算定割合低水準の入浴介助加算(Ⅱ)|ケアマネ対応のポイントを解説
介護保険法
2023/03/15
介護保険法
基本報酬
更新日:2022/08/03
デイサービスやデイケアなどの通所介護施設では毎日送迎業務があり、時間やます。送迎業務・運転にマニュアル作成が重要な理由、必要な資格・運転免許、居宅内介助を実施する場合の要件、出発時刻・到着時刻などの送迎の記録内容、送迎はどこまで行うか、送迎は自宅玄関以外でも可能かなど気になるところをまとめました。
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この記事の目次
デイサービスやデイケアなどの通所介護施設では、ご利用になる方の送迎を行うことが多く、重要な業務の一つです。デイサービスの送迎業務は、軽自動車で一人一人乗車していただく場合や、大型のワゴン車やリフト付き車両などで複数名乗車していただき運行する場合もあります。
デイサービスやデイケアなどの通所サービスでは、多くのご利用者の送迎を行うこととなっており、もしも送迎を行わない計画となっているご利用者がいる場合には片道につき47単位を所定単位数から減算する送迎減算という形で扱うことになっています。
デイサービスの送迎業務は、巡回バスのようにただ運行を行うだけでなく、計画された時刻にご利用者が安全に乗降できる場所に停車し、ご利用者に安全に乗車していただく介助を一人一人に合わせて行います。また、必要な持ち物や内服薬などの忘れ物がないか確認したり、ご家族から健康状態などの連絡事項をお聞きしたり、非常に複雑な業務となっています。
さらに、車椅子対応の福祉車両では、リフトやスロープ、車椅子のロック、車椅子用3点シートベルトなど、通常の車両にはない特殊な操作が必要になります。
これらの操作方法などは、新任者の研修などでささっと伝達するだけで覚えられるようなものではなく、送迎業務で繰り返し研修することで正しい操作方法を理解し、実践できる状態にしないとなりません。
また、事故や家族の不在など例外的なことが起きることも多々あり、その際にどう対応するかなどをあらかじめ決めておくと役立ちます。
送迎を担当する職員は、施設の外で緊張して不安を感じながら運転を行なっているので、業務の内容やどこまで対応可能であるかなどのルールを可能な範囲で明確にして管理していくことが望ましいです。
厚生労働省および国土交通省は、デイサービスなどの通所介護施設での送迎業務として、ご利用者を送迎輸送することに関しては道路運送法でいう「自家輸送」という扱いであり、運転免許は二種免許を必要とせず、普通自動車第1種運転免許でよいことを明確にしています。
介護輸送に係る法的取扱いについて
介護輸送に係る法的取扱いについては、平成16年3月に整理し、運用してきたと ころであるが、今般、道路運送法等の一部を改正する法律(平成18年法律第40号。 以下「改正法」という。)が本年10月1日から施行されることに伴い、新たに以下の 通り整理することとした。
・・・
2.施設介護について 施設介護事業者(デイサービス、ショートステイの事業者を含む。)が行う要介護者等の送迎輸送については、自家用輸送であることを明確化するとともに、輸送の安全の確保・向上の観点から、運行管理体制の確保、道路運送法の許可を受けた旅客自動車運送事業者への送迎輸送の外部委託等を促進する。 また、障害者自立支援法の改正により、デイサービス事業の廃止や短期入所事業 の送迎加算が廃止されたことに伴う障害福祉サービス事業者等に係る送迎輸送の取扱いについては、引き続き検討することとする。この場合において、当該送迎輸送に対して市町村が従来の送迎加算の範囲内の額(利用者負担分を含む。)を給付する場合には、当分の間、「自家輸送」として取り扱うこととし、自家用輸送であることを明確化するとともに、輸送の安全の確保・向上の観点から、運行管理体制の確保、 道路運送法の許可を受けた旅客自動車運送事業者への送迎輸送の外部委託等を促進する。
引用元:介護輸送に係る法的取扱いについて, 平成18年9月, 国土交通省自動車交通局旅客課、厚生労働省老健局振興課、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課
現状進展はありませんが、輸送の安全性確保のために、道路運送法の許可を受けた旅客自動車運送事業者への送迎輸送の外部委託等を推進する方針も打ち出されているため、経営者や運営者としては今後の体制を考える上で選択肢として残しておくと良いと思います。
デイサービスなどの送迎業務のみの使用の場合には、車両のナンバープレートも白ナンバーで可能ということになっています。ただし、白タクのようにグレーゾーンはありますが、昨今整備されて話題になっている混合介護の範囲を越えるや福祉有償運送のタクシーのような形など、距離や時間に応じて課金する形を業として行う場合には自家輸送ではないため、定められた手続きや認可、場合によっては二種免許などが必要になります。
