身体介護とは?在宅生活を支えるホームヘルパーの仕事内容をご紹介

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更新日:2024/04/15

ホームヘルパーの仕事である身体介護とは、どのようなことをするのでしょうか?身体介護とは、訪問介護員(ホームヘルパー)がご利用者の自宅に訪問し、身体的介助を中心に、実際にお身体に触れたりすることで行うサービスです。本稿では、ホームヘルパーのお仕事である「身体介護」に着目し、その仕事内容についてまとめてご紹介します。

身体介護とは

身体介護とは、訪問介護員(ホームヘルパー)がご利用者の自宅に訪問し、身体的介助を中心に、実際にお身体に触れたりすることで行うサービスのことを指します。

主に「セルフケアと言われる身の回りの動作」や「基本動作と言われる寝返りや起き上がり、立ち上がり、歩行」などの援助を行います。

主な対象者は介護保険を受けている方のため、日常生活に何らかの支障を感じており、ホームヘルパーは、そのようなご高齢者の方のフォローアップをする大切な仕事です。
身体介護のポイントはあくまでも「自立支援」です。ご利用者様にできることはしてもらいましょう家政婦ではなく、プロとしての自覚を持ち関わっていきましょう。


【厚生省老人保健福祉局老人福祉計画課長の通知】
・身体介護とは
(1)利用者の身体に直接接触して行う介助サービス(そのために必要となる準備、後かたづけ等の一連の行為を含む)
(2)利用者の日常生活動作能力(ADL)や意欲の向上のために利用者と共に行う自立支援のためのサービス
(3)その他専門的知識・技術(介護を要する状態となった要因である心身の障害や疾病等に伴って必要となる特段の専門的配慮)をもって行う利用者の日常生活上・社会生活上のためのサービスいう。(仮に、介護等を要する状態が解消されたならば不要となる行為であるということができる。)

※ 例えば入浴や整容などの行為そのものは、たとえ介護を要する状態等が解消されても日常生活上必要な行為であるが、要介護状態が解消された場合、これらを「介助」する行為は不要となる。同様に「特段の専門的配慮をもって行う調理」についても、調理そのものは必要な行為であるが、この場合も要介護状態が解消されたならば、流動食等の「特段の専門的配慮」は不要となる。

参照:厚生省老人保健福祉局老人福祉計画課長の通知「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」

身体介護の仕事内容について

身体介護の仕事内容は、日常生活動作(ADL)(※1)の中でも以下の10つ項目を支援していきます。

  1. 食事介助
  2. 排泄介助
  3. 入浴介助(清拭介助)
  4. 更衣介助
  5. 整容介助
  6. 移乗介助
  7. 移動介助
  8. 体位変換介助
  9. 服薬介助
  10. 通院・外出介助

次章より、それぞれの身体介護についてについて一緒に考えていきましょう。
 

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身体介護における食事介助とは

身体介護における食事介助とは、様々な病気や怪我などの何らかの要因により食事を自立してできない方への援助を行うものです。人間にとって食事をするということは、栄養摂取し、生命を維持することに直結します。また食事は「食べる楽しみ」があり、人間の3大欲求の一つでもあります。

食事を介助するということは、命をつなぐこと。そしてQOLを高める活動ということ。この認識を持つことが食事介助のポイントです。

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身体介護における排泄介助とは

身体介護における排泄介助とは、人の尊厳に関わり、また介護の頻度が高く、要介護者の状態に合わせて行う必要があるため、家族介護者の日常生活に大きな影響を与えます。

ご家族においてはトイレ介助の介護負担から睡眠不足や外出困難など、メンタル面も含め生活に支障が生じることも多いです。特に要介護者が、下痢傾向と便秘の場合には、介護者の社会・経済的負担を高めるとされており、便秘解消運動なども含めた指導を行っていくことが望ましいでしょう。

介護現場では、トイレまでの誘導に始まり、衣服の着脱・排泄後の後始末など、一連の排泄動作を安全に行えるようにします。もちろん寝たきりの方であれば、オムツ交換やポータブルへの移乗動作の援助や見守りまで、お身体の状況によって介助する内容が異なります。

参照:堤千代,山崎律子,井手三郎他,2005,訪問看護サービスを利用している主介護者の介護負担の要因 日常生活場面を中心に,聖マリア学院紀要,20,37-40

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身体介護における入浴介助(清拭介助)とは

身体介護における入浴動作とは、(1)脱衣所まで移動し、(2)衣服を脱ぎ、(3)脱衣所から浴室内へ移動し、(4)体を洗い、(5)浴槽へ入り(浴槽をまたぐ)、(6)湯につかり、(7)浴槽から出て(浴槽をまたぐ)、(8)浴室から脱衣所に戻り、(9)体を拭き、(10)衣服を着て、(11)居室へ戻るという非常に工程の多い動作です。

水に濡れた環境で介護を行うため、転倒のリスクが高く介助者の負担も大きくなります。特に浴槽のまたぎ動作は難しい場合が多く、お身体や浴室設備などの条件によって、どの程度身体を介助するのかはそれぞれ異なるため、実態としてしないケースも多いのではないでしょうか。

主に上記のような全身入浴と、手浴・足浴・洗髪などの部分入浴、清拭も入浴介助に含まれます。

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身体介護における更衣介助とは

身体介護における更衣介助とは、寝間着や下着、外出着などの衣服の脱着・着替えのお手伝いを行います。

要介護者の方において腰の後ろに手が回りにくくなったり、ボタンの付け外しがしづらくなるなど、日常生活に支障をきたす場合があります。介護する側においては、してあげた方が早いため、全てを手伝ってしまうこともあるとは思います。しかし、できる限り本人にしていただき、できない部分を手伝うことで、介護者がいない場合でも自分一人でできるようになることを目指しましょう。これが「自立支援」の立場に立ったプロの更衣介助と言えます。

靴下がご自分で履けない方はソックスエイドなどの補助具の活用を促しながら自立した生活を目指しましょう!

