【パートも対象】有給休暇日数のうち年5日の取得義務化 2019年4月から

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更新日:2022/02/28

年次有給休暇付与日数のうち年間5日取得が義務化されるのはいつからか知っていますか?2019年4月から「年5日の年次有給休暇の確実な取得」の制度が法律で義務付けられ、年次有給休暇管理簿の整備不足や義務化された年5日の年次有給休暇が取れない場合に罰則規定・罰金も設定されています。継続勤務年数に応じた年次有給休暇の付与日数の一覧表を元に、義務化の対象となる週3日、4日程度勤務日数のパートタイム・アルバイトの職員も解説。

この記事の目次

年次有給休暇、年5日取得義務化はいつからか知っていますか?

2019年4月から「年5日の年次有給休暇の確実な取得」が義務付けられます。使用者は、労働者ごとに、年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に5日について、取得時季を指定して年次有給休暇を取得させなければならないというルールができます。時季指定とは、労働者の意見を聴取しできる限り労働者の希望に沿った取得時季になるよう、聴取した意見を尊重するよう努めることということです。

みなさん期待と心配が入り混じる、年間5日の有給休暇取得の義務化について、「年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説(厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署)」を参考に要点をまとめました。

年5日の有給取得義務化のポイント

  • 年間最低5日の取得が義務化される「時季指定」に当たっては、労働者の意見を聴取しなければなりません。
  • 一部の週3、週4のパート・アルバイトも、年間5日の時季指定の有給取得義務化の対象。
  • 労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存。
  • 継続勤務年数に応じた年次有給休暇の付与日数は従来通り。

年5日の年次有給休暇の確実な取得は理由など必要なく管理職も

年次有給休暇は、働く方の心身のリフレッシュを図ることを目的として、原則として、労働者が請求する時季に与えることとされています。しかし、同僚への気兼ねや請求することへのためらい等の理由から、取得率が低調な現状にあり、年次有給休暇の取得促進が課題となっています。
このため、労働基準法が改正され、2019年4月から、全ての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者(管理者・管理監督者を含む)に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、使用者が時季を指定して取得させることが義務付けられました。

年次有給休暇の付与日数や計算方法、取得に関する基本的な制度

労働基準法において、労働者は、

  1. 雇入れの日から6か月継続して雇われている 
  2. 全労働日の8割以上を出勤している

という2点を満たしていれば、パートやバイト、派遣などの雇用形態は関係なく年次有給休暇を取得することができます。

継続勤務年数に応じた年次有給休暇の付与日数の一覧表(正社員・フルタイム相当版)

使用者は、労働者が雇入れの日から6か月間継続勤務し、その6か月間の全労働日の8割以上を出勤した場合には、原則として10日の年次有給休暇を与えなければなりません。なお、年次有給休暇の付与対象労働者には、管理監督者や有期雇用労働者も含まれます。以下の一覧表のような有給の増え方をします。有給は2年で時効が来るので、フルタイムで6年6か月以上の継続している方でも繰越の最大は40日となります。

継続
勤務年数
6か月1年
6か月
2年
6か月
3年
6か月
4年
6か月
5年
6か月
6年
6か月以上
付与日数10日11日12日14日16日18日20日

パート・アルバイト労働者など、所定労働日数が少ない労働者に対する年次有給休暇付与日数(比例付与)

パートタイム、アルバイトなど、所定労働日数が少ない労働者については、年次有給休暇の日数は所定労働日数に応じて比例付与されます。

比例付与の対象となるのは、所定労働時間が週30時間未満で、かつ、週所定労働日数が4日以下または年間の所定労働日数が216日以下の労働者です。なお、赤文字・太字の人が、2019年4月から義務付けられる「年5日の年次有給休暇の確実な取得」の対象です。

週4日程度の場合の有給休暇付与日数表

週所定労働日数4日程度の場合(1年間の所定労働日数が169日~216日)の年次有給休暇の比例付与日数は以下です。週所定日数が4日程度(年169日~216日勤務)の場合でも、継続勤務年数が3年6か月以上の場合には、2019年4月から義務付けられる「年5日の年次有給休暇の確実な取得」の対象です。

継続
勤務年数
6か月1年
6か月
2年
6か月
3年
6か月
4年
6か月
5年
6か月
6年
6か月以上
付与日数7日8日9日10日12日13日15日

週3日程度の有給休暇付与日数表

週所定労働日数3日程度の場合(1年間の所定労働日数が年121日~168日勤務)の年次有給休暇の比例付与日数は以下です。週所定日数が3日程度(年121日~168日勤務)の場合でも、継続勤務年数が5年6か月以上の場合には、2019年4月から義務付けられる「年5日の年次有給休暇の確実な取得」の対象です。

