デイサービスの口腔機能向上加算の算定要件や計画書について詳しく解説!

口腔機能向上加算とは、口腔清潔・唾液分泌・咀嚼(そしゃく)・嚥下(えんげ)・食事摂取などの口腔機能の低下が認められる状態、または口腔機能が低下する恐れがある利用者に対し、個別で指導を行った場合に通所介護・介護予防通所介護(総合事業)・通所リハビリテーションなどで取得できる加算です。今回は、そんな口腔機能向上加算の算定要件や注意事項、訓練内容についてのまとめをご紹介します。

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口腔機能向上加算とは

口腔機能向上加算とは

口腔機能向上加算とは、「口腔清潔」「唾液分泌」「咀嚼(そしゃく)」「嚥下(えんげ)」「食事摂取」などの口腔機能の低下が認められる状態、または口腔機能が低下する恐れがあるご利用者に対し、口腔機能改善管理指導計画を作成、個別での指導を行った場合に取得できる加算です。口腔機能向上加算は、通所介護・介護予防通所介護(総合事業)・通所リハビリテーションなどで算定できる介護保険の加算です。

口腔機能向上加算の単位数について

口腔機能向上加算|単位数は1回あたり「150単位

※ただし、総合事業対象者・要支援・要介護によって算定できる回数に制限があります。

口腔機能向上加算の算定要件について

口腔機能向上加算の算定要件として人員基準には「言語聴覚士」「歯科衛生士」又は「看護職員(看護師・准看護師)」の有資格者を1名以上配置しておく必要があります。

通所介護(デイサービス)では、看護師を配置している場合がほどんどです。そういった事業所の多くは、看護師配置によって口腔機能向上加算を算定されています。

また、厚労省によると口腔機能向上サービスの提供は、以下の要件が必要になるとされています。

イ)利用者ごとの口腔機能を、利用開始時に把握すること。


ロ)利用開始時に、言語聴覚士、歯科衛生士又は看護職員が中心となって、利用者ごとの口腔衛生、摂食・嚥下機能に関する解決すべき課題の把握を行い、言語聴覚士、歯科衛生士、 看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種の者が共同して取り組むべき事項等を記載した口腔機能改善管理指導計画 を作成すること。作成した口腔機能改善管理指導計画については、口腔機能向上サービスの対象となる利用者又はその家族に説明し、その同意を得ること。なお、通所介護においては、口腔機能改善管理指導計画に相当する内容を通所介護計画の中に記載する場合は、その記載をもって口腔機能改善管理指導計画の作成に代えることができるものとすること。

ハ)口腔機能改善管理指導計画に基づき、言語聴覚士、歯科衛生士又は看護職員等が利用者ごとに口腔機能向上サービスを提供すること。その際、口腔機能改善管理指導計画に実施上の問題点があれば直ちに当該計画を修正すること。

ニ)利用者の口腔機能の状態に応じて、定期的に、利用者の生活機能の状況を検討し、概ね三月ごとに口腔機能の状態の評価を行い、その結果について、当該利用者を担当する介護支援専門員や主治の医師、主治の歯科医師に対して情報提供すること

ホ)指定居宅サービス基準第百五条において準用する第十九条に規定するサービスの提供の記録において利用者ごとの口腔機能改善管理指導計画に従い言語聴覚士、歯科衛生士又は看護職員が利用者の口腔機能を定期的に記録する場合は、当該記録とは別に口腔機能向上加算の算定のために利用者の口腔機能を定期的に記録する必要はないものとすること。

厚生労働省「介護報酬改定に関する通知の改正案(原案)」
平成29年8月10日アクセス

口腔機能向上加算の対象者とケアプラン

口腔機能向上加算の算定要件で難しいところが、加算を算定してサービスを提供できる対象者についてです。口腔機能向上加算は、事業所内で口腔機能向上サービスの必要性についてのアセスメントは大切ですが、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所のケアマネジャーのケアマネジメントを経て、ケアプラン上も必要性を明記して、ご利用者も納得した上で算定を開始できます。

対象者は、以下のような要介護・要支援者で、これらのチェック内容を根拠として、サービスの必要性をご本人やケアマネジャーに同意いただきます。

●認定調査票の「嚥下」「食事摂取」「口腔清潔」について見守りや介助が必要な方

●基本チェックリストの(13)(14)(15)の項目のうち、2項目以上に該当

・固いものが食べにくくなりましたか?

・お茶や汁物等でむせることがありますか?

・口の渇きが気になりますか?

