介護職員処遇改善加算とは?計算方法から算定要件をまとめて解説!

介護職員処遇改善加算の算定要件や算定額の計算を知っていますか?介護職員処遇改善加算とは、介護職員の処遇の改善を図るために改定された加算です。今回は、平成29年度から新設された加算Ⅰも含めて、処遇改善加算の算定要件や算定額の計算方法について、まとめてわかりやすく説明します。

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介護職員処遇改善加算とは

介護職員処遇改善加算とは

介護職員処遇改善加算とは、介護現場で働く介護職員の「処遇の改善」を図るために改定された加算です。

この加算は、

もともと平成23年度まで実施されていた「介護職員処遇改善交付金」を廃止し、介護サービスに従事する介護職員の賃金の改善にあてることを目的に介護職員処遇改善加算が改定されました。

厚生労働省老健局 振興課・老人保健課「平成29年度介護報酬改定による介護職員処遇改善加算の拡充について」

介護職員処遇改善加算を取得するためには

介護職員処遇改善加算を取得する事業所は、介護職員研修の確保や雇用管理の改善などとともに、加算の算定額に相当する賃金改善を実施する必要があります。



また、加算を取得する年度の前年度の2月末日までに、介護サービス事業所等ごとに、当該介護サービス事業所等の所在する「都道府県知事等」に届出を提出する必要があります。



ただし、介護職員処遇改善計画書を一括して作成する場合は、一括して都道府県知事等に届け出ることができます。また、年度の途中で加算を取得しようとする介護サービス事業者は、加算を取得しようとする月の前々月の末日までに、都道府県知事等に提出するものとされています。


介護職員処遇改善加算の区分について(平成29年度新設)

介護職員処遇改善加算の区分について(平成29年度新設)

厚生労働省によると平成29年4月1日から介護職員処遇改善加算Ⅰの拡充を行い、1万円程度増額されるようになりました。



新設した「加算Ⅰ」では、従来の加算と比べ「平均1万円相当/月」の増額となり、介護職員1人当たり月額3万7千円相当の加算が受け取れます。

新しくなった処遇改善加算の区分は以下の通りです。

 

介護職員処遇改善加算の区分

◎
加算Ⅰ:介護職員1人当たり月額37,000円相当の加算


◎加算Ⅱ:介護職員1人当たり月額27,000円相当の加算


◎加算Ⅲ:介護職員1人当たり月額15,000円相当の加算


◎加算Ⅳ:介護職員1人当たり月額13,500円相当の加算


◎加算Ⅴ:介護職員1人当たり月額12,000円相当の加算


※但し、加算を取得した事業所においては、加算相当額の賃金改善を行うことが必要となります。

【画像出典】

厚生労働省からのお知らせ

「介護職員処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について他(介護保険最新情報vol.582)」

介護職員処遇改善加算の算定要件について

介護職員処遇改善加算の算定要件について

介護職員処遇改善加算を取得するためには「キャリアパス要件」と「職場環境等要件」の算定要件を満たす必要があります。

キャリアパス要件とは

■キャリアパス要件Ⅰ

(1)介護職員の任用の際における職位(役職)、職責または職務内容に応じた任用等の要件を定めること。 

(2)(1)に掲げる職位(役職)、職責または職務内容に応じた任用等の要件を定めていること。   

(3)(1)および(2)の内容について職業規則などのもので書面で明確にし、周知していること。

■キャリアパス要件Ⅱ

(1)次のア.またはイ.の条件を満たした計画を作成していること。 
 ア.資質向上のための計画に沿って、研修機会の提供または技術指導等を実施(OJT、OFF-JT)するとともに介護職員の能力評価を行うこと。
 イ.資格取得のための支援(金銭、休暇の取得など)を行うこと。

(2)上記の内容をすべての介護職員に周知していること。

■キャリアパス要件Ⅲ

(1)次のいずれか昇給の仕組みを導入していること。 
・経験年数や勤続年数に応じて昇給する仕組み
・資格取得(または保有)により昇給する仕組み
・人事評価や試験結果により昇給する仕組み

(2)上記の内容をすべての介護職員に周知していること。

経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること。(新設)

