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介護保険法
2023/03/15
介護保険法
生活機能向上連携加算
更新日:2022/02/28
生活機能向上連携加算は、以前より訪問介護サービスにおいて取れる加算でした。しかし、自立支援や重度化予防という観点から、平成30年度の改定において加算算定できる範囲が拡充されました。この記事では、通所介護における生活機能向上連携加算にフォーカスをあててご説明をしていきます。
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この記事の目次
生活機能向上連携加算は、自立支援介護や重度化防止という観点でできた施策の1つです。
もともとは「訪問介護」サービスに限られた加算でしたが、平成30年度の改定において通所介護やグループホーム、小規模多機能居宅介護など、算定できるサービスの拡充が図られました。
通所リハビリや訪問リハビリ・医療機関(200床以下)に所属する外部のリハビリ職(PT・OT・ST)が連携し、アセスメントや計画書作成を共同で行うことで算定できる加算です。
生活機能向上連携加算の施設基準や算定要件、単位数などの大まかな概要については、生活機能向上連携加算とはどんな加算?平成30年度の介護報酬改定版の記事をお読みいただけたら理解できます。
この記事においては、通所介護(デイサービス)にフォーカスをあてて、どのような対策が必要かお伝えしていきます。
通所介護における生活機能向上連携加算のポイントは、個別機能訓練加算を算定しているかどうかで単位数が変わるという点です。
個別機能訓練加算を算定していない場合:200単位/月
個別機能訓練加算を算定している場合:100単位/月
また、生活機能向上連携加算を算定する場合は、個別機能訓練加算の算定有無に限らず、計画書作成及び各月における評価内容や目標の達成度を、家族・外部のリハ職に報告する必要があります。
以下に、厚生労働大臣が定める基準とその概要を介護サービス事業者 自主点検表(埼玉県)から引用してご説明していきます。
注意:ここでは埼玉県の自主点検表を引用していますが、自治体によって若干の違いがありますので、必ず自分の自治体のものを確認するようにしていください。
ア 指定訪問リハビリテーション事業所又は指定通所リハビリテーションを実施している医療提供施設(病院にあっては、許可病床数が200床未満のもの又は当該病院を中心とした半径4キロメートル以内に診療所が存在しないものに限る)の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士又は医師(以下「理学療法士等」という。)が、当該指定通所介護事業所を訪問し、当該事業所の機能訓練指導員、看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種の者(以下「機能訓練指導員等」という。)と共同してアセスメント(利用者の心身の状況を勘案し、自立した日常生活を営むことができるように支援する上で解決すべき課題を把握することをいう。)、利用者の身体の状況等の評価及び個別機能訓練計画の作成を行なっていること。
イ 個別機能訓練計画に基づき、利用者の身体機能又は生活機能向上を目的とする機能訓練の項目を準備し、機能訓練指導員等が、利用者の心身の状況に応じた機能訓練を適切に提供していること。
ウ 機能訓練指導員等が理学療法士等と連携し、個別機能訓練計画の進捗状況等を3ヶ月ごとに1回以上評価し、利用者又はその家族に対して個別機能訓練の内容と個別機能訓練計画の進捗状況等を説明し、必要に応じて訓練内容の見直し等を行なっていること。
簡単に要約すると、訪問リハビリ・通所リハビリ事業者、疾患別リハビリテーションを算定している200床未満で半径4キロ以内の医療機関のリハビリ専門職(PT・OT・ST)・医師が、3ヶ月に1回以上の頻度で、通所介護施設側の職員(機能訓練指導員等)と共同して評価・計画書の作成を行うことで生活機能向上連携加算を算定することができます。
理学療法士等は、機能訓練指導員等に対し、日常生活上の留意点、介護の工夫等に関する助言を行なってください。
理学療法士等は、ご利用者の心身機能の評価をした上で、ADLやIADLにおける工夫や注意点に関する助言を行うことが求められています。この助言をもとに計画書に反映させていく必要があります。
個別機能訓練計画には、利用者ごとにその目標、実施時間、実施方法等の内容を記載しなければなりません。目標については、利用者又はその家族の意向及び当該利用者を担当する介護支援専門員の意見も踏まえ策定することとし、当該利用者の意欲の向上につながるよう、段階的な目標を設定するなど可能な限り具体的かつ分かりやすい目標としてください。
なお、個別機能訓練計画に相当する内容を通所介護計画の中に記載する場合は、その記載をもって個別機能訓練計画の作成に代えることができます。
また、個別機能訓練加算を算定している場合は、別に個別機能訓練計画を作成する必要はありません。