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身体介護における整容介助とは

身体介護における整容動作とは、顔を洗う、歯を磨く、髭を剃る、整髪をする、化粧の5つがあります。

整容介助は、口腔ケアなど清潔保持としてだけでなく、お化粧や髭剃りをして身なりを整えることは、人に逢うなど前向きな気持ちを促すだけでなく、生活の質(QOL)を高めてくれる大切な活動です。いつまでもご自身で取り組めるように支援していきましょう。

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身体介護における移乗介助とは

身体介護における移乗介助には、(1)ベッド↔︎車椅子、(2)ベッド↔︎ポータブルトイレ、(3)車↔︎車椅子など場所から場所へ移動する際のお手伝いを行います。

介助者においては、前かがみ姿勢での移乗動作を頻回に行いますので腰痛が職業病の一つとなっています。腰痛になっていな人でも予防目的でコルセットなどの着用を行ってみてはいかがでしょうか。また、腰のストレッチなども日常的に行うなど、自己メンテナンスをしていきましょう

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身体介護における移動介助とは

身体介護における移動介助とは、足腰の力が弱っている方やなんらかのお病気で歩行が困難になっている方の歩行介助のことをいいます。

脳梗塞などで半身麻痺がある場合には、介助者は原則として麻痺がある側に立ちます。どの身体介護でも同じですが、あくまでも「自立支援」を目標に必要最低限の介護を心がけましょう。できるかぎりご高齢者ご自身の力を使っていただくことは、生きる意欲や自立を高めることにつながります。介護が難しい場合は、適切な福祉用具を利用するのもひとつの方法です。

身体介護における体位変換とは

身体介護における体位変換とは、寝たきりの方を中心に定期的に体の向きを変えたりする介護をいいます。

主な目的は床ずれ(褥瘡)予防であり非常に重要な身体介護です。褥瘡とは、同じ部位に長い時間の圧がかかることにより、皮膚の細胞に十分な酸素や栄養が行き渡らなくなり、ひどい場合は皆さんのコブシ程度の穴がお尻できることもあります。

※上の図は褥瘡ができやすい部位を示しています。日々の介助の中で、「赤くなっていないか」「皮膚がすりむけていないか」

また、ベッドだけを想像しているかもしれません。しかし、重度介護者で自らお尻の位置を調整できない方も、体位変換の必要性があることを認識しておきましょう。私たちも長時間同じ姿勢で座っているとお尻が痛くなります。車椅子の方も全く同じです。定期的に立ち上がり介助をするように心がけましょう!

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身体介護における服薬介助とは

身体介助における服薬介助とは、ご利用者様の薬を飲ませたり、内服薬が飲まれているか、また管理できているかなどを確認することを言います。

介護現場で働いていると独居高齢者によく見うけられることとして、薬の飲み忘れがあります。独居高齢者において軽い認知症を伴うと、自分で服薬管理ができずに飲み忘れてしまい、お薬の袋がどんどん自宅に溜まっていくのです。

薬の管理状況などに対処するため、介護保険制度では「薬剤師による居宅療養管理指導」という制度もあります。服薬を自分でコントロールする方なども現場ではいると思います。介護の立場からではなく、専門的な立場からご本人に行ってもらうことで、納得もしてもらえることも多いので、怠薬や誤薬が多い場合にはケアマネに伝えましょう。また、薬を数種類飲むご高齢者は誤薬も多いので、薬局に相談し、「一包化」してもらうことで管理がかなり楽になります。

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身体介護における通院・外出介助とは

身体介護における通院・外出介助とは、利用者様が自宅外に外出する場合に介助をすることをいいます。

訪問介護サービスは利用者の居宅で行われることが原則ですが、通院・外出介助については,居宅において目的地に行くための準備を行なうことから一連のサービス行為として、身体介護が中心である場合(以下「身体介護」)として給付費算定の対象となっています。

  1. 通院(入退院を除く)
  2. 日用品の買い物
  3. 通所介護事業所や介護保険施設等の見学
  4. 官公署への届出(選挙の投票を含む)

しかし、以下のような趣味嗜好性の高いものは算定ができませんので注意が必要です。

  1. 日用品以外の買い物
  2. 映画館、劇場、カラオケ、パチンコ
  3. 友人家族の結婚式
  4. お祭りなどのイベントの参加
  5. お墓参り
  6. 散歩、ドライブ 
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この記事の著者

作業療法士  藤本 卓

作業療法士として大手救急病院に入職。救急医療や訪問リハビリ、回復期リハビリテーション病院の管理職として従事後、株式会社Rehab for JAPANに参画。作業療法士、呼吸療法認定士、住環境福祉コーディネーター1級、メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種、生活習慣病アドバイザーの資格を有し、専門的な知識と現場での知見を元に、事業所の支援を行う。機能特化型デイサービスでは、2ヶ月で「稼働率72%から95%に」アップさせるなどの実績をもつ。

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