●口腔機能が低下または低下するおそれがある

 

口腔機能向上加算に必要な書類について

口腔機能向上加算に必要な口腔機能改善管理計画書

口腔機能向上加算を算定する上では、言語聴覚士や歯科衛生士、看護職員らとデイサービスに勤務する職員が共同して利用者ごとに「口腔機能改善管理指導計画」を作成し、それに従って口腔機能向上サービスを行い、利用者の口腔機能を定期的に記録することが必要となります。

通所介護の場合は、「口腔機能改善管理指導計画」に相当する内容を「通所介護計画書」の中に記載する場合は、その記載をもって口腔機能改善管理指導計画の作成に代えることが可能です。

口腔機能向上サービスに関する 課題把握・アセスメント・モニタリング・評価票(様式例)

口腔機能向上サービスに関する 課題把握・アセスメント・モニタリング・評価票(厚生労働省様式例)

引用:口腔機能向上加算等に関する事務処理手順例及び様式例の提示について (平成18年3月31日老老発第0331008号厚生労働省老健局老人保健課長 通知)(抄)

事業所は、サービス担当者と関連職種が共同して口腔機能向上サービスに関する手順(利用開始時における課題の把握、専門職種による解決すべき課題の確認・把握(アセスメント)、口腔機能改善管理指導計画、モニタリング等)をあらかじめ定めるとされており、厚生労働省からこちらの様式が提示されています。

 

口腔機能改善管理指導計画・実施記録(様式例)

引用:口腔機能向上加算等に関する事務処理手順例及び様式例の提示について (平成18年3月31日老老発第0331008号厚生労働省老健局老人保健課長 通知)(抄)

サービス担当者は、関連職種が利用開始時に把握した課題の内容を確認し、ⅰ)利用者の口腔衛生に関して解決すべき課題(口腔内の清掃、有床義歯の清掃等)、摂食・嚥下機能に関して解決すべき課題及びその他の課題等、ⅱ)これらの課題に対しサービス担当者と関連職種が共同して取り組むべき事項等について記載した口腔機能改善管理指導計画原案を作成します。

口腔機能改善管理指導計画原案の利用者又はその家族への説明

サービス担当者は、口腔機能向上サービスの提供に際して、口腔機能改善管理指導計画原案を利用者またはその家族に説明して、口腔機能向上サービスの提供に関する同意を得ます。医師または歯科医師は、サービス担当者への指示・指導が必要な場合、口腔機能改善管理指導計画の実施に当たり、その計画内容、利用者またはその家族の同意等を確認します。(医行為や特別なリスクがないサービス提供に当たっては、医師の指示が必要な訳ではありません。ケアマネージャー・ケアプランを通して医師・歯科医師の意見を踏まえる必要はあります。)

口腔機能改善管理指導計画の書式については、以下も参考になります!

【公益社団法人日本歯科衛生士会による口腔機能改善管理指導計画】
口腔機能改善管理指導計画の事例

 

口腔機能向上加算の単位について

要介護・要支援・総合事業対象者の口腔機能向上加算の単位数

口腔機能向上加算を算定すると、1回あたり「150単位」となっています。この加算は、要支援・要介護の方の算定が可能です。

※ただし、要支援・要介護によって算定できる回数に制限がありますので、注意しましょう。
 

  要支援者(要支援1・2)・事業対象者の場合 要介護者の場合(要介護1〜5)
単位数 150単位 150単位
加算回数 1回/月 2回/月

口腔機能向上加算の評価期間について

口腔機能向上加算の評価期間

口腔機能向上加算を算定する場合は、3ヶ月に1度以上、「口腔機能改善管理指導計画」または「通所介護計画書」にその目的やプログラム内容等の変更を記載する必要があります。

さらに、概ね3月ごとの評価の結果、継続的にサービス提供を行うことにより、口腔機能の向上または機能維持の効果が期待できると認められるものについては、継続的に口腔機能向上サービスを提供することが可能となります。

口腔機能向上加算を算定する上での注意点

口腔機能向上加算を算定の注意点

口腔機能向上加算の注意点として、厚労省から指摘されている算定できない場合の要件についてご紹介します。

利用者の口腔の状態によっては、医療における対応を要する場合も想定されることから、必要に応じて、介護支援専門員を通して主治医又は主治の歯科医師への情報提供、受診勧奨などの適切な措置を講じることとする。なお、歯科医療を受診している場合であって、次の(イ)又は(ロ)のいずれかに該当する場合にあっては、加算は算定できない。