職場環境等要件とは

・賃金改善以外の処遇改善(職場環境の改善など)の取組を実施すること

・介護職員処遇改善加算を取得するにあたっては、賃金改善等の処遇改善の内容等について、雇用する全ての介護職員へ周知することが必要です。

さらに、申請できる加算は、算定要件をどの程度満たしているかによって異なります。区分別の算定要件は以下の通りです。

処遇改善加算Ⅰの算定要件について

キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの全て、及び職場環境等要件を満たしていること。

(1) 処遇改善計画を立案している、または既に処遇改善を行っており、適切に報告していること。

(2) 労働基準法等の違反、労働保険の未納がないこと。

(3)新たな定量的要件(職場環境等要件)を満たしていること。平成27年4月から計画書の届出の日の属する月の前月までに実施した介護職員の処遇改善の内容および当該介護職員の処遇改善に要した費用を全ての職員に周知していること。

(4) キャリアパス要件Ⅰを満たしていること。

(5) キャリアパス要件Ⅱを満たしていること。

(6) キャリアパス要件Ⅲを満たしていること。

処遇改善加算Ⅱの算定要件について

キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ、及び職場環境等要件を満たしていること。

処遇改善加算Ⅲの算定要件について

キャリアパス要件ⅠまたはⅡ、及び職場環境等要件を満たしていること。


処遇改善加算Ⅳの算定要件について

キャリアパス要件ⅠまたはⅡ、または職場環境等要件のいずれかを満たしていること。

処遇改善加算Ⅴの算定要件について

キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ・職場環境等要件のいずれも満たさない。

厚生労働省による要件について


厚生労働省から通達されている要件によると、介護職員処遇改善加算は、平成23年度まで実施されていた介護職員処遇改善交付金(以下「交付金」と いう。)による賃金改善の効果を継続する観点から、平成24年度から当該交付金を円滑に介護報酬に移行し、当該交付金の対象であった介護サービスに従事する介護職員の賃改善に充てることを目的に創設されたものである。



このため、当該交付金の交付を受けていた介護サービス事業者又は介護保険施設(以 下「介護サービス事業者等」という。)は、原則として当該交付金による賃金改善の水準を維持することが求められる。



また、平成27年度の介護報酬改定においては、事業主が介護職員の資質向上や雇用管理の改善をより一層推進し、介護職員が積極的に資質向上やキャリア形成を行うことができる労働環境を整備するとともに、介護職員自身が研修等を積極的に活用することにより、介護職員の社会的・経済的な評価が高まっていく好循環を生み出していくことが重要であることを踏まえ、事業主の取組がより一層促進されるよう加算を拡充したものである。



さらに、平成29年度の介護報酬改定においては、介護人材の職場定着の必要性、介護福祉士に期待される役割の増大、介護サービス事業者等による昇給や評価を含む賃金制度の整備・運用状況などを踏まえ、事業者による、昇給と結びついた形でのキャリアアップの仕組みの構築を促すため、更なる加算の拡充を行うものである。



なお、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、福祉用具貸与並びに介護予防訪問看護、介護予防訪問リハビリテーション、介護予防居宅療養管理指導、介護予防福祉用具貸与並びに居宅介護支援及び介護予防支援は算定対象外とする。

平成29年3月9日  老発0309第5号 厚生労働省老健局長

介護職員処遇改善加算の計算方法について

介護職員処遇改善加算の計算方法について

介護職員処遇改善加算の算定額の計算方法は、「基本サービス費」に「各種加算・減算」を加えた1月当たりの「総単位数」にサービス別加算率を乗じることで割り出すことができます。


処遇改善加算の見込額の計算の流れ


ステップ(1):1ヶ月あたりの総単位数の算出


ステップ(2):介護報酬総単位数の算出


ステップ(3):金額への換算


算定額の計算に必要な基礎知識


これらの計算を行う場合、以下の3つの基本的な知識を知っておく必要があります。



▶︎ 介護給付単位数

介護給付単位数とは、介護サービスごとの介護報酬から各種加算・減算、加算率を無視したサービス基本料の単位数を指します。

 


