デイサービスでの個別機能訓練加算で行う居宅訪問|5つの手順をご紹介

介護保険法

個別機能訓練加算

更新日:2024/04/12

【令和6年報酬改定対応】個別機能訓練加算を算定するうえで必要な居宅訪問の手順や利用者・家族への説明などに悩まれている方も多いのではないでしょうか。今回は、居宅訪問の目的や算定要件、利用者への説明の仕方、居宅訪問のタイミング、記録方法などを5つの手順でまとめてご紹介します。

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居宅訪問の目的・役割について

通所介護(デイサービス)で個別機能訓練加算を算定する場合は「利用者の居宅を訪問したうえで利用者の居宅での生活状況を確認すること」が要件として必要になります。

では、なぜ居宅訪問が必要なのでしょうか。

居宅訪問の目的は「より効果的に機能訓練を実施する観点から実際の利用者の生活状況や問題点、生活能力を把握し、目標を設定するため」です。

デイサービスに利用者が来たときに基礎的な運動などを通して体を鍛えることも必要ですが、介護の専門家として在宅生活に起点を置いて一人ひとりのご様子を見極めていくことが大切になります。

高齢の利用者には当然ながらいろいろな疾患・家族構成・ライフスタイルがあり、適切な運動や機能訓練は一人ひとり違っているのです。

居宅訪問の算定要件について

まず、個別機能訓練加算の算定要件で求められている居宅訪問では何を行えばよいか、居宅での生活状況を確認するときに活用する様式について整理していきます。

居宅訪問の頻度・作成期間

平成27年度の介護報酬改定にて個別機能訓練加算を算定する場合の算定要件に「3月ごとに1回以上、利用者の居宅を訪問して利用者の居宅での生活状況(ADL、IADL等)を確認すること」が追加されています。

デイサービスで個別機能訓練加算を算定する場合は3ヶ月ごとに1回以上の利用者の居宅を訪問し、記録を残す必要があるということになります。

個別機能訓練加算Ⅰおよび個別機能訓練加算Ⅱの算定要件から単位数、個別機能訓練計画書の書き方などについては以下の記事からチェックできますので、ぜひご一読ください。

個別機能訓練加算とは|算定要件から計画書作成、実践プログラムまで徹底解説

生活機能チェックシート(旧:居宅訪問チェックシート)

デイサービスの個別機能訓練加算を算定するうえで必要な居宅訪問の際、厚生労働省は利用者の生活状況把握のために「生活機能チェックシート(旧:居宅訪問チェックシート)」を活用するように提示しています。

生活機能チェックシートは、いろいろな生活行為に対して、「自立」「見守り」「一部介助」「全介助」、課題の有無、環境(実施場所・補助具等)、状況・生活課題などを細かくチェックして、通所介護計画書や通所介護での機能訓練のニーズや課題の把握の参考にするものです。生活機能チェックシートの作成は3ヵ月に1回以上の頻度で行っていきます。

生活機能チェックシートは下記からダウンロードできます。

別紙様式3-2(生活機能チェックシート)

居宅訪問の5つの手順

生活機能チェックシートの項目を満たしたからと言って、利用者の生活状況や生活課題が把握できるというわけではありません。そのため、個別的な視点で1日の生活を想定して状況や生活行為、居宅での動線、移動方法などを総合的に評価するようにしましょう。

課題をより具体的にする場合には、家屋調査を行い、居宅での入浴のための浴槽の高さや、移乗の椅子の高さやテーブルとの位置関係、トイレでの手すりの位置など課題になる部分をより細かく把握するとよいでしょう。

ここからは、実際のデイサービスで居宅訪問を行う場合を想定し、手順を確認していきます。

1)利用者・家族への説明

居宅訪問を行うことに納得いただくためには、まず個別機能訓練加算の算定についてご理解いただく必要があります。

まずは、個別機能訓練加算(Ⅰ)イ・ロと(Ⅱ)の目的や内容をしっかりと利用者・家族に伝える必要があります。前提として、個別機能訓練は、利用者の生活機能の維持・向上を図り、住み慣れた地域で居宅において可能な限り自立して暮らし続けることを目指すために設けられたものです。

■個別機能訓練加算(Ⅰ)イ・ロの場合の説明

目標は、体の働きや精神の働きである「心身機能」、ADL・家事・職業能力や屋外歩行といった生活行為全般である「活動」、家庭や社会で役割を果たすことである「参加」をバランスよく含めて設定するものです。そのため、生活を送るうえでのお困りごとを把握するために、現在の自宅の生活状況や、身体の状態を教えていただきたいと思います。その把握から最適な短期・長期目標と訓練プログラムを提案させていただきます。

■個別機能訓練加算(Ⅱ)の場合の説明

個別機能訓練(Ⅱ)の目的は、エビデンスに基づいた適切な機能訓練を実施することです。

国が科学的介護推進のために創設したLIFEと呼ばれるシステムに機能訓練に関するデータを提出し、LIFEからのフィードバックを活用してより適切な機能訓練プログラムを提案させていただきます。

2)居宅訪問のタイミング

個別機能訓練加算の算定にあたり、居宅訪問を業務の中でどのようなタイミングで実施して行くかについて紹介します。実際にデイサービスの業務を考えると以下の3種類があります。

a.デイサービス利用の新規契約時に居宅訪問を実施する

新規で契約するご利用者の場合には、担当者会議や契約などで居宅を訪問することが多いです。個別機能訓練加算の算定に関する居宅訪問については、契約や担当者会議、アセスメントのときに生活状況(ADL、 IADL等)をチェックしてくることも認められます。

