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運営ノウハウ
2023/02/01
運営ノウハウ
評価
更新日:2022/02/22
認知症テストで知られる長谷川式認知症スケール(HDS-R)評価方法、点数の付け方、カットオフなどを知っていますか?年齢、見当識、記憶、計算、逆唱、語想起などの評価項目を質問するHDS-Rは、改訂長谷川式簡易知能評価スケールと呼ばれていました。日本の医療・介護現場で幅広く活用されている認知症の簡易な検査である長谷川式認知症スケール(HDS-R)の評価方法や採点ポイント、MMSEとの違いご紹介します。
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この記事の目次
HDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール)とは、認知症の疑いや認知機能の低下を早期に発見することができるスクリーニングテストです。
認知症テストであるHDS-Rの評価方法は、もともと1974年に長谷川氏が開発し、1991年に「改訂長谷川式簡易知能評価スケール」として質問項目と採点基準等の改訂がされて現在の評価項目となりました。
従来、認知症のことを痴呆症と呼んでいましたが、認知症という言葉に統一したことに伴い、現在は「長谷川式認知症スケール」という名称となり、日本では「長谷川式」や「エイチディーエスアール(hds-r)」と呼ばれていることが多いようです。
文献等では現在も長谷川式簡易知能スケールという名称が使用されているため、記事上も混在しておりますがご了承ください。
HDS-Rの評価項目は、見当識や記憶など9項目で、30点満点中で20点以下の方を認知症の疑いが高いと判断されます。
参照:加藤 伸司「改訂 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)の使い方」(平成29年8月31日アクセス)
HDS-Rの所要時間は、5分〜10分程度です。
そのため、医療現場で働く医師だけでなく、介護現場で働く看護師やリハビリスタッフ(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)、介護職員などが評価を行うなど幅広い領域で活用されています。
HDS-R(長谷川式)とともに認知症のスクリーニング検査として知られている評価方法に「MMSE」があります。
MMSEとは、ミニメンタルステート検査(Mini Mental State Examination)の略称で、見当識・記憶力・計算力・言語能力・図形的能力を含めた認知機能をテスト形式で30満点で評価します。
日本ではHDS-R(長谷川式)とMMSEの2つの認知症テストが、医療・介護現場で活用されていますが、MMSEは世界標準のテストとして普及しています。
MMSEの評価は「11問」で、所要時間は「10〜15分」程度で認知症の疑いを判断することができます。
▼MMSEについてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
【関連記事】 MMSEとは?MMSEの評価とカットオフ値、採点の基礎知識【総論】 認知症のテストとして世界的に活用されているMMSEの評価方法やカットオフ値、採点ポイントについてまとめてご紹介します |
▶︎PDFのダウンロードはこちらからできます
HDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール)は、9つの評価項目から構成されています。それぞれの項目に見当識や記憶、計算など認知機能を評価するために重要な要素が含まれています。
▼上図のHDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール)のひな形はこちらからダウンロードできます。ぜひご活用ください。
【HDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール)ひな形】はこちらからダウンロード
HDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール)は、全9項目の30点満点で採点します。
ここでは、HDS-R(長谷川式)のカットオフ値をご紹介します。
20点以下/30点:認知症の疑いがあると判断される
※ただし、この点数だけで認知症と診断されるものではありません。あくまでも疑いがあるというスクリーニングテストとしての判断ができるだけです。もしも、認知症の疑いがあれば、医療機関できちんと診断してもらうことをお勧めします。
HDS-R(長谷川式)は、基本的には認知症のスクリーニングテストを目的に作成されたもので得点による重症度分類は行われません。しかしながら、様々な論文より重要度の研究も行われています。その一例をご紹介します。
–認知症の重症度別の平均得点(図解理学療法検査・測定ガイドより)–
では、HDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール)の評価をする前に準備・確認するものをご紹介します。事前に以下の物品を準備することですぐに検査を始めることができます。