▶︎ 各種加算・減算

各種加算・減算とは、基本料の他に利用しているサービス費用単位を指します。

 


▶︎ 加算率(加算率)

加算率(介護職員処遇改善加算率)とは、行政に処遇改善加算による追加報酬を交付してもらうために介護サービスごとに設定された率を指します。

1ヶ月あたりの総単位数の算出方法とは

介護職員処遇改善加算の計算方法について

介護職員処遇改善加算の計算では、まず事業所の1ヶ月あたりの「総単位数」を計算します。

【計算式】

(基本サービス費+各種加算減算)× 利用日数=1ヶ月あたりの総単位数

介護報酬総単位数の算出方法とは

介護職員処遇改善加算の計算方法について

次に、介護報酬総単位数を計算します。

(1)で算出した1ヶ月あたりの「総単位数」に介護サービスごとの「加算率」を乗算します。取得した処遇改善加算区分、事業所のサービスに合致した「加算率」を表から照らし合わせ、計算しましょう。

【計算式】

1ヶ月あたりの総単位数 × 介護サービス別加算率=処遇改善加算の総単位数

1ヶ月あたりの総単位数+処遇改善加算の総単位数=介護報酬総単位数

金額への換算方法とは

介護職員処遇改善加算の計算方法について

続いて、介護職員処遇改善加算の計算として(2)で計算した「介護報酬総単位数」を金額へ換算します。この換算は、地域区分によって差があるため、事業所が位置する地域区分の率を採用する必要があります。ここでは小数点以下の数字は切り捨てで計算するようにしましょう。

【計算式】

処遇改善加算の総単位数 × 地域区分=処遇改善加算総額

介護報酬総単位数 × 地域区分=介護報酬単位数


この3つのステップによって「介護職員処遇改善加算の総額」を計算することができます。

介護職員処遇改善加算における「介護給付単位数」の基礎知識

介護職員処遇改善加算 介護給付単位数

これまでご紹介してきたように介護職員処遇改善加算の計算を行う場合は、「介護給付単位数」「加算・減算」「加算率」の3つの単位を知っておく必要があります。


そこでこちらでは、「介護給付単位数」の一例として通所介護の介護給付単位数(7時間以上9時間未満の場合)をご紹介します。


介護給付単位数とは、介護サービスごとの介護報酬から各種加算・減算、加算率を無視したサービス基本料の単位数を指します。平成27年以降の通所介護事業所の「介護給付単位数(基本報酬)」は以下の通りです。

 



【通所介護の基本報酬(平成27年度以降)】

▶︎小規模型通所介護(7時間以上9時間未満の場合)
 

要介護1 815単位/日   ⇒ 735単位/日

 
要介護2 958単位/日   ⇒ 868単位/日

 
要介護3 1,108単位/日 ⇒ 1,006単位/日

 
要介護4 1,257単位/日 ⇒ 1,144単位/日

 
要介護5 1,405単位/日 ⇒ 1,281単位/日



▶︎通常規模型通所介護(7時間以上9時間未満の場合)
 

要介護1 695単位/日   ⇒ 656単位/日

 
要介護2 817単位/日   ⇒ 775単位/日

 
要介護3 944単位/日   ⇒ 898単位/日

 
要介護4 1,071単位/日 ⇒ 1,021単位/日

 
要介護5 1,197単位/日 ⇒ 1,144単位/日



▶︎大規模型通所介護(Ⅰ)(7時間以上9時間未満の場合)
 

要介護1 683単位/日   ⇒ 645単位/日

 
要介護2 803単位/日   ⇒ 762単位/日

 
要介護3 928単位/日   ⇒ 883単位/日

 
要介護4 1,053単位/日 ⇒ 1,004単位/日

 
要介護5 1,177単位/日 ⇒ 1,125単位/日

▶︎大規模型通所介護費(Ⅱ)(7時間以上9時間未満の場合)
 

