【保存版】デイサービスの生活相談員の仕事内容 業務に役立つ情報まとめ

コラム

介護スタッフの基礎知識

更新日:2022/02/25

デイサービスの生活相談員の仕事内容は多岐に渡り、介護福祉士・社会福祉士・社会福祉主事任用資格などが必要な職種で、利用手続き、契約書・重要事項説明書・料金表などを用いた契約、通所介護計画書作成、ケアマネージャーとの連絡調整、モニタリング報告、担当者会議への出席、営業、地域連携などの業務があります。生活相談員の仕事内容について実務に役立つポイントをまとめました。

デイサービスの生活相談員の資格

デイサービスの生活相談員の資格

生活相談員になるには、介護福祉士、社会福祉士、社会福祉主事任用資格の3資格のいずれかの資格をもっていることで生活相談員として働くことが可能になります。
介護福祉士と社会福祉士は国家資格ですが、社会福祉主事任用資格は大学や短期大学で決められた過程を修了する、または厚生労働大臣が定めた養成機関や講習を修了することで生活相談員として認められます。

ただし、市区町村によってはローカルルールがあり「介護福祉士」や「介護支援専門員」、「介護職員としての経験年数が2年以上」などの条件でデイサービスの生活相談員として人員基準を満たす場合もあります。

社会福祉主事任用資格とは

任用資格とは、公務員が特定の業務に任用される時に必要となる資格のことで、社会福祉主事として公務員として福祉事務所等に勤務するために必要な資格です。

福祉事務所現業員として任用される者に要求される資格であり、社会福祉施設職員等の資格に準用されています。

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生活相談員が知っておきたいデイサービスの利用手続き

デイサービス(通所介護)をご利用いただくには、介護保険における要介護認定を受給しなければなりません。

要介護認定を受けると、介護保険被保険者証(保険証)を市区町村から交付されます。介護保険被保険者証(保険証)をお持ちの方は、デイサービスの利用時の自己負担額が「1割」で利用することができます。

ただし、高所得者の場合は自己負担割合が「2割」もしくは「3割」となります。

生活相談員が理解しておきたいデイサービス利用までの流れ

  1. 要介護認定の申請
  2. 要介護認定を受け、介護保険被保険者証(保険証)の交付を受ける
  3. 担当ケアマネージャーの決定と契約
  4. デイサービスをどんな目的で利用するかケアマネージャーがケアプランに記載
  5. サービス担当者会議にて各種サービス利用や支援方針について説明と同意
  6. デイサービスとの契約・介護保険認定内容の確認
  7. 通所介護計画書の作成、ご本人への説明と同意
  8. デイサービスの利用開始
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デイサービスの生活相談員の仕事内容

デイサービスの生活相談員の仕事内容は、ご紹介したようにデイサービスを利用希望の方にデイサービスの特徴や利用方法についてご説明したり、ケアマネージャーとの調整、ご利用者の情報共有、通所介護計画書などの情報の管理と計画内容の見直しなど多岐に渡ります。そのほか、近年の介護保険改定で生活相談員の役割が広がり、地域連携の拠点として、デイサービスをご利用しない日やご利用のない方のサロン、ボランティアへの調整活動も仕事内容に位置付けられています。

デイサービスの生活相談員が覚えておきたい契約

デイサービスの生活相談員の契約・重要事項説明

デイサービスの利用の開始にあたっては、あらかじめ、利用申込者やその家族に対して、利用申込者のサービスの選択に役立つ重要事項について、わかりやすい説明書やパンフレットなどを使って懇切丁寧に説明を行い、サービス提供の開始について利用申込者の同意を得る必要があります。運営規程の概要、通所介護従業者の勤務体制 、事故発生時の対応、苦情処理の体制、第三者評価の実施状況などを重要事項説明書として説明していることが多いです。

通所介護利用契約書

通所介護の利用契約書には、通所介護の利用や提供するサービス、サービス記録の保管や開示、解約条件、事故発生時の対応などを掲載しています。

通所介護重要事項説明書

通所介護の重要事項説明書は、運営基準でも必ず確認を行うように定められています。運営規程の概要、通所介護従業者の勤務体制、事故発生時の対応、苦情処理の体制、第三者評価の実施状況(実施の有無、実施した直近の年月日、実施した評価機関の名称、評価結果の 開示状況)等が重要事項説明書に掲載する内容です。

重要事項説明書の中で、特に利用料金表についてもご利用者にわかりやすく掲載して、実際にどのような料金がかかるかをご利用者に説明して同意をいただきます。そのため、生活相談員は利用料金や請求の流れについても理解しておく必要があります。

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重要事項説明書の元となる通所介護の運営規程とは

通所介護の運営規程は、デイサービスを行う事業所の法律のようなもので、事業所内のわかりやすい場所に掲示しなければならないものです。また、運営規程の内容は常に最新の状態にし、それと連動する重要事項説明書も最新の状態にしてご利用者に説明することが求められます。

