デイサービスの生活相談員・看護職員などの職種が急に欠勤した場合の対応

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更新日:2022/02/25

デイサービスでは人員配置で生活相談員や看護職員の配置が必要になっていますが、急な欠勤で休みになってしまい不在になる可能性もあります。人員配置が必須の職種が急な欠勤で休みになってしまいどのように対応したら良いかの案をご紹介します。

デイサービスでは人員配置について基準があり、急な病欠や忌引きなどで人員配置が満たせない状態が生じるリスクもあります。特にインフルエンザなどの感染症が流行する時期などは、急な欠勤も増えるので、人員配置が必須の職種が急な欠勤となった時にどう対応したら良いか準備しておきましょう。

デイサービスの人員基準について

地域密着型通所介護(小規模)以外のデイサービスでは、以下のような人員基準があり、生活相談員はサービス提供時間を通して1名以上配置が必要となっています。また、看護職員は時間を通しての配置までは求められていませんが、1名以上の配置が必要となっています。

生活相談員の人員配置基準

生活相談員は、指定通所介護の提供を行う時間数に応じて、専ら当該指定通所介護の提供に当たる生活相談員が1名以上確保されるために必要と認められる数
。

看護職員の人員配置基準

看護職員は、専従で1人以上配置が必要。(病院、診療所、訪問看護ステーションと連携し、健康状態の確認を行った場合には、人員配置基準を満たしたものと扱う)

機能訓練指導員の人員配置基準

機能訓練指導員は、専従で1人以上
配置が必要。

デイサービスで人員配置不足、兼務で代われる体制管理

デイサービスの人員配置では基本的に休みのとき代わりができるよう、介護職員と生活相談員の兼務や、管理者と生活相談員の兼務のような形で人員を揃えて置くことが必要です。

病欠や不幸での忌引きのお休みなど、急な欠員がでることは一般的にありえることだからです。どこのデイサービスも人員に余裕がないとは思いますが、このようなときに代替ができるような人員配置ができていない場合は厳しい指導があってもおかしくありません

実地指導で人員不足が指摘されて、監査で人員配置違反で返戻となったという話も聞きます。

原則は、生活相談員の人員基準を満たせていない場合には、営業ができない状態であり、介護報酬を請求する要件を満たせていない状態ということを認識しておく必要があります。

デイサービスの人員欠如減算に該当する介護職員・看護職員の人員不足

介護職員や看護職員の不足は「定員超過・人員欠如の減算」がありますので、こちらも合わせてご確認ください。

看護職員の人員欠如に該当する状態

看護職員の数は、1ヶ月の職員の数の平均を用います。この場合、1ヶ月の職員の平均は、当該月のサービス提供日に配置された延べ人数を当該月のサービス提供日数で除して得た数となっています。

介護職員の人員欠如に該当する状態

介護職員等の数は、利用者数及び提供時間数から算出する勤務延時間数(サービス提供時間数に関する具体的な取扱いは、「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について」(平成十一年九月十七日老企二十五)第 三の六の1(1)を参照すること。)。この場合、一月間の勤務延 時間数は、配置された職員の一月の勤務延時間数を、当該月 において本来確保すべき勤務延時間数で除して得た数とする。

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生活相談員など欠員はできるだけ早く介護保険の窓口に相談

指導や事業者の監理を行なっている行政としては、過剰な制約をしすぎて、ご利用者やその家族に大きな不都合が生じてしまっては困りますし、病気の職員を無理して出勤させて通所介護が原因で感染症が蔓延したりする方が困ってしまいます。

もしも人員配置上必要な職種である生活相談員や看護職員が急病や事故などで欠員になることがわかった場合には、兼務できる職員などでできるだけ調整し、どんなに調整しても困難な場合には介護保険課などにできるだけ早く自分から指導をあおいでしまった方が望ましいです。

兼務できる職員を用意した上で、それでもどうにも調整できない旨を伝えて、行政判断で「営業を中止する」もしくは「例外的に営業する」の判断をしてもらうことが最も健全な手続きであると考えられます。

実地指導の答えは、運営基準や各種通知、実地指導を担当者にしかない

運営基準の内容について実地指導で運営指導があります。

介護保険事業について要項と現実に沿って運営指揮を行なっているのは指定を行なっている都道府県や区市町村などの行政の介護保険事業担当です。また、実地指導を行なっているのも行政の介護保険事業担当です。介護保険の事業である以上、迷ったことは素直に行政機関に相談するのが吉です。相談をしないで事故判断してしまうと責任は事業所の管理者がすべて負う形になりますが、相談をすると正しい見解が得られ、具体的な対応方法やまた同じことが起きた時にどう対策したら良いかも明確になります。

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ICTの利活用でサービスの質と業務効率を同時に高める

2024年の医療介護同時改定では、団塊世代の高齢化を見据え、自立支援を中心とした科学的介護の実現、そしてアウトカムベースの報酬改定に向けて変化しようとしています。

このような時流だからこそ、より一層利用者さまの自立支援に向けた取り組みが重要になります。しかし、個別機能訓練加算をはじめとした自立支援系の加算やLIFE関連加算の算定は、売上アップも見込めるとはいえ、リハビリ専門職の不在や現場負担の問題で取り組みが難しいと考える事業所も多いのではないでしょうか?

その解決策の1つが「介護現場におけるICTの利用」です。業務効率化の意味合いが強い昨今ですが、厚生労働省の定義では「業務効率化」「サービスの質向上」「利用者の満足度向上」の達成が目的であるとされています。

業務効率化だけでなく、利用者一人ひとりの生活機能の課題を解決する『デイサービス向け「介護リハビリ支援ソフト」』を検討してみませんか?

この記事の著者

作業療法士  大久保 亮

リハビリ養成校を卒業後、作業療法士として、通所介護事業所や訪問看護ステーションにて在宅リハビリテーションに従事。働きながら法政大学大学院政策学修士を取得。その後、要介護者、介護現場で働く人、地域住民まで、介護に関わるすべての人が安心していきいきと活躍し続けられる世界の実現を目指して2016年6月株式会社Rehab for JAPANを創業。また、日本介護協会関東支部局副支部長を務める。

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