介護報酬改定における通所介護の延長加算について

介護保険法

基本報酬

更新日:2022/08/10

平成27年度の介護報酬改定にて、通所介護(デイサービス)や通所リハビリ(デイケア)における延長加算の対象範囲が拡大されました。通所介護の基本報酬が減算されている昨今、安定して介護サービスを運営していく上では、この加算に関する知識は必須となります。そこで今回は、見直された通所介護の延長加算についてまとめて解説します。

通所介護の延長加算

通所介護における延長加算とは、通所介護や通所リハビリにおいて所要時間が「7時間以上9時間未満」の指定通所で介護を行った前後に、日常生活上の世話などサービスに連続して行った場合に、延長時間に応じて所定単位数に加算することができるものです。

延長加算を算定するためには、実際に「延長サービスを行うことが可能なサービス体制にあること」、「適当数の従業者を配置していること」が必要です。

通所介護の延長加算の単位数(加算額)について

通所介護の延長加算では、延長時間によって単位数(加算額)が異なります。

具体的には、日常生活上のケア(通所介護の前後に連続して日常生活上の世話を行う場合)の所要時間を通算した時間が「9時間以上」となった場合は、「最大5時間」を上限として時間に応じて加算することができます。

9時間以上〜10時間未満の場合50単位/日
10時間以上〜11時間未満の場合100単位/日
11時間以上〜12時間未満の場合150単位/日
12時間以上〜13時間未満の場合200単位/日
13時間以上〜14時間未満の場合250単位/日

平成27年度に見直しされた通所介護の延長加算の項目とは

通所介護の延長加算では、通所介護事業所の設備を利用して宿泊する場合(お泊まりデイ)は、延長加算としての算定はできません。

しかしながら、介護をしているご家族の介護負担の軽減や介護と仕事の両立の観点から、平成27年度の介護報酬改定にて通所介護の延長加算が見直しされ、その対象時間が拡大されました。

拡大された延長加算の時間は、以下の通りです。

12時間以上〜13時間未満200単位/日
13時間以上〜14時間未満250単位/日

通所介護の延長加算に関してのQ&A(厚生労働省より)

厚生労働省のQ&Aをもとに、通所介護の延長加算の算定においての注意事項をご紹介します。

【質問】
9時間の通所介護等の前後に送迎を行い、居宅内介助等を実施する場合も延長加算は算定可能か。
【回答】
延長加算については、算定して差し支えない。


【質問】
宿泊サービスを利用する場合等については延長加算の算定が不可とされたが、指定居宅サービス等基準第 96 条第3項第2号に規定する利用料は、宿泊サービスとの区分がされていれば算定することができるか。
【回答】
通所介護等の営業時間後に利用者を宿泊させる場合には、別途宿泊サービスに係る利用料を徴収していることから、延長に係る利用料を徴収することは適当ではない。


【質問】
通所介護等の利用者が自宅には帰らず、別の宿泊場所に行くまでの間、延長して介護を実施した場合、延長加算は算定できるか。
【回答】
算定できる。


【質問】
「宿泊サービス」を利用した場合には、延長加算の算定はできないこととされているが、以下の場合には算定可能か。

  1. 通所介護事業所の営業時間の開始前に延長サービスを利用した後、通所介護等を利用しその当日より宿泊サービスを利用した場合
  2. 宿泊サービスを利用した後、通所介護サービスを利用し通所介護事業所の営業時間の終了後に延長サービスを利用した後、自宅に帰る場合

【回答】
同一日に宿泊サービスの提供を受ける場合は、延長加算を算定することは適当ではな
い。

参照:厚生労働省「平成 27 年度介護報酬改定に関する Q&A 」(平成27年4月1日の送付にて)

まとめ

今回は、平成27年度の介護報酬改定にて見直しされた通所介護または通所リハビリにおける延長加算についてご紹介しました。

平成30年度の介護報酬改定においても厳しくなることが予想される介護経営です。

通所介護の基本報酬が減額されている中で、介護経営者・管理者としてこの加算・減算に関する知識は重要になります。

この記事を参考に、皆様の事業所で新たな加算を算定することができれば幸いです。

▼通所介護で算定できる加算・減算の種類や算定要件についてはこちらの記事をご覧ください。

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【最後に筆者より】

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この記事の著者

作業療法士  大屋 祐貴

作業療法士として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーション技術を高めるために研修会の立ち上げ等を行う。

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