実際に、HDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール)の評価を行う場合の注意点をお伝えしておきます。
それでは、ここからはHDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール)評価の9項目に沿って具体的な評価方法を解説していきます。
まず、「年齢」の検査を行います。
(1) 年齢
【問い】
「年齢はいくつですか?」と質問する
【点数】
1点 or 0点:本人の年齢が答えられたら正解
【HDS-Rの評価ポイント】
次に、HDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール)の評価の中でも「日付の見当識」の検査を行います。
(2) 日付の見当識
【問い】
⑴今日は何年ですか
⑵何月ですか
⑶何日ですか
⑷何曜日ですか
【点数】
1点 or 0点:年が答えられたら正解
1点 or 0点:月が答えられたら正解
1点 or 0点:日にちが答えられたら正解
1点 or 0点:曜日が答えられたら正解
【HDS-Rの評価ポイント】
続いて、「場所の見当識」を評価するHDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール)の検査を行います。
(3) 場所の見当識
【問い】
「私たちが今いるところはどこですか?」と質問する
【点数】
2点:自発的に正解する
1点:家ですか?病院ですか?施設ですか?などのヒントより選択して正解する
0点:いずれも間違える
【HDS-Rの評価ポイント】
続いて、HDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール)の課題として「即時記憶」の検査を実施します。
(4)即時記憶
【問い】
⑴「これから言う3つの言葉を言ってみてください」と指示し「桜・猫・電車」または「梅・犬・自動車」を提示する
⑵答え終わったら「後でまた聞きますのでよく覚えておいてください」と指示する
【点数】
1点 or 0点:「桜」と答えたら正解
1点 or 0点:「猫」と答えたら正解
1点 or 0点:「電車」と答えたら正解
【HDS-Rの評価ポイント】
続いて、HDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール)の課題として「計算」の検査を行います。
(5)計算
【問い】
⑴「100から7を順番に引いてください」と指示する
⑵計算ができたら「それからまた7を引くと」と指示する
【点数】
1点 or 0点:「93」と答えられたら正解
1点 or 0点:「86」と答えられたら正解
【HDS-Rの評価ポイント】
続いて、HDS-R(長谷川式認知症スケール)の6つ目の課題として「逆唱」の検査を行います。
(6) 逆唱
【問い】
「私がこれから言う数字を逆から行ってください」と指示します。
⑴「6-8-2」
⑵「3-5-2-9」
【点数】
1点 or 0点:「2-8-6」と答えられたら正解
1点 or 0点:「9-2-5-3」と答えられたら正解
【HDS-Rの評価ポイント】
続いて、HDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール)の7つ目の課題として「遅延再生」の評価を行います。
(7) 遅延再生
【問い】
「先ほど覚えてもらった言葉をもう一度言ってみてください」と問4で覚えてもらった「桜、猫、電車」または「梅、犬、自動車」を答えてもらう。
【点数|問い】
1点 or 0点:「桜」と答えられたら正解
1点 or 0点:「猫」と答えられたら正解
1点 or 0点:「電車」と答えられたら正解
【HDS-Rの評価ポイント】
続いて、HDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール)の8つ目の課題として「視覚記憶」の評価を行います。
(8) 視覚記憶
【問い】
「これから5つの品物を見せます、それを隠しますので何があったか言ってください」と指示し、5つ物品を提示します。
【点数|問い】
1点 or 0点:5つのうち1つの物品名を思い出せたら正解
1点 or 0点:5つのうち1つの物品名を思い出せたら正解
1点 or 0点:5つのうち1つの物品名を思い出せたら正解
1点 or 0点:5つのうち1つの物品名を思い出せたら正解
1点 or 0点:5つのうち1つの物品名を思い出せたら正解
【HDS-Rの評価ポイント】
最後にHDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール)の10つ目の課題である「語想起・流暢性」の評価を行います。
(9) 語想起・流暢性
【問い】
「知っている野菜の名前をできるだけ多く言ってください」と指示する。
【点数|問い】
0点:0〜5個以内しか答えられない場合
1点:6個を答えられた場合
2点:7個を答えられた場合
3点:8個を答えられた場合
4点:9個を答えられた場合
5点:10個を答えられた場合
【HDS-Rの評価ポイント】
HDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール)の他にも認知症のテストとして類似する検査に、MMSEがあります。
MMSE | HDS-R | |
---|---|---|
検査項目 | 11項目 | 9項目 |
検査内容 | 見当識即時想起注意と計算能力遅延再生(短期記憶)言語的能力図形的能力(空間認知) | 見当識即時記憶計算力遅延再生(記憶力)視覚記憶語想起・流暢性 |
判定方法 | 21点以下/30点満点が認知症の疑い22〜26点/30点満点が軽度認知障害(MCI)の疑い | 20点以下/30点満点が認知症の疑い |
MMSEの場合、検査に図形模写などの動作性のテストを含むため、ペンを握ったり字が書けることが大前提となります。そういった面では、HDS-Rは口頭での質問事項で検査ができるので比較的容易にテストをすることができます。
さらに、評価項目の違いを見てみると、MMSEは「口頭指示」「書字」「図形模写」など、言語機能や空間認知機能を必要とする項目があります。これらの認知機能の低下は、主に脳血管性認知症などに現れやすい項目のため、MMSEの点数が極端に低い場合は、脳血管性認知症の疑いがあると考えることができます。
一方、HDS-Rは「記憶力」を中心とした質問形式で構成されています。そのため、HDS-Rの点数が低い場合は、アルツハイマー型認知症の可能性を疑うことができます。
HDS-RやMMSEの他に認知症テストには、どのようなものがあるのかご存知でしょうか?ここでは、その他のさまざまな認知症テストをご紹介します。
Mini-Cogは、3語の即時再生と遅延再生と時計描画を組み合わせたスクリーニング検査で、所要時間は2分程度です。カットオフ値は、2点以下で認知症疑いが判定されます。
MoCA(Montreal Cognitive Assessment)またはMoCA-J(Japanese version of MoCA)は、視空間・遂行機能、命名、記憶、注意力、復唱、語想起、抽象概念、遅延再生、見当識を組み合わせたスクリーニング検査で、所要時間は10分程度です。カットオフ値は、25点以下がMCI(軽度認知症)と判定されます。MoCAはMMSEよりも糖尿病患者の認知機能障害を見出すことができるのが特徴です。
DASC-21(地域包括ケアシステムにおける認知症アセスメントシート)は、認知機能障害と生活機能障害(社会生活の障害)に関連する行動の変化を評価する尺度で、21項目の質問の検査のため所要時間は5〜10分程度です。
※これらの認知症テストは、いずれもスクリーニング検査のため、検査の目的、所要時間などの施設の状況に応じて検査を選択してください。
▼認知症の判定基準に「認知症高齢者の日常生活自立度」があります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
【関連記事】 認知症高齢者の日常生活自立度とはなに?初心者でも分かる判定基準 認知症高齢者の日常生活自立度の判定基準に基づいて、各ランクがどのような基準になっているのかわかりやすくまとめてご紹介します。 |
HDS-Rの評価方法やカットオフ値はご理解いただけましたか?
団塊の世代が75歳以上を迎える2025年には、日本の高齢化率はますます高くなります。それに伴い認知症の疑いを検査するHDS-RやMMSEの検査の頻度も増えてくることが予想されます。今のうちから正しい評価方法を理解して、現場で測定できる力をつけていきましょう!
デイサービス運営において必要な「評価・測定」について、一挙にまとめていますので、必要に応じて活用していただければと思います。
→→ 【完全保存版】デイサービスで活用できる評価・測定に関する記事まとめ|随時更新
【最後に筆者より】
平成30年度の介護報酬改定では、ご高齢者の「自立支援」が重要視されています。
リハプランでは、今回紹介したHDS-Rの評価方法以外にも、デイサービスや特養など介護現場で取り組める評価方法や機能訓練についてご紹介しています。「どんな機能訓練をしたらいいの?」「どんな計画を立てたらいいの?」などお悩みがありましたらリハビリの専門家に直接相談することもできます。ぜひ一度ご相談ください♬
2024年の医療介護同時改定では、団塊世代の高齢化を見据え、自立支援を中心とした科学的介護の実現、そしてアウトカムベースの報酬改定に向けて変化しようとしています。
このような時流だからこそ、より一層利用者さまの自立支援に向けた取り組みが重要になります。しかし、個別機能訓練加算をはじめとした自立支援系の加算やLIFE関連加算の算定は、売上アップも見込めるとはいえ、リハビリ専門職の不在や現場負担の問題で取り組みが難しいと考える事業所も多いのではないでしょうか?
その解決策の1つが「介護現場におけるICTの利用」です。業務効率化の意味合いが強い昨今ですが、厚生労働省の定義では「業務効率化」「サービスの質向上」「利用者の満足度向上」の達成が目的であるとされています。
業務効率化だけでなく、利用者一人ひとりの生活機能の課題を解決する『デイサービス向け「介護リハビリ支援ソフト」』を検討してみませんか?
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