生活相談員が知っておくべき運営規程の内容とは

  • 事業の目的及び運営の方針
  • 従業者の職種、員数及び職務の内容
  • 営業日及び営業時間
  • 指定通所介護の利用定員
  • 指定通所介護の内容及び利用料その他の費用の額
  • 通常の事業の実施地域
  • サービス利用に当たっての留意事項
  • 緊急時等における対応方法
  • 非常災害対策
  • その他運営に関する重要事項

運営規程にはこれらの内容が掲載されており、重要事項説明書を用いて契約を行うためには生活相談員もこれらの運営規程の内容についてしっかりと事前に学習しておく必要があります。

個人情報使用同意書

デイサービスではかなり深い内容までご利用者の個人情報を扱います。個人情報保護の観点から、契約に合わせて個人情報の取り扱いや、個人情報の用途、提供範囲などについて説明します。

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デイサービスの生活相談員の行う通所介護計画書作成

デイサービスの生活相談員の行う通所介護計画書作成

デイサービスの生活相談員の業務でもっとも重要であるのが通所介護計画書の作成です。管理者が通所介護計画書を作成するケースもあり、必ずしも生活相談員が行うべき業務ではありませんが、通所介護事業を行い介護報酬を得る以上必須の業務の一つです。

通所介護計画書の目的は、ただサービスを実施するための計画を立てるだけではありません。サービスを提供する前に、ご利用者の状態やケアマネージャーの考えを情報収集して、効果的なサービス提供内容を計画し、通所介護計画書の内容を本人・家族に説明し、同意をもらうことでサービスを提供を開始するという流れが求められています。その後どのような変化があったのか経過を報告、同意書としても活用する大切な書類です。

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デイサービスの生活相談員のサービス担当者会議参加と情報共有

サービス担当者会議参加とケアプランの情報共有

デイサービスの生活相談員は、サービス担当者会議に参加して、ご利用者の生活状況や課題、サービス提供内容、ケアプランの方針などを情報共有します。事前にケアマネージャーからサービス担当者会議の開催について打診があり、デイサービスでのサービス提供の状況やご本人・ご家族の状況、ケアプランの変更の必要性がありそうかなど、意見を求められます。その上で、ケアマネージャーが次期のケアプランを作成し、サービス担当者会議の場ですり合わせを行います。

サービス担当者会議では、ケアプランに沿ってどんな目標でどのようなサービス提供をしていて、現在どんな状況にあるかということを発言して、各事業者の取り組みを生かしてよりよいケアに繋げる目的もあります。サービス担当者会議はご利用者の自宅で行われることが多く、普段生活している環境でご利用者や家族の生の声をお聞きし、サービスを担当するチームで目標を共有して、役割分担を明確化し、それをデイサービスに戻って通所介護計画書に反映したり、全職員に共有することも生活相談員の役割です。

デイサービスの生活相談員のモニタリング報告

介護事業では、サービスを提供する上で目標達成しているのかどうかを把握するためにモニタリングをする必要があります。
モニタリングの意味は「現状を監視すること」「状態を把握すること」という意味があります。つまり、デイサービスで行うモニタリングとは、「利用者さまの現在の状態を把握する」という意味になります。生活相談員は相談や援助を行う上で、ご利用者の通所介護計画に沿ってサービス提供できているかや、ご利用者に変化がないかなどについてモニタリングやケアマネージャーへの報告をする必要があります。

要介護の方のモニタリング報告

デイサービスの生活相談員や管理者は、通所介護計画書の目標やサービス提供内容について、モニタリングを行い必要に応じて通所介護計画書を変更することとされています。東京都および埼玉県の自主点検表を確認してみると、通所介護計画に対するモニタリングは、1ヶ月や3ヶ月という期間設定はなく、必要に応じて実施することと、居宅サービス計画書の設定期間によって変更すると示されています。通所介護計画書におけるモニタリングについては、この通所介護計画の変更時に行う必要があり、その内容はケアマネージャーに共有する必要があります

要支援・総合事業対象者のモニタリング報告(毎月の月次報告)

介護予防通所介護(日常生活総合事業通所型サービス)として要支援や総合事業対象者のデイサービスの場合には、介護予防支援事業者(地域包括支援センター等)に対する実施状況等の報告を毎月行うこととされています。

介護予防支援事業者(地域包括支援センター等)への報告内容

介護予防支援事業者(地域包括支援センター等)への報告内容は、サービスが介護予防サービス計画に即して適切に提供されているかどうか、また、当該計画策定時から利用者の状態等が大きく異なることとなっていないか等を確認するために行うものです。

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個別機能訓練加算を算定している場合の見直しモニタリングは3ヶ月に1回以上

個別機能訓練加算を算定している事業者の方は、個別機能訓練計画書を作成する必要があり、個別機能訓練計画についてのモニタリングはご利用者の居宅を訪問して生活状況などを確認した上で、3ヶ月に1回以上行う必要があります。

