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運営ノウハウ
2023/02/01
運営ノウハウ
評価
更新日:2022/02/22
認知症テストで知られるMMSE(ミニメンタルステート検査)とはどんな評価方法か知っていますか?MMSEとは、認知機能の中でも言語的能力や図形的能力(空間認知)を含め簡易に検査できる満点で30点のテストです。今回は、認知症のテストとして世界的に活用されているMMSEの評価方法やカットオフ値、点数(score)の採点ポイントについて文献をもとにまとめてご紹介します。医療・介護現場で働く皆さんの基礎知識として把握しておきましょう。
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この記事の目次
MMSEとは、Mini Mental State Examination(ミニメンタルステート検査)の略語で、日本語では「精神状態短時間検査」と呼ばれる認知症のスクリーニングテストです。
もともと世界的に最も広く使用されている認知症のスクリーニング検査で、2006年に新たに日本版であるMMSE-J(翻訳、翻案、杉下守弘)が作成され、日本においても認知症の検査として広まりました。
MMSEの評価項目は11問で、所要時間は10〜15分程度で認知症の疑いを判断することができます。
MMSEとともに認知症のスクリーニング検査として知られている評価方法に「HDS-R」があります。HDS-Rは、1991年に改訂長谷川式簡易知能評価スケールとして改訂されており、MMSEに比べ、口頭での質問事項のみで検査ができるのが特徴的です。日本の医療・介護現場ではHDS-Rを活用することが多いようです。
▼HDS-R(長谷川式)についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
【関連記事】 HDS-Rとは?長谷川式簡易知能評価スケールの評価と採点ポイント 認知症のテストの1つ「HDS-R」の評価項目や採点・判定方法について詳しくご紹介します |
MMSEの評価項目は、上図のような評価票を用いて、11つの検査から構成されています。それぞれの項目に時間の見当識、場所の見当識、即時想起、注意と計算能力、遅延再生(短期記憶)、言語的能力、図形的能力(空間認知)といった7つの認知機能を評価するために重要な要素が含まれています。
【MMSEの評価項目】
▼MMSEの評価表はこちらからダウンロードできます。
Mini-Mental State Examination
MMSEの評価は、全11項目の検査があり、30点満点です。
21点以下/30点:認知症の疑いがあると判断
22〜26点/30点:軽度認知障害(MCI)の疑いがあると判断
※ただし、この検査はスクリーニングテストの役割があるだけで、認知症や軽度認知障害(MCI)と診断されるものではまりません。あくまでも認知機能の低下の早期発見などの役割があるだけです。もし、不安であれば専門病院で血液検査や脳の CT・MRI で二次性の脳機能低下を除外することが必要です。
MMSEは、認知症の疑いを把握することができる簡易な検査で、評価をする前に以下の物品を準備することですぐに検査を始めることができます。
MMSEの評価をする上での注意点を3つご紹介します。
それでは、ここからはMMSE評価の11項目に沿って具体的な評価方法・点数(score)を採点するポイントをご紹介します。
まず、「時間の見当識」の検査として以下の4つの質問を行います。
(1)時間の見当識
【 点数 | 問い 】
1点 or 0点:今日は何日ですか
1点 or 0点:今年は何年ですか
1点 or 0点:今の季節は何ですか
1点 or 0点:今日は何曜日ですか
1点 or 0点:今日は何月ですか
【MMSEの評価ポイント】
次に、MMSEの2つ目の評価項目の「場所の見当識」の質問を5つ行います。
(2)場所の見当識
【 点数 | 問い 】
1点 or 0点:ここは何県ですか
1点 or 0点:ここは何市(町・村・区など)ですか
1点 or 0点:ここはどこですか(施設や建物の名前など)
1点 or 0点:ここは何階ですか
1点 or 0点:ここは何地方ですか
【MMSEの評価ポイント】
次に、MMSEの3つ目の評価項目の「即時想起(記銘)」の課題を1つ行います。
(3)即時想起(記銘)
【問い】
⑴私がこれから言う言葉を繰り返し言ってください。
⑵今の言葉は、後で聞くので覚えておいてください。
【点数】
1点 or 0点:桜
1点 or 0点:猫
1点 or 0点:電車
【MMSEの評価ポイント】
続いて、MMSE評価の中でも「注意と計算能力」を評価する課題を行います。
(4)注意と計算能力
【問い】
⑴「100から順に7をくり返し引いてください」
⑵ 答えられたら「それからまた7を引くと?」と5回繰り返す
【点数】
1点 or 0点:93
1点 or 0点:86
1点 or 0点:79
1点 or 0点:72
1点 or 0点:65
【MMSEの評価ポイント】
次に、「遅延再生(短期記憶)」を評価するMMSEの課題を行います。
(5)遅延再生(短期記憶)
【問い】
さっき私が覚えてもらった言葉は何でしたか?