これは個別機能訓練加算の内容とほぼ同じだと思っていいです。介護支援専門員の意見を踏まえるということは、「居宅サービス計画書」に沿って作成するということと同じですし、個別機能訓練計画に相当する内容を通所介護計画の中に記載する場合は、その記載をもって個別機能訓練計画の作成に代えることというのも、個別機能訓練加算と全く同じ内容となります。
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個別機能訓練計画の進捗計画について、3月ごとに1回以上、理学療法士等が指定通所介護事業所を訪問し、機能訓練指導員等と共同で評価した上で、機能訓練指導員等が利用者又はその家族に対して個別機能訓練計画の内容(評価を含む。)や進捗状況等を説明し記録するとともに、必要に応じて訓練内容の見直し等を行なってください。
各月における評価内容や目標の達成度合いについて、機能訓練指導員等が、利用者又はその家族及び理学療法士等に報告・相談し、必要に応じて当該利用者又は家族の意向を確認の上、理学療法士等から必要な助言を得た上で、当該利用者のADL(寝返り、起き上がり、移乗、歩行、着衣、入浴、排せつ等)及びIADL(調理、掃除、買物、金銭管理、服薬状況等)の改善状況を踏まえた目標の見直しや訓練内容の変更など適切な対応を行なってください。
機能訓練に関する記録は(実施時間、訓練内容、担当者等)は、利用者ごとに保管され、常に当該事業所の機能訓練指導員等により閲覧が可能であるようにしてください。
上記引用について、計画書の見直し期間や方法、管理方法については個別機能訓練加算と同じ内容ですが、1つ注目すべきポイントとして、「各月における」という文言です。評価内容や目標の達成度合いの報告する期間が毎月行わないといけないという点です。
これはかなりの工数を割く必要があり、見落としてしまいがちな点なので覚えておく必要があります。
ここまで、デイサービスにおける生活機能向上連携加算についてご説明をしてきましたが、料金設定については通所リハビリや訪問リハビリ・医療機関とデイサービスでの協議によって決定されます。
実際の医療機関側とデイサービス側の業務量と加算の単価でどの程度の売り上げが見込めるのか。この辺りを考慮して決定されますが、実際にこの加算を取ることがお互いにとってどの程度メリットがあるのかは疑問も残ります。
詳細に調べてはいないので何とも言えないですが、実際にこの加算を算定している事業者は少ないのかもしれません。
問 35
指定通所介護事業所は、生活機能向上連携加算に係る業務について指定訪問リハビリテーション事業所、指定通所リハビリテーション事業所又は医療提供施設と委託契約を締結し、業務に必要な費用を指定訪問リハビリテーション事業所等に支払う ことになると考えてよいか。
(答)
貴見のとおりである。なお、委託料についてはそれぞれの合議により適切に設定する必要がある。
問 36
生活機能向上連携加算は、同一法人の指定訪問リハビリテーション事業所若しくは指定通所リハビリテーション事業所又はリハビリテーションを実施している医療提供施設(原則として許可病床数 200 床未満のものに限る。)と連携する場合も算定できるものと考えてよいか。(答)
貴見のとおりである。 なお、連携先について、地域包括ケアシステムの推進に向けた在宅医療の主たる担い手として想定されている 200 床未満の医療提供施設に原則として限っている趣旨や、リハビリテーション専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)の有効活用、 地域との連携の促進の観点から、別法人からの連携の求めがあった場合には、積極的に応じるべきである。
この記事では、通所介護(デイサービス)における「生活機能向上連携加算」についてご紹介をしましたが、ご理解いただけましたでしょうか。
生活機能向上連携加算と個別機能訓練加算の違いはそれほどないように思いますが、単位の違いや外部のリハ職との連携が必要なことから、算定するにはハードルが高いかもしれません。
ですが、個別機能訓練加算を算定している事業所もプラスアルファの加算として算定できるため、特に法人内の場合は積極的に算定していくことが自立支援介護に向けては必要なのかもしれません。
2024年の医療介護同時改定では、団塊世代の高齢化を見据え、自立支援を中心とした科学的介護の実現、そしてアウトカムベースの報酬改定に向けて変化しようとしています。
このような時流だからこそ、より一層利用者さまの自立支援に向けた取り組みが重要になります。しかし、個別機能訓練加算をはじめとした自立支援系の加算やLIFE関連加算の算定は、売上アップも見込めるとはいえ、リハビリ専門職の不在や現場負担の問題で取り組みが難しいと考える事業所も多いのではないでしょうか?
その解決策の1つが「介護現場におけるICTの利用」です。業務効率化の意味合いが強い昨今ですが、厚生労働省の定義では「業務効率化」「サービスの質向上」「利用者の満足度向上」の達成が目的であるとされています。
業務効率化だけでなく、利用者一人ひとりの生活機能の課題を解決する『デイサービス向け「介護リハビリ支援ソフト」』を検討してみませんか?