BMIの計算方法と標準値|高齢者の平均体重から分かる肥満や低体重

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更新日:2024/04/17

BMI(Body Mass Index)とは「ボディマス指数」とも呼ばれる体格指数のことです。この記事では高齢者の平均体重、BMIの計算方法とBMI数値や標準BMIから判断できる肥満や低体重について簡単にご紹介します。高齢者の肥満や低栄養状態について体重からの出し方を身につけ、不調や病気を早期発見していきましょう。

高齢者の平均体重について

高齢者の男性・女性の平均体重一覧表

ご高齢者の平均体重を知りたい方はいませんか?体重の比較として、まずは総務省の性別と年齢別による日本人の平均体重についてご紹介します。

男性の平均体重

26〜29歳:66.5kg
30〜39歳:69.6kg
40〜49歳:70.4kg
50〜59歳:68.2kg
60〜69歳:64.6kg
70歳以上 :59.9kg

女性の平均体重

26〜29歳:51.8kg
30〜39歳:54.0kg
40〜49歳:54.7kg
50〜59歳:54.1kg
60〜69歳:53.4kg
70歳以上 :50.4kg

しかしながら、これらの体重はご利用者様の身長によって異なるため何かを判断することは難しくなります。では、なぜ医療や介護現場では「体重」を測定するのでしょうか?

1つ目の理由は、体重の急激な増加や現象を客観的に把握することにあります。そのデータから予測される疾患や病気の進行を把握するためです。

2つ目の理由は、体重からBMIを計算することで肥満や低栄養状態を判断するためです。

参照:総務省「平成22年 国民健康・栄養調査」(平成29年9月28日アクセス)

高齢者の体重からBMIを計算してみよう!

高齢者の体重からBMIを計算

BIMとは

BMIとは、ボディー・マス・インデックスの略で、体重と身長の関係から人の肥満度や低体重を示す体格指数です。

では、高齢者の体重からBMIを計算してみましょう。こちらではWHO(世界保健機関)の基準によるBMIの計算方法をご紹介します。

BMIの計算方法

体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m) = BMI(体格指数)

BMI計算の例題

身長160cm、体重60kgの男性のBMIは?

【計算方法】

60(kg) ÷ 1.6(m) ÷ 1.6(m)

【回答】

BMI = 23.4

これらの計算方法からBMIを算出します。このBMIの結果から肥満・標準・低体重を判断することができます。

参照:厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット「BMI」(平成29年9月28日アクセス)

BMIの平均値(標準値)をご紹介

BMI

では実際に、ご高齢者のBMIからみる「標準値」「低体重」「肥満」の判断基準についてご紹介します。

【BMIの判断基準】

低体重:BMI < 18.5標準:18.5 ≦ BMI < 25肥満:25 ≦ BMI

BMI指数22が標準体重

BMIは身長と体重の関係から肥満度および体格を表しています。

標準値の中でもBMI=22に当たる体重が標準的で理想的な体重です。生活習慣病などのかかる可能性が低く、健康を維持するには最も良い体重とされています。BMIでは、体重と身長以外に特別な検査は必要なく簡単に計算することができますが、筋肉量や水分量などは人によっても異なるので、肥満度の判断としては信憑性が高くないことがデメリットです。

BMIから分かること

ここからは、BMIの数値から具体的に分かることについて2つご紹介します。

(1)肥満

日本肥満学会 BMI(体格指数)による肥満症の判定基準表

日本肥満学会が提唱している、BMI(体格指数)による肥満症の診断基準を確認してみましょう。性別にかかわらず、BMIが18.5以上25未満が「標準体重」、BMIが25以上が「肥満」と判定されます。ちなみに日本人の成人でBMI35以上の高度な肥満は、0.2~0.3%とされています。

