ

座ってできる個別機能訓練を行おう|肩のエクササイズ
座ってできる個別機能訓練を行おう|肩のエクササイズ

 肩や肩甲骨を中心としたエクササイズをご紹介します。

ポイントとしては以下の通りです。

【運動のポイント】

  1. 痛みに応じてゆっくり行います。
  2. 可能な方は範囲を広げます。
  3. 肩をすくめたり、背中を丸めたり等の代償動作が入らないように注意します。

こちらでも肩関節や上肢帯の整形疾患などの既往歴がある場合、肩関節周囲炎やインピンジメント症候群などにも十分注意し、利用者の運動能力に合わせて行いましょう。 

座ってできる個別機能訓練を行おう|腕のエクササイズ

座ってできる個別機能訓練を行おう|腕のエクササイズ
座ってできる個別機能訓練を行おう|腕のエクササイズ

前腕のエクササイズを行います。こちらの運動では前腕の回内外運動にスピードを加えることで、運動機能のスムーズな切り替えを行い、協調的な運動効果が期待できます。

【運動のポイント】

回内外運動に関しては、徐々にスピードを上げたり、二重課題として足踏み運動などの別の運動を同時に行うと、脳機能の賦活にも効果が期待できます。

座ってできる個別機能訓練を行おう|腹筋のエクササイズ

座ってできる個別機能訓練を行おう|腹筋のエクササイズ
座ってできる個別機能訓練を行おう|腹筋のエクササイズ

 この運動では体幹の要となる、腹筋群や回旋筋群のエクササイズをご紹介します。

体幹筋の強化はバランス能力はもちろん、姿勢保持、歩行の安定性、心肺機能の維持・向上に重要な要素となります。

体幹の側屈・回旋のエクササイズは腰に負担がかかりますのでご利用者様の既往歴を確認し、導入しましょう。 

座ってできる個別機能訓練を行おう|下肢のエクササイズ

座ってできる個別機能訓練を行おう|下肢のエクササイズ
座ってできる個別機能訓練を行おう|下肢のエクササイズ

 こちらの運動では下肢筋力と下肢の可動域の向上に加え,腹筋群も活動します。

可動域制限や筋力低下により、背中を丸めたり反ったり、反動を使ったりと代償運動をされる方をよく目にします。

代償動作は効果を半減させ、別の部位に疼痛を誘発する可能性があるので、十分注意して行いましょう。 

まとめ

今回はデイサービスに勤務する機能訓練指導員が使える「座って出来る個別機能訓練」のエクササイズをご紹介しました。

ご利用者様に個別に適切な運動を選択するためには、多くの運動の知識がないと難しいと思います。また、運動プログラムを作るということもリハビリの専門家でなければ難しい面もあるかと思います。

そんな時に、今回のこの記事が、少しでも個別機能訓練の選択の手助けとなれば幸いです。この記事以外にもデイサービスで使える運動や体操方法の情報を発信しているので、是非参考にしてもらえたら嬉しい(以下の関連記事)です。

最後までお読みいただきありがとうございました。
 デイサービス・機能訓練指導員が活用できる「リハビリ体操・運動」関連の記事を一挙にまとめました。状況に合わせてうまく活用していただけたら嬉しく思います。記事が増えていけば随時更新していきます。

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ICTの利活用でサービスの質と業務効率を同時に高める

2024年の医療介護同時改定では、団塊世代の高齢化を見据え、自立支援を中心とした科学的介護の実現、そしてアウトカムベースの報酬改定に向けて変化しようとしています。

このような時流だからこそ、より一層利用者さまの自立支援に向けた取り組みが重要になります。しかし、個別機能訓練加算をはじめとした自立支援系の加算やLIFE関連加算の算定は、売上アップも見込めるとはいえ、リハビリ専門職の不在や現場負担の問題で取り組みが難しいと考える事業所も多いのではないでしょうか?

その解決策の1つが「介護現場におけるICTの利用」です。業務効率化の意味合いが強い昨今ですが、厚生労働省の定義では「業務効率化」「サービスの質向上」「利用者の満足度向上」の達成が目的であるとされています。

業務効率化だけでなく、利用者一人ひとりの生活機能の課題を解決する『デイサービス向け「介護リハビリ支援ソフト」』を検討してみませんか?

この記事の著者

作業療法士  大屋 祐貴

作業療法士として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーション技術を高めるために研修会の立ち上げ等を行う。

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