廃用症候群(生活不活発病)とは|原因・症状・リハビリについて専門家が解説

コラム

症状・病気

更新日:2022/02/25

廃用症候群は別名「生活不活発病」と呼ばれ、厳密に言うと病気ではありません。あくまでも症状であり、いくつかの要因が重なっている時に症候群と表現されます。特に廃用症候群は様々な病気や怪我などによって引き起こされるものであり、寝たきりの方はすぐにこの廃用症候群を引き起こします。今回この記事では、廃用症候群の定義と原因・症状、リハビリに対する基礎知識をお伝えします。

廃用症候群とは

廃用症候群とは

廃用症候群とは、安静期間が長時間・長期間に及ぶと心身機能の低下を起こすことを言います。

例えば、手首の骨折によりギプス固定をした方がいたとします。ギプス固定をしているとその部分は動かせません。骨折具合にもよりますが、その期間が長ければ長いほど、

  • 筋力低下
  • 筋萎縮(筋肉が痩せる)
  • 関節可動域の減少(関節の動く範囲が小さくなる)

こういった症状が起きてきます。また、骨折をしていなくても単純に寝たきりになってしまっている場合などでも容易に起こります。

似たような症状に、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)があります。
 

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ギプス固定のような部分的な廃用症候群であればまだよいですが、例えば寝たきりになってしまっている場合、全身の筋力低下や筋萎縮、関節可動域の減少以外にも、

  • 呼吸機能の低下
  • 代謝機能の低下
  • 循環機能の低下

等々、呼吸循環器系の廃用症候群も起きてきます。つまり、体力面も著しく低下してしまうので、余計に動かなくなって負のサイクルとなってしまいます。このような理由から「生活不活発病」という別名がついています。

高齢になればなるほど重症化していき、1週間の安静期間で15%、2週間の安静期間で20%程度の筋力が低下すると報告されており、何らかの対策が必要です。

そこで、以下に廃用症候群を予防していく方法についてお伝えしていきます。

廃用症候群予防に必要なこと(リハビリ)

廃用症候群とは

廃用症候群は様々な病気や怪我から起こるとここまで説明しましたが、高齢者に多い怪我では、大腿骨頸部骨折脊椎圧迫骨折などが代表的ですが、このような骨折を機に多くの方が寝たきりとなってしまいます。
 

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そうならないために必要なのが、リハビリで体を動かすことです。もちろん、それぞれの状態に合わせたリハビリが必要ではあるのですが、寝ている時間が長いという方は、まずは体を起こすところから始めましょう。

人間は基本的に日中は起きている生き物ですので、まずは朝起きたら顔を洗う、歯を磨く、髪の毛を整える、女性であれば髪を整えるといった日々毎日行うことをなるべく行うように心がけることが必要です。活動性を落とさないように少しずつでもまずは体を動かすということが必要です。

デイサービス(通所介護)やデイケア(通所リハビリ)などを利用して外出機会をもつ

廃用症候群とは

廃用症候群は身体機能だけではなく、うつ病などのような精神面でも起きますので、それらを起こさないために、外出機会を設けることも大切です。

日々散歩に行く習慣があれば一番ですが、それができない方や脳梗塞などの片麻痺などで積極的にリハビリが必要な方はデイサービスやデイケアなどの介護保険制度を利用した通所サービスを検討するのもよろしいかと思います。
 

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最近では、デイサービスでもリハビリの専門家がいるデイサービスがあったり、専門家がいなくても弊社サービスリハプランのような専門家が作ったサービスを導入している施設も増えています。

積極的にリハビリがしたい方、廃用症候群予防が必要な方、もうすでに廃用症候群が起きてしまっている方、そういった方々はデイサービスを検討してみてください。

また、デイケアについては、リハビリの専門家(PT・OT・ST)がいないといけない制度になっていますので、専門家のリハビリをよりしっかりと受けたいという方はデイケアを検討してみてください。

まとめ

今回は廃用症候群の概要と予防方法についてお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。

廃用症候群は早い対処であればあるほど効果的ですので、是非、早い対策をするようにこころがけてください。弊社メディア「リハプラン マガジン」では、高齢者向けの体操方法yリハビリの方法について、PTOTスタッフがまとめて記事を書いています。

もしよければ、参考にしてみてください。 

参照:【完全保存版】デイサービス・機能訓練指導員が活用できる高齢者のためのリハビリ体操・運動まとめ|随時更新

それでは、この記事が少しでも参考になれば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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この記事の著者

作業療法士  大屋 祐貴

作業療法士として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーション技術を高めるために研修会の立ち上げ等を行う。

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