看護小規模多機能型居宅介護の現状と課題とは

コラム

介護スタッフの基礎知識

更新日:2022/02/18

看護小規模多機能型居宅介護は、医療ニーズの高いご高齢者の方々が、安心してサービスを受けられる複合型のサービスです。一方で人員規準を満たすだけの看護師のマンパワーが足りず伸び悩んでいるのも現状の課題となっています。なお、本稿では看護小規模多機能型居宅介護の現状と課題について解説します。

看護小規模多機能型居宅介護とは

厚生労働省によると看護小規模多機能型居宅介護とは「利用者が可能な限り自立した日常生活を送ることができるよう、利用者の選択に応じて、施設への「通い」を中心として、短期間の「宿泊」や利用者の自宅への「訪問(介護)」に加えて、看護師などによる「訪問(看護)」も組み合わせることで、家庭的な環境と地域住民との交流の下で、介護と看護の一体的なサービスの提供を受けることができます。」としています。

デイサービスやショートステイでは十分な看護師配置を取れておらず、医療ニーズを伴うご高齢者においては受け入れを拒まれることも多いのが実態です。
一方、施設から在宅で暮らすご高齢者が増える中で、経管栄養や吸引、インスリン注射など医療ニーズは高く、安心してサービスを受けられる複合型のサービスの事業展開の意義は非常に大きいでしょう。

看護小規模多機能型居宅介護の人員基準とは

看護小規模多機能型居宅介護は「登録定員29名以下」で、「通い定員18名以下・宿泊定員9名以下」となっています。
主な人員基準は常勤換算2.5以上の看護職員(うち常勤看護師または保健師1名以上)専従の介護支援専門員、その他職員となっています。

参照:厚生労働省,看護小規模多機能型居宅介護の基準等
平成29年6月5日アクセス(平成29年6月5日アクセス)

伸び悩む看護小規模多機能型居宅介護の事業所数

地域社会からのニーズが高い看護小規模多機能型居宅介護サービス(複合型サービス)ですが、2016年10月末時点で全国に330ヵ所であり、自治体によっては実施していないこともあるのが現状となっています。
これは、看護師不足の現状と一定のご利用者様を確保できない場合は経営的に難しく、事業展開ができていないことが課題となっている。

ICTの利活用でサービスの質と業務効率を同時に高める

2024年の医療介護同時改定では、団塊世代の高齢化を見据え、自立支援を中心とした科学的介護の実現、そしてアウトカムベースの報酬改定に向けて変化しようとしています。

このような時流だからこそ、より一層利用者さまの自立支援に向けた取り組みが重要になります。しかし、個別機能訓練加算をはじめとした自立支援系の加算やLIFE関連加算の算定は、売上アップも見込めるとはいえ、リハビリ専門職の不在や現場負担の問題で取り組みが難しいと考える事業所も多いのではないでしょうか?

その解決策の1つが「介護現場におけるICTの利用」です。業務効率化の意味合いが強い昨今ですが、厚生労働省の定義では「業務効率化」「サービスの質向上」「利用者の満足度向上」の達成が目的であるとされています。

業務効率化だけでなく、利用者一人ひとりの生活機能の課題を解決する『デイサービス向け「介護リハビリ支援ソフト」』を検討してみませんか?

この記事の著者

作業療法士  藤本 卓

作業療法士として大手救急病院に入職。救急医療や訪問リハビリ、回復期リハビリテーション病院の管理職として従事後、株式会社Rehab for JAPANに参画。作業療法士、呼吸療法認定士、住環境福祉コーディネーター1級、メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種、生活習慣病アドバイザーの資格を有し、専門的な知識と現場での知見を元に、事業所の支援を行う。機能特化型デイサービスでは、2ヶ月で「稼働率72%から95%に」アップさせるなどの実績をもつ。

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