平成27年の介護報酬改定から、居宅サービス計画と通所介護計画に位置付けて、送迎時に自宅内介助を実施する場合には、30分を限度にサービス提供時間に含めて良いということになりました。送迎時の自宅内介助を行う職員については、一定の資格条件・勤続年数が課せられており、無資格で3年未満の勤続年数の職員は除外ということになっています。(居宅サービス計画・通所介護計画に位置付けて居宅ない介助を行う場合に限る)
具体的には、送迎時の居宅内介助を行う職員の要件としては、以下のように定められています。
居宅内介助等は、個別に送迎する場合のみに限定するものではありませんが、他の利用者を送迎時に車内に待たせて行うことは認められません。
デイサービスの送迎時間は、送迎記録は事業所が適正にサービス提供を行っていることを証する証拠として扱われます。
介護保険の運営基準上は送迎時間の記録を残すことを要件として明示はしていませんが、送迎時間の記録を残すことには以下のようなメリットがあります。
このようなメリットがあるため、自治体により若干指導の異なる部分ではありますが、送迎時間についての記録は残しておいた方が望ましいと思います。
そのため、ご利用者の送迎時間については交通渋滞や乗車に時間がかかってしまうことなどもある程度織り込んで、現実的に余裕をもって行える時間に設定をするようにしましょう。
ご利用者への送迎時刻の連絡方法については、主に以下の3つの方法で行なっていることが多いです。
事業所の規模、サービス提供時間、車両大きさや車両数によって、自施設で最もよい送迎業務の運営方法を考えてみてください。
デイサービスでは時間区分ごとに介護報酬の基本報酬が設定されており、原則は計画で定められた報酬区分時間を算定します。送迎の到着時間と出発時間は、計画通りにサービスが提供されているかの記録となります。介護保険の運営基準上は送迎時間の記録を残すことを要件として明示はなく、厚生労働省などから推奨されている記録様式はありません。
送迎実績の記録方法については、各事業者の運営面や送迎を担当する職員の利便性や記入のタイミングなどを考えて、担当する職員に負担が少ない継続しやすい形を定めていくのが良いと思います。記録に残す内容についても介護保険の運営基準上は定めはありませんが、事業所の出発時刻・ご利用者宅への到着時刻・乗降介助にかかった時間や待ち時間などの項目を、送迎予定時刻と比較ができるような形で確認しやすいように記録しておくと良いと思います。
デイサービスなどの通所サービスでは送迎が必須ですが、送迎に関する記録方法や車両の運転記録などについて特に指定された書式や様式はないということを紹介しました。しかし、実務上送迎を担当するドライバーなどが目安の時刻や順番を確認するために運行表を作成している事業所がほとんどです。
運行表に記載されていると役立つ項目
車両管理表の項目と運用
デイサービスの送迎業務では、車両を適切で安全な状態で管理していく必要があります。運行前の車両点検結果、発着時間、距離数、運転者のサインなどを表で管理していくと良いでしょう。デイサービスで稀にあるトラブルとしては、気付かずに軽微な事故を起こしてしまっていたり、こ擦り傷などがあっても報告がなく数日後に気付いて誰が隠していたのかと犯人探しのようなことがあります。
車両ごとに毎回乗降車時に車両を簡易点検する癖をつけて、みんなで車両を大切に使い、何か異変があった時は速やかに情報共有される雰囲気を作りましょう。
デイサービスなどの通所施設での送迎業務を実際に行うと、いろいろな疑問や例外が発生します。業務上心配なこと、添乗する介護職員は必要か、介護報酬上不適切な状態になっていないか、送迎減算の対象ではないかなど調べられる範囲で調べましたのでご参考にどうぞ。
現在のところ、デイサービスなどの通所サービスの送迎車両に添乗者を同乗させるかについての決まりや基準はありません。
各事業所で道路交通法での駐停車のルールの順守や、乗車しているご利用者の安全確保を考え、必要に応じて添乗する職員の配置を実施するということが望ましいと考えられ、指導が行われています。実状としては、添乗職員を絶対につけるという事業者もあれば、原則ドライバー1名で行なっている事業者もあり、様々です。
運営基準上は、運営規程や重要事項説明書等で通常の事業の実施地域を定め、それ以外の 地域に居住する利用者に対して行う送迎に要する費用を請求することになっているケースが多いと思います。
送迎範囲を考えるとき、デイサービスの経営状況やスタッフの余裕などを加味して、ケースバイケースでどこまで行うかを決めているケースが多いようです。重要事項説明書など以外にも、パンフレット等に送迎対応エリアを明示しているケースもあります。ご利用者の耐えられる乗車時間、交通事情、送迎職員の負担なども考えると直行で片道30分くらいまでが現実的な範囲かと思います。