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デイサービスの生活相談員の接遇マナー・言葉遣いと挨拶

デイサービスの生活相談員の接遇マナー・言葉遣いと挨拶

デイサービスの生活相談員は、ご利用者だけでなく、ご家族やケアマネージャー、他社のサービス担当者などいろいろな人に会う仕事です。そのため、デイサービスの顔として接遇マナー面も重要になります。特に、ご利用者に挨拶や説明を行うにあたり言葉遣いに注意しましょう。生活相談員にも役立つ接遇マナーの資料は以下です。

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デイサービスの生活相談員は管理者と協力して営業や集客も

デイサービスの生活相談員は、管理者と同等に居宅介護支援事業所などのケアマネージャーとの連絡窓口になります。そのため、ご利用者の受け入れ状況や経営面もある程度把握してケアマネージャーにご利用者の紹介をいただけるように集客を働きかけたりすることもあります。

例えば、既存のご利用者についての情報共有の電話のときに「最近、麻雀できるご利用者が増えてきました!以前は麻雀ご希望だった方のニーズに応えられませんでしたが、もしご希望の方やお好きな方がいたら是非どうぞ!」という感じでソフトに営業アピールをお伝えしたりします。

また、ケアマネージャーから「おたくのデイサービスの空きはありますか?」と聞かれたり、「車椅子移動で、入浴希望のご利用者なのですが、何曜日なら利用可能でしょうか?」などの質問を受けて、うまくご利用に繋がるように回答するという感じです。

生活相談員は、ご利用者やケアマネージャーにデイサービスの特色や利用方法、利用時間、機能訓練や入浴の内容などあらゆることを魅力的に、かつ現実に沿ってお伝えしてご利用になる方に向けて提案や相談を行なっていくことが役割として求められています。

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生活相談員が行うデイサービスのクレーム対応・苦情への対応

生活相談員はデイサービスご利用についてのあらゆる相談を受け付けている中で、苦情やクレームにも対応しなければならないこともあります。運営規程や重要事項説明書でも生活相談員を相談窓口として

生活相談員が苦情やクレームを受けるケースは、話しやすい関係性ができているので、違う職員さんの介助のことや送迎に関することでも、生活相談員の〇〇さんに伝えればきっといい対応をしてくれると期待している場合もあります。

逆に、生活相談員の対応やミスに対しての苦情・クレームのケースもあります。

理不尽な要求や相手方の誤解などもありますが、現場対応レベルのことでも対応を誤ると市町村の窓口や国保連の窓口などに連絡して大きな問題に発展しかねないので、生活相談員が誠意ある対応を行うことが求められます。

デイサービスでの苦情については対応を記録して保管

デイサービスで苦情を受け付けた場合には、当該苦情受付日、その内容等を記録して2年間は保管しておくことが運営基準で定められています。もちろんこの苦情についてどのような対応をしたかも記録しておきます。

また、苦情が発展して市町村や国保連などから助言や情報請求が入った場合にはこれらの資料を提出することが求められるためしっかりと対応し整理して保管しましょう。

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地域連携の拠点としてのデイサービスで生活相談員の役割

生活相談員の役割として従来から担当者会議でのご利用者のケアに関わる情報共有などがありましたが、地域との連携・調整として、地域ケア会議や、利用者の地域生活を支えるための取組にも参加できるように基準変更されました。

生活相談員は、デイサービスのサービス提供時間内は事業所内に配置されていることが人員要件になっており、地域に出ることが可能となっても何時から何時までどこに出たかを記録しておく必要があります。これらの記録がなく地域連携活動を行なっていた場合には実地指導で人員基準違反を指摘される可能性があるため、頻繁に外出がある生活相談員は、生活相談員日報などを作成して時間や業務内容を管理しておくと良いかもしれません。

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まとめ

デイサービスの生活相談員の仕事内容について、実際にデイサービスで働く時に知っていた方が良いことをまとめました。この記事は平成30年の介護報酬改定に対応した内容になっていますが、要介護や要支援で書類等の内容が違ったり、自治体によって指導内容や異なったりします。

生活相談員も心配なことがある時には、管理者と一緒に管轄の自治体が発行する自主点検表を用いて定期的に業務内容をチェックしたり、わからないことは行政窓口に確認したりすることをお勧めします。恥ずかしがらずに学ぶことで、心配が減り、知識も増え、生活相談員としてスキルアップしてよりよい仕事ができるようになります。ご参考になれば幸いです。

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この記事の著者

作業療法士  大久保 亮

リハビリ養成校を卒業後、作業療法士として、通所介護事業所や訪問看護ステーションにて在宅リハビリテーションに従事。働きながら法政大学大学院政策学修士を取得。その後、要介護者、介護現場で働く人、地域住民まで、介護に関わるすべての人が安心していきいきと活躍し続けられる世界の実現を目指して2016年6月株式会社Rehab for JAPANを創業。また、日本介護協会関東支部局副支部長を務める。

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