デイサービスの実地指導対策 2019年からの確認項目・記録書類・マニュアルなどを紹介

介護保険法

基本報酬

更新日:2022/02/25

2019年からのデイサービスでの実地指導時に確認する項目・書類・マニュアルなどをチェックリストとしてまとめました。2019年5月30日に、厚生労働省老健局総務課介護保保険導室から「介護保険施設等に対する実地指導の標準化・効率化等の運用指針について」が示され、デイサービス(通所介護)の実地指導時の標準確認項目・標準確認文書を定めたことからどこまでが指導対象かわかりやすくなりました。

2019年5月30日に、厚生労働省老健局総務課介護保保険導室から「介護保険施設等に対する実地指導の標準化・効率化等の運用指針について」が示され、訪問介護、デイサービス(通所介護)、介護老人福祉施設、居宅介護支援事業所、 認知症対応型共同生活介護、介護老人保健施設、訪問看護の実地指導時の標準確認項目・標準確認文書を定めました。

参照:介護保険施設等に対する実地指導の標準化・効率化等の運用指針について(厚生労働省老健局総務課介護保保険導室, 2019年5月30日)

2019年 介護保険施設等に対する実地指導の標準化・効率化のポイント

2019年5月に発表された「介護保険施設等に対する実地指導の標準化・効率化等の運用指針について」のポイントは以下であり、これらの標準化・効率化を通してより多くの事業者を指導し、サービスの質の確保と利用者保護につなげていく方針となっています。

  • 原則として「標準確認項目」以外の項目の確認は行わず、「標準確認文書」以外の文書は求めない。
  • 標準確認項目を踏まえて実地指導を行うことで、一つの事業所あたりの所要時間の短縮を図る。
  • 事業所の指定有効期間内(6年間)に1回実施することを基本とし、過去の実地指導等において問題がないと認められる事業所は集団指導のみとすることも可能とする。
  • 同一所在地や近隣の事業所に対しては、できるだけ同日又は連続した日程で実施することとする。
  • 実施通知は原則として実施の1ヶ月前までに通知するとともに、当日の概ねの流れもあらかじめ示すものとする。 利用者の記録等の確認は原則3名までとする。
  • 確認する文書は原則として実地指導の前年度から直近の実績までの書類とする。
  • 事前又は当日の提出文書は1部とし、自治体が既に保有している文書の再提出は不要とする。
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従来から用いられる「介護保険施設等実地指導マニュアル」

厚生労働省は、介護保険事業における地方自治体の指導監督業務のバラツキを標準化する方策の一つとして、介護保険施設等実地指導マニュアルの改訂を2010年3月に実施しました。

介護保険施設等実地指導マニュアルの内容は以下のようなもので、175ページに渡り、実地指導のための基本的な知識や、 サービスの質の確保・向上につながる指導方法等をまとめてあり、従来地方自治体が行う介護保険施設向けの指導監督の手引きとして使われてきました。

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介護保険施設等実地指導マニュアル <目次>

総 論

運営指導マニュアル

1 運営指導の概要
2 運営指導Ⅰ (利用者の生活実態の確認)
3 運営指導Ⅱ (サービスの質に関する確認)

報酬請求指導マニュアル

参考資料

1 ケアマネジメント導入の趣旨
2 高齢者虐待防止法の施行
3 身体拘束廃止の推進
4 認知症ケアの基本
5 地域密着型サービスについて 

引用元:介護保険施設等 実地指導マニュアル 平成22年3月改訂版

2010年に行われた介護保険施設等実地指導マニュアルの策定から、介護報酬改定を重ねる中で算定要件や基準は複雑化してきましたが、基本的にはこのマニュアルに沿った指導が継続されています。実地指導マニュアル自体には改訂はなく2019年を迎えました。実地指導の標準化・効率化等の運用指針を通して、「標準確認項目」と「標準確認文書」が明確化され、各自治体での確認項目の違いを減らし、事業者・実地指導者ともに負担が小さい形で相互にとって良い指導が行われることが期待されています。

2019年以降、デイサービス(通所介護)の実地指導で確認する項目や記録

2019年5月に実地指導の標準化・効率化等の運用指針が示され、各自治体において「標準確認項目」及び「標準確認文書」を検討の上、適宜反映させるものとされています。

従来の通所介護の実地指導では、確認する大まかな内容は決まっていましたが、全国での標準化はできていなかったため、実地指導者によって事業所の現地で様々な書類や設備等を確認したり、サービス内容や管理体制に対してどこまで指導項目であるのか、どこからが指導者個人の意見であるのかが不明瞭な内容もありました。2019年以降は、徐々に「標準確認項目」以外の項目は、特段の事情がない限り行わないものとされ、「標準確認文書」以外の文書も原則求めないとされています。

