挨拶の仕方やお辞儀で好印象を与える方法 介護の接遇マナー

コラム

介護スタッフの基礎知識

更新日:2022/02/24

接遇マナーの向上について考える時、ご利用者や患者様への挨拶の仕方は一番最初の声かけとなるため重要な役割を持っています。接遇マナーで意識したい3種類のお辞儀(目礼・会釈、普通礼、敬礼)の角度と使い分け、介護・医療施設でよく使う挨拶の言葉、気持ちの良い接遇のための「語先後礼」、接遇向上のための挨拶の指導方法などについて詳しく紹介します。研修やマニュアル作成などに参考になれば幸いです。

接遇向上を意識した挨拶の仕方

接遇向上を意識した挨拶の仕方

接遇マナーの向上を意識した挨拶の仕方のポイントは、感謝や思いやりの心を込めて、気持ちが伝わるようにすることです。接遇マナーの研修で挨拶の仕方を習ったから、その方法で行えば相手が明るく良い気持ちになるかというとそうではありません。温かみのある挨拶、おもてなしの心、相手を認める態度などは、心を込めて1日1日積み重ねていくことで整っていきます。
 

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接遇マナーで意識したい3種類のお辞儀の角度と使い分け

接遇マナーで意識したい3種類のお辞儀の角度と使い分け

接遇マナーで研修などを行うときには、お辞儀の種類について紹介することがあります。日本人は場面や相手に応じて自然にお辞儀を使い分けていますが、今一度、お辞儀の種類とお辞儀の時に何度くらい上体を曲げるかの角度について確認してみましょう。会釈程度のお辞儀が適切な場面で深々と敬礼をしても違和感がありますし、相手や場所に応じて上手にお辞儀を使い分けましょう。

目礼・会釈とは 15度くらいのお辞儀の角度

会釈(目礼)とは、体を15度くらいの角度に曲げるお辞儀で、すれ違う時や遠くにいる方に対して行うケースが多いです。会釈の時には相手を見た後に目線は1.5mくらい先に下ろします。

普通礼とは 30度くらいのお辞儀の角度

普通礼とは、相手に敬意を払う時の一般的なお辞儀で、体を30度くらいの角度に曲げて、挨拶を伴を伴って行うケースが多いです。普通例の時には、目線は足元から80cmくらいのところに下ろします。

例えば、「おはようございます!」と挨拶の言葉を発した後に、普通礼を行うというような形です。(語先後礼)

敬礼とは 45度くらいのお辞儀の角度

敬礼とは、相手に対してもっとも丁寧にするお辞儀で、体を45度くらいの角度に曲げて行います。例えば、謝罪の時に「申し訳ございませんでした。」と言葉を伝えた後に、ゆっくりと45度くらいに体を曲げ礼を行います。

介護・医療の仕事でよく使う挨拶の言葉

介護・医療の仕事でよく使う挨拶の言葉

挨拶の言葉はいろいろありますが、接遇マナーとしては適切な時間帯、適切な場面で、適切な挨拶が行われる必要があります。接遇マナーというと外部のお客様やご利用者・患者様が対象のことと思われがちですが、気持ちよく働くために職員同士、スタッフ内でも挨拶を欠かさない習慣や雰囲気作りが大切です。

挨拶の言葉の例 おはようございます

「おはようございます」という挨拶は、朝から10時半くらいまでの時間に使います。夜勤がある介護施設や病院の仕事では、何時から挨拶が変わるという考え方がなく、スタッフ内での挨拶は1日通して「おはようございます」を採用しているところもあります。外向きには10時半くらいまでが「おはようございます」で、それ以降は「こんにちは」に切り替えましょう。

挨拶の言葉の例 こんにちは

「こんにちは」という挨拶は、10時半ころから明るい時間帯に使います。暗くなってきたら「こんばんわ」に切り替えます。

挨拶の言葉の例 こんばんわ

「こんばんわ」という挨拶は、夜(夕方暗くなってきた頃から)使います。周辺が真っ暗の時には、いきなり声をかけると相手を驚かせてしまうので声の大きさやトーンに気をつけて使いましょう。

