生活機能向上連携加算とは?目的や算定要件、対象施設について
介護保険法
2023/03/24
介護保険法
入浴介助加算
更新日:2023/03/15
【令和3年報酬改定対応】2021年の報酬改定で新設された入浴介助加算(Ⅱ)。国の自立支援の方針にのっとり、利用者の自宅での入浴の自立の実現を目指す目的があります。この記事では、入浴介助加算(Ⅱ)のケアマネ対応のポイントなどについて解説します。
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この記事の目次
入浴介助加算(Ⅱ)とは、令和3年の介護報酬改定で新設された加算です。
加算(Ⅱ)が追加されたことにより、改定前の入浴介助加算は(Ⅰ)として区分されるようになりました。
加算(Ⅱ)の目的は「家族あるいは訪問介護員などの協力によって、利用者が自宅で入浴ができるようになること」です。
また、旧来の入浴介助加算の要件に加えて、加算(Ⅱ)では利用者宅の浴室環境の評価や、それをもとにした入浴計画書の作成が求められます。
単位数と算定要件は以下のようになっています。
入浴介助加算は、(Ⅰ)と(Ⅱ)の併算定ができない点には注意しましょう。
入浴介助加算(Ⅱ) | |
---|---|
単位数 | 55単位/日 |
対象者 | 要介護1〜5 |
算定要件 | ・厚生労働省の入浴の施設基準(入浴介助を適切に行うことができる人員及び設備を有している)を満たしていること ・医師、理学療法士、作業療法士、介護福祉士、介護支援専門員その他の職種の者(以下この号において「医師等」という。)が利用者の居宅を訪問し、浴室における当該利用者の動作及び浴室の環境を評価していること ・浴室が利用者自身又はその家族等の介助により入浴を行うことが難しい環境にあると認められる場合は、訪問した医師等が、介護支援専門員又は福祉用具専門相談員と連携し、浴室の環境整備に係る助言を行うこと ・機能訓練指導員、看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種の者(機能訓練指導員等)が共同して、利用者の居宅を訪問した医師等と連携し、利用者の身体の状況、浴室の環境等を踏まえて個別の入浴計画を作成すること ・入浴計画に基づき、個浴、その他の利用者の居宅の状況に近い環境で、入浴介助を行うこと |
「全国老人福祉施設協議会」が実施した「令和4年4月 加算算定状況等調査」によると、デイサービスによる入浴介助加算(Ⅱ)の算定率は10.0%という結果でした。
従来の形式である入浴介助加算(Ⅰ)の算定率が93.1%だったことから、いかに加算(Ⅱ)の割合が低いのかが理解できると思います。
その理由として、加算(Ⅱ)の算定時にケアマネジャーとの問題が発生している点があげられます。
「一般社団法人日本デイサービス協会」が2021年5月に実施した「入浴介助加算Ⅱの算定状況調査」では、算定時に以下の点が問題となりました。
・デイサービスに通所する意味とこの加算の算定は矛盾している
・ケアプランの更新時まで、加算の算定は検討しないと言われた
・自宅で入って評価するなんて不可能と言われた
・担当者会議の開催を行うまでは算定できないという理由で、担当者会議の開催待ちとなり算定がすすまないケースが存在する
このように、加算(Ⅱ)の算定はケアマネジャーとのトラブルが起きやすいと言えます。
入浴介助加算(Ⅱ)を算定する際に、必要に応じてケアプランを作り直したり、住宅改修を行ったりする必要もあるでしょう。
これらの業務はケアマネジャーだけでなく利用者側の負担が増える原因となるため、その点を理解し、配慮することが大切です。
加算(Ⅱ)を必要とした場合は、担当者会議でサービスの変更が必要になるケースがあることを事前に伝えておきましょう。
また、普段からケアマネジャーとコミュニケーションをとっておけば、加算の算定がスムーズとなるでしょう。
入浴介助加算(Ⅱ)は、利用者やその家族が同意のもと、居宅において利用者自身で又は家族等の介助により入浴を行うことが出来る様になることを目的とするものです。
この場合の「居宅」とは、【介護保険最新情報 Vol.974】に示している通りです。
算定要件を確認し、目標が変更になるのであれば、担当者会議、ケアプランの書き換えが必要です。
引用:ケアプラン作成時の注意点 – 茨木市(2023年3月6日確認)
加算(Ⅱ)の算定やケアプランの作成については地域によって異なる可能性があるため、所属している自治体の情報も確認しておきましょう。
入浴計画書を作成する際は、利用者の浴室環境や入浴介助の方法などについて記載します。
また「通所介護計画書」に、入浴計画に相当する内容を記載することも可能です。その場合、通所介護計画書が個別の入浴計画書としての役割を果たします。
入浴計画書を作成するにあたって記載すべき具体的な項目は「入浴介助加算の算定要件から注意事項までを解説!」の記事で紹介しています。