ただし、実地指導を進める中で、不正が見込まれる等、詳細な確認が必要と判断
する場合は、指導から監査に切り替え、「標準確認項目」及び「標準確認文書」に限定せずに、必要な文書を確認するよう指針が公表されています。

デイサービスの実地指導で確認する項目・書類チェックリスト(2019年6月〜)

2019年5月に実地指導の標準化・効率化等の運用指針でデイサービス(通所介護)に対して示された確認項目・確認書類をこちらで紹介します。

参照:介護保険施設等に対する実地指導の標準化・効率化等の運用指針について(2019年5月30日、厚生労働省老健局総務課介護保保険導室)

通所介護における標準確認項目と標準確認文書

( )は指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成 11 年厚生省 令第 37 号)の該当条項

従業者の員数 (第 93 条)

確認項目

  • 利用者に対し、職員数は適切であるか
  • 必要な専門職が揃っているか
  • 専門職は必要な資格を有しているか

確認文書

  • 勤務実績表/タイムカ ード
  • 勤務体制一覧表
  • 従業員の資格証

管理者 (第 94 条)

確認項目
管理者は常勤専従か、他の職務を兼務している場合、兼務体制は適切か

確認文書
管理者の雇用形態が分かる文書

  • 管理者の勤務実績表 /タイムカード

設備及び備品等 (第95条)

確認項目

  • 目的に沿った使用となっているか(目視で確認)

内容及び手続の説明及び同意 (第8条)

確認項目

  • 利用者又はその家族への説明と同意の手続きを取っているか、重要事項説明書の内容に不備等はないか

確認文書

  • 重要事項説明書
  • 利用契約書(利用者又は家族の署名、捺印)

受給資格等の確認 (第11条)

確認項目

  • 被保険者資格、要介護認定の有無、要介護認定の有効期限を確認しているか

確認文書

  • 介護保険番号
  • 有効期限等を確認している記録等

心身の状況等の把握 (第13条)

確認項目

  • サービス担当者会議等に参加し、利用者の心身の状況把握に努めているか

確認文書

  • サービス担当者会議の記録

居宅介護支援事業者等との連携 (第14条)

確認項目

  • サービス担当者会議を通じて介護支援専門員や他サービスと連携しているか

確認文書

  • サービス担当者会議の記録

居宅サービス計画に沿ったサービスの提供 (第16条、17条)

確認項目

  • 居宅サービス計画に沿ったサービスが提供されているか

確認文書

  • 居宅サービス計画
  • 通所介護計画(利用者及び家族の署名、捺印)

サービス提供の記録 (第 19 条)

確認項目

  • 通所介護計画にある目標を達成するための具体的なサービスの内容が記載されているか
  • 日々のサービスについて具体的な内容や利用者の心身の状況等を記録しているか
  • 送迎が適切に行われているか

確認文書

  • サービス提供記録
  • 業務日誌
  • 送迎記録

利用料等の受領 (第96条)

確認項目

  • 利用者からの費用徴収は適切に行われているか
  • 領収書を発行しているか
  • 医療費控除の記載は適切か

確認文書

  • 請求書
  • 領収書

通所介護計画の作成 (第99条)

確認項目

  • 居宅サービス計画に基づいて通所介護計画が立てられているか
  • 利用者の心身の状況、希望および環境を踏まえて通所介護計画が立てられているか
  • サービスの具体的内容・時間・日程等が明らかになっているか
  • 利用者又はその家族への説明・同意・交付は行われているか
  • 目標の達成状況は記録されているか
  • 達成状況に基づき、新たな通所介護計画が立てられているか

確認文書

  • 居宅サービス計画
  • 通所介護計画(利用者又は家族の署名、捺印)
  • アセスメントシート
  • モニタリングシート

緊急時等の対応 (第27条)

確認項目

  • 緊急時対応マニュアル等が整備されているか
  • 緊急事態が発生した場合速やかに主治の医師に連絡しているか

確認文書

  • 緊急時対応マニュアル
  • サービス提供記録

運営規程 (第100条)

確認項目
運営における以下の重要事項について定めているか

  1. 事業の目的及び運営の方針
  2. 従業者の職種、員数及び職務の内容
  3. 営業日及び営業時間
  4. 指定通所介護の利用定員
  5. 指定通所介護の内容及び利用料その他の費用の額
  6. 通常の事業の実施地域
  7. サービス利用に当たっての留意事項
  8. 緊急時等における対応方法
  9. 非常災害対策
  10. その他運営に関する重要事項

確認文書

  • 運営規程
  • 重要事項説明書

勤務体制の確保等 (第101条)