継続
勤務年数
6か月1年
6か月
2年
6か月
3年
6か月
4年
6か月
5年
6か月
6年
6か月以上
付与日数5日6日6日8日9日10日11日

週2日程度の有給休暇付与日数表

週所定労働日数2日程度の場合(1年間の所定労働日数が73日~120日)の年次有給休暇の比例付与日数は以下です。

継続
勤務年数
6か月1年
6か月
2年
6か月
3年
6か月
4年
6か月
5年
6か月
6年
6か月以上
付与日数3日4日4日5日6日6日7日

週1日程度の有給付与日数表

週所定労働日数1日程度の場合(1年間の所定労働日数が48日~72日)の年次有給休暇の比例付与日数は以下です。

継続
勤務年数
6か月1年
6か月
2年
6か月
3年
6か月
4年
6か月
5年
6か月
6年
6か月以上
付与日数1日2日2日2日3日3日3日

年次有給休暇の付与に関するルール

年次有給休暇を取得できるタイミングは

年次有給休暇は、労働者が請求する時季に与えることとされています。
労働者が具体的な月日を指定した場合には、その日に年次有給休暇を与える必要があります。(同一期間に多数の労働者が休暇を希望し、その全員に休暇を付与し難い場合等を除く)

年次有給休暇の繰越し

年次有給休暇の請求権の時効は2年であり、前年度に取得されなかった年次有給休暇は翌年度に与える必要があります。

不利益取扱いの禁止

使用者は、年次有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければなりません。
(具体的には、精皆勤手当や賞与の額の算定などに際して、年次有給休暇を取得した日を欠勤または欠勤に準じて取扱うなど、不利益な取扱いをしないようにしなければなりません。)

年次有給休暇の取り扱いの特別ルール

計画年休とは

計画的に取得日を定めて年次有給休暇を与えることが可能です。ただし、労働者が自ら請求・取得できる年次有給休暇を最低5日残す必要があります。半日単位年休、時間単位年休など計画年休制度を取り入れる場合には、労使協定の締結が必要です。

5日以上の年次有給休暇は時季指定を要しない

「使用者による時季指定」、「労働者自らの請求・取得」、「計画年休」のいずれかの方法で労働者に年5日以上の年次有給休暇を取得させれば足りるというルールです。これらいずれかの方法で取得させた年次有給休暇の合計が5日に達した時点で、使用者からの時季指定をする必要はなく、また、することもできないということです。(理想は働く人の希望に沿って取得できることが望ましいです。)

年次有給休暇管理簿

使用者は、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存しなければなりません。時季、日数及び基準日を労働者ごとに明らかにした書類(年次有給休暇管理簿)を作成し、当該年休を与えた期間中及び当該期間の満了後3年間保存しなければなりません。
(年次有給休暇管理簿は労働者名簿または賃金台帳とあわせて調製することができます。また、必要なときにいつでも出力できる仕組みとした上で、システム上で管理することも差し支えありません。)

義務化された年5日の年次有給休暇が取れない場合の法律・罰則・罰金

年5日の有給休暇の取得義務化については、2019年4月に労働基準法が改正され、この法律で定められ、取れない場合の罰則規定・罰金も明記されました。

年5日の年次有給休暇を取得させなかった場合の罰則・罰金

年5日の年次有給休暇を取得させなかった場合は、労働基準法第39条第7項の条項に違反し、労働基準法第120条に罰則規定に従うと30万円以下の罰金となる場合がああります。

使用者による時季指定を行うことを就業規則に記載していない場合の罰則・罰金

使用者による時季指定を行う場合において、就業規則に記載していない場合には、労働基準法第89条の条項に違反し、労働基準法第120条に罰則規定に従うと30万円以下の罰金となる場合がああります。

労働者の請求する時季に年次有給休暇を与えなかった場合の罰則・罰金

労働者の請求する時季に所定の年次有給休暇を与えなかった場合には、労働基準法第39条(第7項を除く)に違反し、労働基準法第119条の罰則規定に従うと、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が適応される場合があります。

有給や希望休の制度は、使用者も働く人も理解して消化を!

年次有給休暇の取得について、従来からある基本的なルールを知った上で、新しくできた有給取得のルールを理解しておきましょう。また、年次有給休暇管理簿がちゃんとつけられているかも確認しましょう。デイサービスなどの介護施設では人員基準などもあり、より計画的な勤怠管理が必要になります。有給取得の義務化は、働き方改革の一環としての政策となっています。介護の仕事でも働きやすい職場づくりのため、協力し合い希望休や有給など休みやすい雰囲気・仕組みを作っていきましょう。

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この記事の著者

作業療法士  大久保 亮

リハビリ養成校を卒業後、作業療法士として、通所介護事業所や訪問看護ステーションにて在宅リハビリテーションに従事。働きながら法政大学大学院政策学修士を取得。その後、要介護者、介護現場で働く人、地域住民まで、介護に関わるすべての人が安心していきいきと活躍し続けられる世界の実現を目指して2016年6月株式会社Rehab for JAPANを創業。また、日本介護協会関東支部局副支部長を務める。

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