この場合には、個別機能訓練計画作成に関わる職員である必要があり、生活相談員や管理者でも生活状況をチェックして、個別機能訓練計画作成を多職種共同で行えれば可能となっています。

b.デイサービス送迎時に居宅訪問を実施する

実際に 3ヶ月の1回以上の頻度で居宅訪問を行うとなるとデイサービスの送迎時に生活状況を確認するということが現実的な実施方法の一つになります。

たとえば、普段は複数名の利用者を大型車などで送迎しているケースでは、送迎の最後に利用者の居宅訪問を実施するという方法です。

(質問)居宅を訪問するのは、利用者宅へ送迎をした後そのまま職員が残り、生活状況を確認することでも認められるか。

 (答)認められる。

参照:平成27年4月1日厚生労働省Q&A(Vol.1)

3)その他の時間帯に居宅訪問を実施する

デイサービスでは業務の時間に限りがあり、送迎も余裕なく組んでしまっている場合に、別の時間に居宅訪問を行うという場合もあります。

居宅訪問については、必ずしも機能訓練を提供する人物が行わなければならないというものではありません。個別機能訓練計画を多職種共同で作成するメンバーならばよいことになっています。

(質問)個別機能訓練計画の作成及び居宅での生活状況の確認について、「その他の職種の者」は、機能訓練指導員、看護職員、介護職員又は生活相談員以外に、どのような職種を想定しているのか。また、個別機能訓練計画作成者と 居宅の訪問者は同一人物でなくてもよいか。さらに、居宅を訪問する者が毎回変わってしまってもよいのか。

(答)個別機能訓練計画については、多職種共同で作成する必要がある。 このため、個別機能訓練計画作成に関わる職員であれば、職種にかかわらず計画作成や居宅訪問を行うことができるため、機能訓練指導員以外がこれらを行っても差し支えない。 なお、3月に1回以上、居宅を訪問し、生活状況を確認する者は、毎回必ずしも同一人物で行う必要はない。

参照:平成27年4月1日厚生労働省Q&A(Vol.1)

3)居宅訪問の事前準備

個別機能訓練加算として利用者の居宅を訪問する場合、以下のような事前準備が必要です。

a.利用者・家族への訪問の確認

居宅訪問を行うときは、ご利用者とご家族に事前にしっかりとアポを取っておくようにしましょう。その際、ご自宅に伺って、住環境の確認と生活状況について把握したい旨を事前に伝えておくとスムーズです。

たとえば、帰りの送迎時に個別機能訓練加算の要件としての居宅訪問をさせていただくときには、遅くともその日の朝の送迎時などに「訪問してお家での生活についてお伺いしたいので少しお時間いただけませんか」と確認を取っておきましょう。

b.居宅訪問するスタッフの準備

居宅訪問を行うときは、事前にそのご利用者の生活状況について大まかに把握したうえで向かいましょう。また、現時点で生活課題として機能訓練に取り組んでいる点についてはしっかりと確認してください。メリハリをつけることで機能訓練を効果的にするための情報を収集しましょう。

4)居宅訪問の記録

居宅訪問では、生活機能チェックシートを活用し利用者の生活状況を把握していきます。

利用者の生活状況について実態を把握するとなると、時間をかければいくらでも時間がかかります。そのため、優先順位をつけて確認すべきところを明確にして望むようにしましょう。

特に確認すべきところは、ケアプランで課題として上がっている点や、ケアマネジャーから個別機能訓練について特に必要性を伝えられている点です。

また、2回目の居宅訪問以降は機能訓練の目標に挙げて実際に取り組んでいる点や機能訓練の効果、情報収集した中で心配に思う点を中心に確認すると効率的です。

居宅訪問の記録には、生活機能チェックシートが欠かせません。詳しい書き方は以下の記事を参考にしてください。

個別機能訓練加算に必要な生活機能チェックシートの書き方

5)居宅訪問後のスタッフ共有

個別機能訓練加算における居宅訪問の目的は、個別的で効果的な個別機能訓練計画を作るための情報収集です。
そのため、居宅訪問で得た利用者の生活情報は、機能訓練指導員をはじめとした個別機能訓練加算に携わる他のスタッフとしっかりと情報共有していきます。

一人ひとりの個別機能訓練計画書について話し合う時間を設けて、情報を持ち寄って計画していくのが良いでしょう。

たとえば、夕方などにその日の振り返りや夕礼を行っているデイサービスなどでは、居宅訪問の概要の報告を行い、他職種から意見交換を行うなどの仕組みを作るとスムーズです。ここで話した内容を記録にとっておくことで、他職種共同で機能訓練計画を策定した根拠にできます。

個別機能訓練加算計画書を効率的に作成する方法は、以下の記事からチェックできます。作成に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

個別機能訓練計画書の作成は「多職種との業務分担」で効率化できる

居宅訪問の手順を理解し、よりよい機能訓練の提供を

個別機能訓練加算において、居宅訪問は大変な業務の一つではありますが、実際に機能訓練の成果や、機能訓練の感想を確認できるよい機会でもあります。

デイサービスはの送迎は原則玄関までであり、居宅訪問をしないとご利用者の生活状況の実態は見えてこないものです。上記に挙げたような手順できめ細やかに利用者の観察を行い、適切な機能訓練プログラムの作成と、個別機能訓練加算の算定につなげていきましょう。

よりよい機能訓練のために、居宅訪問をスムーズにするきっかけになれば幸いです。

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この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

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