ショートステイとは|家族を支える短期入所生活介護の重要性について

介護保険法

通所介護以外

更新日:2022/02/18

ショートステイの利用日数やサービス料金をお探しですか?ショートステイ(短期入所生活介護)は、在宅介護を続ける中で、介護の疲労がたまり、少し休みたくなったとき、急な冠婚葬祭で遠方に出向かなければならない時などに使用する介護保険の短期間の宿泊サービスです。ショートステイの利用条件や利用期間、料金(単位数)や加算などの理解を深め、本人やご家族に情報提供することでより良いサービスを提供できるようにしていきましょう。

ショートステイとは

ショートステイ(短期入所生活介護)とは、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、自宅にこもりきりの利用者の孤立感の解消や心身機能の維持回復だけでなく、家族の介護の負担軽減などを目的として実施します。 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)などが、常に介護が必要な方の短期間の入所を受け入れ、入浴や食事などの日常生活上(ADL)(※1)の支援や、機能訓練などを提供する介護保険サービスとなります。

ショートステイの目的は、介護する側の介護負担軽減や一時的に介護ができない場合に、短期間施設に入所し、日常生活全般の介護を受けることができるサービスということです。

ショートステイの利用日数(期間)とは

ショートステイの予約受付時間、利用申込日、平均利用日数の割合

では実際に、ショートステイを利用する場合は、何日間の利用ができるのでしょうか?短期入所生活介護(ショートステイ)の最大連続利用日数は、『30日』までとなっています。

利用日数の平均は1週間〜14日間の期間が約7割程度都なっており、特別養護老人ホームや単独のショートステイで宿泊を含めたサービスを活用することができます。

しかし、都市部ではショートステイのサービス自体が少なく、1ヶ月以上前に申し込まないと利用が難しい場合が多くなっています。また、地方でも申し込みから3日〜1週間程度の時間を要します。介助者が体調を崩してすぐに利用したいとなった場合でも、上記の理由で利用が難しい場合もあるのが実態です。

そのため、小規模デイサービスが中心として行っている「お泊りデイサービス」のニーズが高くなっているのが現状です。

ショートステイの変化とは

現在、ショートステイは全国に1万事業所くらいあります。ショートステイのニーズの高さや家族のあり方を考慮し、厚生労働省では少しでも緊急性に対応すべく、2015年の介護報酬改定でショートステイは大きく変化しました。

例えば、ケアマネージャーと相談し緊急性が高い場合などに特別養護老人ホームの活用を打診することができ、有料老人ホームの空きベットも保険適応内で活用する子ができるようになったのです。また、「小規模多機能型居宅介護」も登録メンバー以外でも条件次第で利用できるなどサービスの拡充が認められるようになりました。

ショートステイの利用条件とは

ショートステイは、ご家族の急な予定によって数日間介護できなくなってしまった場合や施設へ入所する前の一時的な居住スペースとして活用することができる重要な施設です。

そんなショートステイの利用条件は、65歳以上で「要支援」「要介護」と認定された方が利用対象となっています。

ただし、介護度によって介護保険内で利用できる最大日数が異なるため注意が必要です。

ショートステイの基本料金(単位数)

ショートステイ(短期入所生活介護)の介護保険単位数(基本料金)

ショートステイの料金(単位数)は、利用者の「介護度」と「単独型」「併設型」で異なります。ここでは平成30年度介護報酬改定の部分の単位数も記載しています。料金は、以下の単位数に対して、1単位あたり約10円(地域区分等により異なる)をかけた額が介護保険分の全額で、負担割合により1割・2割・3割が自己負担分となります。

ショートステイ(短期入所生活介護)の単位一覧表

  2015年度(平成27年度)2018年(平成30年度)
単独型従来型個室要支援1|461単位
要支援2|572単位
要介護1|620単位
要介護2|687単位
要介護3|755単位
要介護4|822単位
要介護5|887単位
要支援1|465単位
要支援2|577単位
要介護1|625単位
要介護2|693単位
要介護3|763単位
要介護4|831単位
要介護5|897単位
単独型ユニット型要支援1|539単位
要支援2|655単位
要介護1|718単位
要介護2|784単位
要介護3|855単位
要介護4|921単位
要介護5|987単位
要支援1|543単位
要支援2|660単位
要介護1|723単位
要介護2|790単位
要介護3|863単位
要介護4|930単位
要介護5|997単位
併設型従来型個室要支援1|433単位
要支援2|538単位
要介護1|579単位
要介護2|646単位
要介護3|714単位
要介護4|781単位
要介護5|846単位
要支援1|437単位
要支援2|543単位
要介護1|584単位
要介護2|652単位
要介護3|722単位
要介護4|790単位
要介護5|856単位
併設型ユニット型要支援1|508単位
要支援2|631単位
要介護1|677単位
要介護2|743単位
要介護3|814単位
要介護4|880単位
要介護5|946単位
要支援1|512単位
要支援2|636単位
要介護1|682単位
要介護2|749単位
要介護3|822単位
要介護4|889単位
要介護5|956単位