※設問3で覚えてもらった3つの言葉
【点数】
1点 or 0点:桜
1点 or 0点:猫
1点 or 0点:電車
【MMSEの評価ポイント】
次に、「物品呼称」を評価するMMSEの課題を行います。
(6)呼称
【問い】
⑴時計(又は鍵)を見せながら「これは何ですか?」
⑵鉛筆を見せながら「これは何ですか?」
【点数】
1点 or 0点:時計または鍵
1点 or 0点:鉛筆またはペン
【MMSEの評価ポイント】
続いて「読字・復唱」を評価するMMSEの課題を行います。
(7)読字・復唱
【問い】
今から私が言う文章をくり返して言ってください「みんなで、力を合わせて綱を引きます」
【点数】
1点 or 0点:みんなで、力を合わせて綱を引きます
【MMSEの評価ポイント】
続いて、MMSEの8つ目の「言語理解」の課題を実施します。
(8)言語理解
【 点数 | 問い 】
1点 or 0点:右手にこの紙を持ってください
1点 or 0点:それを半分に折りたたんでください
1点 or 0点:それを私にください
【MMSEの評価ポイント】
続いて、MMSEの9つ目の課題である「文章の理解」を実施します。MMSEの評価項目のうち、9問目、10問目、11問目は用紙を相手に提示する設問のため別用紙として印刷しておくことをオススメします!
(9)文章理解
【問い】
この文を読んで、この通りにしてください「目を閉じてください」
【点数】
1点 or 0点:実際に目を閉じれば1点を与える
【MMSEの評価ポイント】
音読でも黙読でも構わない。
続いて「文章構成」の課題を提示します。
(10)文章構成
【問い】
「ここに何か文章を書いてください」と指示し、MMSEの評価用紙と鉛筆を渡します。
【点数】
1点 or 0点:文章が書ければ1点を与える
【MMSEの評価ポイント】
最後に、MMSEの11項目である「図形的能力(空間認知)」の課題を実施します。
(11) 図形的能力(空間認知)
【問い】
「この図形を正確にそのまま書き写してください」と指示し、MMSEの評価用紙と鉛筆を渡します。
【点数】
1点 or 0点:図形が正しく書ければ1点を与える
【MMSEの評価ポイント】
MMSEの評価以外にもさまざまな認知症の評価・判定方法があります。その一部をご紹介します。
テスト名 | 詳細 |
---|---|
長谷川式認知症スケール(HDS-R) | 長谷川式認知症スケール(HDS-R)は、認知症のスクリーニングテストとして日本で主流の見当識や記憶など9項目の検査です。※所要時間は約5〜10分程度です。※カットオフ値は、30点満点中で20点以下の方を認知症の疑いが判定される。詳しくは「長谷川式認知症スケール(HDS-R)の評価方法と採点」で。 |
Mini-Cog | Mini-Cogは、3語の即時再生と遅延再生と時計描画を組み合わせたスクリーニング検査です。※所要時間は2分程度です。※カットオフ値は、2点以下で認知症疑いが判定されます。 |
MoCA | MoCAまたはMoCA-J(Japanese version of MoCA)は、視空間・遂行機能、命名、記憶、注意力、復唱、語想起、抽象概念、遅延再生、見当識を組み合わせたスクリーニング検査です。※所要時間は10分程度です。※カットオフ値は、25点以下がMCI(軽度認知症)と判定されます。MoCAはMMSEよりも糖尿病患者の認知機能障害を見出すことができるのが特徴です。 |
DASC-21(地域包括ケアシステムにおける認知症アセスメントシート) | DASC-21は、認知機能障害と生活機能障害(社会生活の障害)に関連する行動の変化を評価する尺度で、21項目の質問の検査です。※所要時間は5〜10分程度です。 |
名前 | 詳細 |
---|---|
認知症高齢者の日常生活自立度 | ご高齢者の認知症の状態について、日常生活の自立度を9段階で簡単に判断する評価です。「障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)」とともに、介護保険の要介護認定などの認定調査や主治医意見書などに活用されています。 |
これまでMMSEの評価項目やカットオフ値について詳しくご紹介しました。
日本の高齢化率は2025年に向かって増え続け、それに伴って認知症の数もどんどん増えていくと思われます。そのためこれらの介護現場ではMMSEを活用して、認知症の早期発見に務めていくことも重要となるのではないでしょうか?
今回のMMSEの評価・採点方法が医療・介護現場で働くスタッフの皆さんの参考になれば幸いです。
【最後に筆者より】
平成30年度の介護報酬改定では、ご高齢者の「自立支援」がさらに重要視されています。
リハプランでは、MMSEの評価方法の他にもデイサービスや特定施設、特別養護老人ホームなどの介護現場で取り組める機能訓練についてもたくさんご紹介しています。
ご利用者様に「どんな計画を立てたらいいの?」「どんな機能訓練をしたらいいの?」などお悩みがありましたらリハビリの専門家に直接相談することもできます。ぜひお気軽にご連絡ください。
デイサービス運営において必要な「評価・測定」について、一挙にまとめていますので、必要に応じて活用していただければと思います。
→→ 【完全保存版】デイサービスで活用できる評価・測定に関する記事まとめ|随時更新
2024年の医療介護同時改定では、団塊世代の高齢化を見据え、自立支援を中心とした科学的介護の実現、そしてアウトカムベースの報酬改定に向けて変化しようとしています。
このような時流だからこそ、より一層利用者さまの自立支援に向けた取り組みが重要になります。しかし、個別機能訓練加算をはじめとした自立支援系の加算やLIFE関連加算の算定は、売上アップも見込めるとはいえ、リハビリ専門職の不在や現場負担の問題で取り組みが難しいと考える事業所も多いのではないでしょうか?
その解決策の1つが「介護現場におけるICTの利用」です。業務効率化の意味合いが強い昨今ですが、厚生労働省の定義では「業務効率化」「サービスの質向上」「利用者の満足度向上」の達成が目的であるとされています。
業務効率化だけでなく、利用者一人ひとりの生活機能の課題を解決する『デイサービス向け「介護リハビリ支援ソフト」』を検討してみませんか?
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