確認項目

  • サービス提供は事業所の従業員によって行われているか
  • 資質向上のために研修の機会を確保しているか
  • 勤務表の記載内容は適切か ・雇用の形態(常勤・ 非常勤)がわかる文書

確認文書

  • 研修計画、実施記録
  • 勤務実績表(勤務実績が確認できるもの)

定員の遵守 (第102条)

確認項目

  • 利用定員を上回っていないか

確認文書

  • 業務日誌
  • 国保連への請求書控え

非常災害対策 (第103条)

確認項目

  • 非常災害(火災、風水害、地震等)対応に係るマニュアルがあるか
  • 非常災害時の連絡網等は用意されているか
  • 防火管理に関する責任者を定めているか
  • 消火・避難訓練を実施しているか

確認文書

  • 非常災害時対応マニュアル(対応計画)
  • 運営規程
  • 避難訓練の記録
  • 通報、連絡体制
  • 消防署への届出

秘密保持等 (第33条)

確認項目

  • 個人情報の利用に当たり、利用者及び家族から同意を得ているか
  • 退職者を含む、従業員が利用者の秘密を保持することを誓約しているか

確認文書

  • 個人情報同意書
  • 従業員の秘密保持誓約書

広告 (第34条)

確認項目

  • 広告は虚偽又は誇大となっていないか

確認文書

  • パンフレット/チラシ

苦情処理 (第36条)

確認項目

  • 苦情受付の窓口があるか
  • 苦情の受付、内容等を記録、保管しているか
  • 苦情の内容を踏まえたサービスの質向上の取組を行っているか

確認文書

  • 苦情の受付簿
  • 苦情者への対応記録
  • 苦情対応マニュアル

事故発生時の対応 (第104条の2)

確認項目

  • 事故が発生した場合の対応方法は定まっているか
  • 市町村、家族、介護支援専門員に報告しているか
  • 事故状況、対応経過が記録されているか
  • 損害賠償すべき事故が発生した場合に、速やかに賠償を行うための対策を講じているか
  • 再発防止のための取組を行っているか

確認文書

  • 事故対応マニュアル
  • 市町村、家族、介護支援専門員への報告記録
  • 再発防止策の検討の記録
  • ヒヤリハットの記録
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通所介護(デイサービス)の運営基準と実地指導対策
デイサービス(通所介護)の人員基準とは 厚生労働省の通達をわかりやすく解説!

まとめ

従来の実地指導対策は、指導対象が不明確であり、デイサービスなどの介護保険施設運営者からすると不安が大きなものでした。今回、実地指導の時にチェックする項目や記録・書類・マニュアルなどが示され、確認する際の観点も公開されました。事業者側としてはこれらのポイントに沿って運営や書類管理体制を整えていくことで、経営者も働く人も安心でき、ご利用者に良いサービスを提供する時間的・精神的余力が生まれます。

弊社で提供しているデイサービスのためのクラウドサービス「リハプラン」は、これらの実地指導確認項目である「計画書」「サービス提供記録」「業務日誌」などまでを、わかりやすく、効率的で安心な形で管理できますので、お気軽にお悩みや心配事のご相談、実際の操作画面での無料デモについてお問い合わせください。

ICTの利活用でサービスの質と業務効率を同時に高める

2024年の医療介護同時改定では、団塊世代の高齢化を見据え、自立支援を中心とした科学的介護の実現、そしてアウトカムベースの報酬改定に向けて変化しようとしています。

このような時流だからこそ、より一層利用者さまの自立支援に向けた取り組みが重要になります。しかし、個別機能訓練加算をはじめとした自立支援系の加算やLIFE関連加算の算定は、売上アップも見込めるとはいえ、リハビリ専門職の不在や現場負担の問題で取り組みが難しいと考える事業所も多いのではないでしょうか?

その解決策の1つが「介護現場におけるICTの利用」です。業務効率化の意味合いが強い昨今ですが、厚生労働省の定義では「業務効率化」「サービスの質向上」「利用者の満足度向上」の達成が目的であるとされています。

業務効率化だけでなく、利用者一人ひとりの生活機能の課題を解決する『デイサービス向け「介護リハビリ支援ソフト」』を検討してみませんか?

この記事の著者

作業療法士  藤本 卓

作業療法士として大手救急病院に入職。救急医療や訪問リハビリ、回復期リハビリテーション病院の管理職として従事後、株式会社Rehab for JAPANに参画。作業療法士、呼吸療法認定士、住環境福祉コーディネーター1級、メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種、生活習慣病アドバイザーの資格を有し、専門的な知識と現場での知見を元に、事業所の支援を行う。機能特化型デイサービスでは、2ヶ月で「稼働率72%から95%に」アップさせるなどの実績をもつ。

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