ショートステイ(短期入所生活介護)の居住費・食費

ショートステイなどの介護保険施設に入所(滞在)すると、介護保険サービス費用の1割〜3割を負担する他に、居住費(滞在費)・食費という費用を負担することになります。居住費とは、家賃のような費用であり、それぞれのショートステイにより異なっています。食費についても、「1食あたり○円」や「朝食○円、昼食○円、夕食○円」のように事業所で決められており、料金説明や契約の時に重要事項として説明があります。

※サービス費用は、施設の形態、居室の種類、職員の配置などによって異なることがわかります。

ショートステイの居住費と食費については、所得の低い方(利用者負担段階が第1段階~第3段階に該当する方で、負担限度額認定証を取得した方)については、負担の上限額(負担限度額)が定められ、居住費(滞在費)・食費の負担が軽減される制度があります。

ショートステイのその他の料金|緊急短期入所受入加算

基本報酬の他にもショートステイを利用する場合には、様々な加算が算定されます。その加算について解説していきます。緊急短期入所受入加算とは、ケアマネージャーが緊急にショートステイ(短期入所生活介護)のサービスを受けることが必要と認めた者に対し、居宅サービス計画に位置付けられていないショートステイを緊急に行った場合に算定される加算です。


緊急短期入所受入加算|90単位/日


主な算定要件は、緊急短期入所受入加算として短期入所生活介護を行った日から起算して7日(利用者の日常生活上の世話を行う家族の疾病等やむを得ない事情がある場合は、14日)を限度として算定されます。

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ショートステイのその他の料金|個別機能訓練加算

個別機能訓練加算とは、本人やご家族がADL・IADL(※1)の維持・向上を求めている場合、ショートステイをご利用中に機能訓練指導員が機能訓練を行った場合に算定される加算です。





個別機能訓練加算|56単位/日(注:要介護者のみ)




個別機能訓練加算は、「専従」の機能訓練指導員(理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士、看護師、柔道整復師又はあん摩マッサージ 指圧師)をショートステイに1名以上配置している必要があり、個別機能訓練計画(3月ごとに1回以上)を作成し、ご利用者の生活機能の維持・向上を目的として機能訓練指導員が直接訓練を実施します。



類似するものに機能訓練体制加算があります。ショートステイ(短期入所生活介護)の機能訓練体制加算は、「常勤・専従」の機能訓練指導員を配置した場合に算定される加算です。


機能訓練体制加算|12単位/日


これらの加算は、常勤・専従の機能訓練指導員とは別に、専従の機能訓練指導員を短期入所生活介護事業所に1名配置すれば、いずれの加算も算定することができます。



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厚生労働省(2015)平成27 年度介護報酬改定に関するQ&Aより





(※1)IADLとは、そうじ、洗濯、料理、買い物などの家事全般や金銭管理、内服管理を含む手段的日常生活活動(応用的な日常生活活動)のことを指す。

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ショートステイの加算の算定状況

ショートステイの加算の算定状況について

短期入所生活介護における各加算の算定状況(平成28年4月審査分)は上図の通りになっています。その中でも「個別機能訓練加算」と「長期利用者減算」のそれぞれについて考えていきましょう。


個別機能訓練加算
ショートステイにおける「機能訓練体制加算」の算定率は「36.5%」となっている一方で、「個別機能訓練加算」の算定率は全体の「2%」程度となっており、サービスとして「機能訓練」はほとんど行われていないことがわかります。これらの数値からほとんどのショートステイがレスパイトケア(家族の休養・休息)目的で運営されていることがわかります。


長期利用者減算
2015年の介護報酬改定で、同一の事業所でのショートステイの利用が自費利用などを挟んで実質連続30日を超える場合は、1日につき30単位をマイナスされるようになりました。この減算率は「23.3%」となっており、ショートステイをご利用される方の一部は30日を超える長期化したサービスを受けていることになります。

ICTの利活用でサービスの質と業務効率を同時に高める

2024年の医療介護同時改定では、団塊世代の高齢化を見据え、自立支援を中心とした科学的介護の実現、そしてアウトカムベースの報酬改定に向けて変化しようとしています。

このような時流だからこそ、より一層利用者さまの自立支援に向けた取り組みが重要になります。しかし、個別機能訓練加算をはじめとした自立支援系の加算やLIFE関連加算の算定は、売上アップも見込めるとはいえ、リハビリ専門職の不在や現場負担の問題で取り組みが難しいと考える事業所も多いのではないでしょうか?

その解決策の1つが「介護現場におけるICTの利用」です。業務効率化の意味合いが強い昨今ですが、厚生労働省の定義では「業務効率化」「サービスの質向上」「利用者の満足度向上」の達成が目的であるとされています。

業務効率化だけでなく、利用者一人ひとりの生活機能の課題を解決する『デイサービス向け「介護リハビリ支援ソフト」』を検討してみませんか?

この記事の著者

作業療法士  藤本 卓

作業療法士として大手救急病院に入職。救急医療や訪問リハビリ、回復期リハビリテーション病院の管理職として従事後、株式会社Rehab for JAPANに参画。作業療法士、呼吸療法認定士、住環境福祉コーディネーター1級、メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種、生活習慣病アドバイザーの資格を有し、専門的な知識と現場での知見を元に、事業所の支援を行う。機能特化型デイサービスでは、2ヶ月で「稼働率72%から95%に」アップさせるなどの実績をもつ。

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