要介護1 665単位/日   ⇒ 628単位/日

 
要介護2 782単位/日   ⇒ 742単位/日

 
要介護3 904単位/日   ⇒ 859単位/日

 
要介護4 1,025単位/日 ⇒ 977単位/日

 
要介護5 1,146単位/日 ⇒ 1,095単位/日

【画像出典】

厚生労働省「通所介護の報酬・基準について(案)」

介護職員処遇改善加算における「加算率」の基礎知識

介護職員諸軍加算 加算率

続いて、介護職員処遇改善加算に係る「加算率」について詳しくご紹介します。

加算率(介護職員処遇改善加算率)とは、行政に処遇改善加算による追加報酬を交付してもらうために介護サービスごとに設定された率を指します。

介護職員処遇改善加算の介護サービス別の加算率は、平成28年度までは加算Ⅰ〜Ⅳまでの4区分でしたが、平成29年度より新たに加算が追加され、5つの区分により加算額が決定することとなりました。詳細は以下の通りです。

 

【介護サービス別加算率(平成29年4月から)】

●訪問介護・夜間対応型訪問介護・定期巡回、随時対応型訪問介護看護

加算Ⅰ:13.70%

加算Ⅱ:10.00%

加算Ⅲ:5.50%

●訪問入浴介護

加算Ⅰ:5.80%

加算Ⅱ:4.20%

加算Ⅲ:2.30%

●通所介護転地域密着型通所介護

加算Ⅰ:5.90%

加算Ⅱ:4.30%

加算Ⅲ:2.30%

●通所リハビリテーション

加算Ⅰ:4.70%

加算Ⅱ:3.40%

加算Ⅲ:1.90%

●特定施設入居者生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護

加算Ⅰ:8.20%

加算Ⅱ:6.00%

加算Ⅲ:3.30%

●認知症対応型通所介護

加算Ⅰ:10.40%

加算Ⅱ:7.60%

加算Ⅲ:4.20%

●小規模多機能型居宅介護・看護小規模多機能型居宅介護

加算Ⅰ:10.20%

加算Ⅱ:7.40%

加算Ⅲ:4.10%

●認知症対応型共同生活介護

加算Ⅰ:11.10%

加算Ⅱ:8.10%

加算Ⅲ:4.50%

●介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護・短期入所生活介護

加算Ⅰ:8.30%

加算Ⅱ:6.00%

加算Ⅲ:3.30%

●介護老人保健施設・短期入所療養介護(老健)

加算Ⅰ:3.90%

加算Ⅱ:2.90%

加算Ⅲ:1.60%

●介護療養型医療施設・短期入所療養介護(病院等)

加算Ⅰ:2.60%

加算Ⅱ:1.90%

加算Ⅲ:1.00%

※加算Ⅳは「加算Ⅲの90%」、加算Ⅴは「加算Ⅲの80%」で統一

厚生労働省「平成29年度介護報酬改定の概要(案)」

まとめ

介護職員処遇改善加算 まとめ

今回は介護職員処遇改善加算の算定要件から計算方法までまとめてご紹介しましたが、計算方法はご理解いただけましたか?

処遇改善加算の算定要件と計算方法は、他の加算に比べてもかなり複雑です。

しかしながら、「基本サービス費に各種加算・減算を加えた1月当たりの総単位数にサービス別加算率を乗じる」の3つのステップを1つ1つ計算していくことで「処遇改善加算の算定額」を確実に割り出すことができます。

通所介護を経営されている管理者・経営者の基礎知識として確実に把握しておきましょう!皆様の事業所で働く「介護職員の処遇改善」が少しでも前向きに進むことを願っています。

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著者プロフィール

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リハビリ専門職(作業療法士)として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーションを技術を高めるため研修会を立ち上げ、これまでに100名規模の研修会も開催された。現在は、「職種を越えたリハビリ介護を実現する」をテーマに、リハプランの専属ブロガーとして活躍中。作業療法士の専門性を活かして、介護事業所で算定できる加算・減算の中でも「個別機能訓練加算」について算定要件や計画書の書き方、機能訓練プログラムについて執筆している。

〜筆者の想い〜
通所介護事業所(デイサービス)の約8割は、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が不在のため、看護師や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練を実施しているのが現状です。機能訓練指導員が、高齢者にあった最適な運動を提供するために必要なノウハウをわかりやすく解説します。

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