平成27年の介護報酬改定から、居宅サービス計画と通所介護計画に位置付けて、送迎時に自宅内介助を実施する場合には、30分を限度にサービス提供時間に含めて良いということになりました。従来、デイサービスの役割としては、「ドアまでの迎えと送り」という認識がありましたが、実際に計画を立てた上で居宅内介助を行なっていくことが可能ならば通所介護の職員が行うこともできます。ただし、別のご利用者を車内に残したままで居宅内介護で行うことは、リスク面やサービス品質面で望ましくないため、事業所の送迎業務のオペレーションや状況をよく考えて判断すべきです。
デイサービスの送迎時間は通所介護の提供時間には含みません。自宅内介助については、この記事で紹介したような条件を満たせば提供時間に含められます。
送迎の発着地(往路は出発地、復路は帰着地)については、必ずしも利用者の居宅に限られるものではなく、利用者や家族の事情により、やむを得ず、居宅以外へ迎えに行かざるを得ない、送り届けざるを得ない場合が発生することも考えられます。以下は、です。
やむを得ない理由により、利用者の居宅以外を発着地とする送迎として想定される 具体的事例を、参考までにお示しするものですが、介護報酬に係る個別具体的な解釈及び判断については、保険者(市町等)へご相談ください。送迎として認められる場合、介護報酬の減算は不要となります。
発着地 | 想定される状況 |
病院・診療所 | ●診察時間や家族の事情等により、一旦居宅へ戻ることが困難な場合。 ●通所介護のサービス提供中に体調を崩し、急きょ受診のうえ、帰宅する場合。 |
店舗 | ●復路の途中で、生活必需品の買い物のため立ち寄る場合。 |
別居家族の居宅 | ●別居している家族の居宅へ宿泊した翌日に、通所介護を利用する場合、又は、通所介護を利用した日に、別居している家族の居宅へ宿泊する場合において、家族の事情等により、利用者が自身の居宅へ一旦戻ることが困難な場合。 |
有料老人ホーム やサ高住の入居者の実家 | ●有料老人ホーム(又はサ高住)の入居者で、実家へ宿泊した翌日に、通所介護を利用する場合、又は、通所介護を利用した日に、実家へ宿泊する 場合において、何らかの事情により、一旦居室へ戻ることが困難な場合。 |
バスストップ方式の送迎 | ●道路が狭隘(きょうあい)で、居宅まで送迎車両が入ることができない場合等については、厚生労働省のQ&Aに示されている。(H12.3.31 介護保険最新情報 vol.59) |
その他、家族との 待ち合わせ場所 | ●その他、当日の家族の事情等により、居宅以外で待ち合わせざるを得ない場合。 |
参照:通所介護における送迎について~居宅以外を発着地とする送迎に係る扱い~, 平成28年8月, 三重県長寿介護課
送迎車両に、他の利用者が同乗している場合は、充分な配慮が必要です。
例外的な送迎を行うことにより、原則どおりの居宅への送迎より長時間を要してしまうような場合は、特段の理由があり、同乗者全員の理解が得られていない限り、認められないと考えます。
平成27年度の介護報酬の見直しにおいて、通所介護で送迎がされない場合に送迎減算として介護報酬上の片道47単位、往復94単位の減算ができました。これは通所リハビリや認知症対応型通所介護も同様です。徒歩での送迎や同一建物の利用者は減算対象ではありません。送迎減算や同一建物減算について詳しくは「通所介護の送迎減算について 送迎の考え方や単位数」の記事で紹介しています。
通所介護などの送迎業務について、送迎業務・運転にマニュアル作成が重要な理由、必要な資格・運転免許、居宅内介助を実施する場合の要件、出発時刻・到着時刻などの送迎の記録内容、送迎はどこまで行うか、送迎は自宅玄関以外でも可能かなど気になるところをまとめました。
デイサービスなどでの送迎業務で心配な部分をカバーするためのご参考になれば幸いです。
2024年の医療介護同時改定では、団塊世代の高齢化を見据え、自立支援を中心とした科学的介護の実現、そしてアウトカムベースの報酬改定に向けて変化しようとしています。
このような時流だからこそ、より一層利用者さまの自立支援に向けた取り組みが重要になります。しかし、個別機能訓練加算をはじめとした自立支援系の加算やLIFE関連加算の算定は、売上アップも見込めるとはいえ、リハビリ専門職の不在や現場負担の問題で取り組みが難しいと考える事業所も多いのではないでしょうか?
その解決策の1つが「介護現場におけるICTの利用」です。業務効率化の意味合いが強い昨今ですが、厚生労働省の定義では「業務効率化」「サービスの質向上」「利用者の満足度向上」の達成が目的であるとされています。
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