イ)医療保険において歯科診療報酬点数表に掲げる摂食機能療法を算定している場合

ロ)医療保険において歯科診療報酬点数表に掲げる摂食機能療法を算定していない場合であって、介護保険の口腔機能向上サービスとして「摂食・嚥下機能に関する訓練の指導若しくは実施」を行っていない場合。

厚生労働省「介護報酬改定に関する通知の改正案(原案)」
平成29年8月10日アクセス

口腔機能向上加算の算定についてのQ&A

口腔機能向上加算の厚生労働省のQ&Aでは、医師の指示の必要性と、口腔機能向上サービスに関わる職員の雇用形態が派遣や業務委託でも算定可能かについて掲載されていました。

(問35)言語聴覚士、歯科衛生士又は看護職員が介護予防通所介護(通所介護)の口腔機能向上サービスを提供するに当たっては、医師又は歯科医師の指示は不要なのか。

(各資格者は、診療の補助行為を行う場合には医師又は歯科医師の指示の下に業務を行うこととされている。)

 

(答) 介護予防通所介護(通所介護)で提供する口腔機能向上サービスについては、ケアマネジメントにおける主治の医師又は主治の歯科医師からの意見も踏まえつつ、口腔清掃の指導や実施、摂食・嚥下機能の訓練の指導や実施を適切に実施する必要がある

 

(問36)言語聴覚士、歯科衛生士又は看護職員の行う業務について、委託した場合についても加算を算定することは可能か。また、労働者派遣法に基づく派遣された職員ではどうか。

(答) 口腔機能向上サービスを適切に実施する観点から、介護予防通所介護・通所リハビリテーション事業者に雇用された言語聴覚士、歯科衛生士又は看護職員(労働者派遣法に基づく紹介予定派遣により派遣されたこれらの職種の者を含む。)が行うものであり、御指摘のこれらの職種の者の業務を委託することは認められない。(なお、居宅サービスの通所介護・通所リハビリテーションにおける口腔機能向上加算についても同様の取扱いである。)

引用:平成18年4月改定関係 Q&A(Vol.1), 厚生労働省, pp14-15, 

 

口腔ケアと口腔体操の目的や効果

高齢者の口腔機能を保つための口腔ケアの目的、効果的な口腔体操についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。

【関連記事】

高齢者の口腔ケアの目的と効果【介護スタッフの基礎知識】

口腔ケアの目的は、口の中の粘膜や歯、舌などの汚れを取り除く「器質的な口腔ケア」と、舌や頬などの筋肉、飲み込みの力などの機能維持を目的とする「機能的な口腔ケア」の2つがあります。詳しくは記事で。

高齢者向け|口腔体操をしてリハビリの効果

口腔機能向上に必要な口腔体操の仕方についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています。興味がある方はこちらをご覧ください。

まとめ

通所介護や通所リハビリテーションの口腔機能向上加算の算定要件や注意事項はご理解いただけましたか?

このように、口腔機能向上加算はデイサービスに勤務する職員が口腔機能向上サービスを適切に実施することで算定できる加算となっています。

平成30年度の介護報酬改定では、通所介護は全体的には微増改定とはなりましたが、実質的にはプラス改定とは言い難い内容となりました。そのような中で、安定した介護報酬を獲得するためには、今回ご紹介した「口腔機能向上加算」や「個別機能訓練加算」さらに、平成27年度に新たに新設された「認知症加算」と「中重度ケア体制加算」などを算定していくことが重要になります。

また、介護予防通所介護(日常生活総合事業通所型サービス)などでは、「運動器機能向上加算」や「栄養改善加算」と合わせて算定し、要件を満たすと「選択的サービス複数実施加算」が算定できます。

今回の記事を参考に、皆様の事業所の「安定した介護経営」を実現できれば幸いです。

 

加算・減算の関連リンク集

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著者プロフィール

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リハビリ専門職(作業療法士)として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーションを技術を高めるため研修会を立ち上げ、これまでに100名規模の研修会も開催された。現在は、「職種を越えたリハビリ介護を実現する」をテーマに、リハプランの専属ブロガーとして活躍中。作業療法士の専門性を活かして、介護事業所で算定できる加算・減算の中でも「個別機能訓練加算」について算定要件や計画書の書き方、機能訓練プログラムについて執筆している。

〜筆者の想い〜
通所介護事業所(デイサービス)の約8割は、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が不在のため、看護師や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練を実施しているのが現状です。機能訓練指導員が、高齢者にあった最適な運動を提供するために必要なノウハウをわかりやすく解説します。

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