デイサービススタッフ・機能訓練指導員が理解しておくべき「大腿骨頸部骨折」の概要とリハビリの基本

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更新日:2022/02/24

大腿骨頚部骨折は高齢者に多い骨折の1つです。デイサービスに通われる方の中にも非常に多い疾患の1つですが、この大腿骨頚部骨折は手術の方法によって全く対応も異なります。今回この記事では、大腿骨頸部骨折の概要とデイサービスで行えるリハビリの基本についてご説明します。

大腿骨頚部骨折はデイサービスに通われる利用者さんに多い疾患の1つです。

適切な運動方法を提供するには、まず大腿骨頚部骨折がどういった疾患なのか基本的なことを理解する必要があります。その上で、リハビリの基本的な部分を理解し提供することが求められます。

今回この記事では、デイサービススタッフの方、機能訓練に従事する機能訓練指導員の方を対象に大腿骨頚部骨折の概要とリハビリの基礎についてお伝えして参ります。

そもそも大腿骨頚部骨折とは?

大腿骨頚部骨折

大腿骨頚部骨折は、簡単に言ってしまうと「足の付け根の骨折」です。

日本の人口の高齢化に伴って、どんどん増加傾向にある骨折の1つです。また、今後も増加していくと言われており、主な原因としては転倒によるもので、高齢化に伴い骨が脆弱し折れやすくなります。

この辺りは、サルコペニアやフレイルとも関連があり、予防していくということが最も大切なことになります。
 

【関連記事】
デイサービススタッフが理解しておくべき「サルコペニア」と「フレイル」について


特に女性においては、閉経をきっかけとして骨が弱くなります。その背景から、男性よりも女性に多い骨折としても知られています。

また、大腿骨頚部骨折は「外側骨折」と「内側骨折」に分類されます。この記事では内側骨折にフォーカスをあてて説明をしていきますが、内側骨折は人工骨頭置換術という手術が必要となります。

大腿骨頚部骨折:人工骨頭置換術

人工骨頭置換術は、人工の骨に置き換える手術で「BHA」と呼ばれます。

この手術で問題となるのが「脱臼リスク」というものです。術後1ヶ月くらいが一番脱臼しやすいので、デイサービスに通われている方はそこまで脱臼リスクのことを考えなくても大丈夫なのですが、それでも、転倒をきっかけに脱臼してしまうこともあるため理解しておくことが望ましいと言えます。

特に脱臼をしやすい例としては、「股関節の屈曲・内転・内旋」という股関節の複合的な動きが入るときです。言葉だけを見ると大変難しく感じてしまうかもしれませんが、股関節が深く曲がって内側に入ると危険だという認識をしていただけたらと思います。

より詳しく知りたい方は、「人工関節の広場」というサイトがありますので、そちらをご覧になることをおすすめします。整形外科医が監修したサイトとなっています。

デイサービスで行える大腿骨頚部骨折に対するリハビリ

大腿骨頚部骨折

大腿骨頚部骨折のリハビリでは、特に中殿筋と大殿筋というお尻の筋肉を鍛えることが重要となります。

高齢者に対して中殿筋をトレーニングする方法でメジャーなのは、横向きになって足を上に持ち上げる方法、もしくは仰向けで寝た状態でセラバンドを使って足を横に広げる運動です。また、大殿筋をトレーニングするのはお尻上げ(画像上ではボールを挟んで行なっていますが、これはボールがあってもなくてもいいです)が負担を少なく行えます。以下、ご参照ください。

セラバンド 中殿筋 セラバンド 中殿筋
大殿筋 ブリッジ運動



大腿骨頚部骨折をした方は、股関節周りやお尻周りの筋肉が硬くなりやすく、痛みを訴えやすい傾向にあります。そういった場合は、マッサージをすることやホットパックといった温熱療法も効果的です。

その他の方法としては、エアロバイクを行うことや良い姿勢を意識した歩行練習なども並行して行うことでより相乗効果が見込めます。

簡単な流れとしては、以下の通りです。

  • マッサージやストレッチ、温熱療法などで体の柔軟性を保つ
  • 必要に応じた筋力トレーニングを行う
  • 立位姿勢やバランス、歩行練習などを行う

まとめ

今回は、デイサービススタッフや機能訓練指導員の方が理解しておくと望ましい「大腿骨頚部骨折」の概要とリハビリの基礎知識をお届けしましたが、いかがでしたでしょうか。

少しでも参考にしていただき、デイサービス運営にうまく活かせていただけたら幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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ICTの利活用でサービスの質と業務効率を同時に高める

2024年の医療介護同時改定では、団塊世代の高齢化を見据え、自立支援を中心とした科学的介護の実現、そしてアウトカムベースの報酬改定に向けて変化しようとしています。

このような時流だからこそ、より一層利用者さまの自立支援に向けた取り組みが重要になります。しかし、個別機能訓練加算をはじめとした自立支援系の加算やLIFE関連加算の算定は、売上アップも見込めるとはいえ、リハビリ専門職の不在や現場負担の問題で取り組みが難しいと考える事業所も多いのではないでしょうか?

その解決策の1つが「介護現場におけるICTの利用」です。業務効率化の意味合いが強い昨今ですが、厚生労働省の定義では「業務効率化」「サービスの質向上」「利用者の満足度向上」の達成が目的であるとされています。

業務効率化だけでなく、利用者一人ひとりの生活機能の課題を解決する『デイサービス向け「介護リハビリ支援ソフト」』を検討してみませんか?

この記事の著者

作業療法士  大屋 祐貴

作業療法士として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーション技術を高めるために研修会の立ち上げ等を行う。

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