挨拶の言葉の例 失礼します

「失礼します」という挨拶は、ご利用者の居室に入る時や、トイレの介助を行うときなど、相手のプライベートな領域に入る時などに用います。相手の空間に立ち入る時や、他人にあまり介入されたくない排泄や更衣などの介助などを行う前に、事前確認の意味も込めて「失礼します」を使うこともあります。

挨拶の言葉の例 どうなさいましたか

「どうしましたか」「どうなさいましたか」という言葉は、何かに困っていそうな肩を見かけた時にお声かけします。

挨拶の言葉の例 すみません

「すみません」という言葉は、何かをお願いする時やお断りする時に使います。謝罪のときにもすみませんという言葉を使いますが、ケースに応じて「申し訳ございません」や「恐れ入ります」、「恐縮です」、「失礼いたしました」なども使います。

気持ちの良い挨拶のための「語先後礼」とは

「語先後礼(ごせんごれい)」とは

接遇マナーでは、挨拶の時に「語先後礼」を指導することが多いです。語先語礼の読み方は「ごせんごれい」です。

語先語礼とは、簡単に説明すると「先に挨拶の言葉を言って、その後に礼をする」という意味です。家族や友人に挨拶するのであれば、「おはよ〜」と言宇野と同時に手を振ったりするかもしれませんが、仕事の場面では挨拶の言葉を言ってから、お辞儀をするという語先後礼はとても感じが良い印象を与えます。

最初は違和感があるかもしれませんが、語先後礼を意識して挨拶をしてみましょう。ホスピタリティのある行動をしているなぁと自分でもいい気持ちになるかもしれません。

接遇向上のための挨拶の研修や指導方法

接遇向上のための挨拶の研修や指導方法

接遇マナーは介護や医療の業界では重要視されていて、研修や指導が行われる機会も多くなっています。

接遇マナー向上のために 挨拶の意味を考える研修をする

挨拶は、相手との心理的な結びつきを持ち、よりよい人間関係を築くために重要な役割を持っています。挨拶がないケースを考えると挨拶のもつ意味が変わってきます。もし、すれ違っても目があっても挨拶をしないでいたとすると、相手は不安な気持ちを持ったり、無視されたと思い不快な気持ちになります。

一言かけるということで、安心して心を開いてくれるかもしれません。挨拶を行うことは、接遇やマナーの基本と言えます。

接遇マナー向上のために 挨拶の役割を伝える

挨拶の役割は、「相手を認めること」「相手に好印象を与えること」「相手の緊張を解くこと」「不審者など防犯面」などです。笑顔で挨拶をすることは素敵なことです。また、不審者やマナーの悪い来訪者などに対してもしっかりと挨拶を行うことで、人の目があるという雰囲気ができ、迷惑行為などを未然に防ぐ効果も期待できます。

ケースに応じいろいろなパターンで挨拶をし合う研修を行い指導する

今まで紹介してきたように、挨拶の言葉や、挨拶の仕方はいろいろあります。

状況に応じて使い分けるためには、ケースワークで実践することが効果的です。

例えば、初めて施設に来た心配そうな方に対してどのようにお声かけするかや、少しご立腹している方に対してどう挨拶してどのような態度でお話をお聞きするかなど、相手がどういう気持ちになったかなどを確認しながらよりよい対応方法を考えて練習してみると良いと思います。

接遇マナーの研修を通して一度練習してみると似たケースの時に対応できるかもしれません。

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まとめ

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接遇マナーについて挨拶についてピックアップして紹介いたしました。

気持ちよく認め合える関係性のために、挨拶はとても役立ちます。

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接遇マナーを向上させるための研修やマニュアル作成などに参考になれば幸いです。

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この記事の著者

作業療法士  大久保 亮

リハビリ養成校を卒業後、作業療法士として、通所介護事業所や訪問看護ステーションにて在宅リハビリテーションに従事。働きながら法政大学大学院政策学修士を取得。その後、要介護者、介護現場で働く人、地域住民まで、介護に関わるすべての人が安心していきいきと活躍し続けられる世界の実現を目指して2016年6月株式会社Rehab for JAPANを創業。また、日本介護協会関東支部局副支部長を務める。

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