【肥満症の診断基準】

低体重 :BMI < 18.5標準体重:18.5 ≦ BMI < 25肥満度Ⅰ  :25 ≦ BMI < 30肥満度Ⅱ :30 ≦ BMI < 35肥満度Ⅲ:35 ≦ BMI < 40肥満度Ⅳ:40 ≦ BMI

また、肥満症の診断に必須となる合併症は、以下の11種類です。

【肥満関連疾患】

※下記のうち 1 つ以上の健康障害を有する。耐糖能障害

  • 脂質異常症
  • 高血圧
  • 高尿酸血症・痛風
  • 冠動脈疾患
  • 脳梗塞
  • 脂肪肝
  • 月経異常及ひ妊娠合併症
  • 睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群
  • 整形外科的疾患
  • 肥満関連腎臓病

高齢になり介護が必要になった特に肥満だと家族など介護する側に負担が大きくなります。また、肥満は心不全や変形性膝関節症になるリスクも高くなるとされています。介護が必要となったとき、高齢者が肥満だと、介護する方にも大きな負担がかかります。また、肥満の高齢者は、心臓に負担がかかりやすく、心不全になるリスクも高くなります。

そのため、ご高齢者の体重を測定した場合は、この「BMIの数値」も合わせて計算し、適正体重を維持できるように指導しておいましょう!

(2)低体重(低栄養)

低いBMI 低体重(低栄養)のイラスト

一方でBMIの数値が「BMI<18.5」の場合は、「低体重」と「低栄養」を判断することができます。NILS-LSA(国立長寿医療研究センター)による老化に関する長期縦断疫学研究では、虚弱高齢者(サルコペニア)の簡易基準として以下の方法を規定しています。

【サルコペニアの簡易基準】

  1. 普通歩行速度1m/s未満、もしくは握力が男性25kg未満、女性20kg未満である場合
  2. BMI 18.5未満もしくは下腿周囲長30cm未満である場合

実は、高齢者の肥満死亡の原因には直接的な関連性は低く、むしろ痩せている場合に死亡リスクとの関連性が高いと報告されています。

低体重の場合は、過体重に比べて死亡リスクが「2.9倍」となった。
低体重の場合は、標準体重に比べて総死亡率が「1,37倍」となった。
低体重の場合は、心血管疾患による死亡率が「1,45倍」となった。

そのため、高齢者の体重からBMIを計算し、肥満をチェックするだけでなく、むしろ低体重の方々を早期に発見し、指導できることが重要になります。

▼日本の75歳以上の約22%はサルコペニアとされています。高齢者の運動を指導する上で大切な「サルコペニアと栄養」の知識を詳しく知りたい方はこちらの記事がお勧めです。

【関連記事】
サルコペニアの評価とは|原因と症状・筋力低下を防ぐ運動・栄養の取り方

BMIを把握し健康管理につなげよう

BMI

ご高齢者の体重を定期的に測定する重要性は理解していただけましたか。

高齢者の体重は、ただ増減を把握するだけでなく、BMIの値を合わせて算出することで「肥満」と「低体重(低栄養)」を早期に発見することができます。

  • 肥満の高齢者は、心不全になるリスクが高くなる
  • 低体重の高齢者は、死亡のリスクが高くなる

最低限この2点を把握することで、それぞれにあった運動指導や栄養指導を行い、適正体重を維持できるよう心がけて行きましょう!

体重を把握することが高齢者の介護予防の第一歩です。

【最後に筆者より】
リハプランでは、今回ご紹介した「高齢者の体重」以外にも介護現場で知っておきたい身体機能評価についてリハビリの専門家がご紹介しています。興味がある方はぜひこちらの記事もご覧ください。

デイサービス運営において必要な「評価・測定」について、一挙にまとめていますので、必要に応じて活用していただければと思います。

→→ 【完全保存版】デイサービスで活用できる評価・測定に関する記事まとめ|随時更新

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この記事の著者

作業療法士  大屋 祐貴

作業療法士として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーション技術を高めるために研修会の立ち上げ等を行う。

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