厚生労働省でも計画書の作成方法についての「解釈通知」が出ているので、こちらでも確認してみましょう。
実際に入浴介助加算(Ⅱ)を算定するとき、疑問となる部分が生まれることは多いのではないでしょうか。
ここでは厚生労働省が発表している入浴介助加算(Ⅱ)に関するQ&Aについてご紹介します。
(問1) 入浴介助加算(Ⅱ)は、利用者が居宅において利用者自身で又は家族等の介助により入浴を行うことができるようになることを目的とするものであるが、この場合の「居宅」とはどのような場所が想定されるのか。
(答) 利用者の自宅(高齢者住宅(居室内の浴室を使用する場合のほか、共同の浴室を使用する場合も含む。)を含む。)のほか、利用者の親族の自宅が想定される。なお、自宅に浴室がない等、具体的な入浴場面を想定していない利用者や、本人が希望する場所で入浴するには心身機能の大幅な改善が必要となる利用者にあっては、以下①~⑤をすべて満たす ことにより、当面の目標として通所介護等での入浴の自立を図ることを目的として、同加算を算定することとしても差し支えない。
① 通所介護等事業所の浴室において、医師、理学療法士、作業療法士、介護福祉士、介 護支援専門員等(利用者の動作及び浴室の環境の評価を行うことができる福祉用具専 門相談員、機能訓練指導員を含む。)が利用者の動作を評価する。
② 通所介護等事業所において、自立して入浴することができるよう必要な設備(入浴に関する福祉用具等)を備える。
③ 通所介護等事業所の機能訓練指導員等が共同して、利用者の動作を評価した者等と の連携の下で、当該利用者の身体の状況や通所介護等事業所の浴室の環境等を踏まえ た個別の入浴計画を作成する。なお、個別の入浴計画に相当する内容を通所介護計画の 中に記載する場合は、その記載をもって個別の入浴計画の作成に代えることができる ものとする。
④ 個別の入浴計画に基づき、通所介護等事業所において、入浴介助を行う。
⑤ 入浴設備の導入や心身機能の回復等により、通所介護等以外の場面での入浴が想定できるようになっているかどうか、個別の利用者の状況に照らし確認する。
・ なお、通所リハビリテーションについても同様に取り扱う。
(問2) 入浴介助加算(Ⅱ)について、医師、理学療法士、作業療法士、介護福祉士、介護支 援専門員等(利用者の動作及び浴室の環境の評価を行うことができる福祉用具専門相 談員、機能訓練指導員を含む。)が利用者の居宅を訪問し、浴室における当該利用者の 動作及び浴室の環境を評価することとなっているが、この他に評価を行うことができ る者としてどのような者が想定されるか。
(答)・地域包括支援センターの担当職員、福祉・住環境コーディネーター2級以上の者等が想定される。
・なお、通所リハビリテーションについても同様に取扱う。
(問3) 入浴介助加算(Ⅱ)については、算定にあたって利用者の居宅を訪問し、浴室における当該利用者の動作及び浴室の環境を評価することとなっているが、この評価は算定 開始後も定期的に行う必要があるのか。
(答)当該利用者の身体状況や居宅の浴室の環境に変化が認められた場合に再評価や個別の 入浴計画の見直しを行うこととする。
(問4) 入浴介助加算(Ⅱ)では、個別の入浴計画に基づき、個浴その他の利用者の居宅の状況に近い環境にて、入浴介助を行うこととなっているが、この場合の入浴介助とは具体的にどのような介助を想定しているのか。
(答)利用者の入浴に係る自立を図る観点から、入浴に係る一連の動作のうち、利用者が自身の身体機能のみを活用し行うことができる動作については、引き続き実施できるよう見守り的援助を、介助を行う必要がある動作については、利用者の状態に応じた身体介助を 行う。なお、入浴介助加算(Ⅱ)の算定にあたっての関係者は、利用者の尊厳の保持に配慮し、その状態に応じ、利用者自身で又は家族等の介助により入浴ができるようになるよう、 常日頃から必要な介護技術の習得に努めるものとする。
<参考:利用者の状態に応じた身体介助の例>
※ 以下はあくまでも一例であり、同加算算定に当たって必ず実施しなければならない ものではない。
2024年の医療介護同時改定では、団塊世代の高齢化を見据え、自立支援を中心とした科学的介護の実現、そしてアウトカムベースの報酬改定に向けて変化しようとしています。
このような時流だからこそ、より一層利用者さまの自立支援に向けた取り組みが重要になります。しかし、個別機能訓練加算をはじめとした自立支援系の加算やLIFE関連加算の算定は、売上アップも見込めるとはいえ、リハビリ専門職の不在や現場負担の問題で取り組みが難しいと考える事業所も多いのではないでしょうか?
その解決策の1つが「介護現場におけるICTの利用」です。業務効率化の意味合いが強い昨今ですが、厚生労働省の定義では「業務効率化」「サービスの質向上」「利用者の満足度向上」の達成が目的であるとされています。
業務効率化だけでなく、利用者一人ひとりの生活機能の課題を解決する『デイサービス向け「介護リハビリ支援ソフト」』を検討してみませんか?